Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

契約の難しさ

2017年04月01日 20時24分17秒 | Weblog

この3月をもちまして、長年指導してまいりました、大阪府K市の女性合唱団をやめることになりました。

今日は4月1日エイプリルフールですが、これは事実です。

そのことについて書きたいと思います。

ことの発端は、私のレッスン料値上げからです。

数年前に個人の生徒さんや、唱歌教室など、音楽関連のレッスンを一斉に値上げいたしました。そのグループの今までの月謝やレッスン内容などを考慮して、同じ値上げ率になるようによくよく考えたつもりです。

この合唱団にも、値上げしたいということはお伝えし、しかしながら、2016年に15周年公演があり、それまでの契約をしていましたので、2017年度(この春)から、値上げを実行させていただきたいと申し出ていました。

また、値上げ後は、年間のレッスン回数を減らし、実質、年間の支払い総額などは変わらないような案を提案させていただき配慮をしておりました。その上、それでも、この値上げに了解できない場合は、契約を終了されても、いたしかたないと思っておりましたので、その場合は、早めに言ってもらうよう役員や代表の方にはお伝えしてありました。

毎年、12月末までには、来年度の延長の意思確認をし、その上で年明けに練習計画や曲目などを相談しておりましたので、その頃までに決めてほしいということを伝えていました。

実際、昨年秋の15周年公演が終了した後、すぐにこのことについて話し合いを持ってほしい、結論をいただきたいと役員の方には念を押しましたし、代表の方に「早い方がいいですね?」と聞かれましたので「はい」とお答えしました。なぜなら、年末に決まっていれば、春から新しい仕事(非常勤講師など)を探す準備ができたからです。

12月17日、団の代表の方から、「高齢化に伴い、20周年公演を目指すことはできないので、5年間の延長はできないが、1年だけの延長でお願いしたい。」と申し出があり、私としては、20周年公演を目指す形でスタートしたいと思いましたが、この返事の雰囲気だと、1年後に終了、それまでに新しい指導者を探す時間を確保したいということなのだろうと、団の事情を察して、了解いたしました。

その後、代表の方とは、新年度からの練習計画についてのやりとりや、7月の合唱祭の日程の確保など、実質的な新年度の話などもしておりましたが、2月25日の練習後、毎年恒例の、新旧役員のみなさんとの会議において、(私は、練習計画の決定について話し合うと思っておりました。)突然、3月末にて解雇という話になりました。

何がどうなっているのか理解できず、説明を求めるのですが、「そんな話(すでに来年度の話が進んでいたこと)は、私は休んでいたから知らなかった。」や「値段があがるから無理なんです。」「このままでは、団がなりたたないんです。」などと言われていたように思います。

値上げの話は数年前から何度も説明したことですし、休んでいた、聞いてなかった、知らなかったは、私のせいではありません。

私は12月17日に、すでに団の代表の方から、団の決定として正式に新年度の依頼を受けていたわけですが、驚いたことに、その日(2月25日)のレッスン前に全員で話し合い、新しい指導者の確保ができているという噂などもあり、全員一致で私の契約を解除すると決まったそうです。

私を解雇すると決めた後で、にこやかにレッスンを受けておられた姿を思い返すだけで、帰宅後より心臓がおかしくなり、薬を飲まねばならず、吐き気がしました。その状態が数日続いたこともあり、このままでは、まじかに迫ったコンサートに集中できないと判断し、友人の勧めもあり、一度法律の専門家に相談をということで、3月に入ってすぐ、法テラスに行って弁護士の方と相談をしてきました。

私は、契約終了については何とも思っていません。しかし、いったん1年間の延長をお約束されたのにもかかわらず、年度末の間際になって、ちゃんとした理由もなく解雇通告されたことに一番ひっかかっておりました。口約束でも約束ではないのか?そう思って弁護士さんにすべてお話しましたところ、「双方が、契約書を作っていないことが、双方にとって一番の落ち度である。」と言われました。

しかしどうでしょうか?同業者の皆さま!20名程度の合唱団や、ママさんコーラス、趣味の会などに指導に行っている皆さま方、契約書、交わされていますか?超有名人でないかぎり、「契約書を作ってください」と言った段階で、仕事がなくなることもあるくらいの世界ではないでしょうか?

