指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

最後は一億総懺悔 『ソロモンの偽証』

2017年09月07日 | 映画

録画しておいた『ソロモンの偽証』を見るが、まずなんでこんなに長いのかと思う。

原作がそうなのだろうが、前後編併せて4時間以上とは、いくら何でも長いのではないか。

             

 

中学2年の12月のクリスマスの夜に起きた自殺事件を、3年になった中学生たちが、その夏休みに自分たちの中学内裁判の法廷で真実を究明するのが主題である。

主人公の藤野涼子は、全国的なオーディションで選ばれたとのことだが、成人後の尾野真千子そっくりなのが笑える。

大人の役者は結構いい連中が出ている。

以下は、ネタバレだが、最後中学生の自殺事件は、殺人ではなく自殺であることが分かるが、その過程で、みなが「自分は悪かった・・・」とそれぞれに罪を悔いる始末になる。

はい結構ですね、とは思うが、どこか変だなと思う。

これって、結局現在の日本人の心性なのかと思ってしまう。

それは、戦後すぐに東久邇稔彦総理大臣が言った、「一億総懺悔」に行きつくのではないか。

この一億総懺悔と、昭和天皇が退位せずに責任を取らなかったことは、戦後の日本全体の心性になっているのだなあらためて思う。

もし、これがアメリカで行われたのなら、それぞれが他人の罪を暴きたて、自己は徹底的に防衛することになるのだろう。

さらに、中学生俳優たちの演技は、前編の自分たちの日常的な演技では特におかしくはないが、後編の裁判劇になると、台詞が棒読みになって芝居の素人であることが暴露されてしまう。

やはり、演技の訓練は必要なものなのだなと思った。



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