猫じじいのブログ

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安倍政権の韓国への輸出規制強化は妥当でない

2019-07-15 20:52:03 | 日韓関係


7月5、6日のTBSの世論調査に続いて、7月13,14日の朝日新聞の世論調査でも、半導体製造に必要な素材の韓国への輸出規制を安倍政権が強化することを、56%が妥当とし、21%が妥当としないであった。

7月9日の朝日新聞夕刊の しりあがり寿のマンガでも、1コマ目で、安倍晋三首相が徴用工問題でムン・ジェイン大統領に足を踏まれ、2コマ目で、「どけてください」「きこえていますか!?」「もしもーし」「なんとかしてよ」と懇願するが、3コマ目で、「もう」と言って、輸出規制強化でム・ジェインをどつく。

これが、残念ながら、安倍政権の輸出強化に対する、日本の無知でふつうの人の理解である。
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しかし、日韓問題を注視してきたひとびとにとっては、これは明らかに安倍政権の暴走である。外交政策の誤りである。

だからこそ、ここ毎日、民放の番組に、もと政府に所属していた人たちが、コメンテーターとして次々と登場し、政府の輸出規制強化を擁護している。その議論は2つのタイプがある。

1つは、輸出規制強化は韓国に たいした経済的打撃を与えないから、韓国国民の反日感情を強めないし、日本経済や世界経済に悪影響を与えない、というものである。

1つは、徴用工問題などの政治的懸案事項とは関係なく、韓国側に安全保障上の不適切な貿易問題が過去にあり、この3年間、韓国政府から対策の報告がなく、韓国をホワイト国からはずし、普通の国にしただけである、というものである。

いずれも嘘である。安倍政権が右翼票を今度の参院選で確実にするため、政府間の政治的対立に経済制裁を打って出たのである。
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フジテレビで、安全保障上の不適切な韓国側の輸出事例の紹介があったが、その輸出した素材は、安倍政権が輸出規制を行った3品目「フッ化ポリイミド」「レジスト」「フッ化水素」ではない。輸出規制対象の素材3品目は、あくまで、韓国の主力産業、半導体製造、液晶パネル製造に直接的に打撃を与えるためのものである。

ホワイト国から普通の国の扱いに変えただけだというが、この扱いの変更自体が異例なのである。申請すれば個別に審査して承認するというが、日本の行政慣例では、なにも保証していない、闇の中で輸出規制が行われるだけである。

私も外資系のコンピュータの会社にいて、COCOMの扱いを見聞きしていたが、米国の場合、輸出規制の対象品目と、取引をしてイケナイ企業名が、事前にはっきりしていた。が、日本の場合は全く不透明で、申請してもずっと処理されず期限切れに、認可せずと通告されるのであった。日本の申請認可処理に恣意性があるのだ。

輸出規制強化が徴用工問題などの政治的問題と関係ないとは、日本社会の誰も信じていないから、末端の役人は忖度して輸出承認で意地悪するだろう。

ホワイト国から普通の国の扱いに変えるということは、日本では、処罰を意味する。

そして、安倍晋三の周りの政府関係者は、徴用工問題でムン・ジェインが謝らないかぎり、許さないと言明している。
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日本政府は、徴用工問題を解決した問題の掘り返しだと言い張る。

しかし、あくまで、韓国人の徴用工と日本企業との問題として韓国内で裁判が行われてきたのだ。ムン・ジェイン大統領になんとかしろという問題ではない。裁判で争わず、韓国政府に圧力かければ良い、という日本政府の傲慢さが、韓国最高裁での日本企業の負けに至ったのだ。

韓国の最高裁が、徴用工を雇用した日本企業の賠償責任を認めたのだから、その企業が元徴用工に賠償すれば良いだけである。日本政府のメンツが潰されたといって、実力をふるう必要はない。

