呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国の不動産価格が下がらない19の理由

2013年07月31日 | 日記

 ネットサーフィンしていたところ「不動産が下がらない19の理由」という記事を見つけました。中国の不動産が高騰しているというのはずっと前から言われており、それを抑えるべく政策を出すとその直後は下がったりするのですが、気つくとまた戻っているという印象があります。個人的には建物のレベルも高くないですし、場所代の要素が多いかと思うのですが、それにしてもなかなか下がりません。で、その理由が19あるということなので、ちょっと羅列してみました。

 

1.都市化過程が不動産価格を引き上げ

 

2.中国の都市が大々的に取り壊しては大々的に建設をする高速発展期にある  

 

3.経済発展は不動産と不可分  

 

4.不動産は地方財政の主要収入の出所となってしまっている

 

5.贅沢消費がすさまじい勢いで起こり、不動産価格の上昇を助長   

 

6.不動産価格の急上昇をコントロールしているだけで、押し下げようとしているのではない    

 

7.インフレが予想よりも大きく、不動産価格の上昇を先導    

 

8.地下の急上昇が不動産価格の高騰を促進    

 

9.建材価格の上昇が不動産価格上昇に一役買っている   

 

10.住宅はもとの価値を保持する、あるいは価値を高めるのに最も良い投資である    

 

11.「住宅があって初めて家庭がある」という伝統守旧思想が不動産価格上昇を促進    

 

12.女性は不動産価格上昇の共犯者(11と同じくおそら女性が家を持たない男性と結婚したがらないことかと)     

 

13.メディアはちょっとしたことがあれば大げさに騒ぎ立て(これはちとよくわからん)    

 

14.政府の不作為により不動産価格上昇  

 

15.経済の高速発展により、享受意識が増加し、不動産居住期間の短縮化と市場ニーズ空間の拡大をもたらした   

 

16.腐敗に伴うニーズが不動産価格を引き上げ    

 

17.ディベロッパーが値下げすることはありえない    

 

18.不動産を持つ庶民が不動産価格上昇を支持   

 

19.メディアによる支持。  

 

 まあ、一つ一つを見るとなるほどなあと思わされますし、これらが理由だといつまでも上がり続けてしまうではないかということになりますが、さすがにここまで来てしまっているので、さらなる飛躍的な値上がりというのは普通であれば考えにくいとは思うのですが、さあどうでしょうか。行きつくところに行きついていると思い続けて何年もたってしまってるんですよねえ。


人民元貸出金利の下限が撤廃

2013年07月24日 | 日記

 既に日本のメディアでも報道されていますが、中国の銀行貸し出しにおいて設けられていた基準金利の0.7倍という下限が撤廃されることになりました。しかし、貸出金利の下限が撤廃されたからと言ってすべての企業がその恩恵にあずかれるわけではありません。当然信用力のある企業のみが恩恵にあずかれると考えるべきでしょうし、そもそもこれまでの状況を見ると、基準金利以下で借入ができている企業は10%にも満たない状況にあります。それに銀行の調達金利から見てもそもそも基準金利の70%で貸出しても儲かないでしょう。そう見ていくと、下限撤廃政策が浸透するまでは銀行経営の観点から見ても少なくとも短期的には影響はそれほど大きくならないのではないかと思います。そもそも6月に流動性危機下表面化したばかりで金利を下げてまでじゃんじゃん貸出するということが考えがたいです。

 

 中小企業の資金調達が容易になるという見方もあるようですが、金利はそもそも会社の信用度や借入の性質に応じて変動すべきものであり、貸出金利の下限撤廃によって中小企業の調達力が上がることに直結することは考えにくいと思います。信用力が劣るところに対して金魏の下限撤廃なんて関係ないですよね。信用力の劣るところに貸すのであればむしろ金利を高くとるべきですから。民間金融で行われていたみたいに10%と20%で銀行が貸出のであれば確かに中小企業の銀行からの調達も容易になるかもしれませんが、そういう動きに走っていくようにも思えません。中小企業の資金調達を容易にすることが目的であれば金利ではなく貸出枠の方御調整すべきでしょう。貸出金利下限撤廃は徐々に自由化が進んでいくという動きの単なる通過点と考えるべきかと思います。


