呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

人脈オンリーで物事を解決するということ

2012年12月27日 | 日記

 今日とあるお客さんのところで話していると「人脈」というテーマになりました。私は常日頃から人脈はもちろん大事だがそれがすべてではないということをお話ししています。そもそもその人脈とやらがどこまで本当に使える人脈なのか、使えないにも関わらず使えると吹いている人も少なくなく、特に私も業界人の一人ですがコンサルタントの中に人脈をやたらとアピールしているのがまだまだいるというのが残念でなりません。こういうのは本当に駆逐したいです。人脈があるという言葉につられて話に乗ったものの、結局その人脈っていつ出てきたのやらという話もあります。以前に人脈ありというアピールを信じて合弁会社を作ったものの、結局それを生かした場面が全くないままの会社のお話も聞いております。まあ、本当に人脈があるかどうかは人材採用の面接みたいなものでこちらが根掘り葉掘り聞いて、その真実性を見抜いていく必要もあるかと思います。ただやみくもの人脈を否定するわけではなくないよりももちろんあった方がいいです。ただし、本当にあればの話です。

 

 もう一つは灰色収入の話です。企業側からすると灰色支出といえばいいでしょうか。地方によってはまだまだ役人に紅包を渡すことで物事を早く進めてもらうような地域も確かにあります。しかしながら、それはあくまで最後の手段にすべきであって、最初からこの方法で問題解決をするというのはいかがなものかと思います。役所でも相手のレベルが高ければ高いほどこちらがちゃんと理論武装していけば真面目に話も聞いてくれますし、理論的な反応をしてくれます。しかしながらこれができないからか、安易に紅包でなんとか解決しようとする、これは特に古いタイプの中国人スタッフに多いように思います。本日お話しした会社の人はそういう人を社内から駆逐したそうです。進出している地域が先進的な地域だったこともありこのようにされたとのことです。経験的にも紅包を持って行っても受け取ってくれないとか効果がないというのがわかってきたが故の措置だったとのことです。全く持って正しいことをやっていると思いました。まあ、北京あたりでも中央レベルだとちゃんとしていますが、地方レベルだと理論的な話し合いというのはまだまだできていない印象があります。理論的に話すと逆切れする人いますからね。ということで、要はまずは正攻法で行けばいいのではないかということです。それでだめなら次なる手段を考えればいいのです。胡散臭い人ほど人脈で何とかしようとするとアピールするのですが、正攻法で理論武装して進めて、それでだめだったら初めて昔ながらの紅包攻撃で解決するというのを検討すればいいのではないでしょうか。お客さんとお話ししてそのあたりの価値観が同じだったので改めて思った次第です。


役人による不動産物件の売り急ぎ

2012年12月26日 | 日記

 広東省や江蘇省で役人が不動産物件を売り急ごうとする動きがあります。一部地域で役人の保有資産の開示を行う制度が始まったのですが、その拡大を恐れ、早期に処分して隠蔽を計ろうとすることが目的だといわれています。

 

 新聞報道によると地域としては江蘇省蘇州市、広東省広州市、中山市、仏山市等が挙げられています。おそらくほかの地域でも同じようが減少が見られ始めているのではないかと思います。売り物件も複数の処分を依頼しているケースが多いようで、結構いい物件が多いようです。売り急いでいるのであれば価格交渉によってはいい値段で購入することができるかもしれません。

 

 こういう後ろめたい収入(灰色収入)で購入した不動産を灰色不動産ともいうようですが、役人の資産開示が進むことにより不動産物件市場がかなり盛り上がるのではないかという予想があります。また、これによって不動産が正常な市場に回復するのではという見方があります。まあ不動産が高騰したのはこれだけが原因ではないでしょうが、灰色収入の多くが灰色不動産に直結しているというのも原因の一部という見方もありますので。ただし、灰色不動産がどれだけあるのかという統計があるわけでもなく、そのあたりは把握しづらいところです。そもそも本人名義ではなく親族名義にしている物件も多いでしょうから。

 

 王小魯という学者がかつて発表した《灰色収入と国民収入の分配》という調査報告によりますと、20008年の全国居住者可処分所得23.2兆元は、国家統計局が発表したデータより5.4兆元大きくなっています。そして、このうちの3分の2が灰色収入で、10%の土地最富裕家庭に集中しているという見方をしています。そりゃあジニ係数も上がりますね。

 

