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「所蔵琳派展 - 装飾美の世界 - 」 MOA美術館

MOA美術館静岡県熱海市桃山町26-2
「所蔵琳派展 - 装飾美の世界 - 」
12/6-24



定評のある館蔵の琳派作品、約60点を概観します。MOA美術館の「所蔵琳派展」へ行ってきました。



「装飾美の世界」と題されていますが、別に何か特段のテーマ性を持って企画されている展示というわけではありません。言ってしまえば、宗達、光琳、抱一らの琳派の絵師が一括りになって紹介されている優品展です。気軽に楽しめます。以下、印象深かった作品を抜き出してみました。(出品リスト

「竹蒔絵硯箱」 伝本阿弥光悦
朽ちた竹が蒔絵としてあしらわれている。光悦らしからぬ寂寥感が感じられた。

「芍薬摺絵古今集和歌巻」 本阿弥光悦
雲母による芍薬が透き通るように浮かび上がる。和歌の書は実に流麗。

「忍草摺絵古今集序書巻」 本阿弥光悦
伸びやかに靡く忍草が金銀泥で描かれている。仮名に見る躍動感は見事だった。



「軍鶏図」 俵屋宗達
宗達の水墨画。「蓮池水禽図」のような繊細な表現は見られず、むしろ大胆なたらし込みを用いての弛みのある線や面が美しい。足下に生える草花はどこか健気に映る。



「佐野渡図」 尾形光琳
琳派ではお馴染みのモチーフをとる一枚。貴人と従者がともに手を頭上にそえ、慌てて雪中を進みゆく様子が描かれている。(ただし抱一の作と異なり、雪が舞う様子を殆ど確認出来ない。)着衣の鮮やかな色遣いに目を奪われた。

「色絵十二ヶ月歌絵皿」 尾形乾山
大琳派展の「和歌花鳥図角皿」を連想させる十二点揃いの作品。この手の作品はいつ見ても楽しい。十二ヶ月花鳥図の器バージョン。

「白蓮図扇面」 尾形乾山
扇面に白い蓮が二輪ほど描かれている。一つは花開き、もう一つは小さな蕾である構図が、抱一の「白蓮図」に類似していた。何らかの関係があるのだろうか。

「灑水観音図」 酒井抱一
図版で一度も見たことがない珍しい仏画。細密な線描は「水月観音図」を連想させる。着衣の装飾まで神経が通っていた。

「雪月花図」 酒井抱一
大琳派展でも出ていた抱一の代表作の一つ。雪の重みにしなる松の表現はいつ見ても美しい。



「藤蓮楓図」 酒井抱一
左から楓、蓮、藤の描かれた三幅の軸画。抱一にしてはなまめかしい白蓮が印象深い。一枚一枚、丁寧に描かれた藤の花びらもまた美しかった。山種の琳派展で出ていた光甫の作を模したものだろうか。



ちなみに今回、MOAと聞けば誰しもが期待してしまう光琳の至宝、「紅白梅図屏風」の展観はありません。今更文句を言っても仕方ありませんが、琳派を銘打ったのであれば、たとえ期間を限定してでも展示するべきだったのではないでしょうか。ましては今年は光琳の記念年でもあったわけです。分かっていたとはいえ、こればかりは極めて残念でした。



クリスマスイブ、明後日の24日まで開催されています。

*関連エントリ
MOA美術館@熱海 2008/12
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