実際、その大阪府K市の市のイベントにおいて、私は契約書を求めました。5月に仕事が始まり、実際契約書をいただいたのは、イベント本番の数日前(9ヶ月後)でした。そんな世界ですので、お互いが契約書をかわしていなかったのは、しかたない話だったと思います。

ただ、勇気づけていただいたのは、弁護士さんに15年以上、毎年「来年お願いします。」と言われたら、お互いに1年間続けるという意思や事実があった、つまり「慣習」として認められるのではないかと言っていただいたのです。私はそのことを踏まえ、この急な解雇劇において、団の運営のまずさが原因ではないのか?また、4月からの予定を組みなおすことができないため、契約(慣習)として成立すること、4月以降のレッスン代金を支払ってもらいたいことなどを、丁寧に手紙にしてお渡ししました。

返事として予想していたのは、まずこのような事態をまねいたのは、団の運営のまずさであり、そのことをちゃんと謝罪され、しかしながら支払う余裕はないというようなお手紙をいただけたのであれば、そこですまそうと思っていました。

しかし、帰ってきた返事は「法的に契約として成立しない」という数行の冷たい手紙でした。

人生で一番悔しい手紙でした。

あまりに悔しかったので、もう一度弁護士の方と相談しました。申し立てをすれば、いくつか証明せねばならないこともあるが、五部五部ですと言っていただいたものの、相手方の居住地で申し立てをせねばならず、その時間と労力を、もう、このようなことに使うのは私のエネルギーがもったいないと思うことにし、この件をこれにて終えることにしました。

今回法テラスで勉強になったことがいくつかあります。裁判の申し立てって、弁護士さんに頼むと最低10万円くらいからするそうですが、自分で申し立てするなら、少額訴訟は500円、普通の裁判でも数千円でできるんですって。あとは、最初の女性の弁護士さんの、乗ってこられた真っ赤な外車と、高級スーツをみて、なんだかとても納得してしまったことでしょうか。

ありがたかったことは、同業者の友人が、みんな同じ立場ですから、すごく親身になって話を聞いてくれました。落ち込んでレッスンをドタキャンした時、ドイツ語の生徒さんが、ワインや食べ物をもって慰めに来てくれたこと。数年前の値上げ時、ある生徒さんは「先生が値上げしたいと言ってくれるのを待っていました。」と言ってくれました。また、他の生徒さんは「値段があがると、レッスンを受ける回数は減るからいやだけど、それでも、この内容で、今まで安すぎた。」と言ってくれたのです。私の周りには、まだまだ味方がたくさんいることを、たくさん思い出せた1カ月でもありました。

さて、話を戻します。残念ながらまだ超有名ではない同業者のみなさん、契約書かかれてますか?書いてませんよね? しっかりしたものでなくてもいいそうです。とにかく、何か書きましょう。私たちは、自分の身は自分で守らないといけない仕事なんだと、実感しました。

 

今回のブログは、最初実名で書こうかと思いましたが、そうすると、何年たってもランキングに浮かんでくるので、自分でも、もう過去のものにしたいという思いがあるので、実名は避けました。しかしながら、「なんでやめたんですか?」と聞かれたときに、説明するのも、思い出すのも嫌なので、ブログ読んでくださいで済ませたいと思いましたし、こういうことが、この世界では、簡単に起こるのだということを、知ってほしくて書きました。

今まで「はにゅうす」を読んで来てくださった方には、どこの合唱団かわかると思いますし、また、これまでの私の、この団に対する情熱も理解していただけると思います。今までの公演の成功などもあり、それらをいい思い出にしたいという思いがあり、万が一やめるにしても、円満に、きれいにやめたいと願っていたのですが、このような形になり本当に残念です。明日からは心機一転、前を向いて、進んでいきたいと思います。

長い文章でしたが、読んでいただいてありがとうございました。 

 

コメント
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