製靴業が中国から東南アジアへシフト中

2013年07月23日 | 日記

 下のイラストをご覧ください。中国の靴の生産高は年間130億足あり、そのうち100億足が輸出、30億足が国内向けという内訳になっています。

 

 

 ところが、輸出の伸び率の勢いが落ちてきており、6月にはわずか1.4%の伸びを示しているにすぎません。2008年以降、東南アジアが中国の注文の30%を奪っていったと言われています。

 

 

 東南アジアにシフトしていった要因は色々ありますが、言うまでもなく人件費コストによる部分は大きな要素となっており、人民元高も要因であります。下の図をご覧ください。2003年から10年間で製靴業の労働者の人件費が3.5倍になっており、また人民元と米ドルのレートも30%も元高にふれています。

 

 

 中国と東南アジアの人件費の比較です。中国の東部沿岸部の人件費500米ドルに対して、インドネシアが300米ドル、ベトナムが250米ドル、明らかに東南アジアに優位性があります。

 

 

 既述のように、東南アジアは中国から30%の注文を奪っていきましたが、台湾宝成集団の中国、インドネシア、ベトナムの生産ラインの数をご覧ください。中国が減少しているのに対して、インドネシア、ベトナムとも上昇しています。

 

 

 

 日本で靴を購入する時にいちいちどこの国で生産したかを見ていませんが、今たまたまはいている日本で購入した二足の靴を見ましたところいずれも中国産でした。香港企業や台湾企業は動きが速いと言われますが、靴に関して既に東南アジアシフトの動きが見られていることがわかります。業界によってスピードは違うかと思いますが、香港企業や台湾企業がどのような動きをしているかというのは非常に参考になるかと思います。


中国地場企業の工場めぐり~続き~

2013年07月19日 | 日記

 昨日は合肥まで行ってきました。もちろん新幹線です。

 

 上海駅の様子。時間が早いこともあってそれほど人は多くないか。

   

 

 現地でどれくらい時間を使うかをあまり予想できていなかったため帰り際に復路のチケットを購入しようと思っていたのですが、切符売り場の余りの人の多さにたじろぎ、前もって購入することにしました。

  

 自動券売機があるんだからそっちで買ってくれよ!ちなみに中国本土人以外は自動券売機で購入することができず、窓口で購入しないといけないため毎回こういう思いをします。南方ではパスポートを使って切符を購入できる自動券売機もありますが、この地域ではそれがありません。

 

   

 駅前の様子。まあ、地方の大都市ですね。

 

  

 現地到着。ちなみにオフィス代は無料だそうです。たくさん税金を納めているからでしょうとのお話。

 

  

 打ち合わせが終了して合肥駅へ戻りました。相変わらずの黒山の人だかりです。

 一つ驚いたことがあるのですが、合肥から上海に戻るチケットが私の乗りたい時刻(午後4時半)にはもう指定席が売り切れており、午後7時までないと言われました。以前の中国であればそこで終わっていたと思うのですが、意外なことに窓口の方が南京で乗り換えになるけど、それならば指定席を購入できるというアドバイス。気が利くじゃないですか!  

 

 南京到着。空港張りの規模の駅と言っていいでしょう。巨大です。

    

 

 さて、工場との打ち合わせですが、生産は別の工場で行っているとのことから現場の様子を見ることができなかったのは残念でした。ただ、一つ感じたのは今までいくつか見た工場の中では話している内容が細やかな点にまで及んでいたなあということです。他の工場では話題にならなかった部分の寸法や材質の組み合わせなんかのアイデアもいただき、なかなかレベルが高いなあと思いました。なんでも以前は輸出をメインにやっていたのですが、2年前くらいから国内需要が増えてきて一気に売上高が5倍にまで増えたそうです。中国企業ですから当たり前なのでしょうが、やはり内販ってものすごく規模が取れるんですね。

