呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国の預金保険制度が来年に整備される見込み

2008年11月30日 | 未分類
  中国には金融機関に預けている預金を保護する制度が今のところない。要するに銀行が倒産した場合にその預金が返ってこないというリスクがある。しかしながら、これもどうやら来年には解決しそうだ。預金保険制度方案について基本的な考え方が定まり国務院にあげられたのだ。預金保険制度についてはここに年連続して立法計画に組み入れられていたのだが、ようやくまとまったということだ。

  現在のところ市場において預金保険制度に対して二つの見方がある。

(1)反対派
  大型国有銀行からすると、預金保険制度があろうがなかろうが同じことだ。大銀行は国が管理しなければならないし、管理しなければ大きな社会問題を引き起こすことになるので、預金保険制度は必ずしもリスクを転嫁することはできない。

(2)賛成派
  金融危機のときに預金保険制度を確立することは、金融システムの信用の向上につながる。そのほか、預金保険制度が長期的に欠如することは銀行間、特に中資銀行と外資銀行との間、大銀行と中小銀行との間に不平等が形成される。

  以上の二つの意見をご覧になってみてどうだろうか。預ける側としては預金保険制度はないよりあったほうがいいに決まっているだろう。確かに国有銀行は国が管理しているのだろうが、現実的には資本主義的要素がかなり入ってきており、大銀行といえども将来において完全に保護されるかどうかは断言できないだろう。まして中国は「えっ?そんなことまでするの?」というような思い切った方法をとることがある。その際に預金保険制度があるとないとでは大違いだろう。

公務員の仕事ぶりに活!

2008年11月29日 | 未分類
  弊社は仕事柄いろんな役所へ手続きに行くことがある。おおむね公務員の方は普通に仕事をしているのだが、あまり人がやってこないようなところではそうでないところもある。私の経験ではパソコンでチャットしたり、ゲームをしたり、動画を見ていたりしているのを見たことがある。広州でも同じ状況のようだ。広州市委書記がこのような状況を改善するために日常の勤務風景を撮影したものを学習会の場で放映したところ、会場はシーンとなったようだ。書記は「サービス精神はどこに行った?皆のために働いているのか、自分の楽しみのために席についているのか?!」と叫んだ。そして関係する部署の管理者に対して直ちにこのような状況を改めるように指示を出したとのことだ。

  つい最近ある統計データによると公務員のサービスに対する満足度が99.99%に達していたそうだが、どうにも疑わしいものだ。それでも私の感覚としては以前よりはよくなってきているが、まだまだ改善すべき点が多くあるのは間違いない。公務員の皆さん、嫌がらないでもっと親切に応対してくださいね!

上海環球金融中心の次は上海センター!!!

2008年11月28日 | 未分類
  今年上海環球金融中心が完成したばかりだが、すぐその横にこれよりも高い高層ビルが建設されることになっている。その名も上海センターだ。以前に一度紹介したことがあるので、そちらもごらんいただきたい。

(参考記事)上海ナンバーワンビルは632mだあああ!!!

 

  総投資148億人民元という規模で明日(11/29)から工事を始める。完成は2014年の予定だ。しかしながら、客観情勢を見ると何もこの時期にという声が上がっているのも事実だ。金融危機の影響だ。企業によっては計画していたオフィスの移転を取りやめたり、賃借面積を減らしたりするという動きもあるようだ。まあ、完成が2014年ということなので、そのときまでに景気が回復していればいいのだが。6年後どうなっているだろうか。

セミナー開催模様~その2

2008年11月25日 | 未分類
  今日は昨日の京都銀行さんの顧客向けセミナーに引き続き、韓国企業向けのセミナーを行いました。このセミナーの主催は京都銀行さんとお付き合いのある上海彦陽投資諮詢有限公司、W-OKTA(the World Federation of Overseas Korean Traders' Association)、上海華東支会、後援が韓国商会、KOTORA(JETROの韓国版のようなもの)、貿易協会といったところによるもので、なんと60名以上の方にお集まりいただきました。話した内容は昨日の京都銀行さんの顧客向けセミナーと同じものですが、今日は韓国人を対象にしていることもあり韓国語の通訳の方に入ってもらいました。この通訳を見つけるのは大変でした。通訳というのは言語能力が高いというのは最低限要求される条件なのですが、通訳する内容について理解していないことには専門用語等を翻訳することができず、また表現力が乏しくなってしまいます。今回は私は日本語で話しそれを韓国語に通訳してもらうということで、その通訳の方を探すのに非常に苦心しました(実際に苦心したのは上海彦陽投資諮詢有限公司の金さんです。金さんアリガトー!)。しかしそれにしても今回通訳をしていただいた方は本当にすばらしかったです。この方にも感謝申し上げます。

