都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「マリメッコ・スピリッツ」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「マリメッコ・スピリッツーパーヴォ・ハロネン/マイヤ・ロウエカリ/アイノ=マイヤ・メッツォラ」
11/15〜2018/1/13

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の、「マリメッコ・スピリッツーパーヴォ・ハロネン/マイヤ・ロウエカリ/アイノ=マイヤ・メッツォラ」を見てきました。
マリメッコの創業者であるアルミ・ラティア(1912~1979)は、才能のあるデザイナーを発掘し、創造意欲を発揮出来る環境を整えつつ、様々なデザインパターンを生み出しては、世界的ファッションブランドを築き上げました。

現在のマリメッコで活躍している、3名のデザイナーにスポットを当てた展覧会です。マリメッコの代表的パターンをはじめ、オリジナル作品やインタビュー映像のほか、日本にインスピレーションを受けて作った新作などを紹介しています。

マイヤ・ロウエカリ「シィルトラプータルハ」 2009年
3名の中で最も長くマリメッコと関わっているのが、グラフィック・デザイナーのマイヤ・ロウエカリでした。1982年に北フィンランドで生まれたロウエカリは、2003年、ヘルシンキ芸術大学の在学中に、マリメッコと大学の主催したデザインコンペで優勝を果たします。以来、マリメッコのためのデザインを作り続けました。グラフィカルなデザインが特徴的でもあります。

アイノ=マイヤ・メッツォラ「シトルーナプー」 2014年
続くのが、1983年生まれのアイノ=マイヤ・メッツォラで、やはりヘルシンキ芸術大学の在学中の2006年、マリメッコのコンペに参加し、同コレクションのデザインとして選定されました。水彩やフェルトペン、グワッシュなど、多彩な画材を用いることで知られています。

パーヴォ・ハロネン「サルメ」 2015年
最近になってデザインを担うようになったのが、1974年生まれの現代アーティスト、パーヴォ・ハロネンでした。フリーランスのプリントデザイナーでもあるハロネンは、2011年よりマリメッコの生地デザインを手がけています。自然からのインスピレーションを、抽象的パターンへと転換させることを得意としているそうです。

マイヤ・ロウエカリ「ブラザーズ」 2016年
冒頭の1階には、3名のデザイナーによるパターンがずらりと並んでいました。中にはフィンランド独立100周年を記念してデザインされた作品や、同地の気候変動、例えばフィンランドの島を覆う雨雲や霧雨、それに駆け抜ける涼しい風などをモチーフとした作品もありました。まさにスタイリッシュで、お気に入りの作品を見つけるのにはさほどの時間もかかりません。
階下のフロアが日本に因んだ作品の展開でした。同ギャラリーでは、展覧会の開催に際し、3名のデザイナーに、「JAPAN」をテーマにした新作パターンの制作を依頼しました。ただし3名は、一度も来日の経験がありません。一体、どのようなデザインが生み出されたのでしょうか。

アイノ=マイヤ・メッツォラ「コケデラ」 2017年
アイノ=マイヤ・メッツォラは「コケデラ」を作り上げました。日本庭園や寺院からヒントを得たデザインで、言うまでもなく、苔寺で知られる西芳寺をモチーフとしています。せり上がる石のような量感は独特で、遠目では、石畳か石垣のようにも見えました。表面を覆う素早い線が、苔を表しているのでしょうか。幽玄な雰囲気も感じられました。

マイヤ・ロウエカリ「キルシカンクッカサデ」 2017年
一転して、日本の都市に着目したのが、マイヤ・ロウエカリでした。タイトルは「キルシカンクッカサデ」で、「桜の花の雨」を意味し、雨の降るネオン街の東京をモチーフとしています。色鮮やかなファッションを身につけた若者からは活気も感じられ、多くの人で行き交う東京の賑わいを巧みに表現しているのではないでしょうか。表参道の交差点の光景が頭に浮かびました。

パーヴォ・ハロネン「アウレオリ」 2017年
得意の切り紙の技術によって、抽象的なパターンを生み出したのが、パーヴォ・ハロネンでした。「アウレオリ(光の輪)」と名付けた作品は、かの葛飾北斎の河童や、円山応挙の鶴、はたまた宮崎駿の映画などからインスパイアして作り上げたそうです。表面のパターンは自然の地表を表現しています。
どことなく流水紋のようにも見えなくはありません。3名の中で最も「和」を感じさせるのではないでしょうか。私が一番惹かれたのは、この「アウレオリ」でした。

さらにマリメッコのテーブルウェアなども、少ないながらも紹介していました。マリメッコのパターン自体の魅力と、デザイナーの自由な創造力を、同時に味わえるような展覧会と言えるかもしれません。
なお、12月15日から、東陽町のギャラリーエークワッドでも、「マリメッコ・スピリッツ」と題した展覧会が行われます。
GALLERY A4(ギャラリーエークワッド)
「マリメッコ・スピリッツーエラ マンタパ マリメッコの暮らしぶり」
2017年12月15日(金)〜2018年2月28日(水)

アイノ=マイヤ・メッツォラ「普段使いの文房具」
2つで1つのマリメッコ展です。銀座と東陽町を行き来して楽しむのも良さそうです。

2018年1月13日まで開催されています。
「マリメッコ・スピリッツーパーヴォ・ハロネン/マイヤ・ロウエカリ/アイノ=マイヤ・メッツォラ」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:2017年11月15日(水)~2018年1月13日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12/28~1/4)。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
「マリメッコ・スピリッツーパーヴォ・ハロネン/マイヤ・ロウエカリ/アイノ=マイヤ・メッツォラ」
11/15〜2018/1/13