 

 いくつか工場を周ってほかに印象に残ったことは迎えに来てくれた車がいずれも高級車だったこと。もちろんそれなりの企業を見繕ったとはいえちょっと辺鄙なところにある企業が中心でしたから、車で迎えに来るといってもごくごく普通の車をイメージしていたのですが、みんなBMWやアウディ、儲かってるんですねえ。

 

 こういったサプライヤー探しもなかなか楽しい仕事です。この仕事にはまだ続きがあり、今回訪問した企業の全てではないですがまた訪問することになりますので、その時が楽しみです。


中国地場企業の工場めぐり

2013年07月17日 | 日記

 ここ最近ずっと工場めぐりをしていてなかなか記事をアップできていませんでした。

 

 さて、なぜ工場をまわっているかと言うと、とある日本企業が現在調達している製品の価格を抑えたいというニーズがあり、そのお手伝いの一環として探してきた中国企業を依頼主と一緒に回っているのであります。その製品に対しては素人ではありますが、見比べた場合にどちらがいいかくらいは分かりますね。もちろん、依頼主の手配した専門家も一緒にいるので、そのあたりは私の完成ではなくちゃんと専門家委の目で見た判断が行われるのであります。蘇州、南通、上海とまわり、明日安徽省の合肥にも行ってきますが、ここではまだ行っていない合肥以外の様子を紹介します。なお、工場を見せてくれたところとそうでないところがありましたが、工場を見れなかったところというのは接客のためのオフィスを地理的に便利なところにおいており、そこを訪問したことによります。説明を聞いたりサンプルを見てこれは行けそうだとなったら見れなかった工場にもそのうち行くことになります。

 

 工場の内部です。まあ、こんなもんでしょうか。

  

 

 10年以上前に日本の工場を見学したことがありますが、やはり日本の工場の方がきっちりしている印象があります。

 

 次は、道に迷って迎えに来てもらうまでの間待っていた場所。かなり田舎です。

  

 

 うだるような暑さだったのでスーパーの中に避難です。

  

 この商品の並べ方にノスタルジーを感じます。

 

 そして工場に到着です。

  

  

 まあまあといったところでしょうか。

 

 

 目を引いたのがこれ、従業員寮・食堂です。新築ということもあってかなり見栄えが良かったです。

 

 今日は上海です。

 

 この場所はじめていきました。なんでもこの近くにあるマンションは平米あたり2万元を超えているそうです。こんなに離れたところでこの値段、驚きました。

 

 さて、まだ明日があるのですが、全体的な印象としてはあまりにも当たり前の話ですが、輸出向けにやっているところの方が品質が良さげです。工場だけを見た場合、中国国内向けにほとんど特化している工場が最も規模が大きく、立派に見えたのですが、品質的にはやあり劣っているように思われました。たぶん中国国内向けは海外向け程品質要求が高くなく、しかし数はたくさんはけるので売り上げはそこそこ稼げる、そういうことなのではないかと思われました。しかし、中国国内に特化しているところも海外向けに本気で取り組めば結構怖い存在になるのではないかと思います。海外取引をあまりやっていない、あるいはあまりできていないのは、その裏返しとして中国国内のビジネスで十分に儲かっており、海外にまで手を広げようというモチベーションがわかないというところに原因があるのではないかと思います。そういう会社なのでおそらくキャッシュリッチな会社なのではないかと思います。そう考えると会社としてはもっといい動きができるのではないかという意味でもったいないことをしているなあと思いました。おそらく日本も同じかと思いますが、日本国内で十分に儲かっていれば海外展開のモチベーションはどうしてもそれほどでもなくなるのではないでしょうか。そういう企業のモチベーションを上げるのは結構大変のように思います。でも、本当は体力のあるうちにいろんなことをやっておいた方がいいでしょうね。


