呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

北京タクシー事情

2008年06月25日 | 未分類
  北京オリンピックが近づいてきている。多くの外国人客がオリンピックを観戦するために北京にやってくることになるわけだが、この対策として北京のタクシーに対する管理が強化されるそうだ。空港に到着した外国人客が第一に触れる確率が高いのがタクシーであり、最初に触れるこの印象が悪ければ何から何まで印象を悪くしてしまいかねないので、タクシーへの管理強化は大いにいいことだ。具体的には価格交渉、割増料金、乗車拒否等に対して処罰が行われるという。従来と異なるのは王府飯店、天倫王朝、天倫松鶴等の数十のオリンピックと関係するホテルに到着または乗車待ちするタクシーが検査の重点対象になるという。空港から市内へ入る際に道路が込んでいるからという理由で遠回りをするケースがあるが、このような運転手は1000-2000元の罰金を課されることになる。乗客に土地勘がない場合に発生しやすいケースだ。また、座席や車体が汚かったり不衛生である場合も200元の罰金が課されることになる。
 これらが徹底されるとかなり快適になるだろう。


最近の外国投資者による中国国内への不動産投資について

2008年06月23日 | 未分類
  2年前に建設部、商務部、国家発展改革委員会、中国人民銀行、国家工商行政管理総局、国家外貨管理局が連名で公布した《不動産市場の外資参入と管理の規範に関する意見》(通達原文はここ)が公布されて以来、外国投資者による中国国内への不動産投資に関するルールが厳しくなってきており、現在では地方権限で認可されるものであっても最終的には商務部への備案(届出)が必要となっている。しかしながら、この備案の権限が省級商務部門に委譲されるという話が出てきている。
これに対して商務部外資司の某職員が「文書が出るので公布を待って欲しい。ただし政策の風向きは変わらず、単に地方で備案されることになるだけに過ぎない。」と回答している。商務部の職員がこのような回答をしているのと同じく、備案権限が地方に下りたとしても関連する通達が出て風向きとしては結局変わらないという見方をする人もいる。現在の環境において不動産プロジェクトの権限を緩和する方向に向かうのは考えがたいからだろう。単に商務部の仕事量が多くなってきたために地方に権限委譲するだけとの見方もある。2007年5月に《一段と外商の不動産企業への投資の審査批准及び監督管理を強化、規範することに関する通知》が公布されてから備案制が開始し、同年11月に商務部がさらに《外商の不動産企業への投資の備案の関連問題に関する通知》(通達原文はここ)を公布して、各地商務部門が批准した新設、増資の外商投資不動産プロジェクトについて商務部への備案が要求された。しかも外貨管理局が外商投資不動産プロジェクトにおける人民元転を行うにあたってはこの備案が済まされていることが要求された。その後商務部は300社あまりの外商投資不動産企業の備案を行ってきたが、既に備案を通過した不動産企業の多くは中国国内企業が香港で上場後に増資し、不動産プロジェクト会社を新設するケース、批准を取得した会社は二・三線都市に集中しており、北京や上海などといった一線都市のプロジェクト会社はそれほど多くないという特徴があるようだ。ある投資会社の董事によると備案制度は批准しないという強制的なものはないものの、外商投資不動産プロジェクトの備案は往々にして時間が非常に長く、一部の不動産が特に加熱している地域では備案が行われる可能性が小さいと指摘している。たとえ地方でプロジェクトとしての批准を取得しても商務部での備案で躓くということだ。
 
  今年に入って以来、外商投資不動産プロジェクトの商務部での備案にある特徴が見えている。北京、上海等の重点地区のプロジェクト会社の場合は要する時間が非常に長く、別の地区であれば2~3ヶ月であれば完了する備案フローが、北京、上海のプロジェクト会社であれば4~5ヶ月、さらにはもっと時間を要するケースも見られるという。商務部の備案手続きにおいても不動産市場が歩き始めた地区への投資を促そうとしている動きのひとつという見方もある。

  繰り返しになるが、外商投資不動産プロジェクトの備案権限が委譲されるといっても単に形式が変更するだけであり、つまり備案が地方で行われることになるに過ぎず、省級とはいえ商務部門で備案が行われることに変わりはない。従って、外商による不動産投資については現行の政策が継続され、外商による不動産投資に対する方向性としては大きく変わらず、権限委譲されたことが濫用されないような新たなルールができるかもしれないだろう。

