大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です。多くのジャンルをさすらいます。

『風流演歌隊』

2014年02月24日 | 映画

録画したDVDを整理していたら、1937年のPCL映画、脚本小林勝、監督伏水修の映画があった。

明治20年、静岡から壮士になりたいと藤原釜足が、甥の岸井明のところにやってくる。

         

貧乏旗本の息子で維新後は零落し、長屋に住んでいて鶯の鳥籠を作り売って商売している。

こんなものが商売になるのか、藤原は思うが、美人の竹久千恵子が家に鶯が逃げてきて捕まえたと、鳥籠を買いにくる。

廉価で売った後、岸井は、本当のことを言う。

「鶯は自分が放したもので、捕まえた人間は必ず籠を買いに来る」と。

「なかなか頭が良いな」と感心する藤原だが、これは大島渚の劇映画処女作『愛と希望の町』の鳩を売る少年の先駆である。

もちろん、大島渚は、この映画を見ていないだろうから、明治時代から下層の者が、こうした詐欺まがいの商法で動物を売ることがあったのだろう。

それから岸井は、自由民権運動の壮士たちに、演説を歌にして広めることを教え、壮士演歌は月琴の伴奏で大ヒットする。

だが、岸井は、いずれ清国と日本の戦争になるので、清国由来の月琴は誰も聞かなくなるとして自分でバイオリンを工夫して作り、それを藤原に与えてバイオリン演歌の時代になる。

だが、些細なことから岸井と藤原は一時は疎遠になるが、また和解し、最後は藤原は企業化したバイオリン製造の成功で大実業家になる。

その祝賀会の奥で、岸井は新しい物を考案した図面を書いていた。

それはなんと小銃である。

音楽喜劇なので、岸井はもとより藤原、石田一松、りキー・宮川らが演歌を歌う。

監督の伏水修は、原節子が唯一惚れたという監督で、音楽の素養があった人なので、音楽の使い方も非常に上手い。

鶯から壮士演歌、月琴からバイオリン演歌、さらに小銃製作と時代の流れもよく描いていると思う。

衛星劇場

 

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