 

  通訳こそ入るとはいえ前日話した内容の繰り返しであったことから、時間配分もうまくできて、我ながらいいセミナーができたのではないかと思ってます。

  ふと「韓国企業向けのセミナーなのになぜ私?」という疑問が起こりました。JETOROさんあたりは結構日系企業向けのセミナーを開催しておりますし、それ以外には銀行なんかも結構セミナーを開催したりしています。試しに参加者の方に今までこのようなセミナーに参加したからはどのくらいいるかを聴いて見ましたところ、数名が手を上げたに過ぎませんでした。次に労働契約方関係のセミナーに参加した方がどれくらいいるかを聞きましたところ、これは25%ほどの方が参加されたことがあるようです。さすがに労働契約法あたりになると興味深かったのだと思います。とはいうものの、日系企業と比べると感覚的にはかなり少ないように感じました。こういったものに対する意識は日本企業のほうがやはり高いのでしょう。

  私が話した内容は日系企業をターゲットとしたものであり、本日ご参加いただいた方にとっては、「日系企業ってこんなことが気になっているのか」というのがわかっていただけたのではないかと思っております。

  いやあ、しかし韓国語がたくさん聞こえてきましたが、さすがにさっぱりわかりませんでしたわ!

セミナー開催模様~その1

2008年11月24日 | 未分類
  今日は京都銀行さんからの依頼でセミナーを開催しました。弊社は現在上海環球金融中心に移転していますが、それまではHSBCタワーにおり、京都銀行さんはお隣さんでした。実は京都銀行のTさんとは週に一度練習しているキックボクシングの練習仲間であり、単なるお隣さん以上のお付き合いをしております。これが縁で今回のセミナーが開催されることになったわけです。お題は二つ用意しまして話題の外貨延払い規制の最新状況及びその対応策、二つ目としては税関実務の落とし穴と題して税関実務における注意点に関して紹介する内容のものです。会場はHSBCタワー17階の会議室で、以前何度もここで開催したことがあるのですが結構久しぶりでした。最近どこのセミナーでもメガセミナー化しつつありますが、このくらいの会場規模が本当はいいような気がしました。

 

  時間の割には内容をつめすぎたような気もしましたが、まずまずのセミナーができたかと思います。明日は同じ内容を韓国企業向けに開催します。今まで何度か人が話している中国語を私が日本語に通訳するということをしたことがありますが、明日は私が話す内容を韓国語に通訳してもらうことになります。対象が韓国企業でありなおかつ通訳に入ってもらう、なんとなく楽しみであったりします。

出稼ぎ労働者の帰省が増加

2008年11月21日 | 未分類
  先日人力資源・社会保障部の尹蔚民部長が記者会見で中国では今のところ大規模なリストラや農民工の帰省の急激な高まりは見られないと発表した。例として江西省の人で出稼ぎに出ている人が680万人おり、そのうち帰省した人の統計数値が30万人と、5%に満たない比率であることを上げている。
 
  これに対してネット上で議論が沸き起こった。「広東珠江デルタに来てから発言して下さいな、敬愛する部長さん!」、「火車駅や汽車駅でみればわかるよ、広州では毎日どれだけの出稼ぎ労働者が予定を繰り上げて帰省したか。」、「私達の尹部長さんは目を開けてでたらめなことを言っている。」といった書き込みが見られる。
 
  また、人力資源・社会保障部が主催した「中国社会保障論壇」の席で、江西省副省熊盛文省長は、今年出稼ぎに出た労働者が帰省した人数は昨年同時期と比べて増加しているが、総数の10%を超えていないと発言している。尹部長の5%と比べて5ポイントの差がある。わずか5ポイントとは言うものの、人数で言えば30万人に相当するので決して目立たない数字ではない。

  私自身はここ連日のように業務で蘇州や無錫へ電車で行っており、連日のように駅に行っていながら気づかなかったのだが、ある人から「上海駅でも布団を持った人が増えているでしょ」といわれた。これは帰省列車を待っている人たちらしい。珠江デルタの出稼ぎ労働者が帰省するという動きがあるが、この現象は同様の動きが長江デルタにまでやってきているという説明を受けた。

  企業にお話を聞くと、どこの企業に聞いても引き合いが減ってきているという。駅で布団を持っている人はやはり出稼ぎ労働者なのだろうか?出稼ぎ労働者が春節を待たずして帰省する動きがもっと見られるようになりそうだ。

ジェトロ上海セミナーのご案内(12月11日~外貨管理セミナー)