 しかしこんなんが理由で不動産価格が大きく動けば笑ってしまいますね。


2013年中国大学ランキング

2012年12月25日 | 日記

 中国校友会網というところが《2013中国大学評価研究報告》というものを発表しました。タイトルの通りです。さっそく見ていきましょう。


 まずは大学ランキングトップ100です。おなじみのよく聞かれる名前の大学が上位にランクされています。 

名次 学校名称 地区 类型 总分 科学研究 人才培养 综合声誉
1 北京大学 北京 综合 100.00 93.36 100.00 100.00
2 清华大学 北京 理工 98.25 100.00 87.15 90.06
3 复旦大学 上海 综合 82.51 56.39 53.53 53.53
4 浙江大学 浙江 综合 82.18 53.42 50.14 65.00
5 上海交通大学 上海 综合 79.72 58.88 36.50 49.46
6 南京大学 江苏 综合 78.71 44.45 43.52 53.26
7 中山大学 广东 综合 75.00 41.64 29.38 41.61
8 吉林大学 吉林 综合 74.95 37.63 36.36 32.97
9 武汉大学 湖北 综合 74.80 36.03 35.33 37.50
10 中国科学技术大学 安徽 理工 74.11 35.61 27.94 47.60
11 华中科技大学 湖北 理工 73.52 38.06 28.44 31.03
12 中国人民大学 北京 综合 72.36 17.32 41.72 32.52
13 四川大学 四川 综合 72.31 30.93 28.67 30.58
14 南开大学 天津 综合 71.96 30.13 26.37 33.39
15 山东大学 山东 综合 71.81 28.18 27.54 33.20
16 北京师范大学 北京 师范 70.98 24.43 27.37 30.85
17 哈尔滨工业大学 龙江 理工 70.68 26.80 25.23 25.68
18 西安交通大学 陕西 综合 70.55 26.64 24.80 25.31
19 中南大学 湖南 综合 70.54 27.62 23.80 25.24
20 厦门大学 福建 综合 70.43 26.26 22.82 29.69
21 东南大学 江苏 综合 68.96 24.89 18.15 23.26
22 同济大学 上海 理工 68.92 24.28 18.16 24.21
23 天津大学 天津 理工 68.56 20.75 19.09 25.43
24 北京航空航天大学 北京 理工 68.36 24.76 16.02 20.04
25 大连理工大学 辽宁 理工 67.77 20.03 15.28 25.43
26 华东师范大学 上海 师范 67.73 17.67 18.54 22.36
27 华南理工大学 广东 理工 67.61 19.14 14.81 26.53
28 中国农业大学 北京 农林 67.05 18.09 13.64 23.85
29 湖南大学 湖南 综合 66.41 13.57 15.00 22.37
30 兰州大学 甘肃 综合 66.35 13.69 13.17 25.81
31 重庆大学 重庆 综合 65.88 13.62 13.04 19.26
32 西北工业大学 陕西 理工 65.87 13.99 12.55 19.42
33 东北大学 辽宁 理工 65.80 13.38 13.54 17.45
34 北京理工大学 北京 理工 65.77 13.09 12.64 20.14
35 华东理工大学 上海 理工 65.76 15.92 8.98 22.10
36 北京协和医学院 北京 医药 65.33 14.18 11.25 14.32
37 东北师范大学 吉林 师范 65.27 13.15 10.27 18.60
38 北京科技大学 北京 理工 65.20 11.00 12.05 18.48
39 中国地质大学 湖北 理工 64.77 10.37 9.98 19.02
40 武汉理工大学 湖北 理工 64.66 12.79 8.11 16.04
41 华中师范大学 湖北 师范 64.62 10.94 9.91 15.48
42 西北大学 陕西 综合 64.59 11.22 9.99 13.98
43 中国矿业大学 江苏 理工 64.55 11.77 9.01 14.49
44 华中农业大学 湖北 农林 64.52 12.80 7.61 15.17
45 电子科技大学 四川 理工 64.47 10.72 8.38 17.77
46 长安大学 陕西 理工 64.17 13.11 7.91 8.29
