呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国のことなのに

2010年07月29日 | 日記

 中国に所在する現地法人の悩みで「本社がわかってくれない」というのがよく聞かれる。これと同じような悩みとして多いと思うのが、「中国のことなのに・・・」というのがある。「中国のことなのに・・・」の後に続く言葉は、「・・・現地法人の意見を聞かない」、「・・・全部日本で決める」、「・・・現地法人にフィードバックしない」、といった内容だ。要するに現地法人が相手にされないのだ。非常に不思議な現象である。せっかく現地法人を設けているのに、そこからの意見を吸い上げず、なんでも本社で決めてしまい、挙句の果てにはフィードバックすらしてもらえないケースがあるなんて。ここまでくると、なぜ中国に現地法人を設立したのかという本質的な問題をあらためて考える必要が出てくる。このような状態で働いている駐在員も含めた従業員はモチベーションの問題にも影響してくるし、本社になめられていると感じてしまう。このほかにも現地法人の意見を聞かないというのは、現地で仕入れたいわば一次情報を当てにせず、本社が自分たちで集めた二次情報をもとに方針を策定していくことにつながる。二次情報よりも一次情報のほうが普通に考えて鮮度、精度が高いのにもかかわらず、どうして使わないのか不思議だ。社内で上がってくるレポートよりも第三者から上がってくるものの方が客観的で信頼に足るという考え方もあり、確かにそれもわかるのだが、どうもこれが主な理由というわけでもなさそうだ。上がってきた情報の正確性の裏を取れば済む話だから。やっぱり現地法人が本社からなめられているのだろうか。現地にいるだけでわかってしまうようなことを含めて、現地にいるがゆえにいい情報を集められると思うのだが。

 

 何年も前から「現地化」ということが議論となってきており、特に最近では中国国内市場をターゲットにしていかないといけないという風向きもあり、より一層「現地化」がキーワードとなりつつある。ところが、上記のような現地法人がなめられている状況にあるというのはおよそ「現地化」とは縁遠い世界であり、このような状況にあるというのは「現地化」云々というよりもむしろ会社としての運営の問題ではないかと思う。悲しいかな、このような会社がまだまだ存在しているようだ。そんなに当てにできないのだったら当てにできそうなそれなりの人を最初から派遣したらいいのにね。


灰色収入

2010年07月28日 | 日記
 中国経済体制改革基金会国民経済研究所が研究課題として行った研究会によると、2008年の全国居住者可処分所得総額が国家統計局の世帯収入統計調査の結果よりも9.26兆元上回るという結果が出た。この差額は2005年の4.85兆元の倍近くまで跳ね上がっているが、この大部分が灰色収入と言われている。そして、こういった灰色収入の大部分が高収入者により占められている。また、2008年の都市最高収入と最低収入家庭の実際の一人当たり平均収入の差は26倍だったが、政府統計ではこれが9倍しかなかった。また、収入レベル上位10%と下位10%との間の収入格差はなんと65倍もあり、これも政府統計の23倍をはるかに上回っている。

 なぜこれだけの差が出るのだろうか。これは政府の行う調査方法に原因があるという。現在の世帯調査における抜き取り調査は自ら進んで行うことが中心であり、高収入者はこのような調査を受けたがらない傾向にある。また、高収入者が抜き取り調査を受け入れたとしても、本当の収入情報は開示せず、そのため灰色収入部分は統計に反映されることはない。中国経済体制改革基金会国民経済研究所はこのようなことを避けるべく調査員がよく知っている人、たとえば親戚、友人、同僚といった人たちに調査を行ったことにより、政府統計と違った数値が出てのではないかとしている。

 中国の場合は上と下との格差があまりにも大きく、平均値を以って物事を推測することは賢明ではないが、平均賃金等の指標を見ていると、いくら中国が豊かになったとはいえ、とてもこれだけの消費を行うことができるとは思えない。

 そういえば、かなり以前に会社で人を募集したときに某区の税務局員と面接をしたことがある。そのときの履歴書に収入に関して記述しているところが2箇所あり、それが矛盾していたので質問したところ、「なんというか、我々のような人間には灰色収入というものがあり、、、、」という言い訳をされた。末端レベルにまで浸透していることがよくわかる例といえるだろう。

