「包む - 日本の伝統パッケージ展」 目黒区美術館

目黒区美術館目黒区目黒2-4-36
「包む - 日本の伝統パッケージ展」
2/10-5/22(会期延長)



古くから日本人が大切にしてきた「包み」の文化を再確認します。目黒区美術館で開催中の「包む 日本の伝統パッケージ展」へと行って来ました。

何かと簡易包装が推奨されるせいか、最近でこそ趣きも失われつつある「包む」、ようは様々なパッケージですが、時に凝った意匠はおろか、そこにこめられた作り主の思いは当然ながら否定されたわけではありません。


「柚子味噌」 東京都/笹乃雪

展示ではグラフィックデザイナーとして活躍し、日本の包みの美しさに魅了されて様々な容器を収集した岡秀行氏(1905~1995)のパッケージコレクションが一同に紹介されています。

第1室・2室 「岡秀行 包むコレクション」木/竹/土/わら/紙/布/その他
第3室 「Pick up 伝統の美/生活の美」
第4室 「映像コーナー」


菓子折、酒樽、また弁当箱や酒瓶、それに祝儀袋などがほぼ露出展示の形でずらりと揃っていました。

素材別にパッケージを紹介しているのも展覧会の特徴の一つかもしれません。竹や笹、それに紙といった素材が、ちょっとした工夫、また意匠を加えることで、驚くべきほどに斬新なアートへと変化していきました。


「おひねり」

その際立ったものとして私が強く惹かれたのは「おひねり」、ようは投げ銭の包み紙です。

言ってしまえば賽銭をたった一枚の紙が包んでいるに過ぎませんが、その花のような形からは、簡素ながらも美の一つの在り方が現れてはいないでしょうか。まさに見立ての妙味でした。


「ささらあめ」 宮城県/熊谷屋

また花と言えば「ささらあめ」も忘れられません。飴を束にして開いた形はまるでお花畑です。そもそも和菓子自体が味だけではなく目でも楽しむものですが、こうしたパッケージもまた魅力を高めていました。


「卵つと」 山形県

竹や笹などで編んだかごなども機能性と美しさが両立したパッケージと言えるかもしれません。竹筒をそのまま用いた薬味入れは、それこそ身近な日用品の中に潜む「包み」の美学を感じることが出来ました。

ハイライトは結納の目録一式ではないでしょうか。雛壇に並ぶ結納の目録の意匠は、藁や紙などを駆使して出来た「包み」の総合芸術です。また千歳飴の袋など、子どもの頃に心を踊らせたようなパッケージも郷愁を誘っていました。

「包み」の美を3D映像で再現した「包 TSUTSUMU」(監督:押切隆世)も見所の一つです。コレクションの都合なのか、例えば風呂敷などの「布」のパッケージについての紹介は殆どありませんでしたが、包みが生み出す美の多様な世界には終始感心させられました。


「澤之鶴」 兵庫県/沢の鶴株式会社

余計なことかもしれませんが、酒樽や徳利などのパッケージがかなり多く、酒好きには嬉しい展覧会でもありました。

「包む─日本の伝統パッケージ/ビー・エヌ・エヌ新社」

5月22日までの開催です。おすすめします。(会期が大幅に延長されました。)

*開館日時:火~日(月休)但し3月21日(月祝)は開館、翌22日(火)は休館。10:00~18:00(入館は17:30まで)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「鹿島茂コレ... 「第5回 shise... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。