中国における企業再編での免税取り扱いの行方

2008年06月20日 | 未分類
  《企業再編と清算の所得税処理方弁法(討論稿)》というものが出ているようであり、その内容としては企業再編と清算の過程における税収問題についてより明確且つ厳格に規定したものであるという。外商投資企業の企業再編に関する法令法規も過去において公布されているが、企業所得税法が内外資で統一されたこともあり、外商投資企業の企業再編移管する法令法規も今後整理されていくだろうし、この討論稿はその一環といえるだろう。なお、今回ご紹介する《企業再編と清算の所得税処理方弁法(討論稿)》は年内に最終決定版が公布される模様であるものの、ここでご紹介するのはあくまで討論稿に過ぎないということにご留意いただきたい。

 
  討論稿は《総則》、《課税再編》、《免税再編》、《企業清算》の合計四章あり、特に注目されるのが《免税再編》だ。この中で、「同時に以下の条件に符合する企業再編は、再編取引の非株式価格差額または貨幣性価格差額に対応する資産譲渡所得または損失が取引当期に確認されることを除き、税務機関の確認を経て、取引各方は一時的に関連資産の譲渡所得または損失を確認しなくともよい。」とある。その三つの条件とは次のとおりである


1.企業再編に十分な経営目的があること

 十分な経営目的とは以下の条件を満たさなければならない。
(1)再編各方が資産取引を行うときに税収利益の存在を別に意識していないこと
(2)被再編企業が譲渡する資産と権益が再編企業にとって必要且つ有益なものであること
(3)再編により予測される経済効果が獲得する税収利益よりも遥かに上回ること
(4)再編が発生しない場合でも企業はこれら税収利益を獲得することができること
(5)企業が選択する再編取引方式が既定目標を獲得する上での最も経済的な実行可能方式であること
 この中で、(1)の「税収利益の存在を意識していないこと」がいまひとつ明確とはいえない文言であるが、この条件の目的とするところは租税回避を目的とする再編を防ぐことにあるようだ。

2.企業が合併、出資持分買取、資産買取、分割において、非株式価格差額の公正価格が出資持分帳簿価値の15%を下回る、企業全体資産の交換において、貨幣性価格差額が全体資産交換の構成価値の15%を下回ること

  現行の規定では企業が合併、出資持分買取、資産買取、分割等の再編の課程において、免税とされる条件としては、
(1)非出資持分支払額が出資持分額面価値(または支払う株式資本の帳簿価値)の20%を上回らないこと
(2)資産交換において、貨幣性資産が交換収入総資産の構成価値の25%を上回らないこと

3.分割において、被分割企業は少なくとも分割前の5年間は積極的な営業活動を行っていること。



  以上は免税再編が可能であるケースについて紹介したものだが、討論稿第21条において、企業再編は税務機関が免税を確認した後に連続36ヶ月の時間内に、以下の条件のいずれかに当てはまる場合、税務機関は当該再編業務の免税資格を取り消すとしている。

(1) 再編企業が被再編企業から取得する資産を被再編企業が元々有する経営目的に継続して使用しない
(2) 被再編企業の株主が有する再編企業の株式権を譲渡した後に2の条件(企業が合併、出資持分買取、資産買取、分割において、非株式価格差額の公正価格が出資持分帳簿価値の15%を下回る、企業全体資産の交換において、貨幣性価格差額が全体資産交換の構成価値の15%を下回ること)に当てはまらないこと。

 繰り返しになるが、あくまで討論稿であり変更の可能性も十分にあることにご留意いただきご参考いただきたい。



上海市の一人暮らしの老人は19.3万人

2008年06月20日 | 未分類
  上海の新聞に老人の孤独死の記事が載っていた。日本でもよくある話であるが上海でも少なくないようだ。2007年のデータによると上海では一人暮らしをしている老人が19.3万人おり、昨年関連部門はそのうちの2万人に対して万が一のときのための緊急呼出装置を設置したとのこと。一人っ子政策の影響もあり一人暮らしの老人が今後も増えてくるだろう。以前に高齢化社会について書いたことがある(ここ)のだが、あらためてごらんいただきたい。一人っ子政策の裏返しとして高齢化社会につながっていることもあり、高齢化社会に対する対応というもの考えていかなければならないだろう。