 もらう人がいるから渡す人がいる、渡す人がいるからもらう人がいる、どっちでもいいのだが、なんとなくこれが当たり前になっているから性質が悪い。色んなところで「反腐敗」というキーワードを見かけるし、しかも何年も前から見かけるのだが、先ほど紹介したようにあまりにも末端に浸透していることから見ると、この問題を解決するには相当の時間を要するだろう。

タックスプランニング

2010年07月27日 | 日記

 最近立て続けに移転価格に関するお話を聞く機会があった。個人的には移転価格とはその理論はそれほど難しいものではなく、いかに移転価格とみなされないようにするかのプランニングが難しいものであるという印象を持っている。つまり、私の中ではキーワードは「移転価格」ではなく「タックスプランニング」なのだ。そして「移転価格」は「タックスプランニング」に含まれるものといえる。

 

 企業が利益を上げていくためには売り上げを上げるか、コストを削減するか、この二つに尽きるし、またこの二つこそがなかなか大変なものである。売り上げを増やすといっても相応の努力が必要になってくる。コストを削減するにしても相応の努力が必要になってくる。これに対して、タックスプランニングがうまくできれば売り上げを増やすことなく、またコストを削減することなく利益を上げることができる。日系企業はコスト意識が強いところが多く、コスト削減という掛け声の下でかなりギリギリの運営を行っているところも少なくない。もちろんチリも積もれば山となるというように、細かいコストも積み上げていけばそれなりの金額になる。しかし、タックスプランニングという観点で見ると、知恵を絞ることでコスト削減を行うことなく納税を回避(脱税に当たらない節税)することができ、ちまちまとしたコスト削減よりもよっぽど大きな効果があげられる。タックスプランニングというと難しいが、このレベルまで行かなくとも、例えば日中間で言えば二重課税を回避するために外国税額控除の手続きをちゃんと行ったり、少なくなったとはいえ中国ならではの優遇政策を享受するための動きを行う(ex:ハイテク企業認定)というのがあるが、どうもこのあたりをわからずひたすら経費経費という人がいる。木を見て森を見ずというのはまさにこのことだろう。日本側で外国製額控除を行うためにはエビデンスが必要であり、これを中国現地法人に対して資料を要求しそうなものだが、一度として要求されたことのない会社もある。これはタックスプランニング以前の問題と言えるだろう。どうも日本の企業は税金を払うことが好きな傾向が多いようだが、もっともっと「タックス」というものに対する意識を上げて、このあたりを見直してみてもいいはずだ。

 


エルメスが中国で独自ブランドを展開へ

2010年07月25日 | 日記

 エルメスが9月中旬に上海で自社ブランド「上下」(Shang Xia)を展開することになった。同ブランドは中国人によるデザイン、中国人によるハンドメイドであり、中国のみで展開される。ナイキがボリュームゾーンへ参入することについて紹介したばかりで、この新ブランドの価格等のポジショニングはわからないが、それと同じような動きだろう。ナイキと違うのはブランド名を変える点だ。エルメスというブランドは数あるブランドの中でもかなり高価な部類に入る。そのため、中国市場においてはエルメスよりも低価格ながらブランド知名度のあるルイヴィトンやグッチのように広範に展開するには制限があった。現在中国内での店舗数は20店にも満たない。バーバリーも先般香港の不動産会社から中国本土の50店舗のフランチャイズ権を買い取ったことを発表しており、中国での販売を強化しようとしている。このような他ブランドの後塵を拝する状況を打開するというのが今回の狙いといえる。しかしながら、ここでmade in China の製品がどこまでブランドとして浸透できるのかという問題がある。そのバーバリーも中国生産に移転すると発表されたときにはかなり話題になった。今回のエルメスの決定も別ブランドとしての立ち上げとはいえ、made in China というブランド力を感じられないものがどこまで受け入れられるのかというのはいわば実験といえる。「上下」(Shang Xia)ブランドが成功すれば中国以外にも展開していくとのことだが、いかに現在の「エルメス」ブランドの価値を保ちつつ、新ブランドを展開していけるのか、ボリュームを追いかけようとするのであれば今後もこのような動きが出てくるだろう。ブランド品は確かに品質はいいのだが、それ以上に永年、いや歴史的にといったほうがいいかもしれないが、いずれにせよ長期にわたって培ってきた信用のようなものを拠り所にしているといえる。そのため、中国というブランド信仰の強い国で中国発のmade in China の商品を展開していくというのは、注目に値するといえるし、他社としてもこの動きを見ていくのは大いに参考になるだろう。