安倍政権は、法を無視する、トンデモナイ右翼政権である。

韓国への輸出規制を強化する日本政府政の方針は妥当か

2019-07-09 18:59:01 | 日韓関係


TBSがこの土日に行った世論調査の結果は ひどい。日本人であることが恥ずかしくなる。

「韓国に対し、半導体の製造に必要な材料への輸出規制を強化する、政府の方針を妥当だと思いますか」という問いに、「妥当だと思う」が 58%、「思わない」が 24%、「答えない・わからない」が18%だった。

気を取り直して、調査方法を見ると、全国の18歳以上の男女2312人への電話による聞き取りで、1146人が答えたものだ。男女の別がないが、固定電話の回答者が577人、携帯の回答者が569人だった。

サンプル数が少ない。半数しか答えていない。固定電話が多いということは、半数近くは主婦層かもしれない。

この結果から、日本人の6割が、韓国への輸出規制に賛成だ、とは言えない。

しかし、相当数の日本人が、この輸出規制が深刻な国際問題であることを 理解していない、とまでは言っていいだろう。
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政府間の政治的対立で、相手国を経済制裁で抑え込もうというのは、暴力である。相手国を空襲で爆撃すると同じく、相手国の国民を巻き込むからだ。経済制裁は してはならないことなのだ。

経済制裁と兵器輸出規制とは異なる。兵器輸出規制は、平和を願う倫理的な動機から来る。

こんな経済制裁という暴力をこれまでふるってきたのは、米国だ。

ソビエト連邦崩壊の1991年まで、資本主義陣営と共産主義陣営とは冷たい戦争(Cold War)を行っており、軍事に転用できる工業製品は、製造加工機械に至るまで、輸出規制が行われた。また、日本やオーストラリア加盟国は、米国から、共産主義陣営にこれらの工業製品を輸出している商社のリストを受け、国内の企業がこれらの商社と取引をしないように、指導していた。この体制をCOCOMといい、1994年に正式に、解散した。

これが、共産主義陣営のミサイルや原子爆弾の製造を抑えるに効果があったとは思えない。
また、資本主義陣営の「特定の国」を対象に輸出規制するのではなく、リストにある資本主義陣営内の「特定の輸出業者」に工業製品を売ってはならないとするものだった。

したがって、今回の輸出規制とは、質的に異なる。

米国が、相手国にダメージを与えるために、明確に、経済封鎖を行ったのは、キューバ、イラン、北朝鮮、ロシアに対してである。キューバやイランに対してはオバマ政権が規制を緩和した。トランプ政権は、イランへの経済制裁を復活して、中東情勢の不安定を引き起こしている。
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したがって、安倍政権の韓国への輸出規制は異常事態なのである。

しかも、現在、安倍政権は韓国のムン・ジェイン大統領と話し合うことを拒否している。大臣レベルの話し合いも拒否している。聞きたいことがあるなら、輸出輸入担当の役人に合えばよいと、経済産業相の世耕弘成は、きのう、記者に答えていた。

さらに、まずいのは、この輸出規制をこれから、日本政府は強めると言っているだけで、どういう条件を韓国政府が受け入れたら、輸出規制を解除するのか、明言していないことだ。理由がわからない暴力ほど、始末の悪いものはない。

7月1日に西村康稔官房副長官は、韓国への輸出管理強化を政府が決めたのは、これまでに安全保障上好ましくない事例が過去にあったので、韓国との信頼関係のもとで輸出管理に取り組むことが困難になったとも語った。そのあと、それがどんな事例か、政府の誰も語っていない。

韓国への輸出規制強化は、韓国の経済を悪化させるだけでなく、いずれ、日本の経済にも跳ね返ってくる。日本は、これまで、韓国への輸出超過で、貿易収支をプラスにしてきたからだ。また、世界景気の後退のきっかけになるかもしれない。

参院選で、韓国に強い安倍晋三のイメージを強めるために、このタイミングで、この無謀な輸出規制に踏み切ったのではないか。安倍は、「強い外交」とネット上で参院選広告をうっているが、トランプ大統領に言うべきことをいわず、接待に明け暮れ、あげくには、韓国の国民を経済制裁に巻き込んで、空威張りしているだけの、最低の男だ。

