呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

高齢化社会

2007年11月16日 | 未分類
中国の一人っ子政策というのは既にご存知かと思う、生まれてくる子供が少なくなれば当然のことながら人口の年齢別構成の中で老人人口が占める割合が高くなってくる。当然そのための対策が必要になってくる。中国では1953年より五ヵ年計画を実行しているが、現在は2006年から2010年を対象とする第十一次五カ年計画が発表されており、その中で《中国老齢事業発展「十一五」計画》というものが昨年8月に発表されている。そして、この中で老齢化の状況について説明がなされている。「十一五」期間において、中国の60歳以上の老年人口は増加し続け、2010年には1.74億人と総人口の12.78%に達し、そのうち80歳以上の高齢老年人口は2132万人に達し、これは老年人口総数の12.25%に達するという。ちょっと調べたところ日本では高齢化社会とは高齢者(65歳以上)の全人口に占める割合(高齢化率)が7%を超えた状態をいい、日本は1970年に既に突入しているとのこと。そして高齢社会とは高齢者(65歳以上)の全人口に占める割合(高齢化率)が14%を超えた状態をいい、日本は1994年にこの状態に入っているとのこと。また、中国の国家統計局の数字を見たところ2005年の時点で65歳以上の人口は既に9.05%に達しており、中国もいわゆる高齢化社会に入っていることがわかる。また、同計画では老齢化のピークは2030年に到来すると予測しており、あと20年余りでその時期が来てしまうことになる。遅くともそれまでには高齢化社会対策を間に合わせたいところだろう。それにあたり、「十一五」期間において老年社会保障基金を調達したり、老齢政策法規体系を整備したり、老人達の生活のためのインフラを建設したり、あるいは老年用品市場を整備したりといったことを行うとしている。
 
  老人向けの社会保障ということでいえば同計画の中で養老保障、医療保障、社会救助、社会福利といったものが取り上げられているが、これだけの高齢化ということで騒がれているのであれば今後はシルバービジネスの展開というのも考えられるだろう。同計画の中でも老齢産業について触れており、老齢産業に対する税制、貸付、投資等における優遇政策によるサポートを通じて、外資も含めて発展を奨励している。
 
  ここで少し気になったのが老人ホームに対するニーズがどのくらいあるのかである。中国の場合、子が親の面倒をとことん見るイメージをお持ちの方も多いと思う。中華人民共和国憲法第49条でも「父母や未成年子女を扶養教育する義務があり、成年子女は父母を扶養扶助する義務を有する」とある。これもあって、中国では親に老人ホームで生活してもらうことに対して抵抗があるかと思いきや、周りに聞いたところ以前ほどではなくなってきたという。ためしにスタッフに上海の老人ホームについて調べてもらったのが以下の結果である。なお、これは本格的な調査ではなくあくまで簡易的な調査であることをご了解願いたい。
 
 
設備
部屋
費用
建築面積1,443㎡、お年寄りに無理のない施設、医務室、リハビリ室、娯楽室など完備
 
2000 年 1 月設立。 14 部屋56ベッド、ホテル式施設と医療管理設備あり。
60歳以上の老人を対象。
2人部屋800元/月。
別途一級看護費1300元。
6階には観賞テレビ、映画、100平方メートルをほこる花園などでのリラクゼーションおよび会話やすばらしい眺めをたのしむことができる。医務室、娯楽室、マッサージ室、閲覧室など、お年寄りに医療、文化面のサービスを提供。
 
6階建アパート内には、30部屋80ベッド、2人部屋、3人部屋。カラーテレビ、空調、電話、緊急電話など完備。
60歳から80歳の老人を対象。三級看護。部屋:北向きベランダ付1100元、南向きベランダ付1200元。
建築面積15,939㎡。娯楽室等の設備あり。
150ベッド完備。部屋にはカラーテレビ、電話、空調、緊急電話あり。
80歳以上を対象。1000-1700元。部屋は3人部屋以上のみ。 
 