不動産会社の資金調達が大変

2008年06月19日 | 未分類
  福建省は泉州市のお話。最近の銀行貸出が以前よりも厳しくなってきたのは泉州市でも同じ状況のようであり、最近は委託貸付の件数が増えており、委託貸付の年利率は10%程度で行われているとのこと。このレベルで委託貸付を受けられるのはまだいいほうなのであろう。特に一部の規模の小さい不動産企業の資金繰りは待ったなしの状況にあるようであり、地下金融から月利4%利息先取りで調達しているところもあるという。月利4%だと単純に年利48%だ。キャッシングの利率どころではない。ここまで追い込まれているのか。銀行も不動産関連融資には慎重になってきている。不動産市場の先行きが不安に感じられてならない。


蘇州工業園区の概要を知るならこれ

2008年06月18日 | 未分類
  仕事柄いろんな開発区の方が弊社を訪れてくれる。先週は青島経済技術開発区と張家港保税区の方が訪れてくれた。こういう人たちとコンタクトをし続けているので現地の案件が合った場合でも非常に対応しやすい。今日は蘇州工業園区管理委員会招商局の方から蘇州工業園区の概要の最新版をいただいた。電気・ガス・水や人件費相場及び現地の福利制度等が取りまとめられており、これから蘇州工業園区に進出しようと考えている人にはもちろん、すでに進出している企業の方にとってもいい資料ではないかと思う。ぜひご参考いただきたい。

蘇州工業園区概要2008年5月版


上海タクシー情報

2008年06月18日 | 未分類
1.タチの悪いタクシー運転手
 なんと本来は110元のタクシー代であるにもかかわらず1300元も支払わされた日本人利用者がいたそうだ。浦東空港から上海市内への向かったのであるが、下車時には発票も発行してもらえなかったようだ。結末としてはタクシー運転手は営業ライセンスを取り消され、「退一奨二」の規定に基づいて3600元が乗客に返却された。発票なしによく見つけることができたと思う。今でもこんな輩がいるのだ。

 上海市交通行政執法総隊によると2008年5月において3社のタクシー会社が違法率4%を超えているそうであり、参考までにいうと、①大橋出租公司江城実業車隊(6.98%)、②上海崇明大衆公共交通公司振興車隊(6.67%)、③上海鵬遠公交出租汽車公司(4.00%)の3社である。タクシー会社名自体になじみはないのだが、おそらく○○色のタクシーなのだろう。皆さんもこんな輩に引っかからないように気をつけましょう!


2.虹橋空港のタクシー待ち時間が大幅に短縮
 私は虹橋空港が好きではない。行きは車がとても混雑していて目の前に空港が見えてもなかなか到着しなかったりする。帰りはタクシーの待ち時間がとんでもなく長い。そのため帰りについてはある頃からタクシー乗り場に並ばず一目散にバス停に向かったものだ。ところがそんな虹橋空港のタクシー待ち時間が大幅に短縮されるという。もともと45分以上の待ち時間(ひどいときは1時間近く)が10-20分にまで短縮されるというのだ。当初予測と比べてタクシーに乗ろうとする人間が2.3倍以上もいたわけなので、当初予測に基づいてタクシー乗り場を設計したのであれば待ち時間が長くなるのも当然だ。10-20分にまで短縮されるのであればこれからは虹橋空港を利用してもいいかなと思う。あっ、でもこれでもって市街地の渋滞までは解決しないので、浦東に勤務している私としてはやはり浦東空港が便利かな。


上海の中古不動産市場が下落し始めた

2008年06月17日 | 未分類
  久しぶりの書き込みです。

  上海市の中心区域の中古不動産市場が下落し始めた。新築物件も下落してきていることからおのずと中古物件の下落にもつながっているのだが、中古不動産市場のここ最近の動きを見てみると物件によってはこの二ヶ月程度で10%以上も下落している。オーナーの意識も変化してきており、売買に当たって買い手側の税金まで負担するところが出てきている。状況は買い手市場だ。ある不動産仲介業者によると株式市場の下落により、一部のオーナーが損失をこうむり、資金を回していくために不動産を現金に買える必要が生じてきていることから、不動産価格を下げてきているとの見方があるようだ。余裕資金で株式を購入していた場合、損失が出てもあらたに資金を必要としないことから、借入資金で株式投資をしていた人が結構いるのかもしれない。不動産と株式の下落、隣国日本でも起こったのと同じ出来事だが、どの程度まで進んでいくのだろうか。


銀行の審査が甘いYoYoYo!