47 东华大学 上海 理工 64.15 13.70 5.34 13.09
48 西南大学 重庆 综合 64.13 8.93 9.33 14.76
49 中国海洋大学 山东 综合 64.09 10.22 7.03 16.77
50 南京航空航天大学 江苏 理工 63.96 10.11 7.30 14.48
51 南京理工大学 江苏 理工 63.89 9.49 6.55 17.00
52 西南交通大学 四川 理工 63.84 7.40 8.65 16.16
53 北京交通大学 北京 理工 63.80 9.00 6.61 16.66
54 苏州大学 江苏 综合 63.79 10.36 6.83 12.54
55 中国石油大学 北京 理工 63.77 8.51 7.13 16.17
56 云南大学 云南 综合 63.67 7.58 8.69 13.07
57 西安电子科技大学 陕西 理工 63.62 9.66 7.28 10.57
57 北京化工大学 北京 理工 63.62 10.00 4.64 16.49
59 南京农业大学 江苏 农林 63.59 7.19 6.84 17.56
60 西北农林科技大学 陕西 农林 63.58 8.69 6.92 13.35
61 南京师范大学 江苏 师范 63.57 6.40 9.98 11.16
62 上海大学 上海 综合 63.49 7.85 7.39 13.00
63 郑州大学 河南 综合 63.40 6.46 8.85 11.40
64 河海大学 江苏 理工 63.37 7.55 6.38 14.60
65 合肥工业大学 安徽 理工 63.22 6.24 7.11 13.84
65 北京邮电大学 北京 理工 63.22 9.51 4.35 12.54
65 哈尔滨工程大学 龙江 理工 63.22 8.06 4.86 14.91
68 湖南师范大学 湖南 师范 63.21 6.08 8.60 10.11
69 暨南大学 广东 综合 63.04 6.78 6.79 10.53
70 福州大学 福建 理工 62.93 7.80 5.14 10.55
71 南昌大学 江西 综合 62.87 8.22 5.09 8.63
72 北京林业大学 北京 林业 62.84 5.54 5.25 14.79
73 北京工业大学 北京 理工 62.73 6.61 5.59 9.42
74 华南师范大学 广东 师范 62.66 4.58 7.16 9.53
75 陕西师范大学 陕西 师范 62.62 5.43 7.29 6.41
76 江南大学 江苏 综合 62.47 6.77 2.85 12.28
77 华南农业大学 广东 农林 62.40 6.51 5.60 4.68
78 首都医科大学 北京 医药 62.39 8.03 4.34 3.91
78 中国政法大学 北京 政法 62.39 2.30 5.66 15.20
80 新疆大学 新疆 综合 62.29 5.27 4.41 9.33
81 广西大学 广西 综合 62.22 5.38 4.08 8.92
82 内蒙古大学 内蒙古 综合 62.18 5.08 4.41 8.22
83 上海财经大学 上海 财经 62.15 2.94 5.45 10.50
83 华北电力大学 北京 理工 62.15 5.68 3.34 8.99
85 中央民族大学 北京 民族 62.10 2.59 4.83 12.30
86 南京医科大学 江苏 医药 62.09 6.91 3.80 3.67
86 山西大学 山西 综合 62.09 5.53 6.21 0.93
88 太原理工大学 山西 理工 62.08 4.97 4.52 6.62
88 河南大学 河南 综合 62.08 5.21 5.74 2.81
90 中南财经政法大学 湖北 财经 62.06 2.70 6.57 6.90
91 南方医科大学 广东 医药 62.04 5.94 4.12 4.59
91 安徽大学 安徽 综合 62.04 3.99 4.70 8.22
93 湘潭大学 湖南 综合 61.99 5.50 4.29 4.58
94 贵州大学 贵州 综合 61.95 4.87 3.65 7.31
95 哈尔滨医科大学 龙江 医药 61.94 5.82 4.49 2.46
95 南京工业大学 江苏 理工 61.94 5.89 4.42 2.42
97 燕山大学 河北 理工 61.91 5.72 3.92 3.72
98 浙江工业大学 浙江 理工 61.90 5.63 4.19 3.14
99 辽宁大学 辽宁 综合 61.89 1.99 6.10 7.35
99 东北林业大学 龙江 林业 61.89 4.13 4.55 5.91

