指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『荒木又右衛門・男たちの修羅』

2022年08月01日 | テレビ

決闘鍵屋の辻の、荒木又右衛門の義弟渡辺数馬の河合又五郎への仇討ちの話で、原作は長谷川伸で、たぶん忠実な筋だと思う。

日本三大仇討ちなので、映画でも多数作られているし、歌舞伎では『伊賀越道中双六』になっている。

私が最初に見たのは、阪妻の『伊賀の水月』で、今はない大井武蔵野でだったと思う。

              

話は、岡山池田藩で、小姓渡辺源太夫と争いの結果河合又五郎が源太夫を斬り殺し、藩から逃げて江戸の旗本安藤家にかくまわれてしまう。

そこから、旗本と大名の対立になり、幕府も処置に困り、又五郎は江戸所払いになる。

その時、池田藩主が亡くなり、君命で又五郎の首を墓に供えよとの言葉で、荒木又右衛門は、義弟の仇を討てることになる。

長谷川伸の原作も、この辺が詳しくて面白く、また戸惑ったものだが、ここでもここまでに1時間掛かっている。

やっと又右衛門の加藤剛らが、又五郎を探して江戸、京、大坂を経て、伊賀で決闘になる。

黒澤明脚本、森一生監督の『決闘鍵屋の辻』では、ここだけだが、非常に面白く、また森によれば、多くの封通の人に感想を言われたとのことだ。

おそらくそれは、当時の男の人が皆戦争の体験があったからだと思う。

当時の日本人で、戦争体験がなかったのは、意外かもしれないが、黒澤明くらいなものだったのだ。

彼は、東宝の力で徴兵を逃れて戦争に行っていない。それが、彼の戦後の映画の「自己処罰意識」になったというのが私の考えである。

加藤剛、奥田瑛二、細川俊之らとの殺陣はなかなかのものだと思えた。

時代は、この辺から武断政治から文治政治になり、武士は戦闘の侍から、藩や徳川政府の役人になっていくのである。

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