ナイキ、ボリュームゾーンに参入か

2010年07月21日 | 日記

 ナイキが内陸部へ進出することを検討中との報道が流れている。現在一線都市を中心に展開しているのを二線、三線、四線都市にまで拡大し、NIKEシリーズの異なる価格帯のミドル・ローエンド製品に打って出ると同時に、他ブランドの買収等も検討しているそうだ。そして、その打って出る価格帯というのがシューズで一足300元で、現在の販売価格よりも25%低い。利益率や利幅の減少に繫がることから、NIKEは多くの工場を内陸部に移し、製品デザインや仕入れフローでのコスト削減を図ろうとしている。それでもカバーしきれない減益はボリュームでカバーする。調査によると、二三線都市の消費者が受け入れるシューズの価格帯は170-250元という結果が出ているが、これに50元追加することでNIKEブランドのシューズを購入することができるようになると国内ブランドに対する影響は少なくないだろう。これにより影響を受けるのが中国企業の李寧、この他にはコンバースアンブロといった現在のNIKEよりも低い価格帯での販売を行っている同業者だ。李寧あたりは既に300元レベルの商品もそろえてきており、KAPPAの平均単価も370元くらいなので、これらブランドに対してはほぼどんぴしゃだ。

 

 しかし、NIKEのこの戦略は同じブランドなのにハイエンドからローエンドまでそろえることになり、ブランド戦略での影響が懸念される。アナリストによると、NIKEのこの価格戦略には3つの障害があるという。一つ目は、サプライヤーが低価格のシューズを清算するとともに利益水準も維持しなければならないという点、二つ目はNIKEの販売店が二三線都市に販売店の開設をどのようにして促すのかという点、そして低価格製品を展開するのと同時にどのようにして中国での高級イメージに影響させないかという点だ。もちろん、影響しないという考え方もある。例えば、携帯電話なんかがそうで、同じNOKIAでも数百元から数千元までかなり幅広い価格帯で展開しているが、だからといってNOKIAブランドに疑いを持つことはないという考え方だ。携帯電話のように機能で明確に差をつけることができる場合はこのようにできるだろう。ただし、私が思うところとしては、シューズの場合も確かに機能に差をつけることはできるだろうが、ファッションとして購入している人の場合、同じブランドで大きく価格が番うとやはり嫌な感じがする人は少なくないのではないだろうか。

 

 NIKEのこの戦略はブランド戦略であることはもちろんだが、現在の販売店が内陸に打って出るだけの経験と実力を持ちあわせていないという見方もあり、価格帯を調整した製品を発売するだけで二三級市場に入りこめるという単純な管が肩にはならないという見方がある。しかし、NIKEもこれだけのブランドだ、かなり研究した上で戦略を実行してくるだろう。


各国指導者の最新給与

2010年07月19日 | 日記

 南方週末という新聞に各国指導者の最新年間給与及び当該国の一人当たり平均GDPに対する倍数というものが紹介されていた。なお年間給与は2010年または最新のデータであり、購買力平価に基づいて引きなおしている。下にある写真がこれだ。 



 

 
 さてさて、日本の管直人首相は27.37万米ドル、米国のブッシュ大統領は40万米ドル。ふむふむ、こんなものか。まあわからなくもない。ケニアの42.79万米ドルは相対的に大きすぎかな。でも香港が51.32万米ドル、シンガポールにいたっては218.35万米ドルに達している。これだけ差があるということは、一国の指導者の給与だけでは本当の収入はわからないのかもしれない。そして中国を見てみよう。なんと、たったの1.06万米ドルだ!いくらなんでもありえないでしょう!ということで、一人当たりGDPに対する比率も5倍以下ということになっている。