上海のコンビニの家電回収サービス

2013年07月12日 | 日記

 私も利用したことがあるのですが、不要な家電を処分する場合小区(日本でいう団地のような物)の入り口の近くに家電回収業者がおり、その人たちに声をかけて部屋まで不要になった家電を取りに来てもらうことができます。これと同じようなサービスが上海のコンビニでスタートしました。コンビニに家電回収の予約登録をする機会があり、それに予約入力するとその時間に家電を回収する人がやってきます。この機会は既に上海のファミリーマート、ローソン、セブンイレブン等600以上のコンビニ店舗に導入されています。

 小区の入り口をうろうろしている回収業者に声をかけると単なる回収ではなく買い取ってくれます。私は一度ブラウン管テレビを引き取ってもらったことがありますが、その時は50元もらいました。そういう業者は家電のみならず、段ボール紙や紙類も買い取ってくれるのでなかなか便利な存在です。コンビニも単なる引き取りでなく買い取ってくれますので、こういう業者にとってコンビニのこのサービスはかなり脅威でしょう。

 私は気付かなかったのですが、このサービスは既に2年前から開始いていたそうです。スタートしたばかりの時はほとんど利用されていなかったこのサービス、今ではかなり浸透しているそうです。回収されるもので多いのはテレビ、その次がパソコンだそうです。

 コンビニが回収した家電は車に乗せられて運送されるのですが、この車両にはGPSシステムが搭載されており、要するに運送する人が悪いことをできないようにしています。

 さて、ユーザーからすると気になるのは従来の回収業者とコンビニとどっちが高値で買い取ってくれるのかというところかと思うのですが、中古品市場で販売できるような物であれば業者の方が高値で買い取ってくれるようですが、廃家電であれば業者よりも10-30元高値で買い取ってくれるそうです。こうなるとうさんくさい業者に引き取ってもらうという選択肢はなくなってきますよね。

 今後このサービスはさらに拡大していくそうです。日本のコンビニではこんなサービスやってないですよね?なかなか面白いところに目を付けたなあと思いました。言われてみるとなるほどと思えるこのサービス、でもなかなか気づかないものです。こういうところにビジネスチャンスというものが埋もれているものですね。今のところ上海の住まいで引き取ってもらうようなものはないのですが、一度使ってみたいなあと思いました。


赤ちゃん出産情報は手に入る

2013年07月10日 | 日記

 以前ベビー関連のリサーチを行った時に知り合った中国人から教えてもらったのですが、中国のどこの病院でいつ何人の赤ちゃんが生まれるかという情報が取れるそうで、実際にそういう情報をうまく活用してビジネスを行っているということでした。こういう情報は当然病院関係者じゃないとわからないので、病院関係者から教えてもらうことになりますが、その活用方法としては、例えば生まれたばかりの赤ちゃんに飲ませるための粉ミルクをセールスするときなんかに使われます。赤ちゃんも一度覚えてしまった粉ミルクの味をスイッチするのは結構大変らしく、この段階で入り込んでいくのが結構効果的だそうです。ところが、このような病院から情報を取る行為は禁止だという明文規定があります。そもそも通達なんかが出ていなくてもやってはいけなさそうなことですが、それでもやっている人がいるというのがこの国です。

 

 2005年に当時の衛生部がメーカが病院内で母乳代用品(要するに粉ミルクですな)のプロモーション活動を禁止するという通達を公布しており、病院及びその職員もまたそういうプロモーション活動を通じて利益を得てはならない、あるいは商品を提供してはならないと定められています。もう8年前の話ですね。私がリサーチしたのは4年くらい前だと思うのですが、現場レベルではたぶんまだおこなわれているのではないかと思います。いちおう罰則としては1000元以上3万元以下の罰金とありますが、この程度の罰金だと守ろうとしない人も少なくないと思いますね。

 

 生まれてくる赤ちゃんリストですが、医師や看護師長から10-30元程度で購入することができ、そのリストに基づいてサンプルを送付したり、病院で無料で提供したりします。外資ブランドでも行っているところがあり、口コミよりも効果ありと言われているそうです。リスト購入の対価だけでなく、そのほかにもいろいろとおカネが動くようですが、この辺りや医薬品で言われているのと同じような構造でしょうか、結構なコストがかかるようです。