 

 次の一流大学リストというものも発表されていますので見てみましょう。

 

 

 

 軍事考案系まで入っていますねえ。この辺りは興味本位でみてもらえばいいと思いますが、前半に紹介したランキングは社員を採用するときなんかに参考にすることができますので、保存しておく値打ちはあると思います。


日本の銀行口座開設も面倒ですね

2012年12月24日 | 日記

 日本法人を設立したのでその口座の開設を行ったのですが、最近日本で法人の口座開設は手続きが面倒になっているようで、どこの銀行で「1~2週間お時間を頂戴します」と前もって言われます。当座預金ならともかくたかだか普通預金を開設するにも面倒になっています。具体的にどんなやり取りがあったかを紹介したいと思います。

 

 応対してもらったのはメガバンクM銀行、といってもすべての銀行はM銀行ですが。

 

 一つ目のM銀行(M1銀行)でのやりとりですが、決まり文句のように「1~2週間お時間を頂戴します」「ご希望に添えない場合があります」と言われました。特になんも言わず、連絡を待つことにしました。するとなんと翌日に「口座開設を見合わせたい」との電話がきました。こちらからするとなぜ断られるかさっぱりわかりません。銀行の側から見ると受けたくない理由としてはマネロン対策、反社会的勢力、小体先、といったところでしょうが、正面切って言いえない理由ばかりです。私の場合は小体先ということは認めますが、何せできたばかりの会社なので小さいのは当たり前、そういう理由であれば最初からそのように説明すべきであるはずでしょう。後の二つの理由のマネロン対策と反社会的勢力などは全くもって身に覚えがありません。そもそも法人設立届を行った日に口座開設の申し込みに行っているのでそんな情報すら銀行にないはずです。ますます納得がいきません。理由を聞いても「総合的判断により」としか答えないので、こちらとしてはもう頭にきて電話口で「明日詳細についてお話を聞きたいので伺います」と言って翌日行くことにしました。

 

 M1銀行だけでもよかったのですが、開設できないかもしれないということから二つ目のM銀行(M2銀行)に行きました。こちらとしてはM1銀行から断られたことでかなり頭に来ていたので、マニュアル通りに「ご希望に沿うことができないこともある」と言われた際にその理由を突っ込んで聞いたのですが、結構これは丁寧に説明していただきました。この説明であれば納得です。

 

 三つ目のM銀行(M3銀行)でのやりとりも全く同じです。この辺りになると私もちょっと疲れてきました。オフィスの賃貸契約書をファックスしてほしいといわれました。

 

 M2銀行とM3銀行での手続きを終え、M1銀行にまさに行こうとしていたところM1銀行から電話がきました。M1銀行の目の前にいたので電話を切り、支店内で話をしたのですが、結局口座開設することになりました。最初からそうすりゃいいのに。

 

 M3銀行ではあまり話しこまなかったですが、M1銀行とM2銀行での会話を通じて思ったことは、おそらく新宿という場所柄いかがわしい法人が多いため、内容確認が難しいところは断ってしまおうということなのだとお見ました。以前にも書きましたが、何せ新宿法務局には毎日100社ほどの新規法人設立の届け出があるそうです。いかがわしいところも確かに少なくないかもしれません。

 

 M3銀行に要求された賃貸契約は日本法人設立前に上海法人で契約していたものなので、それの変更をしてからということで後回しになったのですが、M2銀行はほどなくして口座開設OKの連絡をもらいました。ちゃんと説明もしてくれて、ちゃんと口座開設もしてくれて、かなり印象が良くなりましたね。

 

 あと一行あるのですが、この一行は書面での説明だけであとは何も言われず口座開設できました。何も言われなかったというのはネット銀行なので、全てネット及び書類のみで終わることができたのです。

 

 知人のこの辺りのやり取りについて話したところ、その知人はM2銀行で「年商1億円になってからきてください」と言われたそうです。もし本気でそう思っているのであれば口座開設の説明書に書いてほしいものです。

 

 いやあ、それにしてもたかだか普通預金を開設するのも面倒になりましたねえ。


小売業店長の給与水準 ~その2~

2012年12月21日 | 日記

 昨日の続きです。小売業の店長の給与水準は昨日の記事を参考にしていただきたいのですが、では店長たちはそれに対してどれほど満足しているのかが下のグラフです。

 

 

 

 很不合理と不合理、ようするに仕事と給与が見合ってないと思っている店長が約半分います。まあ中国では自己評価と他社評価が乖離(もちろん自己評価が高い)しがちですのでこんなものなのかと思います。

 

 次に、今後1年間での給与増加予想です。

 

 

 

 10%以上のアップを期待している店長が4分の3います。最も多い10-20%増を期待する店長が39%。かなり高いですねえ。期待値と同じだけ給料が上がることはないと思いますが、これだけの幅で上がって当然と思っている店長がいかに多いかがよくわかります。

 

 最後に、仕事において何が最も重要と思っているかについてです。

 

 

 

 給与と安定性が23%の同率でトップ。その次が昇進の可能性、仕事の挑戦性(やりがいといえばいいか)、上司からどれだけ認められているか、と続き、もっと高いと思っていた人間関係はわずか3%です。給料が大事なのはわかりますが、安定志向も見受けられます。

 

 最後に、転職を考えているかについての調査結果です。

 

 

 

 転職を考えているのが39.7%もおり、考えていないのがわずか23.5%。安定性を求めているとはいうものの、転職自体に対する抵抗感がやはり内容です。なんだかんだいって給料のいい職場が見つかればいつでもやめるんでしょう。

 

 個人的にはお金も大事ですが、もっとハートの部分の要素が大きいのではないかと思ってました。職場の人間関係や上司からの認められ具合のことですが、結局お金の優先順位が高いですね。そのあたりは現実的ですね。