 ちなみに、一人当たり
GDPに対する比率は次の通りである。

  

10倍以上

ケニア、シンガポール、インドネシア、南アフリカ、香港


5倍~
10

ニュージーランド、フランス、アメリカ、日本、ドイツ、カナダ、アイルランド、ロシア、オーストラリア、イギリス、台湾


5
倍以下

アルゼンチン、韓国、イスラエル、ポーランド、中国、インド

 

 いわゆる先進国と呼ばれる国の多くが5倍~10倍に集中しているが、中国は指導者の給与時代がわずか1.06万米ドルということで、一人当たりGDPに対する比率も5倍以下にしかならない。ちょっと信じがたいと思いませんか?これだけ見ると確かに社会主義を体現しているみたいだ。


上海の女子大生の貞操観念

2010年07月16日 | 日記
 今日は中国の女子大生の貞操観念について紹介する。復旦大学新聞学院正確報道課題グループというグループが復旦大学、同済大学、上海交通大学、上海外国語大学、華東師範大学、上海大学、華東政法学院、華東理工学院等の17の大学の卒業予定の女子大生にアンケートを行った。回収したのは781部と分析するにはそこそこの部数といえる。そして、調査分析の内容は貞操観念についてだ。皆さんも大いに興味のあるところだろう。私も興味を持ったので取り上げたのである。アンケート対象が大学生であるということを考えると、その結果は私にとっては結構意外なものであった。なお、設問によっては複数回答ありなので、合計値が100%を越えるものもある。


1. 男性に囲われること

  男性に囲われることに対する見方のアンケート結果は次の通り。

  強烈に蔑視 20.6%
 理解できない 20.8%
 理解できるが自分には無理 56.5%
  とても正常、自分もそうする可能性あり 2.1%

 自分は無理というものの、理解できるというのが56.5%もいる。最近中国でかなりはやったテレビドラマで「蝸居」というのがあった。このドラマはあまりにも住宅価格が値上がりしてしまい、購入が困難になった姉夫婦をサポートするために役人の愛人になってしまった女性が登場している。そして、この女性の気持ちがわかるという人が結構いるという記事を見たことがある。意外とこのあたりの観念については寛容なようだ。  一方で、71.2%が「不倫は家庭と社会の安定に良くないので禁止すべき」と回答しており、なんとなく矛盾した結果も出ている。


2. ナイトクラブにいる女子大生

 下はナイトクラブ(上海界隈ではKTVというのが妥当か)に女子大生が働いていることについてどう思うのかに関する調査結果だ。

 強烈に蔑視 17.4%
 理解できない 24.2%
 理解できるが自分には無理 55.7%
 とても正常、自分もそうする可能性あり 2.7% 

 こちらも自分は無理といいつつ、理解できるというのが過半数を占めている。ナイトクラブにも色々あり、単に客の横に座ってお酌するだけのところもあれば、かなりのサービスをしなければならないところもあると思うのだが、ひょっとすると女子大生は前者のイメージしか持っていないのだろうか。もしそうであるならばこの結果も何とか納得しようと思えば納得できなくもない。


3. 同棲

 次に同棲についてみてみよう。

 理解できるが自分はしない 69.7%
 相手が望むなら受け入れる 13.2%
 ロマンチック、愛情を深める一種の方式 6.9%
 慎むべき行為 10.2%  

 同棲に対して否定的なのはわずか10%程度に過ぎない。まあ、これはこんなもんか。


4.一夜情(一夜だけの関係)

 色んなシチュエーションがあるのだろうが、一般的にはナンパをきっかけとしたものが多いと思われる。これが私にとってもっとも意外な回答結果であった。なんと70%の女性が不道徳と思わない、また59.2%の女性が双方が望むならOKと回答しているのだ。ははー、いまの学生はこんなものですか。中国の大学生幻想がどんどん崩れていきます。


 調査結果を見る限りでは上海の女子大生は非常に開放的であるといえるだろう。街を歩く女性の服装を見ていると、感覚的には5-6年前あたりから急激におしゃれになっているような気はするが、心理面でもかなり開放的になってきたということか。既婚者の不倫の話もよく聞くので、中国女性は女子大生に限らず我々が思っているよりもずっとずっと開放的なのだろう

