都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「TOKYO数寄フェス2017」 上野恩賜公園、谷中地域一帯
上野恩賜公園、谷中地域一帯
「TOKYO数寄フェス2017」
11/10〜11/19

10日間限定のアートフェスティバルです。上野恩賜公園、谷中地域一帯で開催中の「TOKYO数寄フェス2017」を見てきました。

上野公園内に巨大な水上楼閣が登場しました。それが、現代美術家の大巻伸嗣による「プラネテスー私が生きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなった」です。高さ14メートルもあるスケルトンのインスタレーションで、約4800本にも及ぶ角材で組み上げられています。私も前もって写真で見知っていましたが、想像以上の大きさで、驚きました。

ちょうど日没前後のため、ライトアップがされていました。写真では僅かにグリーンに染まっていますが、実際は通常の照明のようで、内部に大きな光源が3〜4つほど吊り下がっていました。さすがに目立つゆえか、ギャラリーも多く、スマホやカメラを構えては、記念撮影をする方もたくさん見受けられました。

しかし何故に楼閣なのでしょうか。答えを紐解くには、上野公園の開園以前にまで遡る必要がありました。かつてこの界隈は、寛永寺の境内で、多くの仏閣が立ち並んでいましたが、災害や戦争を経て、明治時代に公園として整備されたそうです。大巻は、その記憶や空間を再現すべく、寛永寺山門の「文殊楼」をモチーフにした建築物を設置しました。透けて見えるのも何か意図してのことかもしれません。また噴水の水盤の効果か、建物の下にも、楼閣が映り込んでいて、より際立って見えました。

その楼閣の北側でお茶を振舞うのが、インテリアデザイナーの橋本和幸と、伊藤園とのコラボによる「ティーテイスターフォレスト」でした。最近、「景色を眺めながらお茶をいただく」(公式サイトより)ことに取り組むという橋本は、公園内に移動式茶屋を設置し、その中で、茶をいただきながら、改めて暮らしについて見つめ直そうという展示を行っています。

ただ、一口に茶屋と言っても、一捻りも二捻りもある、個性的な茶屋でした。また会期中には、伊藤園のお茶のスペシャリスト「ティーテイスター」による、「茶KABUKI」と題したイベントも行われていたようです。公園内に突如、出現した茶屋は、いささか新奇にも映りました。

さて「TOKYO数寄フェス2017」は、上野公園の外へも展開しています。その1つが、アートプロジェクト「The Whole and The Part/全体と部分」で、谷中界隈の3会場にて、東京藝術大学GAP(グローバルアートプラクティス)専攻と、パリ国立高等美術学校の生徒による作品展示が行われています。

会場自体も見どころの一つです。というのも、旧平櫛田中邸、旧谷邸、市田邸といった歴史的建造物が舞台となっているからです。中でも市田邸は、明治40年、布問屋を営んでいた市田氏が建てたもので、現在、国の登録有形文化財に指定されています。

この日は日没前後の駆け足での鑑賞のため、旧谷邸、そして市田邸しかまわれませんでしたが、まさに古民家の空間は趣きがあり、建物を見学するだけでもかなり楽しめました。

なお一連の谷中の展示は、日仏両大学の教員や生徒が、互いの国を行き来し、ユニットを組んでは、共同制作を行ったプログラムの一環でもあります。その成果発表の場と言えるのかもしれません。
これらのプログラムのほかにも、ワークショップや、コンサートイベントなども開催されています。中でも今週末(17日〜19日)の日没後には、鈴木太朗と空間演出研究所が、不忍池を舞台に、光を用いたインスタレーションを展開します。なおプログラムの観覧時間は、会場毎で異なります。詳しくは同フェスの公式サイトをご覧下さい。
「TOKYO数寄フェス2017」とは、文化施設、行政、民間企業によって結成された「上野文化の杜」(@uenobunka)が、昨秋、日本の文化と芸術を国内外に発信するために初めて開催したイベントで、今年は会期を延長し、規模もやや拡大しました。
また「数寄」とは、日本美術院を創設した岡倉天心が、茶の湯を通して日本文化を紹介した著書、「茶の本」の中で用いた言葉から名付けられたそうです。まだ試行錯誤の感は否めないかもしれませんが、今後は上野を代表するアートイベントとして育っていくのかもしれません。
上野公園の木々もすっかり色づいていました。博物館や美術館へのお出かけの際に立ち寄るのも良いのではないでしょうか。

11月19日まで開催されています。
「TOKYO数寄フェス2017」 上野恩賜公園、谷中地域一帯
会期:11月10日(金)〜11月19日(日)
会場:上野恩賜公園(不忍池一帯、噴水前広場ほか)、東京国立博物館、 東京都美術館、東京文化会館、谷中地域ほか。
時間:11:00〜17:00
*11/10、11、17〜19は20時まで。谷中エリアは全日17時まで。
料金:無料。但し博物館、美術館へは別途入館料が必要。
住所:台東区上野公園5-20
交通:JR線、東京メトロ鉄銀座線・日比谷線上野駅下車徒歩2分。京成線京成上野下車徒歩1分。
「TOKYO数寄フェス2017」
11/10〜11/19