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の、「マリメッコ・スピリッツーパーヴォ・ハロネン/マイヤ・ロウエカリ/アイノ=マイヤ・メッツォラ」を見てきました。
マリメッコの創業者であるアルミ・ラティア(1912~1979)は、才能のあるデザイナーを発掘し、創造意欲を発揮出来る環境を整えつつ、様々なデザインパターンを生み出しては、世界的ファッションブランドを築き上げました。

現在のマリメッコで活躍している、3名のデザイナーにスポットを当てた展覧会です。マリメッコの代表的パターンをはじめ、オリジナル作品やインタビュー映像のほか、日本にインスピレーションを受けて作った新作などを紹介しています。

マイヤ・ロウエカリ「シィルトラプータルハ」 2009年
3名の中で最も長くマリメッコと関わっているのが、グラフィック・デザイナーのマイヤ・ロウエカリでした。1982年に北フィンランドで生まれたロウエカリは、2003年、ヘルシンキ芸術大学の在学中に、マリメッコと大学の主催したデザインコンペで優勝を果たします。以来、マリメッコのためのデザインを作り続けました。グラフィカルなデザインが特徴的でもあります。

アイノ=マイヤ・メッツォラ「シトルーナプー」 2014年
続くのが、1983年生まれのアイノ=マイヤ・メッツォラで、やはりヘルシンキ芸術大学の在学中の2006年、マリメッコのコンペに参加し、同コレクションのデザインとして選定されました。水彩やフェルトペン、グワッシュなど、多彩な画材を用いることで知られています。

パーヴォ・ハロネン「サルメ」 2015年
最近になってデザインを担うようになったのが、1974年生まれの現代アーティスト、パーヴォ・ハロネンでした。フリーランスのプリントデザイナーでもあるハロネンは、2011年よりマリメッコの生地デザインを手がけています。自然からのインスピレーションを、抽象的パターンへと転換させることを得意としているそうです。

マイヤ・ロウエカリ「ブラザーズ」 2016年
冒頭の1階には、3名のデザイナーによるパターンがずらりと並んでいました。中にはフィンランド独立100周年を記念してデザインされた作品や、同地の気候変動、例えばフィンランドの島を覆う雨雲や霧雨、それに駆け抜ける涼しい風などをモチーフとした作品もありました。まさにスタイリッシュで、お気に入りの作品を見つけるのにはさほどの時間もかかりません。
階下のフロアが日本に因んだ作品の展開でした。同ギャラリーでは、展覧会の開催に際し、3名のデザイナーに、「JAPAN」をテーマにした新作パターンの制作を依頼しました。ただし3名は、一度も来日の経験がありません。一体、どのようなデザインが生み出されたのでしょうか。

アイノ=マイヤ・メッツォラ「コケデラ」 2017年
アイノ=マイヤ・メッツォラは「コケデラ」を作り上げました。日本庭園や寺院からヒントを得たデザインで、言うまでもなく、苔寺で知られる西芳寺をモチーフとしています。せり上がる石のような量感は独特で、遠目では、石畳か石垣のようにも見えました。表面を覆う素早い線が、苔を表しているのでしょうか。幽玄な雰囲気も感じられました。

マイヤ・ロウエカリ「キルシカンクッカサデ」 2017年
一転して、日本の都市に着目したのが、マイヤ・ロウエカリでした。タイトルは「キルシカンクッカサデ」で、「桜の花の雨」を意味し、雨の降るネオン街の東京をモチーフとしています。色鮮やかなファッションを身につけた若者からは活気も感じられ、多くの人で行き交う東京の賑わいを巧みに表現しているのではないでしょうか。表参道の交差点の光景が頭に浮かびました。

パーヴォ・ハロネン「アウレオリ」 2017年
得意の切り紙の技術によって、抽象的なパターンを生み出したのが、パーヴォ・ハロネンでした。「アウレオリ(光の輪)」と名付けた作品は、かの葛飾北斎の河童や、円山応挙の鶴、はたまた宮崎駿の映画などからインスパイアして作り上げたそうです。表面のパターンは自然の地表を表現しています。
どことなく流水紋のようにも見えなくはありません。3名の中で最も「和」を感じさせるのではないでしょうか。私が一番惹かれたのは、この「アウレオリ」でした。

さらにマリメッコのテーブルウェアなども、少ないながらも紹介していました。マリメッコのパターン自体の魅力と、デザイナーの自由な創造力を、同時に味わえるような展覧会と言えるかもしれません。
なお、12月15日から、東陽町のギャラリーエークワッドでも、「マリメッコ・スピリッツ」と題した展覧会が行われます。
GALLERY A4(ギャラリーエークワッド)
「マリメッコ・スピリッツーエラ マンタパ マリメッコの暮らしぶり」
2017年12月15日(金)〜2018年2月28日(水)

アイノ=マイヤ・メッツォラ「普段使いの文房具」
2つで1つのマリメッコ展です。銀座と東陽町を行き来して楽しむのも良さそうです。

2018年1月13日まで開催されています。
「マリメッコ・スピリッツーパーヴォ・ハロネン/マイヤ・ロウエカリ/アイノ=マイヤ・メッツォラ」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:2017年11月15日(水)~2018年1月13日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12/28~1/4)。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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