呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

「専車」サービスの危機

2015年09月28日 | 日記

 中国の自家用車には使用年限の制限がありません。日本も同じかな?そして、小型タクシーーの使用年限は8年とされており、地方によってはこの制限を6年以下としてはならないとしているところもあります。これで何が影響を受けるかというと、「専車」とう名のハイヤーです。

 

 中国で配車アプリが流行しているのを知っている人も多いかと思います。一般的にはタクシーの配車が多いですが、タクシー以外でも自家用車を使ってタクシーと同じような役回りをしてくれるサービスとして「専車」というのがあるのです。

 

 さて、ここで引っかかってくるのが自動車の使用年限制限です。自家用車であれば無期限、タクシーであれば8年、ということは、自家用車を使って「専車」サービスを提供している人は、自分の持つ自家用車を営業車両に変更しなければならなくなった場合、その使用年限が8年に制限されてしまうということです。そして、実際に「専車」はその属性を営業車両にすべきだという声が上がってきており、《インターネット予約タクシー経営サービス管理暫定弁法》なる通達が公布されると言われています。そして、これに基づいて「専車」サービスを提供している自家用車が営業車両に変更しなければならない可能性が出てきます。自動車の属性変更により、使用年限以外のもう一つの問題として自動車保険の問題があります。自家用車よりも営業車両のほうが保険料が高いのです。

 

 実際に「専車」サービスを提供している車の車種は自家用車が90%以上を占めていると言われています。ということは、現在自家用車を使っている人がわざわざ使用年限が制限される営業車両に変更してまで「専車」サービスを提供し続ける人がどれだけいるだろうかという問題が出てきます。あんまりがんじがらめに制限してしまうと、「専車」は生き残れなくなってしまい、既に多くの配車サービスがあるという状況に慣れ切った消費者に対する影響も小さくないでしょう。この問題、どういう方向で決着させますかねえ。


2015年中国最低賃金一覧

2015年09月27日 | 日記

 すべてを網羅しているわけではないのですが、2015年中国最低賃金一覧なるものを見つけましたのでご紹介します。

 

 

 北京と深圳はついに2000元越えですねえ。思えば1995年に広州にいたときはその辺の人の給料はみんな800元くらいといっていたような気が。しかも1万円が800元くらいの時代。上海の最低時給が18元。これはあくまで最低なので、20元とか30元くらいは出さないといかんのでしょうねえ。

 

 毎年のように上がっている最低賃金。《最低賃金規定》という通達があり、これによりますと、各地区の最低賃金標準は2年ごとに最低1回調整しなければならないとされています。ところが、2年間最低賃金が調整されていない地区があります。黒竜江省、遼寧省、吉林省、いずれも東北の省です。黒竜江省は2012年12月1日に調整された1160元のまま、遼寧についても2013年7月1日に調整された1300元のまま、吉林についても2013年7月1にtに調整された1320元のままとなっています。上げなくてもいい環境にあるのでしょうかねえ。


2015年上半期の成都の自動車販売状況

2015年09月26日 | 日記

 成都の自動車の販売状況に関する新聞記事を見つけました。いずれも2015年上半期に関するデータです。まずは西南地区が全国に占める販売比率から見ていきましょう。

 

 

 直近だと14.10%あり、2012年以降毎年上昇しています。比率的にも結構高く、力を入れるべき地区であることは間違いないでしょう。

 

 次に、乗用車の販売トップ10です。

 翻訳するのは面倒なので割愛しますが、外資ブランドは入っていますが、日系ブランドは入っていませんね。

 

 

 次に高級車を見ていきます。

 アウディ、BMW、ベンツ、ボルボ、ランドローバー、レクサス、ポルシェ、インフィニティ、DSという順番になっています。半分が前年比マイナス、半分が前年比プラスです。母数が小さいとはいえ、日系ブランドのレクサス(+22%)とインフィニティ(+77%)は結構伸ばしています。成都の金持ち消費者が単なる見栄っ張りな買い方から実用性やより高いコストパフォーマンスを追及する方向に変わってきているという見方がされています。

 

 

 

 見栄っ張り消費から実用消費へ、この方向にどんどん進めばレクサスやインフィニティといった日系高級車は今後もどんどん伸びていくでしょう。ただし、日系ブランド車はいつおきるかわからない反日運動のときにシェアがどうしても落ちてしまうというネガティブ材料があり、そのあたりはなかなか回避できない問題ですね。


