Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

よく生きることと上手く生きること

2008年03月02日 20時44分05秒 | Weblog
コンサート前は外出する用事を作らないことにしているので、家にこもりっきりになる。なので時間もたくさんあるので、(明日の受け入れ準備はあるけれど)いろいろ考えごとができるのがいい。

そんななか、最近毎日読んでいるWeb新聞で、「よく生きることと、上手く生きることの違い」みたいな記事を読んだ。これは、昔読んだ遠藤周作さんの本の中にもあった「人生を生きるか、生活を生きるか」と同じで、「ああ、今この言葉をこの時期にもう一度見ることになったかぁ」と今一度考え直すことにした。

私の場合、この状況でここにきてしまっている段階で、すでに生活ではなく人生を選択しているような気がするが、最近だんだんと帰国後の悲惨な状況を想像してしまい、恐怖でおののいてしまうことが多々あった。なのでどうしても頭が「いかに上手く切り抜けるか」を考える方へ行ってしまっていた。上手く切り抜けた場合、学校でちょっと教えて~、レッスン希望の生徒さんも増えて~、1年に1回コンサートして~、そんでもって休みにはヨーロッパでレッスン受けて~みたいな。うらやましいかな、こういう生活している人は意外にいる。

でも、ゆっくり考えると、それは私の中の「生活の充実」であって、「人生を生きる」ということとまったく関係ないことがわかる。誤解しないでほしいのは、もちろん教育に人生をかけている人もいるし、子どもへのレッスンに人生をかけている人もいる。なのでそういう生き方をしている人が、人生ではなく生活を生きているというのではない。ただ、私がその生き方を選んで、安心してしまった時に「生活」なだけ。

私の中の人生の部分を生きていくのは、とってもしんどいし、つらい。なので、ほおっておくと生活を生きるにすりかわっている。特に年を取ると、「もうそろそろ落ち着いたほうが」という気持ちになったり「いつまでもばかな事やってないで」と言われている気になったり。

実は帰国後は、自分でも「もういいかげんに生活の安定をはかろう。ウィーンで今回一生懸命勉強したら、あと10年は食えるだろう。」と思っていた。たぶん自分ひとりくらいなら食べていけると思う。でもそれでいいのかなぁって悩みだしてしまった。だって今回だって「これ以上自分にウソはつけない。はがれたメッキを張り直しに行かないと!」と思ってこっちに来たんだから。

安心してください。帰って来るなと言われても日本には帰ります。今回こちらに住んでやっぱり思うのは、私は日本人で、日本人の部分が8割で、ヨーロッパ的な部分が2~3割自分の中にあればOKな人間なんだと再確認しています。だからこちらに墓をつくる気は、まったくないです。もちろん勉強したいし、空気を吸いにちょこちょここちらへ来ることは大いにあると思いますが。

人生を生きるってなんぞや?まだ答えは出ていませんが、できればそっちを探して生きていきたいと思います。でも、だからといってハズレタ人間だって言われるのも嫌なんですけど…コンサート終わったらまた考えます。(お願いですから暇ですね、って言わないでください)


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2 コメント

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あしあと (s3)
2008-03-04 10:03:54
まずはお二人無事到着されて良かったです

先生の歩いた砂浜にはしっかり足跡ついてますよ
先日おもしろいCD発見
日本歌曲をドイツ語で歌っているのです
からたちとかあわて床屋とか
ドイツご 全くわかりませんが
情感は伝わってきます

さくらさくらコンサートも伝わりますよきっと
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砂浜 (はに~)
2008-03-04 16:22:52
砂浜に足跡なぁ…風で消えそうじゃないですか?
できればできたばかりのアスファルトにでも、くっきり残したいのですが…

お二人は元気ですよ。さすが主婦。気がついたら洗い物も終わってます。すごいです。
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