呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

いまでもまだまだある内容が不透明な中国企業

2013年03月28日 | 日記

 とあるところから中国企業の売り案件をいただき話を進めていたのですが、私としても大よその状況を把握していないといけないので、決算書が欲しいと申し入れしていたところ、なかなかもらえなかったのがようやくもらうことができました。2か月くらいかかりましたでしょうか。ところがようやく入手できた決算書を見て「なんか変な決算書だなあと思ったので、相手に内容について聞いてみたところ、それはそれは問題アリアリでしたね。

 

1.決算書

 まず、そもそも決算書が複数存在している。業況については口頭で聞いていたのですが、どうも決算書の数字と合わないなあと思っていたところ、税務申告用やら本物やらとがあるということで、どうりで感覚的におかしいなあと思ったわけです。

 

2.土地

 中国では土地の所有権は基本的に認められておらず、一般的には土地使用権という概念で流通しています。土地使用権には無償割当と有償払下げとがあり、その区別はおおざっぱに言えば次の通りです。

  

無償割当

譲渡・担保設定不可の計画割当地(無償割り当て)

有償払下げ

担保設定可能な期限付の払い下げ地(有償払い下げ)

 

 一般的に外商投資企業が「土地を購入する」というのは有償払下げ土地の使用権を購入することを指します仮に無償割当の土地を使用した場合、払下げ料を支払っていない土地であるため、いつでも国家に補償金もなく収容されてしまうリスクがありますし、そもそも処分性がありません。今回のケースは土地が無償割当となっており、外資が手を出すにはリスクが高すぎるものであるといえます。無償割当土地を有償払下げにすればいいではないかと思われますが、その手続きは非常に煩雑、時間がかかる、そもそも転換できない可能性もある、こういったリスクが伴います。これを知らずに、あるいはわかっていてあえてリスクを取っているケースもあるかと思いますが、やめといたほうが無難ですね。

 

 上記二つの問題の他にも、本来計上すべき資産の計上方法がおかしかったりして、もうそれは見ていられない決算書でした。なんかこれがわかってしまうとせっかく進めようと思っていた案件なのですが、踏みとどまってしまいますね。安易に進めなくて正解でしたわ。


危険な不動産取引

2013年03月27日 | 日記

 今日は北京で発生した不動産取引について紹介します。この不動産取引には「我愛我家」という仲介業者が介在しており、少なくとも7人が被害に遭っているとのことです。この不動産取引の流れはこうなっています。

 

 売買当事者間の決済条件についてはまず1/3を現金で支払うのですが、「限購令」のために買える家の数が制限されているため、売買契約については親戚名義で締結します。そして、所有権移転をしたのちに担保設定して借入を行い、そのお金で残金を契約期限までに支払うというものです。仲介会社はこの人は今までも何回も同じような取引をしているから大丈夫ですよと売主に説明し、さらに売主と仲介業者との間で取引をスムーズに進むよう保障するという内容の補充契約を締結します。ここまで読むとどういうオチが待っているかわかると思います。オチですが、所有権移転も済ませ、支払期限も到来したのにお金が入ってこないため先方に連絡したところ連絡が取れなくなってしまったというものです。

 

 そもそもこの不動産取引には欠陥があります。まず、不動産ですから個人にとっては大きな金額の取引になります。それを全額支払ってもらわない段階で所有権移転してしまうところに問題があります。売主もそのあたりは疑念を持ったようですが、仲介業者に言いくるめられてしまったようです。また、所有権移転をしてから銀行で担保設定をして借入を行うというのもおかしいです。そもそも住宅の売買などというのは、所有権移転、担保設定、担保設定による借入、そしてその借入金を売主へ支払うというのをまとめて行うのですが、今回の場合はあらかじめ所有権移転を済ませてしまっているので、銀行が担保設定して貸出を行うのは、この物件を購入するための資金ではないと判断してしまうことはあり得るでしょう。ようするに、先に所有権移転をしてしまったというのがおかしいのです。売主も可哀そうですよねえ、脇が甘いと言えばそうなのですが、仲介業者も売主を言いくるめてますからねえ。