1998年2月スタート。500人余りの老人を収容。大多数が痴呆症および(脳萎縮)患者で全体の約90%を占める。
 
4人部屋。
4人部屋450元/月 全护理450元
美容室、公共トイレ、浴室、娯楽室、医務室、レストラン、コインランドリー、エレベーター、内部施設完備。
建築面積1310.6平方メートル。老人施設の部屋は全部屋南向きでそのうちVIP個人部屋が3部屋、2人部屋が24部屋。(6部屋が障害者用)、共同相部屋が2部屋。
 
委託管理費用:800 元/月;
看護費用:
三級看護:150元/月
二級看護:300元/月
一級看護:500元/月
専門看護:応相談。
 
 ウェブサイトの閲覧と簡単な問い合わせだけによる調査なので、実際のレベルは良くわからないが、絶対的な費用としてはかなり安い。ただし、費用に応じたレベルなのかもしれない。上海のような大都市では所得水準も上がってきているので、ひょっとすると本当のお金持ちは老人ホームなど必要がなく、逆にそうでない人たちにとっては老人ホームが必要ながら、以上のような費用体系ではひょっとすると決して安くないのかもしれない。本格的に調べてみると面白いかもしれない。今回は高齢化社会及び老人ホームについて簡単に調べてみた。日頃関心のない話題かもしれないがつらつらと書いてみた。また今度他の業界についても調べてみようと思う。



気の緩みには気をつけよう

2007年11月12日 | 未分類
旅行に出ると気持ちが浮ついて日頃ではありえないような行動をつい取ってしまうということはないだろうか。旅行であるならばまだわかるが、中国ビジネスにも同じようなことを何度か見聞きしたことがある。どういうことかというと、日本では非常にしっかりとビジネスを行っているような人が、こと中国進出の際に日本ではありえないような判断を行うことが見られるケースがある。例えば、土地使用権の購入でみられるのは購入までのフローを理解しないまま、あるいは理解しているものの相手がしきりに大丈夫だからというのを信じて購入し、結局正当な手続きを経ていない土地をつかまされるようなケースがある。その他では特にサービス業で見られるのだが、中国が外資に対して年々開放してきているとは言うものの今のところ何でもかんでも開放しているわけではない。それを知らず何でもできると言われて拠点を設立してしまったものの、つまり進出という目的こそ達したものの結局本来の目的を達成できないケースもみられる。その他には進出までは特に問題がなく、またしばらくは問題が発生しなかったものの、後から問題が発生・発覚するようなケースもある。

  これらのケースは事前にしっかりと調査を行っていれば大半が防ぐことのできるケースである。もちろん当事者はそのような結果にいたるまで全く何も考えずに進めていたわけではないだろう。ちゃんと現地まで視察に来たうえで判断しているはずではある。しかしながら、その際に良く見られるのは間に入る問題のある人間を信頼しきってしまうケースである。他には日系企業との付き合いが全くない日本語対応のできない律師事務所(弁護士事務所)、日本語対応こそ行っているもののよくよく調べてみると悪い評判のある律師事務所に依頼してしまい物事がおかしくなってしまうケースもある。中には単に意思疎通がうまくいかないケース、本当に物事がうまくいかないだけのケースもあるだろう。しかしながら明らかに「これはやられてるな」というケースがやはり見られるのである。共通するのがなぜかあまりにも人を信用しすぎてしまうところだ。人を疑ってばかりもよくないが、よく知らない相手のことを信頼しすぎるのもやはり問題だ。まさに旅行中に気が緩んでしまうのと同じようなものではないだろうか。


またまた労働契約法について

2007年11月06日 | 未分類
  10月30日付の日記でも触れたが、華為社という会社が8年以上勤務した従業員に対して年内に自主退職させ再雇用するという動きがかなり波紋を呼んでいる。前回はそれほど細かく触れなかったが、メディア報道によるとこの会社は9月末から合計で7000名余りの満8年以上勤務した従業員の自主退職を行わせ、退職後再就職させるという方法をとったとのこと。そして、再就職後の待遇は基本的には変わらず、唯一の変化はあらためて労働契約を締結することと勤続年数のカウントをリスタートすることである。会社はこれに対して従業員に賠償金を支払い、その総額は10億元にも達するという。どうみても無固定期限労働契約を回避するための対策であろう。同社は深圳に所在している会社であるが、深圳市労働社会保障局はこの件について調査を開始しているとのことである。会社側としては色々と抗弁の理由はあるのであろうが、客観的に見て《労働契約法》対策と指摘されてもしょうがないだろうと思う。

