まほろば自然博物館

つれづれに、瀬戸のまほろばから自然の様子や民俗・歴史や見聞きしたおはなしをしたいと思います。

宮深く 百々神事の 弦の音

2010年01月02日 | 民俗
 正月二日はさぬき広島で目覚めた。朝のうちは穏やかそうに思えた。風も強くなく、寒さもそんなでもなかった。

 大みそかに遅くまで起きていたためか・・この日は七時過ぎに眼が覚めた。それから置きだして部屋を片づけ、簡単な朝食を食べた。ゴミを片づけ、いちおう、部屋の片づけをした。いつでも帰れる準備だけはした。この日に帰れたら帰るつもりにして・・。

 

 で、九時前に広島神社に向かった。「百々手:ももて」祭りの準備のためだ。連日の強風で落ち葉が散乱しているし、まつりの設営もしなくてはならない。柱を並べたり紅白の幕を張ったり、ゴザを敷いたりと少ない人数でやらなくてはいけない。

 今年の立ち人は四人になった。喪中の人は神社に入ってはいけないとかの「ブク」の禁忌があるためとか、ま、いろんな事情があるらしい・・。それはそれで仕方のなことだ。それだし、この集落の人口も大きく減ったし、お盆と違って帰省客も少ないらしい。

 

 まつりの準備が整うと、立ち人は竹で作った捨て矢一本ずつを持って、集落内の小さなお宮さんにお参りする。裏恵比寿宮・浜恵比寿宮・牛頭天王宮・貴船神社・天神宮などを回って集落内にまつりが開かれることを触れて回る。

 神社にもどると金刀比羅神社だの荒神社などの小宮にもおまいりする。それからまつりが始まって行く。宮総代さんは「ご祈祷」というのだが、私はこの言葉が苦手なもので「まつり」ということにしている。

 

 弓道では一回に二本の矢を持つ。これには「甲矢:はや」と「乙矢:とや」という羽根の向きが違うものを使う。だから、「はや」「とや」の順で打つことからか、一番最初の立ち人を「はやのはや」という。これも名手が受け持ち、最後の人を「とやのとや」という。この人も名手が受け持つ。その間にまぁまぁの人が並ぶ。

 で、「はやのはや」が祝詞を読み上げる。

 「射ちたてまつる・・ももてご祈祷・・・」

 続いて「三度弓」ということで、一人が二本ずつ、「悪魔降伏・悪鬼退散!」と唱えながら・・三回打つ。一人が六本、四人で24本の矢が放たれるということだ。これで・・・射場お祓いするような意味だろうか・・・。

 それが終わると休憩してお神酒をいただく・・。

 その後・・・広島周辺の神社の名前を読み上げながら矢を放って行く。

 

 「天照皇大神宮・・・」「帝都靖国神社・・・」「広島神社・・・」「羽節大明神・・・」などと・・・二十幾つかの神社の名をあげて矢を打ちこむ。的に当たれば賞品が出る・・。間に休憩が入ったり、お神酒が回されてくるとほろ酔い気分になる。風は強く吹くのだけれど・・・手元には炭火の入った火鉢や手あぶりが用意されているし、熱気がこもって来るとあたたかくなってくる。

 

 これも商品の一つ・・・。ティッシュボックスとかお菓子とかが多くなった。集落の人口が少なくなればお参りの人も少なくなるし、賞品の数も少なくなる。それもまた歴史のひだの一つなおかもしれない。そうした波を繰り返して人は生きてきたのだろうと思う。

 

 それが一段落すると・・お昼の休憩になる。世話役さんが昼食を準備してくれてお神酒やビールもふるまわれる。こうなると・・帰れなくなってしまう。けいこばぁからは「早く帰って来て。お客さんがお待ちなんだから・・」と言われているが・・・それどころやない・・。

 神社の中央に焚き火があって、古い枝なんぞを燃やしている周囲で暖をとりながら・・・情報交換やら世間話をしながら昼食を楽しむ・・・。

 一時からは・・・それぞれのお願いを読み上げる。お包み袋に「家内安全」とか「健康長寿」とか書いてあるので、それと名前を読み上げながら矢を放つ。

 「だれそれさんの・・・かないあんぜんを・・・いのる!」パシッ!・・・。みたいな感じで・・。今年は「やくよけをいのる・・」というのはなかったような。

 

 これも・・・二十数人の名前が読み上げられたような気がする・・。「百々手」というのは・・「たくさんの・・・」みたいなことかなぁと思うけれど、とにかく・・・何本の矢を打ったのかは記憶にない・・・。

 前にも書いたけれど、的は28メートル先にある28センチの丸い的だが、見た目には50mも先にあるかのように思うほど小さい。熟練者は百発百中なんだろうけれど、素人には狙って当たるものではない。たまたま・・当たる程度のもの。

 

 今年のももて祭りもなんとか無事に終わって・・・。その後はみんなで後片付け。幕を片付け、ゴザを片付け・・・。元の神社のあったように片付けしまって、平成22年のももてはおしまい・・。やれやれだ・・。

 

 これが・・・今年の賞品・・。案外と的中が少なかったみたい。早めにお風呂に入って冷え切った身体を温めて・・・しばしの休息・・・。

 その夜は自治会長さんとの懇談会。あの・・「青き島よりGO!」の中に出てきた・・「平井雅子さん」の詩碑を港前に作ろう・・・という大きな目標を設定したり、咸臨丸渡米150周年をどう記念するか・・・みたいなことで。初夢に終わることのないようにできたらいいね・・。

じゃぁ、また。

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