上海の地域本部は281社

2010年07月15日 | 日記
 上海の工業総生産地において外資企業は約6割を占めている。輸出入総額においても外資企業は2/3以上を占めている。外資企業の納税額は上海税収総額の3割に達しており、就業人員も上海全体の3割を占めている。上海にとって外資は切っても切れない関係にあることがよくわかる。そして、上海の外資はサービス業の比率がどんどん増加してきており、サービス業の比率が56.7%、製造業が42.5%と、いまではサービス業が製造業を上回っている。中国投資の入り口として上海から入っていくケース、特に最近では販売拠点の設置なんかがそうだが、今後ますますこの比率は上昇していくと思われる。そしてこの拠点が中国全体を統括していくというケースも増加していくと思われる。

 このような状況の中、ディズニーランド等の24社が上海で多国籍企業地域本部の認定を受けた。これにより、6月末までの上海における多国籍企業の地域本部が累計で281社、外資投資性公司が203社、外資研究開発センターが311社に達した。なお、ディズニーランドの上海地域本部は今後上海はもちろんのこと、北京、広州、そして香港を管轄していくという。建設中とはいえまだディズニーランドのない上海に地域本部を置くということが、いかに中国市場に力点を置いているかがわかる。香港に地域本部を置いているところも今後上海を含む中国国内に移転していくところも出てくるだろうが、香港が金融センターである間はまだ移転しないところも少なくないだろう。逆に言えば、上海が金融センターに呼ぶに足るレベルにまでに達すると、一気にシフトしてしまうかもしれない。しかし、現時点で人民元貿易決済が一部で開始したりする等しているが、通貨の自由化もまだまだできていないし、そのレベルになるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。しかし、中国の発展のスピードからすると意外と早く達成するかもしれない。よくこのあたりを質問されるのだが、なかなか答えづらいのが正直なところだ。通貨を自由化したとたんに日本で起こった昔のプラザ合意をきっかけとした円高、バブル発生、バブル崩壊、景気の長期低迷というシナリオは避けたいだろうから、客観的に見て通貨の自由化ができるようになったとしても、慎重に対応することでやはりまだまだ実現しないような気もする。どちらが正解か今の段階では当然わかるはずもなく、しかしながらどうしても答えを出すように言われると私は後者(まだまだ時間を要する)と選択するが、本当になんともいえないところだ。

《輸出入食品安全管理弁法(意見募集稿)》

2010年07月13日 | 日記
 色々と話題になる中国食品であるが、国家品質検査総局が《輸出入食品安全管理弁法(意見募集稿)》を起草し、意見募集を開始した。意見募集の締め切りは2010年7月16日までとなっている。注目されているものとして次の三点が挙げられている。

1.国外生産者に対して登録制を実施
 品質検査総局は中国国内へ輸出する食品の国外食品生産企業に登録制度を実施し、中国国内へ輸出する食品の輸出商または代理商は国家品質総局に届出が必要になる。

 また、食品安全国家標準がまだない食品について、一回目の輸入の場合、荷受人はさらに検査検疫機構に国務院衛生行政部門が発行する許可証明文書を提出し、衛生部門の要求に従って検査を行う。


2.荷受人が主体的に回収及び報告を行う 輸出入食品において重大な食品安全問題または疫病発生が発見された場合、及び国内外での食品安全事件または疫病発生が輸出入食品の安全に影響しうる場合、品質検査総局及び検査検疫機構は条件付輸出入制限、検査強化、回収命令等を含むリスクアラーム及びコントロール措置をとらなければならない。このほかに輸出入を禁止することもでき、その場で廃棄または積戻し処理することもできる。最後に輸出入食品安全应急处置対応策を立ち上げることもできる。

 また、輸入食品に安全問題が存在する輸入食品の荷受人も主体的に回収しそして所在地検査検疫機構に報告する必要がある。

3.合格証明がない場合罰金1万元
 このほか、輸入食品が合格証明を取得する前に指定場所保管の規定に違反し、違法所得がない場合、検査検疫機構が改正を命じ、1万元以下の罰金を科する。輸出食品については、規定違反行為がある場合検査検疫機構が改正を命じ、違法所得の3倍以下(最高3万元)の罰金を科する。違法所得がない場合、1万元以下の罰金を科する。


