デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

義母と日本

2006-06-28 10:17:55 | 私の家族たち
 先日夫が実家に電話をしたときに、義母が「ワールドカップは日本を応援している」と言ったそうです。あえなく負けてしまいましたが、私はそれを聞いてなんだか嬉しく思いました。義母はKawaguchiはいいキーパーだ、Kawaguchiはデンマークにいたので知っている、と川口に注目していたようです。

 義母はもうすぐ70歳で、英語の話せない世代です。学校も7年生までしか行っておらず、ある意味、狭い世界でまじめに生きてきたごくごく普通のデンマーク人だったのに、ある日突然、息子の一人が今まで彼女が視野にも入れていなかったような日本に行ってしまった。きっとそのうち戻ってくるのではとなんとなく期待をしていたと思います。けれども息子は日本語を覚え、日本で生活し続け、あげくに日本人と結婚してしまいました。彼女は息子の人生に口を出すようなことはしませんが、内心、やはり少し複雑な気持ちにはなったことと思います。

 さてそんな彼女が65歳のころに初めての孫が生まれました。以来、1年か2年に一度のペースで日本に来るようになりました。英語ができないので、来るときは必ずスカンジナビア航空でダイレクトに来ます。そして全く言葉のわからない国で、全くデンマーク語のできない息子の妻や、リスニングはできるけれど話せない孫たちと一緒に過ごします。日本の観光にはほとんど興味がなく、ひたすら孫との時間を楽しんで2-3週間滞在し、また帰って行くのです。それでも孫達との輝くような時間や彼らの柔らかい肌に触れること、それからジジが生まれたときにそばにいたことなどは、今の彼女にとって本当に最高の時間であるようです。

 息子の日本行きによって、ごく普通だった義母の、リタイアした後の人生が彼女にとって思いもかけない方向に行っていることは違いありません。私の息子が私のよく知らない国、シリアやチュニジア、あるいはトリニダードトバコなどに行って家庭を持ったと想像すると彼女の気持ちがちょっと理解できるような気がします。(そして、ああ、うちの子供たちにデンマーク語をなんとか喋らせなくちゃ!と思います。)私と結婚したのは夫の意思なのではあるけれど、私は日本的に考えてしまい、義母にはどうしてもちょっと申し訳なく思ってしまいます・・・。多分日本に住んでいるので、夫と孫を義母から引き離していると感じてしまうのでしょう。

 義母は観光や買い物、食事などにそんなに興味がないので、あまり日本は魅力がないかもしれませんが、せめてこうなったら義母にできるだけ日本を楽しんでもらうしかない、と考えています。今のところ、義母が日本で気に入っているのは、温暖な気候(これは確かに寒がりの義母にとってはいいはずです)、なぜかファミリーレストランのサラダ(いろいろ入っていて、おいしいそうです。確かにデンマークのサラダはもっとシンプル)、それから免税店で買える安いタバコくらいのようですけれど。

 人生は終わってみないとわからない、とは私の祖母の言葉です。義母を見ていると祖母の言葉にひたすら納得してしまう私です。