2008年06月05日 | 未分類
  とある夫婦がなんと偽造身分証明書で40枚余りものクレジットカードを作成し、半年の間にキャッシング等で100万元以上も騙し取り、このお金でBMWを購入したり、家を買ったりしたとのこと。銀行宛の申請資料に残っていた携帯電話番号も空き番号となっており、住所や勤務先もすべて虚偽申告をしていたとのこと。この夫婦は銀行関連の書籍を読み漁って研究したようで、さらに銀行員にも色々と教わったようである。

  しかしなんともお粗末なのがこれだけのクレジットカードが発行されてしまったことである。このクレジットカードを発行した銀行は一体どんな審査をしているのだろうか。住所や勤務先も虚偽で申告しているというのに発行されているというのは本人確認がちゃんとできていなかったといわざるを得ないだろう。たまたま何枚かのクレジットカードでこのような事件が起こったのであればまだしも同じ人間に対してこれだけの枚数だ。審査が甘いといわざるを得ないだろう。


どうするどうなる増値税還付率?

2008年06月04日 | 未分類
  (紡織品)服装の輸出税額還付率が7月に2-4ポイント引き上げられるという噂が出回っている。すでに審議が諮られており認可待ちの状態だそうだ。

  今年に入って以来(紡織品)服装の輸出状況は極めて厳しいものがあり、中国紡織品進出口商会が商務部に対して増値税還付率を引き上げてほしい旨の書簡を提出しているが、今のところ正式な回答はまだ返ってきていない。同商会の副会長曹氏によると、これが受け入れられれば増値税還付率は2006年から2007年の水準に戻るのではないかとの見方を示している。ちなみに2006年に紡織品の増値税還付率は13%から11%、2007年には13%から11%へ引き下げられている。

  増値税還付率の引き下げは高付加価値品へのシフトや産業のレベルアップを意図したものであったものの、人民元高や労働コスト上昇等の要因も重なって企業として対応がかなり厳しい状態となっている。人民元高に対しては、企業はすでに国内販売比率を引き上げることで対応しているようなところもある一方で、増値税還付率が引き上げられることになればつい1-2年前の還付率引き下げは一体何だったんだろうというような感じもする。もし還付率の引き上げが実現すれば一連の政策に一貫性がないともいえるが、逆に言えばその時々の状況に応じた柔軟な対応だともいえるだろう。でもそんなに簡単に変えてしまってもいいのかなあ?


深セン市の最低給与標準が1000元に引き上げへ

2008年06月02日 | 未分類
 深圳市の最低給与標準が7月1日より1000元に引き上げられることになった。細かくは下表のとおりになる。
 
 
現行
7月1日以降
増加率
特区内(福田区、羅湖区、塩田区、南山区)
850元
1000元
17.6%
特区外(宝安区、龍岡区)
750元
900元
20%
 
  各地の最低給与標準は、今のところ上海市が960元、広州市が860元であることから、7月1日の時点では深圳市がトップになる。この数値に関して上海市と深圳市は抜きつ抜かれつの関係にありそのうちまた上海市辺りが抜き返すのだろう。
 
  深圳市は外来労働人口が700万人以上いるものの、それでも人手不足状態にあり深圳市労働部門の統計によると74万人の労働者が不足しているとのことである。今回の最低給与標準引き上げにより労働者不足の解消を目指すとのことだが、一方で加工貿易政策の度重なる変更により多くの来料加工工場、特に労働集約型の工場の移転や撤退が多く見られるが、それでもなお人手不足ということは、逆に言えば今までどれだけ不足していたのかともいえるだろう。いずれにせよこのような状況の中、業種によっては企業側も以前と比べて採用がしやすくなっているそうだ。