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「森山大道 ミゲル・リオ=ブランコ 写真展」 東京都現代美術館

東京都現代美術館江東区三好4-1-1
「森山大道 ミゲル・リオ=ブランコ 写真展 - 共鳴する静かな眼差し - 」
10/22-2009/1/12



森山大道がサンパウロで、そしてミゲル・リオ=ブランコが東京で撮った作品を一堂に展示します。東京都現代美術館での二人展へ行ってきました。



被写体をモノクロームの中へ訥々と収める森山は、喧噪に包まれるサンパウロを前してやや押されてしまった面があったのかもしれません。いつもはざっくばらんに人々の息づかいはおろか、当地の臭いや湿り気まで切り込む彼の写真も、熱気に漲るかの地を手中とするには少々引っ込み過ぎて、かつ控えめであり過ぎるように思えました。とは言え、そうした外国における『異邦人』としての寂しさを感じさせる点は魅力の一つかもしれません。溢れんばかりに男女のひしめく街の奥底までを突っ込むには至りませんが、消失点へ向かって景色が消えゆくかのような作品では、例えば場末の空気感とその汚れまでを掴み取ることに成功していました。変わらないアプローチはいつもながらに健在のようです。



一方、ブラジル人写真家であるミゲル・リオ=ブランコは、それこそ東京を解体し、その奥に散らばる各パーツのみを抉りだして見せることに長けています。おおよそ見慣れたはずのトラックやサインネオンが、彼の手にかかると色の溢れ出す、実景を超越したカオスになってしまうには驚かされました。そしてそのカオスを示すのにより効果的なのが、彼独自のコラージュの技法でしょう。建物などの対象が持ち得ていた意味はおろか、場所性すら喪失した景色は、もはや街全体をズタズタに切り刻むかのようにして解体されていました。ミゲルのレンズを通した東京は、我々にとっての知る場所ではありません。知られざる東京を『異邦人』に教えてもらいました。

サブタイトルに「共鳴する」とありますが、実際には『共鳴』どころか『対決』も超え、言葉は悪いながらも、各々が明後日の方を向くかのようにバラバラに表現しています。その辺の奇妙なすれ違いも裏を返せば見所の一つです。

冊数が少なかったのでしょうか。図録は既に完売していました。

年明け12日までの開催です。
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