 

 で、この我愛我家(http://www.5i5j.com/loading)という仲介業者ですが、ウェブサイトを見るとこんな感じです。

 

 

 パッと見ちゃんとしてそうです。おそらく会社としてはちゃんとしているのでしょう。この問題はこの仲介業者の特定の営業所で発生しているので、会社の問題と言えば会社の問題なのですが、営業所の問題の方が大きいのだと思います。さすがに売主もクレームしまくり、新聞沙汰にもなったので仲介会社としてはこの問題をちゃんと処理すべく、買主と連絡を取って、採番にするならそのお手伝いもするといったようなことを会社として発表しています。当たり前の話だと思いますが。

 

 7人が被害にあったこのような形の不動産取引ですが、共通点として、

 (1)他人に委託して住宅購入

 今回のケースですと親戚ですね。

 (2)仲介会社が保証

 仲介会社は買主との間は仲介会社に任せてくれと売主を言いくるめたのがそうですね。

 (3)売買代金決済未完了段階での所有権移転

 所有権移転後45-60日以内に残額決裁としていたようですが、なんだかんだ理由をつけて引き延ばすということも発生しています。

 (4)代理人失踪

 最終的には交渉相手だった代理人とやらと連絡が取れなくなってしまいます。

 

 まあ、普通の感覚ではこんなリスクの高い取引をすることはないと思いますが、直感的に怪しいと思えば一呼吸する癖をつけることが必要ですね。


学習障害児童向けスクール

2013年03月19日 | 日記

 字を読むことはまあ大丈夫でも書くとなると苦手、そういう子どもがいます。学校の勉強で言うと算数はできる、理科もできる、でも国語が全然ダメ。一種の学習障害ですね。2004年に北京教科院というところが調べたところ、北京には10%程度の小中学生が読み書きがしんどいという結果が出ています。香港ではここ3年でこの比率が9%だったのが12%に上昇しているそうです。こういう学習障害の子供たちのためのスクールが中国にあります。楽朗楽読というスクールです。

 

 

 

 学習障害の子供たちを助けたいという思いから2007年にスタートしたのですが、2008年の夏時点での生徒数がわずか8人、現在ようやく100人ちょっとという水準に達し、ようやく収支がほぼ均衡するという状況になっています。

 

 このビジネスの難しい点として挙げられているのは、学習障害の子供たちがターゲットなのですが、どこにそのような子供たちがいるとか、そもそもそういうことを人に知られたくないということもあり、対象となる子供たちを探す難しさというのがあります。ただし中国は人口も多く、2007年の調査では小学生が1736万人、これの10%が学習障害だとして173万人が対象者となります。これに加えて、このスクールでは学力をより引き上げるためのクラスも設けて通常の子供も受け入れるようにしています。

 

 また、スクールの経営者は社会組織サービス項目という認定を北京市朝陽区政府から認定を受けることができ、これにより受ける側がより少ない金銭的負担で受けられるようになってます。

 

 これ以外に、低収入家庭のために家庭年収入3万元以下の家庭に対しては学費免除、また経営者はスクールの投資者との間で5人の生徒につき一人の定収入家庭の子女については学費を免除するという約束をしており、教育事業らしく社会的使命を果たしているともいえます。

 

 この業界には同業者もまだおらず、まだまだ成長性を感じられる分野であるといえますが、今のところそれほど利益が上がっているわけでもなく、結構我慢強く運営してきたように思います。7人の投資者から70万米ドルを集めたということですが、単なる営利目的だけだとがまんできずに途中でやめてしまっていそうな事業であるようにも思え、投資を受けるということも大事ですがここまで続いているというのはおそらく政府から社会サービス事業としての認定を受けたことが大きいのではないかと思います。かなりニッチな部分なので外資が入り込むというのはちょっと考えにくいのですが、政府からお金を引っ張り出すことができたいという点でなかなか興味深く感じました。