 

 たぶん読者はリストを入手するというところに驚いたかと思いますが、私はリスト購入等を通じてプロモーションを行うことを禁止する通達が8年も前に公布されていることに驚いたという点で、驚きのポイントが違っているのではないかと思います。良し悪しは別として、これって情報戦ですよね。以下に情報を仕入れて、その情報に基づいて計画を立てて行動を起こす、繰り返しですが、良し悪しは別として物事を進める順序としては間違っていないですよね。こういうギリギリのところでどこまでなにができるのか、中国ビジネス、いや、海外ビジネスではキモとなる要素の一つかと思います。


2013年フォーチュントップ500

2013年07月09日 | 日記

 フォーチュントップ500が発表されました。トップがアメリカの132社、次点が中国の89社(台湾を含まず)、そして第3位に日本で62社、日本は前年比何と16社も減らしており、香港企業(4社)を除いた後の数値でも大幅に後れをとる結果に終わってしまいました。

 

 

 (2社以上リストアップされている国だけ表示)

 

 トップ100で見た場合、日本企業は10社で、これは去年より2社減少。中国企業は香港企業を除いて考えると12社で、これは前年比3社増加。トップ100でもトップ500でもついに抜かれてしまったというわけです。日中のトップ100入りした企業を見ていきましょう。

 

 

 

 

 (香港企業は除きました)

 

 ううう、日本企業の利益額が二桁に乗っているのがトヨタだけ。。。去年も書いたのですが、トップ100を見る限り、中国企業は資源系、金融系、インフラ系が中心であるのに対し、日本はメーカー系が中心であり、モノづくりという意味ではまだ中国に負けていないといえると思います。日本が誇れるとすればこの点でしょう。バブル後20年が失われようが、為替がどれだけ円安にふれようが円高にふれようが、それでもなお世界のトップクラスの国家であリ続けているということは誇ってもいいと思います。ただ、トップ100企業の利益はもうちと頑張ってもらいたいなあと思いますね。あっ、よその心配するよりも自分の会社の心配をせねば!


中国のショッピングモールから「ショッピング」が減っていく動き

2013年07月05日 | 日記

 今日は上海の小売不動産プロジェクト(ショッピングモール、百貨店、商業ブロック等の一定規模の商業物件を含む)について紹介します。

 

 DTZの統計データによりますと、上海で今年上半期に開業した小売り不動産の面積は49.2万㎡、そして下期にはなんと249.4万㎡もの小売り不動産のオープンが予定されています。下期だけで上期の5倍って、たまたまなんでしょうか。この239.4万㎡がたまたま多かったのか、それともこんなものなのか、それともやっぱり異常なのか。ちょっと見てみましょう。

 

 2000年から2013年6月末までにおいて、上海の小売り不動産の累計供給量は1091.2万㎡、そして今年下半期だけで249.4万㎡ということは、この13年半の累計供給量の23%が新たに供給されることになります。

 

 

 

 やはりこれは多すぎでしょう。

 

 では、どんな小売り不動産がこの世にあらわれてくるのかを個別にみていきましょう。まずは「月星環球港」という小売り不動産、プロジェクトの総面積が32万㎡、各フロアの売り場面積が4-5万㎡です。場所は以下の地図にあるとおり金沙江路駅のそばで、上海の大きな商圏の一つである中山公園から地下鉄で一駅の場所にあります。

 

 

 

 いま日本にいるのですが、日本に来ている間にオープンしました。上海に戻ったら見に行きます。

 

 次に香港の新鴻基の開発プロジェクトである「環貿IAPM」ですが、これの面積は12万㎡です。

 

 

 オフィシャルサイトの写真ですが、しゃれてますなあ。場所は下の地図をご覧ください。

 

 

 もともと偽物市場と言われていたシャンヤン市場の場所ですね。こんなに立派に生まれ変わるとは。

 

