Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

青い花

2010年10月23日 18時58分59秒 | Weblog
「青い花」と言われて、どんな花を思い浮かべますか?青い花は、ロマン派の象徴ともいえる色だそうです。愛やあこがれの象徴。かわいい女の子や、若い女性が青い花で例えられることが多いんです。

そんな中で、今回シューベルトの「美しき水車小屋の娘」から一曲だけ歌います。これは普通テノール(高い声の)男性が歌いますが、まあ、今回だけは許してもらいましょう。

「水車小屋の花」という曲の中で出てくる青い花。最初は何の花かわからないのです。「小さな青い花が小川のほとりに咲いている。」「彼女の瞳も青い」って言ったりします。でも、「彼女が眠ったら、花よささやいて」と。そのセリフが「Vergiss mein nicht!」英語で書くと、Forget-me-not、日本語で書くと、「私を忘れないで!」つまり「勿忘草」です。本当に青くて小さなかわいい花です。もともとこの名前がついたのも、中世ドイツの悲しい恋のお話が元になっているといいます。

しかし、この主人公、自分で思いを告げることができずに、最終的には狩人に彼女を取られてしまいます。

もうひとつの青い花は「すみれ」
モーツァルト作曲、ゲーテの詩の有名な曲ですが、「すみれが野原に一つ、頭をもたげて咲いている」という言葉から始まります。でも、すみれは群生するので、ひとつだけ野原に咲いたすみれは、何か変なんです。きっと鳥が加えて連れてったか、アリが運んだか…。なので、いや、だから、こんな何百年も歌われるような詩ができたんでしょうね。

そのすみれ、羊飼いの女の子に恋したものの、思いを告げることさえできず、ひそかに彼女に摘んでもらい、胸元にでも飾ってもらうことを想像しています。でも、結局、踏まれて死んでしまう。なのに、彼女に踏まれて喜んで死んでいきます。


どちらの花も青い花です。そして、そこに例えられている男性は、まるで草食男子のような印象も受けます。もし私が友達なら、後ろから「がんばりーやっ!」って、背中叩いて、そのまま倒してしまいそうですが、歌の世界だけは、そうならないように、努力したいと思います。
コメント
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