中国企業の支払条件の厳しさを数字で示す

2013年03月15日 | 日記

 書店に行くと中国ビジネスに関するノウハウ本が多く置かれており、少なからずの人がそれを買い求めては参考にしてきたことかと思います。そして、その手のノウハウ本でよく書かれている内容として、「中国企業はなかなか支払わない」という債権回収の問題がよく取り上げられています。現地にいてもよく聞く話なので特に現場の最前線にいる人だと実際にその通りだと実感している人も多いでしょう。

 

 日本と大きく違う点は中国の場合は会社に体力があるにもかかわらず支払い条件が悪いケースが見られる点です。支払い条件が悪いといっても一体どれくらい悪いのかがあやふやで、そのあやふやな情報だけを頼って事業計画を立てるわけにもいきません。ここではより分かりやすくするために数字で検証してみることにしました。業界としては近年中国内販が注目されていることもあり、消費者向けの業種として家電量販店業界及びスーパーマーケット業界を取り上げました。なお、できるだけ業態を合わせるべく基本的には単体決算の数値をベースとしていますが、決算数値より業務を細分化できないものについては連結ベースの数値に基づいています。

 

家電量販店業界

 支払い条件の良し悪しを比較するに当たり、日本企業と比較するのがわかりやすく、ここでは月商に対する仕入債務の数値で比較します。中国企業からは家電量販店の2トップともいえる蘇寧電器と国美電器を取り上げます。日本企業からはヤマダ電機とビッグカメラを取り上げました。

 

仕入債務

蘇寧(単)

国美(単)

ヤマダ電機(単)

ビッグカメラ(単)

月商比

4.0

3.4

0.4

0.9

 

 中国企業は12月決算、日本企業に関しては決算期が異なることもあり、上記数値は季節要因等を反映していませんが、すくなくとも中国企業の決済条件が日本企業よりもはるかに厳しいことがわかっていただけると思います。

 

スーパーマーケット業界

 中国企業は物美集団と華聯超市を取り上げます。こちらも同じく中国企業は12月決算、日本企業に関しては決算期や業態が異なることもあり、必ずしも公平な比較ができているわけではありませんが、それでも中国企業の決済条件が明らかに日本企業よりも厳しいことがわかります。

 

仕入債務

イズミヤ(単)

イオン(連)

物美(単)

華聯(単)

月商比

0.7

1.7

2.4

2.8

 

 以上からわかるように、サプライヤーから見た場合中国企業が日本企業よりも支払い条件が厳しいのは一目瞭然ですね。

 

 国によって商習慣が異なり、中国企業のサプライヤーに対する支払い条件が厳しいというのは上記の数字が示すとおりです。海外でビジネスを展開する前に様々な情報を調べたうえで進めていくかと思うのですが、その情報がより精緻であればあるほどリスクを軽減させる対応方法も明確になってきます。支払い条件については収集すべき情報の一例として取り上げたまでであり、これ以外にも収集すべき情報はたくさんあります。それらを通じてリスクを0にすることまでは不可能ですが、軽減させることはできるはずです。そもそもリスク0の事業展開などあり得ないのですからね。


デザイン家具ってこんなに高価だったのか

2013年03月12日 | 日記

 知人がFBでおしゃれ家具を販売している写真をアップし、興味を持ったのでそこまで見に行ってきました。

 

  

 元々は照明器具を見たかったので、この「照」に魅かれたのですが、実際は家具やインテリアや食器等も販売されていました。

 

 金魚の模様が入ってより、オリエンタルな感じがします。

 

 場所は上海伊勢丹から徒歩10分くらいのところにある「源創創意園」という場所で、デザイナー系の会社が多く入居しているところです。

   

 

 目指したお店はこちら、AREA(http://www.arealiving.cn/)というところです。

  