小売業店長の給与水準 ~その1~

2012年12月20日 | 日記

 ちょっと面白いデータを見つけました。聯商網というところが行った調査なのですが、小売業の店長の給与に関する調査です。全体のサンプル数は723で、小売業といってもコンビニ、スーパー、百貨店、家電チェーン等があるので、必ずしもサンプル数としては十分ではないのかもしれませんが、参考にはなるかと思います。ちなみに調査方法はネット、範囲は全国エリアです。

 

 それでは、まず業態別の天平の月間給与についてみていきましょう。最も数値の大きいものが赤字表示されています。

 

 

 

 コンビニの店長は店舗の規模が小さいこともあってか、店長といえども給与水準はそれほど高くないです。これとは対照的に規模の大きな大手スーパー(大売場)や百貨店は比較的給与水準が高く、12000元以上はこの2つで4割以上となっています。コンビニの店長は9割以上が5000元以下です。店長がこのレベルだと普通の店員だとかなり給与水準が低いことがわかります。

 

 次に資本別給与水準についてみてきましょう。

 

 

 12000元以上もらっている店長は外資(マジョリティを含む)4割近く、民間資本や国有資本だと半分近くが5000元以下ですね。まあ、店員のレベルも違いますし、こういう結果になるのもわかります。

 

 ちょっと意外に感じたのは次のエリア別です。

 

 

 

 12000元以上についてみると華北と東北の比率が高いです。東北って結構給与水準が高いですねえ。給与水準の低いコンビニの比率が少ないのでしょうか。

 

 これ面白いので、明日またこの続きをやりますね。


《税収徴管法》の改正、道険し

2012年12月17日 | 日記

 《税収徴管法》という通達があります。略さずに言えば税収徴収管理法でまあ平たく言えば税金の徴収を管理することを目的としたものと考えればわかりやすいです。さて、この《税収徴管法》を改正しようという動きがあったのですが、これがとん挫しているといいます。

 

 お役人の腐敗があまりにもはなはだしいということは以前から言われており、それをただそうという掛け声があってもなかなか状況は変わらないという状況の中、広東省の珠海横琴、広州南沙、韶関の三か所で役人の財産を公開することが発表されました。これは非常に注目すべきことではないかと思います。保有資産があまりにも少なければそんなはずないだろうという声が上がるでしょうし、あまりにも多ければそれはそれで批判の対象になります。果たしてどう転がるのが、個人的には結構注目してます。


 そこでまた 《税収徴管法》の話に戻るのですが、この改正案の中で「渉税信息共享」、すなわち税に関係する情報を共有しようということで、税務部門の権限を拡大すべく金融部門や不動産部門等の部門と情報を共有しようというものです。これができれば資産に関するかなりの情報を押さえることができます。現行の《税収徴管法》では銀行等の第三社が税務機関に税に関係する情報を提供する義務がなく、税務機関の納税者に対する検査権限に制限を加えるものになっており、法律的に強制措置を取ることができる相手は企業のみで自然人は含まれていないとのことです。そうであれば税務部門がいろんなところと情報共有することで不正をあぶりだすのは効果的だと思うのですが、これが役人と富裕層から猛烈に反発を受けており、税務部門でも役人の資産公開が普及してからでないと難しいのではないかという声が上がってきています。まあ、そもそも税務局の人でも資産公開したくない人も多いと思いますけど。


 日本の政治家の公開資産を見ているとえらく少なく感じることも多いのですが、中国だとどうなんでしょうねえ。きっと不動産は親族名義、それ以外は海外へ持ち出すことで見た目を繕うんでしょう。しかし、役人が清廉潔白ですと証明するための改正案に対して富裕層はともかく役人が反対するというのは、いかにもとほほですね。


多国籍企業の外貨本部集中決済が開始

2012年12月11日 | 日記

 12月3日に中国銀行が多国籍企業の外貨集中運営管理試点の取引を行ったと発表しました。取引内容は本部が上海にある中国海運集団の国外子会社が国内本部に資金を集中させたというもので、これと同時に国外メンバー企業の資金需要に基づいて、本部の資金を利用して貸出を行ったというものです。

 

 12月1日には中国工商銀行が中糧集団等の会社のためにやはり同じく外貨資金集中運営管理の取引を行ったと発表しています。

 

 これの何がすごいかというと、一般的な中国の外貨管理では輸出者が外貨代金を回収し、輸入車が外貨代金を支払うはずのところ、これらの決済を本部で集中して行うことができるようになり、なおかつ純額決済、すなわち差額決済(加工貿易で一部認められてた)もできるようになったことです。