 最後の罰金の部分だが、1万元だか3万元だかの金額が果たして十分な罰則に当たるのかという議論が既に出ている。確かに少ない。日本で発生した毒入りギョーザ事件なんかを例に取ると、これが1万元とか3万元とかの罰金で片付けられると被害者はやりきれない気持ちになるだろう。全体的に中国方の中で定められている罰金額はかなり小さいイメージがある。所得水準の急速な上昇にそれらが追いついていないということなのだろうが、今回のようにあらたに公布する通達であればそのあたりをもっと引き上げてもよさそうなものだが、他の通達とのバランスを考えると急激な引き上げができないということなのだろうか。うーん、それにしてもこの金額は小さい。

【日綜セミナー4】今あらためて保税区ビジネス

2010年07月09日 | 日記
 3月から開始した日綜セミナーもついに第4回となります。今までのセミナーにご参加いただいた方の多くから「あらためて保税区について理解したい」という声が聞かれ、これにお答えすべく保税区に関するセミナーを行うことにしました。お時間のご都合につく方は是非ご参加ください。


【内  容】
 語りつくされた感のある保税区ビジネスですが、今もなお「保税区で一体何ができるのか」を考えている人は少なくないでしょう。実際に過去のセミナー参加者に対するアンケート結果でも、保税区に関する内容を希望するものが少なくありませんでした。

 なんとなくできているようだが、なぜそれができるのか、理解がおぼろげなままで日常業務を行い不安に感じてしまう場面もあるでしょう。このように感じておられる方を対象に、あらためて保税区ビジネスについて紹介することを主旨としたセミナーです。

 今回のセミナーではそもそも保税区とはどのようなエリアなのかに始まり、関連通達に基づいて行うことのできるビジネススキームの紹介、及び実際に行われているビジネススキームについて紹介してまいります。

 以上を通じて、皆様の保税区に対する理解、及びビジネススキームに対する理解を高めていただけることを狙いとしております。


【対  象】
保税区ビジネスに携わっている方

【開催日時】
8月3日(火)14:00~17:00(13:30開場)

【開催場所】
上海市浦東新区陸家嘴環路1000号匯豊大廈 17階会議室

【講  師】私

【参加費用】
200RMB/人
(参加費用は当日受付にて集金いたします)

【定  員】30名
(定員になり次第、締め切らせていただきます)

▼お申込・お問い合わせ
下記の項目を件名:「日綜セミナー4」として info@jris.com.cnまでお送りください。
1.貴社名
2.参加者名
3.部署/役職
4.TEL(会社及び携帯)
5.E-mail
(弊社と同業の方のお申し込みはご遠慮ください)

家電・自動車リコール管理規定意見募集稿

2010年07月08日 | 日記
 現在中国でリコール制度が行われている製品は自動車、玩具、食品、薬品等の5大分類に限られており、多くの製品が対象外となっている。このような状況の中で、7月2日に国家品質監督検査検疫総局が家電製品、自動車製品に対して各々リコール管理規定及び条例の意見募集稿を発表した。品質に対するクレームが最も多いのが家電製品であったが、これにより家電製品もはじめてリコール製品の対象となることになりそうだ。そして、今般の家電製品と自動車のリコール管理規定の意見募集稿では国内企業も外国企業も同一の取り扱いとなることが謳われている。

 家電の意見募集稿に基づくと、生産者は生産した家電製品に対してリコール義務を履行しなければならず、販売者、修理者等もリコール義務の履行に協力しなければならないとされている。また、生産工場が規定に従ってリコールせず、欠陥のある家電製品の生産販売を停止せず、欠陥製品の調査等の行為に協力しない場合、3万元以下の罰金に処するとされている。自動車にいたっては罰金額が従来は最高で3万元だったものが、製品価格の半分にまでに上限が引き上げられるものとなっている。