 おしゃれですねえ。ちなみにものすごくでかいメルセデスベンツが泊まっていました。ではお店の中を見てみましょう。

 

      

    

  

 

 めちゃめちゃおしゃれです。で、お値段を見たのですがこれがもうびっくりです。どれがどれかは覚えていないので、記憶の範囲で書きますと、バーのカウンターなんかで使いそうな高さのある木製の椅子があり、おそらくハンドメイドだと思うのですがこれが14000元、ソファーセットが87000元と、まあ桁が一つ多いですね。購入していく人は広い家に住んでいるお金持ちの人とまとまった量を買ってくれるホテルが中心だそうです。扱っているものは全てイタリア、フランス、フィンランドといったヨーロッパからの輸入品です。残念ながら日本のものというか、そもそもアジアのものがなかったです。それでも円卓なんかもおいてあり、デザイナーも中国向けにデザインしているものそこそこありました。単純な西洋への憧れから自国文化を織り込んだデザインへ移行しつつあるということでしょうか。どこまで迎合するのかは難しいポイントで、100%中華風にすると当然中国デザインが勝つわけで、完全に外国風にすると差別化という点では完璧ですが、中国でどこまで受け入れられるかという不安があるわけで。そういう意味では円卓といっても西洋テイストが含まれたデザインとなっており、また実用性まで鑑みたと考えることができるのでしょう。まあ、それはあくまで結果論で、実際に市場に出してみないとわからない部分は多いとは思います。以前どこかで教えてもらったのですが、最近は純西洋風もいいのですが、オリエンタルテイストの要素があるのも結構受け入れられるようになってきているそうです。オリエンタルテイストをどこまで含めるのか、難しいですね。

 

 デザイン系を研究している人は見に行くと面白いと思いますよ。


福岡のケーキ屋さんが上海にオープン

2013年03月11日 | 日記

 ちょっと展示会を見に行った帰りに久しぶりに静安寺の久光百貨店に行ってきました。雰囲気変っていないかなあと思って見に行ったのですが、あるお店にものすごく人が並んでました。チーズケーキのお店です。私自身は並ぶのが嫌いなので、並ばなかったのですが、名前は聞いたことがないのですが、日本っぽいケーキを打っているお店でした。その名は、「徹思叔叔的哄培工房」、英語名が「Uncle Tetsu's Cheese Cake」、これで日本のケーキ屋だとピンときますよね。ネットで検索したところ、口コミサイトには紹介されているのですが、オフィシャルサイトが見つかりません。でも九州のケーキ屋だということがわかりました。そして、上海にいきなり進出したのではなく、まず台湾に進出し、それから上海にやってきています。どうも今年の年明けにオープンしていたようです。

 

 ちょっとお店の雰囲気を見てみましょう。

  クリックすると拡大できます。

 

  クリックすると拡大できます。

 

 ケーキの大きさはまあまあ大きくて59元、日本円換算すると900円くらいです。庶民感覚的には安くはないですが、結構リーズナブルですねえ。日本だとどれくらいするのかな。ウェブサイト(http://tetsuojisan.com/)でわかります。福岡のケーキ屋さんですね。

 

 

 これも拡大すると見れるのですが、種類が違うので何とも言えないのですが、普通のが630円、プレミアムタイプが1890円と3倍です。上海でも日本でも食べたことはないですが、きっとおいしいのでしょう。 ケーキ自体は今度あまり人が並んでいない時を狙って買ってみますわ。 

 

 それはともかく、日本のスイーツはかなりおいしくないですか?神戸なんかだったら星の数ほどとまでは言いませんがたくさんケーキ屋さんがあって、どこもそれなりにおいしいです。ケーキ屋の場合資本力があるというところがそれほどないのかもしれませんが、味自体はかなりおいしいと思いますので、少しアレンジするだけでかなり中国でも受けると思うんですよねえ。中国に進出しているスイーツってどれくらいあるかちょっと思いつく範囲で数えてみました。パン屋は除きます。

