指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『坊ちゃん』 1958年南原伸二版

2022年05月24日 | 映画

戦前から何度も作られている『坊っちゃん』だが、あまり知られていない版だと思う。

     

  1. 1935.03.14 坊つちゃん P.C.L. 山本嘉次郎
  2. 1953.08.12 坊っちゃん 東京映画 丸山誠治
  3. 1958.06.15 坊っちゃん 松竹大船 番匠義彰
  4. 1966.08.13 坊っちゃん 松竹大船 市村泰一
  5. 1977.08.06 坊っちゃん 松竹=文学座 前田陽一

監督は番匠義彰、主演は南原伸二(宏治)、有馬稲子、伊藤雄之助、伴淳三郎。トニー・谷などでなかなかの適役である。

筋は、原作どおりで進むが、驚くのは、かなりの部分を松山周辺で撮影されているらしいことだ。

最後の、松山中学と師範学校との喧嘩のシーンは、河原で100人近くでやっている。

だが、いずれにしても注意して貰いたいのは、夏目漱石は、この坊っちゃんのような単純明快な男ではな異ことだ。

むしろ、洋行帰りのキザな赤シャツのような人間だったことだ。

その意味では、坊っちゃんのような男は、漱石のあこがれだったと思うのだ。

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