指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『瞼の母』

2016年07月31日 | 映画

多分、3回目くらいだが、やはり見ると泣けてしまう。

中村錦之助も、良い役者なので、勝新太郎などと同様に相手役が良いと、演技が一層に光る。

                                                

 

ここでは、まず女優が良い、夏川静江、浪花千栄子、沢村貞子に木暮実千代、そして現役最長老女優の赤木春恵も、木暮の店の女中で出ている。また、当時の東映で唯一の娘役だった大川恵子と中原ひとみも、さらに河原崎長一郎も大川恵子の婿役で出ている。

また、脇の男優も良い、中村錦之助と松方弘樹の二人を追いかけてくる、笹川繁蔵の子分の阿部九州男、浅草の親分の明石潮。

私は特にこの明石潮が大好きなのだが、この人は関東大震災の前の上山草人の近代劇協会にいたという、非常に古い役者なのである。

また、盲目の芸人の浪花千栄子から金を誤魔化そうとする遊び人の星十郎、中村錦之助らを貧乏浪人の山形勲から聞きこむ小悪党の原健策。

彼の娘は、石田純一の元妻の松原千明であり、タレントのすみれのお祖父さんになるわけだ。

こうした小悪党が、白や赤のフンドシをやたらにひらひらさせるのも実に良い。これは間違いなく加藤泰の演出である。

この中村錦之助の芝居を見ると、やはり「演技は台詞だ」ということがよく分かる。

フィルムセンター



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。