 

 ・ミスタードーナツ

 ・nana's green tea

 ・風月堂

 ・モンシュシュ(堂島ロール)

 ・ユーハイム

 ・源吉兆庵

 ・ビアードパパ(トラブっちゃいましたね)


 パっと浮かぶところだけ取り上げたので、他にももっとたくさんあるかと思うのですが、それほど派手に多店舗展開できているところはないですよね。ミスタードーナツが相対的に店舗が多いくらいでしょうか。資金力があれば直営店舗、なければフランチャイズ展開で増やしていけばいいのですが、あまりフランチャイズ展開に積極的なところもなさそうですし、直営にしろフランチャイズにしろ知名度的にしんどいのは否定できません。日本のスイーツは「モノ」としてはかなりレベルが高いと思いますし、中国だとスイーツに関する味覚もそれほど大きく違わないと思うので、やりようはあると思うんですよね。もっとどこか出てきてほしいですね。


結婚展示会を見学してきました

2013年03月10日 | 日記

 この週末に結婚展示会とやらが浦東の展示会場で開催されたのでちょっと覗いてきました。そんなに人が来るイベントでもないだろうと思っていたのですが、それがどうしてどうして、かなりたくさんの人が来てました。イベントがイベントだけにカップルが多かったですね。それにしても黒山の人だかりでした。

 

 

 たくさんの人です。

  

 現地では結構話題の宝石屋ですね。

 

    

 これは結婚記念写真を撮影する会社のブースです。この業種が一番多かったと思います。

 

  

 同じ中華圏の台湾の企業からもブースが出てました。よく中国と比べて台湾マーケットは小さいと言います。たしかに中国と比べれば小さいですが、なんだかんだいってGDPは世界第26位、その観点からはそんなに悪くないと思いますよ。

 http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html(2011年GDPランキング)

 

    

 結構韓国企業も出てました。これも記念写真撮影の会社です。日本だとこの手の中華的な結婚写真はあまりないので、日本企業がいないのはしょうがないように思います。

 

    

 結婚式のプランニングの会社です。このあたりは日本企業もちぇんす有りなのではないかと思うのですが、日本企業が出ているかどうかはわかりませんでした。何年か前に台湾で親戚の結婚式に参加した時は時間通りに始まり時間通りに終わる、きわめて日本に近いスタイルの結婚式が行われていました。中国もそういうのを好む人たちが出てくるでしょう。こういうプランニング会社がブースに出展するくらいですから、局地的な現象かとは思いますが、そういう時代がそろそろやってきているのかもしれません。出展はしていなかったと思うのですが、一部日本企業も進出してきているのを報道で見たことがあります。立て続けに進出している印象がないので、まだこれからなのでしょうか。もちろん、進出さえすれば必ず成功するというわけではありませんが。

 

   

 日本企業からは桂由美が出展。

 

  

 TOTOも出展してました。結婚展示会といっても結婚式そのものではなくて、新婚生活まで想定して内装工事業者や家具屋さんとかも出展してました。

 

 

 引き出物に使うものだと思いますが、これチョコレートです。こうやって並べると豪華ですよね。

 

 

 これも写真撮影業者ですが、化粧師が化粧を施してあげてます。日本には化粧師がたくさんいて、中国では化粧師のニーズが増えてくるのではと数年前に聞いたことがありますが、今現在日本からはどれくらい来ているのでしょうか。

 

 ざっと1時間ちょっと見てきたのですが、最も印象に残ったのは実は展示内容ではなくて口論。たかだか1時間ちょっとしか見ていないのに2回も口論を見かけました。ホントなんとかならんのですかねえ。ちょっと気に入らないことがあるとすぐに大声で怒鳴り散らかす、見ていて本当に不快で残念でした。そこだけがねえ、なんだかなあ。