 また、家電の意見募集稿の中で、リコールとは規定された手順及び要求に従って、生産企業またはその組織するその他経営者により消費説明の補充または修正、返品、交換、修理等の方式で、欠陥によりもたらされうる損害を有効に予防及び取り除くものとしている。つまり、返品だけがリコールの手段ではなく、生産者は交換や修理等のその他方式で消費者に製品欠陥を取り除くことができることとされている。一般的に中国製品の故障に対するメーカーの対応は決してよいものではなく、だからこそこのような規定が検討されているのだということが言える。販売店の対応も面倒くさがってかなりひどい対応をするケースがある。そのため、生産側にとって心配すべき点としては、本来であれば修理程度で解決するものが、返品や交換を強硬に要求されたり、販売店がいい加減な対応をすることにより、不満に感じた消費者が変な煽り方をすることだろう。家電製品については今後この方面のリスクヘッジ対策も必要になってくるだろう。

中国の贅沢品消費の特徴

2010年07月07日 | 日記
 欧米の成熟した贅沢品消費者と比べて10歳以上若い。年代により消費性向が異なる。1980-90年代生まれは、新しい価値観の元自分の個性の表現を捜し求め、ブランドを以って自己の個性と価値観を現す。また、分不相応な商品をする現象も見られる。これとは対照的に60-70年代生まれの世代は実用的なものを重視する傾向にあるという。

 これと関連する注目すべき点が中国人の面子だ。中国人は面子を重視する。女性がブランドバッグを買うのは自分のためではなく、他の人から、「そのブランドのカバン持ってるのね」といわれるためというのが目的となっているものもある。実はこれは結構重要なポイントであるといえる。例えば、あるピザ屋が上海に出展を計画しているとしよう。確かに上海のピザハットはいつもお客さんでいっぱいだ。だから自分たちのおいしいピザなら必ず受け入れられると考える。確かにその考えはわかるが、ここで先ほどのブランドバッグの例が役に立つ。ブランドバッグはもちろん実用性を重んじて買うわけだが、それ以上にそれを「持っていること自体」が大事になっている。ビザハットでいうと、ピザハットのピザがおいしいとかおいしくないとかではなくて、ピザハットで食事をしているという自分に「酔う」というのが重要なポイントなのだといえる。おいしいは必要条件だが絶対条件ではないのだ。ひょっとすると必定条件でないかもしれない。ブランド力がいかに重要かと思い知らされる例といえるだろう。上海というマーケットをなめてはいけない。なんとなく中国は日本より下だという見下した考え方を持つ人もいるが、上海はいまや世界中からき業が集まっている一大激戦区であることを忘れてはならない。

中国地場企業にとっての内販ルートの開拓

2010年07月06日 | 日記
 最近やたらと内販という言葉が聞こえてくる。フリーペーパー類でも多く特集されており、また内販に関するセミナーも色んな切り口で数多く行われている。外資だから内販は難しいと思ってしまうが、実は今まで輸出ばかり行ってきた内資企業が内販に切り替えていくことも決して簡単ではないようだ。

 とあるデジタル製品を製造している企業によると、輸出企業はブランド及び相応する発言権が不足しており、往々にして大ブランドがチャネルを占領しているために新たな小ブランドがチャネルに入っていくのはきわめて難しいという。また、これらの商品も国内消費者向けにアレンジする必要があり、あらためて商品のポジショニング、デザイン及びマーケティングを行う必要がある。意外なことにデジタル製品に関して国内消費者のほうが外国消費者よりも要求する品質レベルが高いということがあるようだ。その理由としては、外国の消費者は数年もすれば買い替えるが、国内消費者は長く使用する傾向があることから、その期間に耐えうる品質を要求するからだという。

 輸出ばかりを行っていた国内企業は取引量も多く、回収にも困ることがなかったものの、内販を展開するにあたり代理店と同じことができるかというとそれも難しいようだ。そのため、国内市場開拓に当たって自社でチャネルを開拓したり、直接小売企業にあたるということになる。しかしながら、自社でチャネルを開拓するのは資金力を要することもあり、小売業に当たることになるが、小売業者も取引量や回収面で難しい相手だ。

