「新型インフルエンザ」麻黄湯の使用も:花輪壽彦先生

2009.9.13日経新聞に掲載された花輪壽彦先生の文章を紹介します。

(記事)
Q.40歳男性。新型インフルエンザが秋以降、さらに流行するといわれています。ワクチンも足りない見通しで、抗ウイルス薬も不足するのではと心配です。漢方医はどのように対応するつもりなのですか。

A.元来、漢方医療の聖典として尊重されている「傷寒論(しょうかんろん)」という書物は腸チフスや悪性インフルエンザを対象にした治療書です。

さむけがひどく、発熱し、汗のない段階で、頭痛や関節痛が強ければ麻黄湯(まおうとう)を服用します。麻黄湯の構成生薬は麻黄、桂皮(けいひ)、杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)です。

麻黄は感染から約1時間のウイルス増殖初期、細胞への吸着と侵入、脱殻(だっかく)を阻害します。桂皮は感染後数時間の中期、RNA(リボ核酸)とたんぱく合成を阻害します。

ちなみに抗ウイルス薬「タミフル」は感染後期、細胞内部で増殖したウイルスを細胞外に放出する部位を阻害するように働きます。

麻黄湯は従来のインフルエンザに対して抗インフルエンザ薬と同等の効果が期待できます。新型に対しても、症状や体質、体力に応じて漢方薬を上手に活用し、ワクチンや抗インフルエンザ薬と併用して対応すべきだと考えます。

(北里大学東洋医学総合研究所所長 花輪 壽彦)
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