順番が逆ですよ~

2013年03月08日 | 日記

 さっきとある銀行と話してきたのですが、日本商品はやはりクオリティが高いこともあり富裕層向けのものが多いので、それを狙って進出してきているのですが、進出したはいいものの、ターゲットにどうやってリーチしていいかで悩んでいるところが多いという話でした。聞いていてふーんと感じるだけの人もいるかと思いますが、これよーく考えると、富裕層にリーチしたいのであればどうやったらリーチできる、あるいはできそうか(そもそも富裕層という単語だけが独り歩きしていて、1億元以上の資産を持っているのを富裕層というのか、年収25万元程度でも富裕層というのかが明確になっておらず、そのあたりの細分化も必要かと思います)というのをある程度把握してから進出すべきところを、そのフローをすっ飛ばして進出して、結局事前に把握しておくべきだったことを今から調べようとしているということですよね。要するに順番が反対なのです。この話を私が社内ですると、日本人って物事を進めるときにものすごく詰めて詰めて詰めて考えて進めていくと思っていたので、そういう話って意外ですね、と言われちゃいました。

 

 以前のような日本輸出向け商品を生産するための工場設立ということであれば、日本本支社の指示に従って生産すればよく、販売に関してはそれほど心配する必要がないわけですが、中国国内向けに販売するとなるとそういうわけにはいきません。並べ挙げるときりがないですが、例えばどこにターゲットがいるのか、どこをターゲットと想定しているのか、そのターゲットにはどうリーチするのか、そのためにはどういう体制にすべきか等は事前に把握しておくべきものです。それによってリスクを軽減できる(かといって0にはできませんが)ものではないでしょうか。なんとなく日本企業の場合、現地法人を設立することにアップアップで、会社設立できたらやれやれひと段落、というところも多いように思います。ひどいところになると現地に拠点さえあればあとはどうでもいい(弊社は中国にも拠点があるのですよというのをウリにするのが目的)と考えているような会社もあり、そういう会社だと派遣されてくる人もそれなりの人になってしまってます。会社を設立するのはあくまで手段にすぎず、それをどう活用してビジネスにつなげていくのかが最も大事なはずです。要するに順番が逆なんですよね。もちろんちゃんとやっている会社もたくさんありますが。

 

 順番が逆になってしまった企業ってどんなところからアドバイスしてもらっているのでしょうか。ひょっとするとアドバイス自体を求めていなかったかもしれません。この手の話は現地で話しても手遅れなので、日本で話す方がよりそぐわしい内容かと思ってます。私も中国ビジネスコンサル業界で生きている一人として、こういう話をもっと啓蒙していかなければならないなあとあらためて思いました。


東莞のすかすかショッピングモール

2013年03月07日 | 日記

 華南地区に新華南mallという巨大なショッピングモールがあります。オフィシャルウェブサイトはこんな感じです。

 

 

 

 見た感じちゃんとしたウェブサイトです。規模を数字で示しますと敷地面積45万㎡、建築面積119万㎡、商業面積46万㎡、店舗は2350、駐車スペースは8000台、投資総額は45億元とかなりの規模のものです。これだけの規模なので華南と名がつくので広州か、深センかと思いきや、なんと東莞にあるのです。東莞がどんな場所か知っている人は知っているかと思うのですが、まあ男の楽園のような場所です。こんなところにドデカイショッピングモールというのもなんとなくイメージがわきません。工場ばっかりのイメージなので。

 

 このショッピングモールは2005年5月に開業しているので既に8年近く経過するわけですが、全然知りませんでした。どうも開業以来二との流れは多くなかったようで、少しばかりの飲食店とモール外にIMAXがある程度江、まあ非常にさびしい場所だそうです。人通りがないということなのですが、なんと昨年のメディア報道によると空室率が99%だそうで、99%ってちょっと大げさすぎるのではないかと思うのですが、これまたメディア報道になるのですが、同モールの投資部の責任者が入居率を現在の20%から今年中に80%にまで引き上げたいとコメントしたとのことです。そして販促活動をどんどん行っていくということなのですが、そもそも8年もたってこの責任者の言うとおり入居率が20%だと、そもそも立地がどうしようもないのではないでしょうか。空室率99%なんて論外ですが。そこでオフィシャルサイトからマップを見たところ、これじゃあ全然わからんわという地図が出てきました。