 いろいろとド派手にできるのはいいのですが、このマーケット、結構厳しいと見られているようです。ひとつは単純にこの手の建物が増えたこと、そしてもう一つが店舗を持つ小売業の成長率が落ちてきていることにあると言われています。実際に2012年度において、上海と北京で売上成長率が増加したのは2-3しかないそうで、大部分の売り場の売上高成長率が落ちてきているようなのです。まあさすがにマイナス成長というわけではありませんが。

 

 それともう一つ変わった動きとして、今年4-6月において上海の主要商圏プロジェクトの入居率が過去2年の平均四半期平均入居率を下回っているというデータがDTZより出されています。これに伴い賃料にも動きが出てきている模様です。上海の南京西路、南京東路、淮海路、陸家嘴、徐家匯の5つの主要商圏の平均賃料は2009年年末から上昇基調にあり、2013年第2四半期にはこれら商圏の1階の平均賃料は60.4元/㎡/日(95千円/坪/月)に達しており、もうほとんど限界の水準に来てしまっています。淮海路商圈以外の4つの主要商圏の今年第2四半期の1階の賃料の上昇率はついに下落し始め、南京東路の今年第1四半期の賃料上昇率は3.06%だったのが、第2四半期にはわずか0.16%にまで鈍ってきています。借り手としてはこの調子で進んでほしいところでしょう。

 

 賃料上昇率が鈍ってきている要因としては、単純に競争が激しいということと、小売業の成長も鈍ってきていること、そしてネット通販の存在があげられています。ネット通販が実態店舗の売り上げを食っているということですね。これに対して、小売り不動産側はネット通販の影響を受けない業種として、娯楽、サービス、飲食等の業種を増やすことで対抗しようという動きがあります。

 

 過去2年において、上海の一部のエリアで飲食・娯楽・サービスのモール空間に占める割合が30%から33%に上昇し、新たに運営を開始したモールではこれが45%にまで上昇しているケースがあるとのことです。

 

 例えば今年上半期に開業したK11購物芸術中心というところでは飲食の比率が36%、サービス業が12%、この二つの業種でほぼ半分が占められています。一部のモールでは既に飲食と娯楽(映画館、ゲームセンター、カラオケ等)で60-70%埋めようと計画しているところもあり、この他の業種だと児童教育や英語教室、この他エステといったネット通販では賄えないものを導入しようという動きです。ショッピングモールなのにショッピングの比率が減っていくとは。

 

 ショッピングモールの店舗種類のバランスが変わってきつつあるようです。店舗型のビジネスを行っているところでは戦略の見直しが必要になってくるかもしれません。


中国における水処理事業展開を考えている企業の方へ

2013年07月03日 | 日記

 とある中国系ファンドの知人から紹介された案件がありますのでここで紹介したいと思います。水処理事業です。この分野は日本で結構進んでいると思いますが、中国でこの事業を展開していくに当たり中国側と協同していくパートナー、あるいは買収してしまうというようなことを視野に入れて検討してもいいのではないかと思います。以下、その会社の紹介文です。元々は中国語なので翻訳した日本語の表現がちょっと堅苦しい点についてはご了承ください。

 


国内技術トップをゆく水システム総合ソリューション企業

 

投資注目点

・明るい業界の先行き―――総合水処理・環境保護市場のキャパシティは数百億を超え、さらに毎年10%の成長率で成長

・国家が政策を奨励―――国家戦略新興産業及び現地環境保護産業の中心企業であり、科学技術部のイノベーション基金の助成を獲得

・ぬきんでた競争優位性―――豊富な商品のラインナップ、強力なプラント設備で、新たな業務を手順よく効果的に開拓し、売上高は億元超え

・ぬきんでた価格優位―――アメリカ最新技術を吸収すると同時に、器材のR&Dや処理技術のイノベーションに力を入れ、製品のコストパフォーマンスが高い

・層の厚い技術力―――25項目を超える特許を有し、ハイテク製品が総収入の86%を占めており、有名大学との協力関係も緊密。

 

