指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『第三の男』のリメイクは

2024年03月09日 | 映画

『カサブランカ』のリメイクが日活の『夜霧よ今夜も有難う』なのは有名だが、『第三の男』もリイメイクされている。

                 

赤木圭一郎主演の『霧笛が俺を呼んでいる』で、共演は芦川いづみで、赤木が横浜に探しに来る旧友で、実は悪になっている男は、葉山良二なのだ。

また、赤木の妹として吉永小百合が出ていることも貴重である。舞台は、いうまでもなく横浜と横浜港であり、芦川は、港のキャバレーの歌手で、歌を唄うのだが、ここではなぜか吹替えになっている。

主題歌はもちろん赤木が歌うがこれが実に下手で参る。

監督は山崎徳次郎で、この人は言わば職人的な監督だが、かなり良い作品を作っているが、最後は笹川財団の金で捕鯨の映画を撮って失敗したようだ。

意外なのは、脚本が熊井敬であり、私はこの人は、新藤兼人と同様、脚本はすごいが、監督はどうかなあと思われる人である。

放送大学の野崎先生の映画の解説は素晴らしかったが、この赤木映画は、ご存じないようなので、ここに書いておく。


桜の映画と言えば

2024年03月09日 | 映画

桜の映画と言えば、鈴木清順の名作『けんかえれじい』で高橋英樹が、浅野順子と見に行く夜桜も大変に美しい。

           

浅野順子は、可愛いかった割に映画に出ていないと思っていたら、実は結構出ている。

それも大映京都の時代劇である。

浅野寿々子
1957.07.30 十七才の抵抗  日活  ... 可奈子の幼少時代
1958.11.15 赤胴鈴之助 黒雲谷の雷人  大映京都  ... しのぶ
1958.12.21 赤胴鈴之助 どくろ団退治  大映京都  ... しのぶ
1959.11.22 薄桜記  大映京都

市川雷蔵の代表作で、森一生の映画『薄桜記』で、堀部安兵衛の勝新太郎と婚姻を結ぶ少女が、浅野順子なのである。

当時は、まだ十代のはずだが、かわいかったので、わざわざ大映京都までよばれて演じたのだ。

本当に大橋巨泉に見込まれて結婚引退してまったのは、実に残念なことだったが。


美しい花見の映画

2024年03月09日 | 映画

近年、桜の花が咲くのが早くなっているが、地球温暖化の性なのか。

花見が出てくる映画もいろいろあるが、私が一番好きなのは、川島雄三監督の『花影』である。

                    

この映画の最後の方で、複数の男との関係を経てきた銀座のクラブの女給池内淳子は、最初の男である池辺良と夜桜を見に行く。

そこは、青山墓地で、夜桜が美しいが、岡崎宏三と美術スタッフが作った人工の桜だったはずだ。

ここのシーンに来ると、一生に一度、こんなにきれいな女と夜桜を見たいなと思うのである。