2008年11月19日 | 未分類
  ジェトロ上海センター様よりセミナー講師を依頼されました。その案内内容を以下に転載いたします。ご都合のよい方は是非お申し込みください。

●ジェトロ上海セミナーのご案内

1)2008年12月11日(木)14時30分~
  外貨管理セミナー
  ~輸出入外貨管理規制の総まとめと企業レベルでの留意点~

  2008年7月から立て続けに、中国政府が海外からのホットマネーの流入阻止強化を目的とした輸出入に伴う外貨管理に関する通達を発表しました。これにより、中国に進出している日系企業の輸出入にかかわる前受金と延払に対する規制が強化されたため、外債登記手続きのみならず、日系企業の資金繰りにも影響が出ております。

  今般、銀行出身でコンサルタントをされており、中国における外貨管理に関して知見をお持ちの日綜(上海)投資コンサルティング有限公司の呉明憲氏をお招きし、以下の点について講演を賜ります。

1.総まとめとして、一連の外貨管理に関する通達の説明と、現時点における日系企業への影響。

2.規制と影響に対する企業レベルにおける具体的な留意点
 
  そのほか、資金繰りについては、金融機関の人民元貸出規制が緩和されつつあると言われていますが、現時点での実態はどのようになっているのか、等についてもご説明いただきます。この機会に外貨管理規制を正しく理解し、対応策を講じていただくよう、皆様のご出席をお待ちしております。

■日 時:2008年12月11日(木)14時30分~16時30分

■講 師:日綜(上海)投資コンサルティング有限公司 副総経理 呉 明憲 氏

■言 語:日本語

■場 所:上海市虹橋路1446号 古北湾大酒店 5階多功能庁

■参加料:無料

■申込締切:12月5日(金)17:00

■お問合せ先:
 ジェトロ上海センター 進出企業支援センター 
   担当(日本語可):王
   TEL:021-62700489 (内線:1403/1404)
   FAX:021-62700499

※終了の時刻は変更になる場合がございます。ご了承ください。
※定員になり次第、受付を締め切らせていただきます。
※講演の内容は予告なく変更することがあります。

【詳細については、以下のリンクよりご覧いただけます。】
http://www.jetro.go.jp/mail/u/l?p=YOK4uLlJ5kYZ

増値税暫定条例(2008年改正)

2008年11月18日 | 未分類
  増値税暫定条例(2008年改正)が公布された。数日もすればこの翻訳が広く出回るだろうと思われるので、先陣を切ってこちらでご紹介することとしよう。

  増値税暫定条例
(⇒日文の翻訳文はここ)
  増値税暫定条例(⇒原文はここ)

  改正された増値税暫定条例の内容は過去記事で既にご紹介してきた内容がほぼそのまま反映されている。ちょっと気になった点としては従来は来料組立及び補償貿易における輸入設備は増値税の免除の対象とされていたのが、改正された増値税暫定条例にはこれが免税の対象とされていないことだ。今まで何度か紹介した輸入設備免税政策や国産設備増値税還付政策の取り消しについてまでは改正条例だけからは読み取れないが、この二つの政策は各々通達があるのでおそらくその通達を廃止することになるのだろう。

40人以上を一度にリストラする場合は批准が必要(山東省)

2008年11月17日 | 未分類
  山東省において、企業が一度に40人以上リストラする場合には労働保障部門に申告し、批准を経て始めて執行できることとされた。大規模な失業者の発生を防ぐことを目的としている。

  金融危機の影響により生産規模の縮小や人員規模の縮小に動いてきる企業ができている。これにより第三四半期までの山東省の都市・鎮の登記失業率は3.14%となり、新たに登記された失業者が67.99万人と、 前年同時期比1.95%増加している。

  景気低迷により今後中国の各地においてもリストラの嵐が吹く荒れることが予想される。これは山東省の話だが今後中国のほかに地域でも同じような動きが出て来るかもしれない。

中国内の外資銀行の流動性資金の状況が一段落

2008年11月16日 | 未分類
  新聞を見ていたところこんな記事を見つけた。これによると金融危機が発生して以降、中資銀行は中国内外資銀行(以下、外資銀行)との取引に対して厳しい姿勢で望んでおり、現在も依然として慎重な姿勢を崩していないものの、以前ほど厳しい状況ではなくなってきており、中国内外資銀行の流動性がタイトである状況も緩和されてきているようだ。

