デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

嫌いな人

2009-07-15 19:34:10 | 思ったこと・気づいたこと
 少し前にいつものガールズのメンバーで食事に行ったときのこと。そのうちの一人がちょうどたまたまその日まで「自己啓発セミナー」に参加していたそうで、その夜の話題は私達には珍しく、シリアスに人生を語り合ってしまいました。そういったセミナーはアメリカなどではたくさんありますが、目的は本当の自分探しのようなものだと思います。

 「みんなは嫌いな人っている?」とその友人に聞かれて、残りの3人は基本的にはいないと答えたら、彼女は「私はいっぱいいるの」と言い、私はびっくりしてしまいました。いつも残りの3人はぶーぶー文句ばっかり言っているけど、その友人が一番寛容な態度を取っていたのです。彼女から人の悪口を言うのを聞いたこともなかったのに、その彼女が嫌いな人がいっぱいいるだなんて・・・。

 そのセミナーによると、嫌いな人というのは自分の心の鏡なのだそうです。彼女が嫌いな人は家族のうちの一人も含まれ、本当に憎しみを感じていると言います。ほかにも何人も嫌いな人がいて、皆を許せないと言うのでした。確かに、その友人は自分自身のことも嫌いだと以前から漏らしていましたが、自分を好きになれない、自分のほとんどが嫌い、そしてその気持ちが自分の周囲の人をまた憎ませてしまうのだそうです。(そういえば最近の世間を騒がす事件も、こうした理由がけっこうあるように思います。)

 彼女は本当に頭のよい人で、実はすごいエリートの家庭の出身で、彼女自身もある国際的な援助組織で働いていたエリートでした。そして、彼女いわく、家庭内でも周囲の人間関係でも、相手が求める自分を演じてしまった、いい子でい続けちゃったために、今こうして本当の自分を好きになれず、それが周りの人への嫌悪感と結びついている・・・。自分の育ったエリートの家庭に反発を感じていたがために、いざ自分が同じ立場になると、大切なキャリアであったのに自分に耐えられず、その仕事を捨てたそうです。

 さて、対して私は、本当に単純な人間なのかもしれません。私だって家庭の問題では苦労もしたのに、どうもそういうのが私の心の中で消滅しちゃっているのですよね。完全にではないけれど、一番忘れまいと思っていること以外は、けっこうスコーンと忘れちゃってる・・・。人間は忘れることがひとつのサバイバルの能力だそうですが、まさに、忘れてる。ちょっと忘れすぎて思い出せないほど、忘れています。そういう人はきっと単純で馬鹿っぽいので、仕事で成功などもしないし、周囲から一目置かれるなんてこともないのですが、その分、心は軽く生きていけるのかもしれません。

 その場ではかなり怒ったり、抗議したりもしますし、何かされれば「大っ嫌い!」(特に夫へは毎日)と思いますし、「許せない」などと思ったりしますが、でも何度考えてみても、私には本当に憎むほど嫌いな人はいないのでした。要は彼女の逆で、そのときそのときで表出させて、それで本人は過去のこととして忘れてしまうのでしょう。(本人にとってはいいことですが、逆に周りから見たら不愉快に思うこともあるかもしれないとは思います。)

 でもとにかくその友人は、このセミナーにより自分の本当に姿に気づきつつあり、そんな自分をちょっと受け入れられるようになったそうです。そして、少しずつ自分を許し、また周囲の人を許す気持ちになれてきている、同時に感謝の気持ちも出てきている、と明るい笑顔で言っていました。それを聞いて、私も本当にうれしかった・・・。

 月曜日は彼女の誕生会でまた集まったのですが、今まで誕生日をちっともうれしいと思ったことがなかったそうですが、今年は生まれて初めて、誕生日をうれしく思い、お母さんにも産んでくれてありがとうと感謝の気持ちを電話では言えなくて(笑)、メールで伝えたそうです。


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2 コメント

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Unknown (kanahei)
2009-07-17 23:22:18
うーんとうならされる記事でした。

私もHateと言うにふさわしいほどのドロドロした感情を他人に抱くことがあり、今はそこまでないけど、昔はもっと多くて。「なんでこんなに嫌いなんだろう?」って自分でも不思議に思うほど、そしてそんな自分も嫌になるほどでした。
でもあるとき、その嫌いな人の中に私と瓜二つなものがあることに気づいて、「自分か!」とびっくりしましたね~。
それから嫌いな人に会うたび、よーく観察してみると、いるいる!自分!と自分発見。
自分のその嫌いな部分って、直したくても直せない、イライラ、そしてそんな汚い部分を繕って表面上はいい人なふりしているという、そのギャップなんですよね。合致しない、できない自分の部分。
そっかーじゃあ別にこの人のことを嫌いなわけじゃないんだ、と嫌いだと思ってた人を嫌っていたその理由をみつけて、とりあえずその人を許す(受け入れる)ことで、自分を受け入れる練習をして、徐々に自分も受け入れて、乗り越えられて…というプロセスがあって。

こういうプロセスを積み重ねて、だんだん人間って丸くなっていくんだな、と道半ばの私ですが、思っております。
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Unknown (halfkids)
2009-08-13 01:06:44
私の母がよく言ってたのは、人のいい部分を見てつきあいなさい、悪い部分を見たらみんな嫌な人になっちゃうから、ということでした。今、大人になって、本当にそうだなと思います。みんな、本当に、完璧な人なんていなくて、嫌な部分、だめな部分を持っているのよね。私自身もそう。そして悪い部分だけ見て、この人はやだと思っちゃったら、誰ともつきあえなくなっちゃう。そしてもしかしら、その悪い部分は自分の中にもあるもので、余計に嫌に見えるのかもしれない。
まあ、最後は悪意があるかどうか、そこが私の判断基準になっているように思います。その人が悪意がなければ、その場では怒りを感じても、徐々に許せちゃう。そして私も悪意なくやっているので、こんな私ですが、どうぞ受け入れてくださいね、と思っています(笑)。

年を取れば取るほど、多分人間は自分のことを受け入れて好きになると思います。そうするとどんどん嫌いな人も減ってくる、自分を振り返るとそんな気がしています。
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