  一方で、《労働契約法》の実施細則の初稿が既に出来上がっており、意見募集をしている最中であり、最高人民法院の《労働契約法》に対する司法解釈も近々発表されるとのことである。そしてこの中で華為社が行ったようなこのような行為に対する内容が含まれる可能性があるようである。具体的には、《労働契約法》の実施前に《労働契約法》を回避するような動きが大量に見られた場合、司法解釈では「契約解約後一年以内に再締結する場合、勤続期間は連続しているものとみなす」との見解を示す可能性があるようだ。もちろん、司法解釈が正式に発表されているわけではないため、今のところ華為社のとった行動が法的に「否」と判断されない可能性がある。しかし、司法解釈が発表され、華為社がとった行為に対して「勤続期間は連続しているものとみなす」ということなれば、多額の賠償金まで支払っておきながら目的を達することができず、一体何をしたのやらということになるだろう。ある裁判官は、「《労働契約法》実施前のこのようなやり方はやはりリスクがある」ともコメントしており、あまり無茶なことをしても結局何も得られないということになりかねない。

《労働契約法》実施に伴い、無固定期限労働契約を締結するケースが増えることが予想されるが、これはすなわち「鉄飯碗」(食いはぐれのない職業)の従業員が増えることにつながるのではないかとの見方がある。解雇される心配がないためモチベーション低い従業員が増えるのではないかという見方だ。《労働契約法》は決して「鉄飯碗」を生み出すものではない、正当な理由があれば企業は従業員との契約を解除できるとのコメントも見られるが、企業がこれだけ無固定期限労働契約を恐れるのもいざ従業員と紛争が生じた場合に来企業側が負けてしまう比率が高すぎることにあると思う。データによると上海市労働争議仲裁委員会の2006年度の受理数は28,689件にのぼり、そのうち、外商投資企業に掛かる案件数は5,000件あまりで、前年度に比べ、24%の増加となっている。そして2006年度に審理が終了した2万件あまりの中で労働者が勝訴または一部勝訴したものが87%に達し、外資系企業に掛かる案件では、労働者の勝訴または一部勝訴は84%にも達している。この極端な状況が変わらない限り、企業はこれからも「鉄飯碗」を恐れ続け、《労働契約法》実施後も極端な行動をとる企業が今後も出てくるのではないだろうか。



休日の過ごし方

2007年11月04日 | 未分類
皆さんは休日をどのように過ごしているだろうか。私の休日の過ごし方であるが、そのときの仕事の手持ち状況にもより左右されるが、そんな中でもほぼ欠かさず行っていることがある。週に一度空手の練習を行っているのだ。そして今日はその空手の練習日である。やっていることはキックボクシングに近いかもしれないが、私のバックボーンが空手であるし、参加している人たちも過去に空手を練習していた人が多いので空手でいいだろう。他にはボクシング経験者もいれば、全くの初心者の人もいる。当初のメンバーは二人でスタートしたが、現在では7名まだ増えてきた(全員揃ったことはないのだが)。

 この年で体を動かすということなのであまり無茶な練習はしていないはずなのだが、初めて参加する人にとっては結構きついようである。中山公園内のスポーツジムで練習しているのであるが、毎回の練習メニューはジム内にある器具を使ったマシントレーニングを行い、それからサンドバッグやミット打ち、そして最後の仕上げはスパーリングである。とにかくこの練習が楽しくてしょうがない。そして練習後は練習仲間と一緒にいつも決まった店で昼食を取りながら真面目な話からバカ話までしながら過ごすのである。そして心地よい疲労感を感じつつ翌日の仕事を迎えるのである。たまに打たれすぎて首が痛くなったりすることもあるが、多分明日は大丈夫だろう。