都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ネオ・トロピカリア - ブラジルの創造力」 東京都現代美術館
東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
「ネオ・トロピカリア - ブラジルの創造力」
10/22-2009/1/12

失礼ながら森山展のついでに見るつもりでしたが、縁もないブラジルの現代アートが意外なほど楽しめました。「90年代後半に活躍する27組のアーティストでブラジルの創造力を紹介します。」(ちらしより引用。)東京都現代美術館での「ネオ・トロピカリア」へ行ってきました。

突っ込んだ面を抜きにして、視覚的に面白い作品が目立つのも本展示の特徴の一つかもしれません。メインはもちろん、最近、他の展示でも見せ場の多いネトの巨大インスタレーションです。高さ19メートルの吹き抜け空間を濃密に埋め尽くすお馴染みの布のオブジェは、MOTの箱でも全く見劣りすることがありませんでした。またネトの作品に包まれていると、胎内のイメージに由来する母性愛を連想するのは私だけでしょうか。かの伸縮性と丸みを帯びた造形物によって、優しく抱かれているかのような、異物を排除した安住の住処が生み出されています。この空間を味わうだけでも行った価値がありました。
視覚の面白さという点でもう一点挙げたいのは、暗室で金糸を組み合わせて仄かな光の織りなす『ショー』を見せたパペの「Tteia」です。細い金色の糸をちょうどハープの弦のように並べ、それを長い立方体状に交差させて、見るも珍しい光のカーテンを見事に作り出しています。立ち位置によって金糸が輝きだし、また時に陰る様子は、光を造形化して手に取れる物質にしたかのような錯覚さえ受けました。神秘的な金色の光の筋が美しく煌めいています。これは新鮮です。

その他では、迷路状になったウォークインのオブジェ内にて、色とりどりのカーテンを通過しながら、最後にはマンゴージュースを飲むことで色自体を体内へ取り込むというオイチシカの「フィルター・プロジェクト」、または花瓶をクラゲに見立てたマレッペのズバリ「クラゲ」、また多様なビーズなどで全面を覆うタペストリー、カペトの「ルチャ・リブレ」なども印象に残りました。結局、ブラジルの創造力が如何なるものかは分かりませんでしたが、それぞれの感性に見合う作品を見つけるにはさほど時間はかからないのではないでしょうか。
森山・ミゲル展と同じく、来年12日までの開催です。
「ネオ・トロピカリア - ブラジルの創造力」
10/22-2009/1/12

失礼ながら森山展のついでに見るつもりでしたが、縁もないブラジルの現代アートが意外なほど楽しめました。「90年代後半に活躍する27組のアーティストでブラジルの創造力を紹介します。」(ちらしより引用。)東京都現代美術館での「ネオ・トロピカリア」へ行ってきました。

突っ込んだ面を抜きにして、視覚的に面白い作品が目立つのも本展示の特徴の一つかもしれません。メインはもちろん、最近、他の展示でも見せ場の多いネトの巨大インスタレーションです。高さ19メートルの吹き抜け空間を濃密に埋め尽くすお馴染みの布のオブジェは、MOTの箱でも全く見劣りすることがありませんでした。またネトの作品に包まれていると、胎内のイメージに由来する母性愛を連想するのは私だけでしょうか。かの伸縮性と丸みを帯びた造形物によって、優しく抱かれているかのような、異物を排除した安住の住処が生み出されています。この空間を味わうだけでも行った価値がありました。
視覚の面白さという点でもう一点挙げたいのは、暗室で金糸を組み合わせて仄かな光の織りなす『ショー』を見せたパペの「Tteia」です。細い金色の糸をちょうどハープの弦のように並べ、それを長い立方体状に交差させて、見るも珍しい光のカーテンを見事に作り出しています。立ち位置によって金糸が輝きだし、また時に陰る様子は、光を造形化して手に取れる物質にしたかのような錯覚さえ受けました。神秘的な金色の光の筋が美しく煌めいています。これは新鮮です。

その他では、迷路状になったウォークインのオブジェ内にて、色とりどりのカーテンを通過しながら、最後にはマンゴージュースを飲むことで色自体を体内へ取り込むというオイチシカの「フィルター・プロジェクト」、または花瓶をクラゲに見立てたマレッペのズバリ「クラゲ」、また多様なビーズなどで全面を覆うタペストリー、カペトの「ルチャ・リブレ」なども印象に残りました。結局、ブラジルの創造力が如何なるものかは分かりませんでしたが、それぞれの感性に見合う作品を見つけるにはさほど時間はかからないのではないでしょうか。
森山・ミゲル展と同じく、来年12日までの開催です。
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