月餅チケットの換金

2015年09月24日 | 日記

 毎年中国では中秋節になるとお付き合いのある先に月餅を贈る習慣があります。お中元やお歳暮を贈るような感覚でしょうか。元々は月餅そのものを送っていたのが、いつのころからか月餅の引換チケットになり、引き換え期限が迫ってくると引換所に長蛇の列ができるというのもよく見られる光景です。並んで引き換える人もいますが、チケットそのものを換金する人もいます。要するにダフ屋相手に売ってしまうのですね。前職の時にやはりこれは習慣だから従業員にも配ろうという話がでたことがあったのですが、どうせダフ屋で換金されるに違いないと思っていた私は、そんなの現金で渡すことと変わらないので、そんなの渡すくらいだったらそのお金でみんなで夕食でも食べたほうがいいと言って、夕食会を開催したこともありました。なぜ換金されるに違いないと思っていたかというと、私自身が換金していましたから。


 そもそも中国で月餅が好きという人に会ったことがないのですが、そのあたり皆さんどうですか?つい先日もどこかで月餅が好きという中国人に会ったことがないと中国人に対して言ったところ爆笑されてしまいました。きっと同じように思っていたのでしょう。


 ダフ屋は普段OKカード、或は斯玛特と呼ばれる金券カードを仕入販売しており、額面100元を97元で仕入れて、98元とか99元で販売するよなことをしているようです。金券ショップの代わりを担っていると言えます。あまりにも粗利が低いのですが、よほど回転率が高いのでしょう。ところが、月餅チケットだと仕入れと販売の差額、要するに儲けは大きく跳ね上がります。額面100元の月餅チケットを50元で仕入れて60元で販売する、つまり10元の儲けが出ます。月餅を送るのが華やかだった時代は結構儲かっていたようです。近年は贅沢禁止の流れもあり、高価な月餅が減ってきています。実際に昨年は特に高価な月餅がたくさん売れ残ってしまい、なんでも前年比半分以下しか売れなかったとか。高級月餅を販売するのは主にホテルが多いのですが、昨年の二の舞を防ぐため、今年は以前よりも安価な月餅を用意し、そして国営企業ではなく民間企業や外資企業にターゲットを絞ったこともあり、昨年よりは売り上げが20-30%ほど伸びたとのこと。

 

 月餅チケットの売り上げが伸びたとはいえ、ダフ屋のうまみはなくなっているようです。そりゃあそうですね。高価な月餅チケットがたくさん流通していた時代と、その時と比べると安い月餅チケット、且つ流通する枚数も少ないとなればおのずともうけも減ります。華やかなりしころは毎日100枚くらい月餅チケットを回収することができていたのが、今ではその10分の1くらいの人もいます。それでも街中でしばしば見かけますよね、チケット回収屋さん。

 

 皆さんは月餅チケットを実際に引き換えてますか?換金してますか?


中国越境EC取引規模2015年は5.5兆元に達する見込み

2015年09月21日 | 日記

 中国電子商務研究中心というところが発表した《2015年(上)中国電子商務市場データモニタリング報告》によりますと、2015上半期の中国越境EC取引規模は2兆元、前年同期比プラス42.8%で、中国の輸出入総額のなんと17.3%も占めています。

 

 

 

 最近越境ECがはやりなのでついこの数値で物事を考えがちですが、この数値はB2CだけではなくてB2Bも含んでいること、輸入だけでなくて輸出も含んでいることから、日本企業が言うところの越境ECについてだとB2Cの輸入の数値を見る必要があります。内訳を見ますと、輸出が全体の84.8%、輸入が全体の15.2%、B2Bが全体の91.9%、B2Cが全体の8.1%となってます。B2BとB2Cとで輸出入の構成は違うかと思いますが、そこまではわからなかったので、案分しますと、2015年度は5.5兆元×15.2%(輸入)×8.1%(B2C)なので、ざっと677億元(約1.3兆円)。うーん、結構な金額ですねえ。もちろんこれが全て日本からというわけではないです。

 

 今は確かにはやりでこれに乗っかって一儲けできるかと思うのですが、果たしていつまで続くでしょうか。この流れに乗って中国向けに販売して、越境ECブームが終わるころまでに知名度を引き上げて、その後は越境ECに頼らない売り方をする、これが理想かと思います。そのためには、商品力もつけないといけないし、売ってくれる力のある先も探さないといけません。日本に爆買いに来る中国人に買ってもらうことを通じて越境ECを通じたリピーターになってもらうことも考える必要があるでしょう。どれも難しいことではありますが、難しいからといって放っておいてもしょうがないですし、今のこの日本商材が受け入れられやすい環境をうまく使わない手はないかと思います。おそらく、今売れている商品は意図的な仕掛けで売れるようになった商品もあれば、なぜか売れてしまってる商品もあるかと思います。物事を立ち上げるというのは口で言うは易し、行うは難しですが、何がきっかけで急に売れ出すかわかりません。この生みの苦しみを何とかクリアしてステップアップにつなげてもらいたいものです。