 

 上記はいずれも中国内資の多国籍企業ですが、今後外商投資企業(もちろん多国籍企業の本部であることが前提)でも中国に関する資金でもクロスボーダーで行わざるを得なかった資金のやり取りが、中国国内で片づけることができるようになりますので、中国事業に関する資金が中国に集中するようになる可能性があります。今のところ細かなオペレーションの細則は正式には発表されていませんが、そのうちそれも発表されるでしょうから、一気にとはいかないまでも徐々に資金が中国に集まるようになることは考えられます。

 

 ただし、まずはそれができる企業は試点企業に限られます。しかしながら、銀行に関しては試点銀行というものがないようですので、資格を持つ企業がどの銀行を選ぶのかということで、銀行はそのポジションを狙ってその企業のメイン口座を獲得する動きがみられるようになるはずです。

 

 ついに時代もここまで来ましたね。外貨資金をグループで管理したいというニーズは聞いたことがありますので、それを考えていた企業は今すぐとはいかなくとも研究を始めるようになるはずです。銀行のそのあたりの情報提供を今の段階からしていくでしょう。外貨のグループ集中管理ができるようになったとすると、次は連結納税あたりできるようになってくるとさらに中国本部の機能が強化されていくようになるでしょうから、これもそう遠くないうちにできるようになるかもしれませんね。


ウルトラマンしんどかったみたい

2012年12月10日 | 日記

 5月終わりに現れたウルトラマンローソン、元あった場所に営業停止の札がかかっており、なんでも徐匯区に移転するとのこと。ところが実際は採算が取れないことによるものではないかとささやかれています。ウルトラマンローソンは通常店舗と比べて運営コストがかなり高いようで、以前の総経理が一般店舗の3倍かかると答えていたそうです。ところが、「一般店舗であれば賃料40-50万元、人件費、水道光熱費、内装費用等を勘案すると、1日当たり売上が5000-6000元程度で収支トントンだそうなのですが、ウルトラマン店舗に関しては年間賃料が300万元、どこの店舗でも発生する人件費、水道光熱費に加えて、特殊な内装を施すためのコストも必要になり、またキャラクター使用料が発生し、業界の標準粗利率25%で勘案すると毎日の売り上げが4万~5万元必要のことろ、ウルトラマン店舗の売り上げは1万―2万元程度だった」という人がいます。本当に年間賃料が300万元も必要だったのかが疑問ではありますので、前総経理が言っていた3倍というのが妥当なところなのでしょう。

 

 ウルトラマン店舗はこういう結果になったわけですが、すぐ近くに今度は名探偵コナンローソンができました。ウルトラマン店舗は採算がいまいちだったのですが、コナン店舗は前から決まっていたことなので出店することになり、賃料等のコストもウルトラマン店舗よりも低いそうなのですが、やはり採算的には厳しいようです。ということで、ちょっと見てきました。

 

             

 

 コナンのポスターがたくさん貼ってあって、キャラクターグッズが売ってあって、映像も流しています。あまりはっきり撮りませんでしたが、店員もコナン風の眼鏡をかけていました。普通のコンビニとは違う感じの人のにぎわいでした。コナンはうまくいくでしょうか。

 

 

 

 ウルトラマンローソンで売ってあったものと思いますが、ウルトラマングッズも売ってました。


(再案内)【TNC中国セミナー:12月17日(東京)】中国における医療機器販売

2012年12月07日 | 日記

 ぼちぼちお申込みいただいてますが、もうちょっと来てほしいかなあと思い再案内いたします。以下は案内文です。

 

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

 日中間の領土問題に端を発する摩擦が経済方面にも徐々に影響をみせてきている一方で、企業の経営判断として引き続き中国市場に注力するという企業も少なくありません。世界の工場から一大市場として世界各国、大企業から中小企業までが熱い視線を送る中国マーケットですが、その中でも医療分野は最も注目されている市場の一つです。医療機器については、2006年から2010年にかけての複合成長率が19.2%に達し、2011年から2015年にかけての複合成長率は20.1%に達することが予想されています。同分野ではGEやシーメンスといった欧米勢が非常に強力ですが、成長途上のマーケットでもありますので、勝機を見出す可能性は今後も十分にあり得るといえるでしょう。


 そこで今回のセミナーでは中国における医療機器販売をテーマにし、その概況から医療機関による購入フローや購入方式、そして購入方式の中でもリースにも着眼した内容の解説を予定しております。

