昨夜遅くの日テレNEWS24『深層NEWS』の議論でも、日本政府が、突然、日韓政府間の争いのレベルを上げ、民間の輸出に規制をかけ、直接、韓国経済に打撃を与える態度にでた、ことを批判していた。
武藤正敏・元駐韓大使は
「(元徴用工訴訟問題では)ムン・ジェイン(文在寅)大統領に早く対応してもらいたいと思うが、そのためには韓国の国民を味方につけていかなければいけない。でも今のやり方で韓国の国民が『ムン・ジェイン大統領けしからん。日本ともっとちゃんと対話をしないといけない』という雰囲気になってくれるかどうか。そこは若干、懐疑的に見ている」
と述べ、その上で、今回の日本の措置は元徴用工訴訟問題の解決にはつながりにくいのではないかとの見方を示した。
慰安婦問題、レーダー照射問題、徴用工問題、福島県近海の漁業製品の輸出問題などは、日韓両政府が、言葉で争っていれば良いことだ。日本政府は、ここで、経済攻撃から早く引き返さないと、両国民が経済戦争の泥沼に巻き込まれる。
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今回、輸出管理を強めるのは、スマホのディスプレーに使われるフッ化ポリイミド、半導体基板に塗る感光材のレジスト、半導体洗浄に使うフッ化水素の3品目だ。韓国の日本への依存度は、順に、93.7%、91.9%、43.9%である。
3品目を手がける国内企業はこれまで、韓国向けに最大3年間分の輸出許可を1度に取れたが、7月4日から輸出契約1件ごとに取る必要がある。許可に時間がかかったり、許可自体が取れなかったりする可能性がある。経済産業省は標準的な審査日数を90日としている。
さらに、政府関係者によると、輸出規制はこれにとどまらない。「安全保障に反する事例があった」からとし、7月1日から約1カ月間、韓国のホワイト国からの除外手続きとして、パブリックコメントを実施する、8月1日をめどに韓国をホワイト国から外す方針という。
どこまで、日本政府は韓国に経済攻撃すれば、気がすむのだ。
この国単位の輸出規制は、昔、米国の指導のもとに、資本主義陣営の国から、共産主義陣営の国へ、軍事用となる工業製品の輸出において行われた。資本主義陣営国の間においては、このルールに反した企業だけに、輸出規制がかかった。すなわち、「韓国をホワイト国から外す方針」だと日本政府が言うのは、異常なことだ。
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短期的には、3品目輸出の日本の素材メーカーに打撃を与え、次に、韓国の半導体メモリーや液晶パネル、有機ELパネルの生産に打撃を与え、それを使ってきた日本の電気メーカー、ゲーム機器メーカーに打撃を与える。
現在の世界は、製造工程の分業が国際的に行われ、お互いにウィンウィンの関係ができている。韓国は、日本からの素材や部品を輸入し、米国への完成品を輸出する。日本は韓国への輸出超過国であり、日本には韓国と争わなければならない経済上の問題はない。
言葉で済む政治的争いを、経済活動に打撃を引き起こすようにしてはいけない。
しかも、『深層NEWS』の議論参加者が心配しているように、経済攻撃も、武力攻撃と同じく、韓国民に心の傷を残し、長期的には、新たな火種を残す。
安倍晋三と経済産業者の官僚は、まったく外交センスがない。翻訳すれば通じない、日本の美を歌うだけの、チキンだ。トランプ大統領の接待をし、トランプ大統領にバカにされるだけの、チキンだ。安倍晋三は、合理性のない右翼のたわごとに、国民を巻き込まないで欲しい。