 

 

 ちなみにこれはオフィシャルサイト上の実物大の地図です。ちなみに拡大できません。これだと土地勘のある人じゃないとたどり着きそうもありません。ヤル気あるのでしょうか。いちおうこのモールにはこんなところもあります。

 

 

 

 親子連れがいくのか、カップルがいくのか。ワーカーが多いところなのでカップルもたくさんいるのでしょうが、こういうところで遊ぶほど豊かなのでしょうか。最近では3000元とか3500元とかでワーカーを募集しているようですので、こういうところでも遊べるのでしょうか。でもどうしても東莞という町のイメージに合わないような気がします。800万人都市、平均給与が約3500元、上海の平均給与が4千数百元なので、そう考えると3500元というのは決して悪くない水準です。でも800万人都市といっても半分が外地からのワーカーなので、そういう人たちがうろうろするようなところではないのでしょう。何度も言ったことがあるわけではないので何とも言い難いのですが、東莞にこんなものが果たして必要だったのでしょうかねえ。


朝鮮学校の高校無償化除外~そんなの当たり前でしょう

2013年03月06日 | 日記

 ビジネス関連ではないのですが、Facebookで盛り上がった話題があったのでちょっと書いてみることにしました。ネタはこれです。

 

 「朝鮮学校を人質扱いしている」 高校無償化「除外」に校長や生徒が抗議

 http://blogos.com/article/57313/

 

 コメント欄に多くあったのが「なんで北朝鮮みたいの国なんかの学校なんかを支援しないといけないのだ」というのが大多数でした。日本の国民感情的には分からなくもないです。また、この記事を見ますと「文科省は北朝鮮の拉致問題が進展していないことなどを理由として昨年12月、朝鮮学校を高校無償化の対象としないことを決め、このたび省令の改正を行った。」とあります。なるほどと思わされますが、はっきりいってコメント欄に書かれている意見も、文科省の考え方もピンボケだと思います。大前提として認識してもらいたいのは、そもそも朝鮮学校もそうですが、華僑学校なども含む民族学校はそもそも文科省の教育指導要領に沿ったカリキュラムを組んでいない時点で一般の学校ではなく「各種学校」扱いなのです。なので、北朝鮮がどんな国であれ台湾がどれだけ親日的であれそんなのは全く関係なく、一律無償化の対象から排除すべき対象であるべきです。仮に無償化するとしたら相互主義で進めるべきで、例えば台北や上海の日本人学校を無償化するから日本の華僑学校も無償化しましょう、これならわかる。まあ、北朝鮮に日本人学校は存在しないので相互主義が成立しないのですが。

 

 そもそも私が華僑学校に通っていた時分に、「この学校は文部省の教育指導要領に沿っていない(中国語の授業をする分ほかの科目の授業時間数が食われる)ので、普通の学校とは同じ扱いではなく、各種学校みたいなもの」というのを教師から聞いたことがあり、その時に「その理屈だとそりゃそうだわな」と思った記憶があります。だってそれがルールなのですから。確かに普通の学校と同じ扱いをしてほしいと思う場面もあったとは思うのですが(例えば定期券の学割とか)、許容範囲内だったと思います(。今はどうなってるか知りませんが。また、私の通っていた華僑学校は中学まででしたので、高校入試には特に影響はありませんでした。華僑学校が高校まであった場合、大学受験しようと思うと大検を別途受ける必要もあったのですが、それは関係ありませんでした。

 

 朝鮮学校の言い分もかなり訳が分からなく、ほとんど言いがかりにしか思えません。なので、感情的に文句も言いたくなるのもわかります。とはいうものの、北朝鮮がうっとうしいとはよくわかりますが、そこばかりに焦点が当たりちょっとみんなの考え方が本質論からずれているなあと思った次第です。