ご多用とは存じますが、多数ご参加賜りますようご案内申し上げます。 

【講演内容】中国における医療機器リース
■ 中国医療機器業界の現状
■ 医療機器分類
■ 医療機器の購入フロー
■ 医療機器の購入方式
■ リースによる医療機器の導入
■ 病院による集中購買について

【講   師】呉 明憲
株式会社TNC ソリューションズ 代表取締役
拓知管理諮詢(上海)有限公司 総経理  

【日  時】2012年12月17日(月曜日)
      受付 13:40~14:00
      講義 14:00~16:30

【後  援】日中経済貿易センター

【会  場】新宿アイランドタワー20階セミナールーム
http://www.shinjuku-i-land.com/access.html

【参加費】 8,000円

【定  員】 25名

【お申込み】下記リンク先から参加申込書をダウンロードしご記入の上、開催2日前までにEメールにてお申込み下さい。定員に到達次第締め切りとさせていただきます。

【お問合せ】拓知管理諮詢(上海)有限公司 Ms陳(イライザ)
eliza@tnc-cn.com TEL :(日本)050-5806-2111 (中国)021-6270-0022

 

  TNCセミナー参加申込書(2012年12月).doc


病院長は総経理?

2012年12月05日 | 日記

 日本と中国の病院の対比で面白い記事を見つけました。

 

 日本では患者さんが病院に来ると当然「いらっしゃいませ」ではないくて「こんにちは」、帰るときは、「ありがとうございました」ではなくて、「さようなら」、これにくわえて「お大事に」。マニュアルとかそういう問題ではなくものすごくしみついた習慣だと思います。いたわる気持ちがよく表れていますよね。

 

 ひるがえって中国の病院。こんなのが紹介されていました。

 

 

 垂れ幕に書かれているのは、「热烈庆祝我院2012年住院病人突破四万人次」。その意味ですが、「当病院の入院患者延べ人数が4万人を突破したことを熱烈に祝福します」という内容です。要するにたくさん患者が来てくれてありがとうということですね。これはさすがにネット上でも評判が悪く、「病院長を総経理と名前を変えたらいいのだ」とか、「こんな垂れ幕を考えたやつこそ入院すべきだ」、「頭がおかしい」というような意見も見られました。病院もビジネスであることには違いないのですが、病を治す、命を助けるという使命が道徳的には優先されるのが一般的な考え方でしょうから、まあこれはいかんですねえ。センスがあまりにもなさすぎます。つくづく日本の応対って当たり前なのですが大したものだと思いましたね。


深圳前海金融特区における海外人民元調達

2012年12月05日 | 日記

 先月香港貿易発展局に招かれて日本でセミナーをしたのですが、その時に他のスピーカーの方(香港貿易発展局のエコノミストのエドワード・リャン氏)が深圳と珠海の真ん中あたりにある「前海」という特区のエリアについて紹介していました。金融面で結構開放的な政策がとられるとのことなのですが、最近当地の新聞でも紹介されていましたちょっとそれを紹介します。

 

 現在「前海人民幣双向貸款細則」なるものが起草されており、今月中にも公布されることになりそうだそうです。この通達名の通り人民元が双方向に貸し出しを行うことができるようになるということなのですが、つまり中国から海外へ、海外から人民元を「前海」というエリア内に対して貸し付けることができるようになるということです。これで何がいいかというと、例えば現在中国の人民元貸出基準金利は6.31%ですが、これが香港から調達できるとなると約4%での調達が可能となるのです。香港では人民元であっても基準金利は適用されませんからね。ただし、どこでもかれでもできるわけではなくて、香港の金融機関でもその資格をもらえるところとそうでないところが出てくるでしょうし、金額にも限度額が設けられ、またその貸出という行為自体の審査権限についてもその細則の中で謳われるとのことです。また、調達する企業側も申請を提出し、監督管理部門の認可を受けてから香港の銀行より借入を受けることになるだろうとのことです。

 

 外資の場合は投資総額と資本金の差額の投注差という枠の中で海外調達が認められており、「前海」であっても普通に物事が進めばその制限を受けることになると思うのですが、そもそも貸出に代表されるような資本取引の制限を緩和しようという試みであることから、「前海」に関しては投注差の枠が外されるようになると考えないとせっかくのとっくの意味がないでしょう。

 

 こういった金融特区を目の当たりにして、多くのファンド会社も設立されており。、資産管理会社もすでに十数社設立されております。10月末時点で設立の批准を受けた企業はすでに130を超えており、その多くが金融業です。

 