  リーマンブラザースが破綻して以降、中資銀行は外資銀行との取引を制限し始め、外資銀行に対する与信額を減らし、ある銀行にいたっては外資銀行との取引を完全に停止していたという。外資銀行は中国における経営基盤の関係もあり(当たり前だが)中資銀行と比べて預金の調達には限界があるため、銀行間市場のコール取引での調達依頼度が高い。しかしながら、中資銀行は金融危機以降コール市場で外資銀行に対して資金を放出したがらず、そのため外資銀行の流動性は非常にタイトであった。

  中国貨幣ネットというところが発表したデータによると、前期の外資銀行のコール市場での資金調達規模(調達と提供の差額で調達が上回る部分、以下同じ)は100-150億元を維持していたが、9月下旬以降はわずか20-30億元の規模にまで減少し、最低時は数億元程度しかなかった。しかしながら、このような状況は改善してきており、11月12日の銀行間市場のコール調達資金は31.2億元とその前の取引よりも9.95億元増加し、中資銀行の外資銀行に対する姿勢が軟化してきていることがうかがえる。

  しかしながら、中資銀行と外資銀行との取引が緩和されてきたのは1ヶ月以下の短期取引のうち、オーバーナイトと7日間の資金コール取引が主体であり、中長期の取引については中資銀行も依然として慎重な姿勢を崩しておらず、一部のリスク管理に厳格な銀行はなお全体的に慎重な姿勢を崩していない。

  とはいうものの中資銀行が姿勢を軟化させてきたことには間違いはなく、その原因として、米国金融危機が発生したとはいえ、さらに一段と悪化するような現象が見られていないこと、中国人民銀行が既に外資銀行に対して流動性支援をすることを承諾し、これが外資銀行に対する信用を促したことにあるといわれている。そして、おそらく外資銀行の流動性がタイトである状況は徐々にではあるがさらに緩和され、人民銀行としても外資銀行に対して更なる流動性支援を行う必要はなくなるだろうと見られている。

  ただし、以上はあくまで外資銀行という大枠の中の話であり、外資銀行の中でも個別銀行ごとに状況は異なるであろうから、普段付き合っている銀行が現在どのような状況にあるかはそれぞれ確認したほうがいいだろう。

輸出税額還付率がまたまた引き上げへ(今年三回目!)

2008年11月13日 | 未分類
  11月1日より一部商品に対する輸出税額還付率が引き上げられたばかりだが、12月1日からまた引き上げられることになった。今年で三回目の引き上げになる。今回の輸出税額還付率の引き上げは3770品目とこれまた広範囲にわたっており、輸出税品総数の27.9%に相当する。

  輸出税額還付率の調整は主として労働集約型製品や機電製品等を対象としている。また同時に一部の鋼材、化学工業品や食糧の輸出関税の取り消し、一部化学肥料の輸出関税の引き下げや徴税方式の変更も決定された。

  今回調整される具体的な品目については現在のところまだ発表されていないものの、近々財税部門から発表されることになろう。

  金融危機の影響により特に華南地域での輸出が減少しているという報道が目に付くことから、還付率引き上げや輸出関税の取り消し・引き下げはそれに対応するためのものであるといえるだろう。しかしながら、今月還付率を引き上げたばかりで、まだその効果が見えていない段階でまた引き上げるということにどれだけの効果があるのかというところに疑問を感じてしまうとともに、そもそも金融危機により海外におけるニーズ自体が減少している中で還付率を引き上げたり輸出関税を調整したりすることにどれだけの効果があるのか、もちろんまったく効果がないというわけではないだろうが、個人的にはそのあたりが気になるところである。

来年から開始する増値税改革の内容

2008年11月11日 | 未分類
  既に増値税改革による固定資産の仕入れ増値税控除について何度かお知らせしたが、これについてより詳細が明らかになってきた。時期は同じく2009年1月1日からなのだが、増値税改革の主なポイントは次のとおりである。

(1)新購入設備の増値税控除
(2)輸入設備増値税免税の取り消し
(3)外商投資企業の国産設備の増値税還付政策の取り消し
(4)小規模納税人の増値税率を3%に統一

  新購入設備の増値税控除は既にお知らせしてきたとおりであるが、今回注目すべきは輸入設備増値税免税の取り消しと外商投資企業の国産設備の増値税還付政策の取り消しだ。外商投資企業が進出にあたり奨励類認定を受けて設備輸入免税や国産設備の増値税還付を受けるというのは従来の王道とも言うべき手法であったが、これが取り消されてしまうことになるのだ。輸入に関しては関税の免除まで行わるとしていない(これは税関マター)ものの、いずれにしてもかなりエポックメイキングな変化だ。免除はされなくなるものの控除ができるようになるということは、奨励類企業にとっては関税を別にすれば効果としては結局そんなに変わらないのだろう。逆にそもそも免税設備輸入できなかった非奨励類企業にとってはメリットであるといえる。企業所得税法の統一もそうだが、この増値税改革により外商投資企業に対する政策の潮目が変わってきたことを改めて感じさせられた。