また、7月1日から約1カ月間、韓国のホワイト国からの除外手続きとして、パブリックコメントを実施すると安倍政権は言っているが、いまだに、その手続きが透明になっていない。日本の極右「日本会議」が暗躍するだけだ。

安倍政権の韓国への素材3品目輸出規制に反対

2019-07-04 22:35:18 | 日韓関係


昨夜遅くの日テレNEWS24『深層NEWS』の議論でも、日本政府が、突然、日韓政府間の争いのレベルを上げ、民間の輸出に規制をかけ、直接、韓国経済に打撃を与える態度にでた、ことを批判していた。

武藤正敏・元駐韓大使は
「(元徴用工訴訟問題では)ムン・ジェイン(文在寅)大統領に早く対応してもらいたいと思うが、そのためには韓国の国民を味方につけていかなければいけない。でも今のやり方で韓国の国民が『ムン・ジェイン大統領けしからん。日本ともっとちゃんと対話をしないといけない』という雰囲気になってくれるかどうか。そこは若干、懐疑的に見ている」
と述べ、その上で、今回の日本の措置は元徴用工訴訟問題の解決にはつながりにくいのではないかとの見方を示した。

慰安婦問題、レーダー照射問題、徴用工問題、福島県近海の漁業製品の輸出問題などは、日韓両政府が、言葉で争っていれば良いことだ。日本政府は、ここで、経済攻撃から早く引き返さないと、両国民が経済戦争の泥沼に巻き込まれる。
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今回、輸出管理を強めるのは、スマホのディスプレーに使われるフッ化ポリイミド、半導体基板に塗る感光材のレジスト、半導体洗浄に使うフッ化水素の3品目だ。韓国の日本への依存度は、順に、93.7%、91.9%、43.9%である。

3品目を手がける国内企業はこれまで、韓国向けに最大3年間分の輸出許可を1度に取れたが、7月4日から輸出契約1件ごとに取る必要がある。許可に時間がかかったり、許可自体が取れなかったりする可能性がある。経済産業省は標準的な審査日数を90日としている。

さらに、政府関係者によると、輸出規制はこれにとどまらない。「安全保障に反する事例があった」からとし、7月1日から約1カ月間、韓国のホワイト国からの除外手続きとして、パブリックコメントを実施する、8月1日をめどに韓国をホワイト国から外す方針という。

どこまで、日本政府は韓国に経済攻撃すれば、気がすむのだ。

この国単位の輸出規制は、昔、米国の指導のもとに、資本主義陣営の国から、共産主義陣営の国へ、軍事用となる工業製品の輸出において行われた。資本主義陣営国の間においては、このルールに反した企業だけに、輸出規制がかかった。すなわち、「韓国をホワイト国から外す方針」だと日本政府が言うのは、異常なことだ。
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短期的には、3品目輸出の日本の素材メーカーに打撃を与え、次に、韓国の半導体メモリーや液晶パネル、有機ELパネルの生産に打撃を与え、それを使ってきた日本の電気メーカー、ゲーム機器メーカーに打撃を与える。

現在の世界は、製造工程の分業が国際的に行われ、お互いにウィンウィンの関係ができている。韓国は、日本からの素材や部品を輸入し、米国への完成品を輸出する。日本は韓国への輸出超過国であり、日本には韓国と争わなければならない経済上の問題はない。

言葉で済む政治的争いを、経済活動に打撃を引き起こすようにしてはいけない。

しかも、『深層NEWS』の議論参加者が心配しているように、経済攻撃も、武力攻撃と同じく、韓国民に心の傷を残し、長期的には、新たな火種を残す。

安倍晋三と経済産業者の官僚は、まったく外交センスがない。翻訳すれば通じない、日本の美を歌うだけの、チキンだ。トランプ大統領の接待をし、トランプ大統領にバカにされるだけの、チキンだ。安倍晋三は、合理性のない右翼のたわごとに、国民を巻き込まないで欲しい。