いいサービスだと思うですけどねえ

2013年03月05日 | 日記

 既になくなってしまっているのですが、かつて暢翔網というサイトがありました。

 

 

 

 出張費管理のアウトソーシングを受ける会社で、ここを利用すると出張に伴う架空経費等のごまかしを防ぐことができ、また出張に伴う飛行機チケットの屋ホテルの手配もまとめて委託するので委託を受けた会社による大量購入が可能となり経費の節減にもつながるという利点もあります。約20-30%節減できていたそうで、聞いた感じなかなかよさそうですが、結局ダメになってしまいました。なぜこれがダメになったのでしょうか。

 

 まず、このビジネススキームでは暢翔網、銀行、ユーザー企業、ユーザー企業の出張者、ホテル等、関係する役者が多く、銀行はほとんど旨みが得られなかった(法人クレジットカードによる立替負担がそれほど収益性が高くなかった)ようです。役者をつないでスキームを作ったのにもかかわらず、それが途中で切れてしまうわけですね。

 

 もう一つ理由があり、これは中国的だなあと思ったのですが、アウトソーシングして管理すると今まで出張のたびに架空経費等を請求していた出張者はその旨みにあずかることができなくなってしまいます。そのため、そういう声の大きい企業からはウケがよくなかったそうです。なんだかなあ。

 

 ビジネススキームを考えるに当たっては現地事情をよく踏まえるのは当然のことで、出張経費のごまかしを防ぐことができるのは企業ニーズに合致しているように思います。しかし、まさに悪貨は良貨を駆逐するの世界で、悪貨、要するに経費のごまかし請求をする人たちの声が大きすぎるがためにビジネススキームが成り立たなかったということです。いかに経費をごまかして「灰色収入」を得ている人が多かったかということの証明でもあります。

 

 同社は2007年に設立し、翌年にはファンドから多額の資金調達を行いましたが、結局3年余りでダメになってしまったようです。発想自体は悪くないと思うのですが、おそらく発想が新しすぎて時代が追い付いてくれなかったのだろうと思います。こういうのを聞きますと、新たなビジネススキームを成り立たせるというのは簡単ではないのだなあと思い知らされますね。


深セン・珠海で新版営業許可証がスタート

2013年03月04日 | 日記

 2013年2月20日付で《工商総局の広東省商事登記営業許可証改革方案に同意することに関する批復》が公布され3月1日より実施されることになりました。これは深セン、珠海の全市範囲内で適用されるものであり、営業許可証が新版に変更されます。外資が主にに関係するのは企業法人営業許可証、分支機構営業許可証の2種類くらいで、駐在員事務所の登記証は従来のまま残ります。いずれも経営範囲、登録資本、実収資本の記載がなくなります。

 

 公司及び非公司企業法人に適用されます。一般的な有限公司はこれに該当します。記載事項は名称、企業類型、住所、法定代表人、設立日時です。


 

 

 分公司及び非公司企業法人の分支機構、個人独資企業分支機構、パートナーシップ企業分支機構、外国(地区)企業が中国境国内での生産経営活動に従事する場合、外国(地区)公司の分公司に適用されます。記載事項は名称、企業類型、経営場所、責任者、設立日時です。

 

 経営範囲は定款、協議、申請書等により確定されますので、営業許可証上に経営範囲の記載がなくなるからといって適当に経営範囲を定めることはできません。外資の場合だと審査部門が定款を審査しますので、やはりその段階で経営範囲は吟味されます。なお、営業許可証だけを見てもその会社が何をやっているのかや、資本金等がわからなくなるわけですが、それは政府の情報公開プラットフォームで照会することができます。目新しい感じもしますが、結局外資による新規設立の場合は設立審査を経る必要がありますので、この新通知は実務的にはあまり関係なさそうですね。