一、会社紹介

・弊社は膜技術水処理プロジェクト全体、ハイテク膜器材及び関連設備製造に従事する老舗の国家ハイテク技術企業である。

・主に高圧ボイラー、熱発電所、石油化学・冶金、科学工業及び石炭化学、電子、太陽発電および高純度材料、プリント、日用化学品、医薬、食品・飲料などの産業に対する工業純水や工業廃水の再利用処理プロジェクト及び設備を提供。技術や制御システム設計、コア装置設計といったものも含む。

・弊社は環境工事特別設計及び総請負資質を有しており、環境プロジェクトコンサルティング、設計、施工、管理の面で豊富な経験を有している。各種給水、膜技術水処理プロジェクトは1000を超え、顧客は全国各地に、またハイエンド集積装置はヨーロッパ、日本、中東などへ輸出されている。

・第一期国家級「ハイテク技術企業」として、AAA級契約遵守信用企業に認定、ISO9001を取得。2008年には品質システム認定とISO14001:2008の環境マネージメントシステムを取得。

 

二、製品と業界関連

・弊社の主要製品は軽微汚染水及び廃水の再利用処理設備、大型水処理プロジェクトシステム、統合的膜処理システムなど。

・川下のユーザーは、工業工程に必要な工業超純水や工業廃水の総合再利用処理を必要とする大型工業や生産加工企業。弊社の川下ユーザーには、多くの有名上場企業または民営トップ500が名を連ねる。

・中国の水処理環境保護業界の市場規模は既に1000億元を超え、主に上水供給、海水の淡水化、工業汚水処理などに及ぶ。

・中国経済の急速な発展と人民の生活水準の絶え間なく上昇し、水資源の総合利用及び処理に対するニーズは産業の発展を促進。

・国は政策レベルで水質汚染整備、省エネ・排出削減及び水処理循環利用を大々的に推進しており、業界に対し政策的支援と助成を明らかにしている。

・目下水システム総合整備は比較的高い業界平均利益率を有しており、国民経済システムの大部分の業界平均利潤率をお幅に上回っている。ハイテク企業は水システム総合ソリューションに着眼し、処理技術や革新設備の研究開発を独自に進めており、業界におけるシェアは高まり続けている。

 

三、将来的な利益成長点

・明確なポジショニング:弊社は水処理設備と工事を中心とする業務分野で、積極的に新規業務分野と経済的成長点を開拓している。中小プロジェクトは水処理業界のハイエンドに位置し、大型プロジェクトは技術と製品の優位性を多分に利用すると共に、積極的に製品の応用分野を開拓している。

 

・弊社は省の環境汚染整備工事特別設計認可証(水処理)及び環境汚染整備工事総請負資質証(水質汚染)を取得しており、環境保護廃水処理や生活汚水施設運営業務にも乗り出し、2013年内の廃水処理乙級設計資質の取得に力を注いでいる。

 

 

 興味をお持ちの方は是非ご一報下さい。ご連絡はこちらまで:gomeiken@tnc-cn.com


スターバックス中国1号店が閉店

2013年07月02日 | 日記

 北京にある1999年1月にオープンしたスターバックス国貿店がクローズしました。その要因として挙げられているのは賃料コストの上昇です。同店舗の年間の賃料と人件費の合計は700万元に達しているそうで、このうち賃料についてみていきますと国貿商城一期の店舗賃料は平均毎月1000元/�、つまり33元/�/日を超えているというのです。スターバックスのアジア太平洋地区の店舗当たり平均売上高は82.9万米ドル、人民元に引き直すと509万元だそうです。700万元よりはるかに少ないですね。売り上げは店舗面積にもよるのでしょうが、これはなかなか厳しい水準といえるでしょう。

 

 

 

 店舗クローズに伴い国貿はスターバックスに国貿三期の店舗スペースを新たに提供したということで、閉店ではなく移転ということにはなるのですが、場所としては全然違う性質のようです。もともとの店舗のあった位置はラグジュアリーブランドの集まる場所となり、新店舗の位置は飲食、娯楽等のスペースとなり、家賃は元々の50-60%くらいに収まるものの、今のところ人の流れは多くないとのことです。