内需拡大による経済促進のための十項目措置

2008年11月09日 | 未分類
  11月5日に開催された常務会議で、内需拡大のための一段の措置が検討された。金融危機の中国への影響を抑制したり、また内需を拡大していくことを目的としたものであるが、この経済促進のための十項目措置とは次のものである。

1.保障性低所得層向け住宅計画の加速
2.農村インフラ建設の加速
3.鉄道、道路と空港等の重大インフラ建設の加速
4.医療衛生、文化教育事業発展の加速
5.生態環境建設の強化
6.自主革新と構造調整
7.地震被災区の災害復興の各種活動の加速
8.都市・農村住民収入の引き上げ
9.全国の全ての地区、全ての業種に全面的に増値税モデルチェンジ改革を実施し、企業の技術改造を奨励し、企業負担を1200億元軽減。
10.経済成長に対する金融によるサポートウェイトの増大

  どれもこれもなるほどなあと思うものであり、例えば個人向け住宅計画や各種インフラ面、環境等はここ最近言われていることである。また
増値税のモデルチェンジ(⇒ここ)については既にご紹介したとおりである。10番目として金融によるサポートというものがあり、これは具体的には銀行貸出の緩和ということであるが、これも前回の記事(⇒ここ)で既に紹介したとおりあくまで政策に過ぎず、銀行の与信スタンスとは別の話である。延払い規制への対応として国内販売先に対して回収期限の短縮化を申し入れたところ、銀行から資金が調達できないので支払い期間を延ばして欲しいと逆に言われてしまったという企業の話を聞いた。引き合いが激減している企業の話も聞いた。金融危機の中国への影響に対する報道は思ったほどされていないが、実際の影響は少なくないと思う。この十項目措置はどこまで起爆剤となるだろうか。

金融危機の中国への影響

2008年11月06日 | 未分類
  広東省で玩具企業の倒産が相次いでいるというニュースがあったが、広東省で失業者が大量に発生している。広州駅には大きなかばんを持った人々でいっぱいで、その多くは広東省に出稼ぎにやってきた農民工だ。一般的に出稼ぎ労働者は春節前に田舎に帰るのだが、今年は状況が違うようだ。なぜならば、多くの工場が生産を停止してしまい、何もすることができなくなり帰らざるを得なくなった人が増えているからだ。珠江デルタや沿岸部にある輸出加工型企業で倒産する企業が相当数にのぼっており、そこまでいかなくとも生産規模を縮小している企業も多い。出稼ぎ労働者はこの波に飲まれてしまっているということだ。  
 
  香港工業総会の陳鎮仁会長によると、珠江デルタにある7万社の香港系企業のうち、年末には4分の1の企業が倒産し、一社が倒産することにより500人が失業すると考えるとなんと87.5万人が失業してしまうことになるとしている。もちろんこの多くは中国内陸部からやってきた出稼ぎ労働者だ。

  昨日法律事務所の律師(弁護士)と話していたのだが、最近請け負っている訴訟案件は倒産がらみが増えているそうだ。また、注文が30-40%も激減している会社も出てきており、金融危機の影響をひしひしと感じるとのことだった。銀行の貸出抑制が政策的に緩和さえるという報道も出ていたが、それはあくまで政策に過ぎず、実際に貸し出しを行う銀行のスタンスはこの経済状況の中どれほど前向きになってくれるかは別の問題だ。

  金融危機の中国への影響はこれからもじわりじわりと出てくるだろう。これからどんな対策を打っていくのだろうか。そしてその政策は世界へ向けてできることなのだろうか。

中国の不動産市場予測

2008年11月05日 | 未分類
  中国銀行国際金融研究所というところが中国の不動産市場の冠するレポートを発表した。それによると中国不動産市場は二年後には10%下落、最大で30%下落し、それからまた上昇していくだろうとの見方を示している。

  中国の商業銀行の不動産貸出は貸出総額の20%を占めており、支店によってはそのポジションが40%を超えているところもある。今回の金融危機はアメリカのサブプライム問題が発端である。要するに不動産関連貸付資産内容が悪化したことから始まった。近年の中国の不動産はひたすら上昇し、そして最近になって下がり基調が見えてきたが、果たして中国で同じような問題が起こりはしないだろうか?銀行による融資の審査がちゃんと行われていればいいのだが。。。

(参考)
ローン残高が物件評価を逆転するケースがあらわれた!!!