 ということで、内販行いたい企業は決して外資系だけでなく、地場系だって同じことを考えている。そして地場系だからといってすぐに内販型に転換できるかというとそういうわけでもない。内販というキーワードは決して外資系だけにとってのものではなく、しかもそのスタートラインもそれほど違わないようだ。

遊園地の事故

2010年07月05日 | 日記
 6月29日に東部華僑城という深圳にある遊園地(ちなみにウェブサイトは現在白黒になっている)の「太空迷航」という乗り物で事故が発生し6人が死亡、10人が重軽傷を負った。事故原因は今のところまだ不明だそうだ。この事故により株価も暴落している。ちなみに死亡者の遺族に対して62万元の賠償を行うと提示しているが、遺族サイドは不満に感じているという報道が流れている。

 

 中国のテーマパークは刺激を強く求めがちだ。その理由としては投資者が回収を急ぐために、刺激をアピールすることで来客を促そうとするからだ。テーマパークの設計に永年携わっている人のコメントによると、海外のテーマパークが一定レベルの危険度のある遊戯施設をスタートするに当たり何度も検査を行うが、中国のテーマパークではこれができていないという。ええええええええええ?????遊園地の乗り物に対してオープン前に検査をちゃんとしていないの?それはあまりにも危険だ。そういえば、上海にある歓楽谷(ハッピーバレー)という遊園地も最初の13日間で12回も故障が発生した。そして来訪客から受けたクレームに対して、「健康な大人だって風邪をひくでしょ」とのたまったこをと記憶している。安全に対する意識・認識が乏しいといわざるを得ない。あまりにいい加減だったのだ、死人が出たという噂まで出たくらいだ。
 
 日本でもエキスポランドで死亡事故が発生したことがある。その後点検等を丹念に行うようになったが、死亡事故の影響は大きく、最終的には遊園地としての事業が立ち行かなくなった。東部華僑城も同じ運命をたどるのだろうか。それにしてもスリルはいいのだが、死んでしまうというのはスリルの次元を超えている。外国ほど丁寧に点検していないことを知ってしまった以上、ちょっと怖くて乗れないかも。

エリアを跨る合併再編

2010年07月03日 | 日記
 6月30日に国務院温家宝総理が主催する常務会議が開催され、その中で企業の合併再編を促進する方針が打ち出された。エリアを跨る合併再編も対象となる。今まで外商投資企業がエリアを跨って合併再編するのは合併される側(消滅してしまう側)の行政部門からの認可取得のハードルが極めて高いという印象があったが、このような方針が打ち出されるということは国内企業であっても同じだったということがわかる。内資だろうが外資だろうが地元から出て行かれた場合に税収等の財源が減少するので、確かに内資だろうが外資だろうが理屈としては同じといえる。さて、この会議の中で謳われていることの中から合併再編関係についていくつか取り上げてみる。

・各種の企業の合併再編に不利であり公平競争を妨害する規定を整理廃止すること。
・地方が公布している外地企業が地元企業に対して合併再編することを制限する規定を取り消すこと。
・地区間で財政・税務利益の分配協議を締結することができる。

 地方によっては合併再編を阻止するための通達が出されていたことがわかる。本当に視野の狭い考え方だ。結局エリアを跨る場合は移転元と移転先の行政部門で財政・税務利益の分配協議を締結することができるというわけのわからないルールが出てきている。移転元にも少し残してあげるから移転先もちょっと泣いて下さいという喧嘩両成敗的な発想だ。安徽省が上海に所在する企業の移転受け入れのためにこのようなことを提示しているというのを聞いたことがあるが、ここまでしないと移転できないというのも本当に地方政府の身勝手としかいえない。とはいうものの、これは地方政府同士の話し合いであり企業にとっては関係ないので好きにやってくれたらいい部分である。企業からすると再編を進めることができればそれでOKなのだ。これをきっかけに企業再編を進めやすい環境になればいいのだが、どこまでこの政策・方針が浸透するだろうか。いざ外資がこれを進めようとすると、「あれは内資向けのものだから外資は関係ないよ」なんてことを言われるかもしれない。ま、徐々にそんなことはなくなっていくのだろうが、そろそろこういった方面に関する整備も成熟させて欲しいところだ。