 

 最近飲食業の新店舗の賃料は売上の15%以上を占めるケースが増えてきているようですが、これは結構厳しい水準だと言われています。もともとが6-7%くらいだったのが倍以上になっているわけですから、そりゃあしんどいでしょう。北京のちょっとした場所で100�の場所を借りて、11元/�/日とすると、この店舗は毎月の売り上げが22万元を超えて初めて賃料が売上高対比15%になります。これは厳しい。まさに大家のために働くという世界ですね。

 

 私の入居しているオフィスも契約満期になれば家賃はやっぱり上がるのかなあ。ちょっと、いや、かなりビクビクです。


本日より改正労働契約法がスタート

2013年07月01日 | 日記

 本日7月1日より改正労働契約法がスタートします。主なポイントはいくつかありますが、外商投資企業にとって最も気になるのは派遣会社を通じて派遣を受けている(実質的には雇用している)社員の取り扱いでしょう。派遣会社を通じて派遣を受ける社員は「臨時的・補助的・代替的」な職務に限定されるべきで、しかもその数が全体の一定比率以内に納めなければならないというものです。7月1日よりスタートするにもかかわらず、6月28日時点ではその比率はまだ発表されていません。メディア報道を見ているとこの比率は10%になるのではないかという見方が多いようです。

 

 さて、仮にこの10%がその通りに実行されるとすると、「臨時的・補助的・代替的」な職務に従事する派遣社員が全体の10%以内に収まっていなければならないのですが、この比率を計算するに当たり「臨時的・補助的・代替的」ではなく「補助的」のみに限定し、「臨時的・代替的」についてはこの比率の対象外とするという案があるそうです。これが仮にそうだとして、では「補助的」をどう判定すべきかという議論が出てきて、これについては起草段階におけるもっとも主流な意見が「企業が自主的に定める」というものだったようです。しかしこれだと企業が恣意的に判断することができるので、いちおう制限を設けようという考え方があり、それは労働契約法第4条にある「民主的フローで規定を定める」というものを参照することで対応しようという考え方があるようです。まあ、いずれにしてももうじき出るわけですが、気になると言えば気になりますね。

 

 派遣社員を厳しい規程を機械的に当てはめてしまうと混乱が生じることから、ちょっとした小技で対応できる、ハンドルでいうところの「あそび」の部分がいくつかあると言われています。まず一つ目ですが、既述しましたが「補助的」を企業がどう判定するかという部分です。次に、決まりができてもいきなり完全に対応することは不可能なので、猶予期間を2年くらい設けて徐々に正していくというやり方です。しかし、既に先を見越して面白い取り組みをしているところがあります。派遣社員と使用する企業との間の契約形態を変えてしまうというやり方です。

 

 派遣社員と使用する企業との間の契約形態を変えてしまう方法として、「転正」(正社員に転換)、「転外包」(アウトソーシングに転換)、「辞退」(辞めさせる)の3つの方法です。「転正」を選択する企業はごく少数だと思われます。「辞退」は荒業ですね。そして「転外包」ですが、これが面白い。とある派遣会社が経営範囲をどんどん追加して言っている例があるのですが、「自社のクライアントの業務のアウトソーシング」を経営範囲に追加して行ってるのです。つまり、同じ会社から人が派遣されるのですが、従来の「派遣」ではなく「アウトソーシング」として業務を受注するという形態をとるのです。今のところ「労務派遣」と「労務アウトソーシング」の違いについて法律上は明確になっておらず、そのあいまいな部分をついたやり方ですね。

 

 正式に通達が公布されて初めて今後どうすべきかというのが見えてきますが、すでにいろいろと考えているところもあり、しかも派遣会社が経営範囲にアウトソーシング業務を追加するという結構な変化球も見られています。今後の展開がどうなるか気になりますねえ。