坂の上のピアノ教室

おうちの方にレッスン室の様子、日頃思っている事をお知らせするためのblogです。

ピアニストのように弾ける?

2012-10-24 | レッスン室から



先週末、マゴ達と家の前の公園で遊んでいた時、
オットかムスコが見つけました。

見えますか?

大きな はらぺこあおむし君。

サツキの葉っぱをむしゃむしゃ食べてました。
全長8センチくらい、太さは私の親指くらいでしょうか。
大きいよ。
本物のあおむし君は、チョコレートケーキや、アイスクリームも、ピクルスも、
食べません。
ひたすら 葉っぱをむしゃむしゃ。

その後、ひどい雨が二回も降りましたが、今朝も公園の葉っぱに
いました。



さて、昨日、とっても現実的なピアノ教室の風景を
書きました。


主婦とピアノの先生、を同じ建物でする、というのは、
一見「とてもうらやましいお仕事」に見えてしまうのですが、
現実には、難しい事もたくさんあります。


思春期のムスコと、かなり激しい言い合いをした直後、
生徒がレッスンに来ます。

わたし→「は~~~あい」

めいっぱいの陽気な営業スマイルで、レッスン室に向かいます。
きっと、その当時のムスコは思いっきり人間不信になったのでは?と
思います。
(大人になった今は、わかってくれているでしょうけれど)


それは、さておき・・・・

職場と、生活が同じ場、というのは、切り替えが難しい面も多く、
昨日書いたように、夕飯の献立が、ピアノの生徒に丸見え(丸匂い?かな)に
なったりすることもあります。


でも、ピアノや音楽に関しては、現実とは違う、一種の非現実も
味わせてあげたいと、思います。

非現実なんて書くとかっこいいけれど、私なりの「こだわり」を持って
「これだけは、生徒の『現実をわきまえないで』妥協してやらないぞ!」という面も
持ち続けたいと、思います。


例えば、

大人の初心者の生徒さんは別として

有名なピアノの曲は、「簡単アレンジで」「なんちゃって弾き」はしてほしくない、
と常々言っています。

ですから、「小犬のワルツ」も、「トルコ行進曲」も、ショパンの有名なノクターンも、
「愛の夢」も、それが弾けるテクニックがつくまでは、待ってもらいます。


このことは、ある程度、生徒が大きくなると、折に触れ話している私のこだわり、なので、
だいたいは理解してもらっています。


「初心者の大人の生徒さんは別」と書きましたが、

決して差別しているわけではないのですが、大人の方には、「楽しく弾いていただく」事を
優先した方が、良いかな、と思うので、そう書きました。

でも、実際は、なぜかうちの大人の生徒さんたち(年輩のおばあさまも、)

「ピアノの曲を簡単に書き直してあるのは、弾きたくないんです」と
皆さんおっしゃいます。

習いに来る前に、以心伝心、先生の心を見抜いて?レッスンに来て下さってるのかな?と
思ってしまいますけど。。。。



それで、今は、6年生が、そろって、「エリーゼのために」を練習しています。
6年生で、「エリーゼ」は進度としたら、遅いです。
みんな、もう少し早い年齢で、エリーゼが弾けます。

でも、なぜか、弾く機会がないまま6年生になってしまいました。

でも、6年生だからこそ

「CDのピアニストのように弾ける!」と思います。
これが、ちょっと難しいソナチネや、ソナタ、ショパンのワルツのレベルになったら、
「CDのピアニストのような同じテンポで、同じような曲想」でなんか、(わたしも)弾けないよ。

でも、エリーゼだったら、一生懸命考え、考え、レッスンすれば、
「ピアニストと同じように弾ける」んじゃないかなあ、と思うのです。


ベートーヴェンは、決して「こどものお稽古」のためにあの曲を
書いたのではないと、思います。

そういう話を、たくさ~んしながら、「エリーゼのために」を仕上げるには、
小学低中学年では、ちょっとまだお子さまかな、と思ったりするので、

「エリーゼのために」を「「CDみたいに弾けるまでは、絶対に○にしてあげない」レッスンは、
ちょっと大きな小学生、って訳になるのです。














レッスンとたべもの

2012-10-24 | 日々
わたしの家は、ご存知の方はご存知のように、特別に素敵なレッスンスタジオでもない、
築何十年という日本家屋。

それに、継ぎ足し継ぎ足し改築して、レッスン室があります。

相当ぼろぼろになったピアノの部屋だけど、
いちおう独立したピアノだけの部屋なので、
自分練習も、生徒レッスンも、家族の姿を見ない(見せない)で過ごせる
一種、私の逃げ場、だったりもします。

だけど、広くもない昔造りの家
何回も書いてますけど、

たいていお昼ご飯を食べながら、
早いときは、朝ご飯の洗い物をしながら、夜ご飯を途中まで作ってしまう、と言う生活。

生徒がレッスンに来る頃には、すっかり「カレー屋さん」や「おでん屋さん」の
匂いがおうちにこもっています。

以前、すごく鼻の利く女の子がいて、毎週レッスンのたびに
「せんせいんち、今日、大根煮たでしょ」「今日は、あずきの匂いがする」とか、
言いながら階段を上がってきてました。

お天気の良い日は、出来るだけ風を通して、匂いも飛ばして、
レッスンに入ろうと思うのだけど、なかなか。。。出来てないですね。
ごめんなさいね、生徒たち。


ここからは、雑談。


レッスンと食べ物の事を書き出すと、必ず思い出されるのは、大学時代から、30年近くお世話になった
ピアノの恩師。


生涯独身で、家事などほとんどなさらなかったと思う。
うんと昔は、お母様や、晩年一緒に住んでいた(やはり独り身の)お姉さまが家事全般を引き受けてらした。

学生の頃、ホームレッスンに伺うと、たいてい終わるのは夕方、とか夜。

レッスンが終わると、

「お腹空いたでしょ。食べていきなさい」と

お姉さま手作りのポークソテーなどが大きな洋皿に盛られて出てきて、
それをごちそうになってから家に帰りました。



レッスンにクッキーや紅茶、は出てくる時は、あるでしょうけど、
私たちの場合、自分の家では目にしないような「極厚のポークソテー」でしたよ。、

私が子育てや病気をして、自分が弾くことから、ちょっと離れていた数年間の
間に、ポークソテーは、  すごく厚い食パン、輪切りゆで卵と、きゅうりと、
元町のユニオンから配達してもらってるこれもすごく厚いロースハムの
サンドイッチ変わっていました。

滅多に生徒の前に姿をあらわさないお姉さまが、わたしたちのレッスンの終わるのを待って、
影から、こっそり先生に、生徒用にサンドイッチを手渡してくださっていました。


次の人のレッスンを聴きながら、その場でいただくこともあれば、
持ち帰った家でいただくこともあった。



お二人とも、最後はどんどん弱くなっていき、生徒が来ても、
サンドイッチを作れない様な時もありました。

ただ、お姉さまにとっては、妹のお弟子さんに「自分が作ったサンドイッチを持たせて、帰す」
ことが、喜びであり、一種のステイタスであったのでしょう。

体調が悪いときなど、ゆでて殻を剥いていない卵と、ハムのパックとイギリス食パン2枚を
持たせていただいたこともあった。
ハムのパックに書いてある100グラムあたりのお値段にもびっくりしたものです。

だから、わたしにとっては、そのころのレッスンは、 ゆで卵と、ハムの匂いで、
思い出されます。


(だからといって、今のうちのピアノの部屋が「大根や、うどんの出汁臭くても良い」
ってわけには、なりませんけどね。