韓国への半導体材料輸出規制は馬鹿げている

2019-07-02 19:15:19 | 日韓関係


きのうから、テレビや新聞で、「韓国への半導体材料輸出を規制」の報道に接し、あまりにも馬鹿げた日本政府の行動に驚きと怒りを感じている。

韓国は、国際製造分業における日本のだいじなパートナーで、日本の輸出超過である。日本から韓国への輸出の主力は半導体製造や液晶製造などに必要な材料、化学製品で、完成品の電気電子製品は韓国からアメリカに輸出されてきた。

日本政府が輸出を規制するといっても、フッ化ポリイミド、感光材のレジスト、フッ化水素の日本のシェアが100%あるわけでなく、将来的には、日本が占めてきたシェアを他国に奪われるだけである。政府間の争いに、素材メーカーを巻き込むべきでない。

日本政府が言いたい不満があり、韓国政府に言うのは良い。しかし、暴力をふるうのは良くない。化学製品の輸出規制は継続的暴力である。

いったい、日本政府は、どういう結末を期待して、輸出規制に踏み切ったのか。単に、「日本会議」のような右翼性勢力に押し切られて、泥沼の争いに、民間会社を巻き込んでいるのではないか。即刻、輸出規制はやめるべきである。

日本政府の不満は、慰安婦問題、レーダー照射問題、徴用工問題、福島県近海の漁業製品の輸出問題である。これまで、日本政府は言葉で韓国政府を非難してきた。今回も、大阪サミット2019で、安倍晋三首相がムン・ジェイン大統領と個別会談をもち、不満を言えば良かっただけである。

というのは、慰安婦問題、レーダー照射問題、徴用工問題、福島県近海の漁業製品の輸出問題は、日本にとって、ほとんど実害がなく、単に日本政府のメンツ、それも、大日本帝国の世界侵略支持者や経済産業者の原発推進派のメンツである。うまく、国内の右翼勢力をかわし、未来に実りのある日韓関係を築くのが、政府の責任である。

慰安婦問題は、自分の親族が慰安婦として連れ出された韓国民から見れば、腹の立つ問題である。慰安婦像を韓国内やアメリカ国内に建てて怒りが収まるなら、それで良いではないか。日本政府は不愉快だと言うだけで、実力で韓国やアメリカから、慰安婦像を撤去する必要がない。

レーダー照射問題も、日本自衛隊機が韓国監視船に近づきすぎたから、また、韓国軍と自衛隊の日常的で密な連絡手段がなかったから、起きたことで、大騒ぎすることではなかった。

徴用工問題も、日本政府が解決した問題の掘り返しだと言い張るが、あくまで、韓国人の徴用工と日本企業との問題として韓国内で裁判が行われてきたのである。韓国の最高裁判決の結果、徴用工を使用した日本企業に賠償責任が認められたのだから、その日本企業が賠償すれば良いだけである。日本政府のメンツが潰されたといって、実力をふるう必要はない。

福島県近海の漁業製品の輸出問題に至っては、単に、日本政府が原発事故による放射能汚染問題が解決したというポーズのためにすぎない。

エーリッヒ・フロムは、『自由からの逃走』(東京創元社)で、なぜ、ナチ政権が、若者の熱狂的支持を勝ち取り、圧倒的な権力で戦争に突入し、多くのドイツ国民を死に追いやったか、を分析している。それは「愛国主義」である。政権を握ったものが、「愛国」を唱えることで、「危機」をあおることで、分別あるはずの大人が、「非国民」と呼ばれるのを恐れ、政権批判をしなくなり、人間の愚かさを知らない若者が簡単に洗脳されてしまうからだ。

いまの日本政府は、経済政策も外交政策もメタメタで、単に「愛国主義」とか「韓国横暴」とかで、政府のすべての失敗を覆い隠しているだけだ。なんとか、日本国民は、自民党支配を早急に終わらせないといけない。