10日間限定のアートフェスティバルです。上野恩賜公園、谷中地域一帯で開催中の「TOKYO数寄フェス2017」を見てきました。

上野公園内に巨大な水上楼閣が登場しました。それが、現代美術家の大巻伸嗣による「プラネテスー私が生きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなった」です。高さ14メートルもあるスケルトンのインスタレーションで、約4800本にも及ぶ角材で組み上げられています。私も前もって写真で見知っていましたが、想像以上の大きさで、驚きました。

ちょうど日没前後のため、ライトアップがされていました。写真では僅かにグリーンに染まっていますが、実際は通常の照明のようで、内部に大きな光源が3〜4つほど吊り下がっていました。さすがに目立つゆえか、ギャラリーも多く、スマホやカメラを構えては、記念撮影をする方もたくさん見受けられました。

しかし何故に楼閣なのでしょうか。答えを紐解くには、上野公園の開園以前にまで遡る必要がありました。かつてこの界隈は、寛永寺の境内で、多くの仏閣が立ち並んでいましたが、災害や戦争を経て、明治時代に公園として整備されたそうです。大巻は、その記憶や空間を再現すべく、寛永寺山門の「文殊楼」をモチーフにした建築物を設置しました。透けて見えるのも何か意図してのことかもしれません。また噴水の水盤の効果か、建物の下にも、楼閣が映り込んでいて、より際立って見えました。

その楼閣の北側でお茶を振舞うのが、インテリアデザイナーの橋本和幸と、伊藤園とのコラボによる「ティーテイスターフォレスト」でした。最近、「景色を眺めながらお茶をいただく」(公式サイトより)ことに取り組むという橋本は、公園内に移動式茶屋を設置し、その中で、茶をいただきながら、改めて暮らしについて見つめ直そうという展示を行っています。

ただ、一口に茶屋と言っても、一捻りも二捻りもある、個性的な茶屋でした。また会期中には、伊藤園のお茶のスペシャリスト「ティーテイスター」による、「茶KABUKI」と題したイベントも行われていたようです。公園内に突如、出現した茶屋は、いささか新奇にも映りました。

さて「TOKYO数寄フェス2017」は、上野公園の外へも展開しています。その1つが、アートプロジェクト「The Whole and The Part/全体と部分」で、谷中界隈の3会場にて、東京藝術大学GAP(グローバルアートプラクティス)専攻と、パリ国立高等美術学校の生徒による作品展示が行われています。

会場自体も見どころの一つです。というのも、旧平櫛田中邸、旧谷邸、市田邸といった歴史的建造物が舞台となっているからです。中でも市田邸は、明治40年、布問屋を営んでいた市田氏が建てたもので、現在、国の登録有形文化財に指定されています。

この日は日没前後の駆け足での鑑賞のため、旧谷邸、そして市田邸しかまわれませんでしたが、まさに古民家の空間は趣きがあり、建物を見学するだけでもかなり楽しめました。

なお一連の谷中の展示は、日仏両大学の教員や生徒が、互いの国を行き来し、ユニットを組んでは、共同制作を行ったプログラムの一環でもあります。その成果発表の場と言えるのかもしれません。
これらのプログラムのほかにも、ワークショップや、コンサートイベントなども開催されています。中でも今週末(17日〜19日)の日没後には、鈴木太朗と空間演出研究所が、不忍池を舞台に、光を用いたインスタレーションを展開します。なおプログラムの観覧時間は、会場毎で異なります。詳しくは同フェスの公式サイトをご覧下さい。
「TOKYO数寄フェス2017」とは、文化施設、行政、民間企業によって結成された「上野文化の杜」(@uenobunka)が、昨秋、日本の文化と芸術を国内外に発信するために初めて開催したイベントで、今年は会期を延長し、規模もやや拡大しました。
また「数寄」とは、日本美術院を創設した岡倉天心が、茶の湯を通して日本文化を紹介した著書、「茶の本」の中で用いた言葉から名付けられたそうです。まだ試行錯誤の感は否めないかもしれませんが、今後は上野を代表するアートイベントとして育っていくのかもしれません。
【谷中アートプロジェクト】迷路のような路地の中でアート体験。東京藝術大学とパリ国立高等美術学校の学生が谷中を舞台に共同で制作した作品が展示されています。土地勘に不慣れな方はマップを頼りに探検気分が味わえます。茶ヌーボを開催するお店に遭遇したらお茶をいただくことができます! pic.twitter.com/xjzT1UDziZ
— 上野「文化の杜」 (@uenobunka) 2017年11月16日
上野公園の木々もすっかり色づいていました。博物館や美術館へのお出かけの際に立ち寄るのも良いのではないでしょうか。

11月19日まで開催されています。
「TOKYO数寄フェス2017」 上野恩賜公園、谷中地域一帯
会期:11月10日(金)〜11月19日(日)
会場:上野恩賜公園(不忍池一帯、噴水前広場ほか)、東京国立博物館、 東京都美術館、東京文化会館、谷中地域ほか。
時間:11:00〜17:00
*11/10、11、17〜19は20時まで。谷中エリアは全日17時まで。
料金:無料。但し博物館、美術館へは別途入館料が必要。
住所:台東区上野公園5-20
交通:JR線、東京メトロ鉄銀座線・日比谷線上野駅下車徒歩2分。京成線京成上野下車徒歩1分。
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