指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『BG ある19才の日記 あげてよかった』

2021年02月27日 | 映画
「あげてよかった」は、『女性自身』に連載されていた若い女性の手記である。というのは嘘で、ライターの竹中労らが書いていたもの。
脚本才賀明、監督丹野雄二、主演は和田浩治と西恵子、さらに西が憧れ、処女をあげてしまう中年男が二谷英明。


              
丸の内のタイヤ会社で、英文タイピストをしているのが西、同じビルの旅行会社の男が和田で、二人は付き合っているが、まだキスまで。タイピストには、梶芽衣子、笹森みち子、浜川智子らがいて、お局様は、32歳の今井和子。
そこに欧州から、営業部長に二谷が帰国してきて、その中年の魅力に西は惹かれて行く。いろいろなシーンがあるが、オフイス、ショッピングアーケード、エレベーター等は、日比谷の日活ビルの中のようで、丹野監督は、安上がりに作っている。
タイトルの特別出演に、青島幸男、長門裕之、関口宏があり、青島は、和田の友人で色恋沙汰の指南者、長門は笹森みち子と同棲していて、妊娠すると初めて結婚するカップル。関口は、二谷の愛人の一人の女の年下のツバメのような若い男。3人も特別出演があるのは珍しいが、たぶん監督の丹野雄二の広い人脈からだろう。彼は、日活の女優の稲垣美穂子と結婚していて、日活を辞めた後は、DAXインターナショナルを作り、『世界昔ばなし』等を作っていたように商才に長けた人物である。

二谷、和田、そして西といろいろあるが、最後雨の日に二谷の邸宅に西が来て、二谷とセックスするところに来て、これは昔見たことがあることを思いだした。1969年2月、蓮沼のヒカリ座で、増村保造監督の『濡れた二人』、西村昭五朗監督の『燃える大陸』と3本立てで見ている。増村と西村の作品には、秀作の印が付いていたが、これにはナシ。
最後は、一度は二谷の前で、和田と結婚すると宣言した西だが、やはり一緒にはならないよと言って自立して別れて終わり。ただ、全部見ると、意外にもテンポがあり、40年前に途中から見た時に感じたほど、ひどいものではないことが分った。
音楽は、鏑木創で、ヒデとロザンナを使ったボサノバで、しゃれていた。
チャンネルNeco
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鳴海正泰死去、89歳 | トップ | 『地方紙を買う女』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画」カテゴリの最新記事