「発信//板橋//2011」 板橋区立美術館

板橋区立美術館板橋区赤塚5-34-27
「発信//板橋//2011」
2/26~開催中止



板橋区立美術館で開催されていた「発信//板橋//2011」へ行ってきました。

残念ながら地震の影響により途中で打ち切りとなってしまいましたが、江戸絵画展などで定評のある板橋区立美術館が現代作家を紹介した意欲的な展覧会でした。

出品作家は以下の7名でした。

利部志穂
そり町勝治
はい島伸彦
藤本壮介
船井美佐
屋代敏博
吉賀あさみ

単に板橋に縁のある作家を並べたわけではありません。同区内の出身、もしくは在住の作家と、そうでない作家を半数ほどにわけ、板橋と関わらせることで新たな美術の在り方を問う内容となっていました。いわゆるご当地の作家のみのグループ展でないところが、今回の展示の大きな特徴ではなかったでしょうか。

ジャンルを問わず、立体や平面、それに写真に映像など盛りだくさんの展示でしたが、手狭なスペースを逆手にとっての美しいインスタレーションを展開していたのは吉賀あさみでした。


吉賀あさみ「The Colors in Itabashi」 2011年

吉賀は美術館敷地の土を採取して絵具をつくり、それを高さ4メートルほどの筒状の布地に塗って、あたかも赤く灯る光の柱のようなオブジェを暗室に組み立てています。この土地そのものを素材とした作品は、まさに板橋発という展示コンセプトにも見事に合致していました。


船井美佐「PARADISE/BOUNDARY Birds on River」 2011年

一方、アクリルミラー製の鳥を壁面に装飾した船井美佐の「PARADISE/BOUNDARY Birds on River」(2011)も、美術館の敷地を意識した作品と言えるかもしれません。窓の外に広がる緑地が作品の効果的な借景となっていました。


屋代敏博「回転回2011」 2011年

回転回でお馴染みの屋代敏博がワークショップで地域の人々と関係します。また映像「Philharmony」の舞台には、区内の清掃工場の屋上なども登場していました。

はい島伸彦の動物のオブジェと、木の幹をモチーフとしたそり町勝治のペイントの対比がまた巧みです。どこかポンポンを思わせる可愛らしいはい島の動物たちは、生命感に漲るそり町の森林の住人たちであるかのようでした。


利部志穂「うごく 動機の設定」 2011年

ガラスやレンズの他、様々な廃材をモニターなどに緩やかにつなぎあわせ、それ自体はおろか、空間全体にも何らかの意味を与えようとする利部志穂のインスタレーションも印象に残ります。決して面白いとは言えない板橋区美のエントランスが、いつもとは一味も二味も異なって見えました。

初めにも触れたように地震の影響により展示は中止されてしまいました。展示に携われた方の無念を思うと何とも言葉になりませんが、ここでこの展覧会は終わってしまったわけではありません。今回はあくまでも「発信//板橋」の第一弾です。第二弾、そして第三弾と続く、次の展開にも期待したいと思いました。

展示は終了しています。
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