 細則が公布されるのが待たれますね。


店舗に配置された店員の商品知識

2012年12月04日 | 日記

 昨日上海の建材が多く集まっている宜山路というエリアに行ってきました。そして、とあるホームセンターともいうべき建物に入っていろいろと見ていたのですが、ふと和室が目に付きました。畳部屋で、障子があって、掘りごたつがあって、日本人形が飾ってあって。このご時世に内装に和室を好んで組み入れる人っているのかなあと思いつつ、ちょっと店員さんに話を聞いてみました。

 

私   「どんな人がこういうのを買うのですか」

 

店員  「収納スペースが多いのを好む人が買います」

 

私  (会話が成り立っていないと思いつつ)「どんな人が購入するのか知りたいのですが」

 

店員 (掘りごたつのスペースを指さしながら)「ここにふたをする床の上でも寝ころぶことができてとても便利です。若い人が好んで買うことが多いですね」

 

 全然会話が成り立っていないですよね。掘りごたつの足元のスペースを収納スペースと思っているかのような説明でした。本当に掘りごたつの意味を分かっているのだろうか。

 

 これはたまたまホームセンターのお話ですが、一般的に商品知識を持ち合わせない店員はかなり多いように思います。だから店員も適当な説明をする人が多いのでしょう。そしてその説明に言いくるめられて買う人。昔よりはよくなってきたかと思いますし、気持ちのいい対応をしてくれるところも増えてきているとは思いますが、場所が場所だとまだまだこういう人が多いです。


イトーヨーカ堂、店長の評価のものさし

2012年12月03日 | 日記

 日本企業の中国進出成功例としてイトーヨーカ堂が良く取り上げられます。成都にある5店舗は世界中の店舗でもトップレベルにあり、双楠店では今年の売り上げは20億元に達することが見込まれているそうです。ちなみに3000平方メートルほどのスーパーマーケットは年間4億元ほど売り上げているそうです。

 

 そんなイトーヨーカ堂に対して、とあるスーパーマーケット関係の会合で北京のあるスーパーマーケットの総裁がイトーヨーカ堂の生徒にある錦華店、高新店、春熙店の店長に、イトーヨーカ堂は店長をどのように評価しているかと質問したところ、以下の答えが返ってきました。

 

・第一に、毎年の来客数の増加率

・第二に、どれだけの中核従業員を育成したか

・第三に、売上と利益

 

 この答えを聞いてその場にいた100社近くの企業は非常に意外に感じたそうです。感覚的にわかりますよね。中国企業の場合は、売上と利益が一番最初に来るのです。中国系のスーパーはカルフールやウォルマートの評価方法を踏襲しており、とにかく売上と利益を気にします。これが正しいと思っています。ヨーカ堂の場合は、従業員が顧客にサービスを提供し、十分なサービスを提供できれば慕ってくれるようにない、来客数が増え、売り上げも自然と伸びてくるという考え方です。同時に、中国となる従業員をどれだけ育成できたかにより今後の業績も左右され、こうしたことができれば売り上げも利益も上がるという考え方です。非常に理想的ですね。

 

 売上と利益を最初に見るか、結果として売上と利益があがるようにするのか、という違いですね。究極的には企業なので売り上げや利益は上げていかないといけないのですが、その発想が違うということですね。国内企業からするとイトーヨーカ堂の考え方は理解できたとしても回り道に感じてしまうのでしょう。

 

 もう一つ質問があり、店長はどうしてそんなに長くイトーヨーカ堂で働き続けているのかという質問に対して、「我々の給料は決して高くないし、国内企業の店長よりも低いくらいだ。ヘッドハンティングの電話もよくかかってくるが、私たちの上司は非常に優秀で、非常に魅力がある。だからこの会社で働き続けたいと思う。」と答えました。いやあ、いい上司に恵まれてますねえ。中国人は人についていくの典型的な答えですね。日本の場合は同じ会社で働き続けるいわゆる終身雇用的な考え方がまだまだあるのに対して、中国の場合は転職なんて当たり前の世界、そんな中で同業からもっといい条件で誘われたら普通その話に乗っかってしまうと思います。そうさせないところに上司の魅力もそうですが、会社としての魅力もあるのでしょう。

 

 一般的には小売業は立地が非常に大事で、その立地にどのような人が来て、そのような人たちに何を打っていくのか、これらを突き詰めていく必要があるのですが、このレベルになるとこの辺りはもう当たり前になっているのでしょう。現地化を推進していることもこの辺りを後押しする要因になっているのでしょう。また、イトーヨーカ堂の店長が言う「上司の魅力」が最も理想的で、最も難しいことだと思います。ここまで持っていくまでには結構な苦労があったかと思いますが、それを乗り越えて今があるといえますね。成都の評判はよく聞こえてくるのですが、北京はどうなんでしょうねえ。