指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『エデンの海』

2014年03月12日 | 映画

1950年、松竹京都で作られた鶴田浩二主演の学園もの。

広島の女学校の生物の教師に鶴田が赴任してくる。

そこにジャワ生まれの野生児の藤田泰子がいて、学内の問題になっている。

新進の教員の鶴田は、新しい教育方針で臨み、生徒からは人気になるが、保守的な教員(毛利菊枝や高橋豊子という名優が面白い)には顰蹙をかう。

遠泳大会や水着の藤田と馬に相乗りして町を走る等があり、鶴田は学内の批難に耐えられず、東京に行くことにするが、藤田を愛していることも告白する。

生徒と教師の恋愛は許されるか、というテーマがもう古臭くて、見ると非常に滑稽である。

日活での高橋英樹と和泉雅子とのリメイク版では、監督の西河克己は、それを上手く処理していたように思う。

中村登の方がまじめに恋愛問題を考えているだけに、その分滑稽である。

もちろん、時代が変化した性だが。

                           

女主人公の藤田泰子は、ダンサーだったそうで、演技は下手だが、顔は、兼高かおるや真理明美に似た感じで西欧的である。

後に鶴田浩二と結婚する中尾照子が女学生で出ていたらしいがわからず。

何しろフィルムがひどくて、映像はほとんどピンボケ、台詞の半分以上は聞こえないというものだったのだから。

因みに「エデンの海」とは、聖書のエデンの園のように飾り気もなく自然な人間でいられたら、とのことらしい。

人間が自然に生きられるなとということはありえないのだが、戦後民主主義のこの時代には信じられたのだろうか、少なくとも脚本の植草圭之助は信じていたように思えるが。

根本的な誤解であることは言うまでもない。

衛星劇場

 



最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
HPに書きましたのでよろしく (さすらい日乗)
2018-07-27 07:57:43
藤田は、兼高かおるに似た外人のような風貌の女優で、元はアーニーパイル劇場のダンサーだったのだそうだ。俳優としては台詞がかなりおかしく、比較的早く女優を辞めている。どうしたのかなと思っていると、雑誌『レコードコレクター』誌の篠崎弘さんの連載「洋楽マン列伝」の水上喜吉由さんのインタビューの中に出ていた。水上さんは、協同企画で故永島達司(ビートルズを呼んだ男)さんと知り合い、ご家族のことが書かれていて、奥さんが藤田泰子と言うのだ。へえと思ったが、まことに美男美女のカップルだったと思う。
中村登の映画では、二人の愛を肯定していて、
「人間はエデンの園のように自由愛し合えるはずだ」といっているのだが、これは勿論あり得ないことである。
人間が何の制約や規制もなしに自由に恋愛することはあり得ないのだから。
返信する
田舎の女学生に比べればで (さすらい日乗)
2015-11-26 17:07:03
主人公の周囲にいる田舎の女学生に比べればきれいだったということです。
返信する
Unknown ()
2015-11-26 14:45:45
>演技は下手だが、顔は、兼高かおるや真理明美に似た感じで西欧的である。

どういう意味?
演技は下手だが、顔は西欧的だから美しいってこと?
東洋的は美しくないってこと?
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。