呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

同業者の撤退はさびしい

2013年05月29日 | 日記

 とある日系のコンサルティング会社が中国から撤退するという話を聞きました。同業者として非常にさびしく思います。ただ、日系のコンサルティング会社が撤退するというのは別にそれほど珍しいことでもなく、撤退するケースにおいては共通点があると思います。

 

 そもそも日系のコンサルティング会社が中国でうまくやっていくためには二つのパターンしかないと思っております。一つは現地にリソースをかなり投入して、単体でも様々な活動をできるだけの所帯にするというパターンです。実態を知っているわけではありませんが、野村総研あたりはかなりの所帯でやっているので、そのようにやっているのではないかという印象があります。かなりの所帯を持ちつつ日本本社との連携も取れているのだと思います。もう一つのパターンですが、日本本社と現地法人ががっちりと連携してコンサルティングを行うというパターンです。コンサルティング会社は特に設備投資が必要なわけでもなく、サービスを生み出す「人」が設備であり資源のようなものですから、これをいかに活かしていくのかに尽きると思います。日系企業は「小さく生んで大きく育てる」という言い方がよくされるように、まずは小規模で進出して、徐々に規模を大きくしていこうという考え方で進めようとします。当然小規模で進出しているのであれば日本本社と連携してやっていかなければ効率的な活動もできないでしょう。特に日系企業の場合は権限が大きくなく、あるいは自分で決めることをためらうのか、本社決裁が必要なケースが少なくありません。しかしながら、コンサルティング会社の場合本社と現地法人の連携が取れていないケースがかなり多いように思います。日本で中国案件を受注したとして、第三者的に見ますと子会社の現地法人を活用してコンサルティングを一緒になって提供すればいいように思うのですが、往々にして見られるのは日本で受注した案件は現地法人と全く協同することなく日本本社だけで完結させようというやり方です。日本ではなくて外国のビジネスに関するコンサルティングですから、当然現地のことをわかっていないといけないですし、現地にいる人を活用すべきでしょう。もちろん、発展途上国あたりになりますと拠点を出していないですから自社の子会社を使ってと言うわけにはいきませんが、中国であれば子会社を持っているコンサルティング会社は少なくないので、せっかくあるのだから活用しようというのが普通の考え方かと思います。ところが不思議なことにせっかくの現地子会社が完全に視界に入っていないというか、完全に蚊帳の外になっているケースが少なくありません。確かに、日本本社でも中国人を採用しているから、現地感覚はその中国人に任せればいいという理屈もあるでしょう。しかし、中国人でも日本に住みついていれば中国に住んでいる中国人との間隔外れてきているでしょうし、むしろ中国に住んでいる日本人の方がそのあたりの感覚を持っていることも多いです。結局現地の感覚がわからないまま、あるいは現地のルールもあまりわからないまま、特に日本人のみで進めてしまう場合は日本語の資料、要するに二次資料ですね、二次資料に頼って調べ物をすることになります。これは結構危険です。例えば、今年は2013年ですが、2012年あたりに出版された書籍は新しい方に入るでしょう。ただし、2012年に出版された書籍であれば2011年から2012年あたりの内容になるでしょうから、1-2年遅れた情報と言えます。特に近年の中国の動きは速いですから、2年もたてば結構変わってしまっていることもあります。特に法務・税務等の制度関係についてはかなり変わってしまっていることも十分にあり、それを書籍だけで片づけようとするのはかなり危険でしょう。このあたりは現地に拠点を設けているのであれば積極的に活用すべきと思うのですが、なぜかそれをしないんですよねえ。不思議です。結局、現地法人を設立したはいいものの、それをどのように活用するかという視点が全くないまま時間だけが立っていくわけです。普通のサラリーマンと違ってコンサルタントは一匹狼みたいなものだといいますが、だからといって会社としてそれなりにお金をかけて作った現地法人を無視してまでコンサルタントに好き放題にさせるのもいかがなものかと思います。会社としてそのあたりあまり考えずに現地法人だけを作ってしまったのであればそれはそれで問題でしょう。ではコンサルティング概査のこんな状況が変わっていくのかというと、感覚的にはあまり変わらないのではないかなあと思います。カタカナビジネスで一見先進的なのですが、こういった変化に対してはなぜか遅れている業界という印象です。

 

 私の場合は野村総研のような大きな所帯ではもちろんないのですが、いちおうは小さいながらも日本と中国と両方に拠点を持ち、資源はほとんど中国においていますので、日本発というよりは中国発ではありますが、いちおうは一体となっていやっています。だからといって今すごく潤っているかというとそういうわけではないのですが、少なくとも日本発、現地拠点活用せずというところよりはいいものが出せるのではないかと思っております。たぶんこの辺りの感覚は私のような個人企業でやっているコンサル会社を運営している人であればわかるのではないかと思います。

 

 要は何が言いたいかというと、そこそこ知名度のあるコンサルティング会社が撤退する、さびしい気持ちになった、なんでそうなってしまうのだろう、コンサルティング会社が撤退するパターンって決まってるなあ、決まっているけど当分変わりそうな感じもしないなあ、おんなじことが今後も繰り返されるのかなあ、とふと思ったことをつらつらと書きました。


中国の保険会社の業績

2013年05月28日 | 日記

 保険収入の伸びが緩やかになると同時に、資産減損等の要素も重なり、2012年の4つの上場保険会社の収入や利益の増加率が下落、あるいはマイナスとなったのですが、一方で人件費は上昇しており、平均で20%以上も上昇しています。

 

 まず営業収入と純利益から見ていきましょう。

 

 営業収入はどこも伸びていますが、平安保険を除けば伸びが弱いように思います。そして、純利益に関しては太平洋保険や人寿保険は大きくマイナスとなっています。収入が伸びているのに利益が減っているんですね。

 

 次に、指摘されている人件費についてみていきましょう。

 冒頭に人件費が平均で20%以上も伸びていると書きましたが、この表を見る限りそこまでは伸びていません。新聞記事から引っ張ってきているのですが、このあたり記述がいい加減です。それと、一人当たり平均報酬(右側)の単位が百万元となっていますが、これはどう考えても元が正しいでしょう。一人当たり平均報酬は11万元強といったところですね。賞与の存在を全く無視するとだいたい1か月平均1万元くらいになります。これはあくまで全体平均なので、まあこんなもんなんでしょう。

 

 さて、時々批判されるこれら保険会社のトップの人たちの収入です。これは単位は万元かな。

 なんか中国人寿だけが突出して低いです。平安保険のトップが989万元、約1.7億円になりますが、今の日本の金融業界でこれだけもらっている経営層の人はどれくらいいるのでしょうか。バブル後にかなり下がりその後どこまで復活したかによるのですが、ここまでもらっている人はあまりいないのではないかと思います。個人的にはこれくらいもらっていたとしても全然OKだと思います。その国のトップ企業であり、世界的に見ても上位に入る企業ですから。


2013年中国大学法学ランキング

2013年05月27日 | 日記

 武書連というところがが毎年発表している中国大学ランキングです。ここでは法学ランキング(B級以上。B+級以下は順不同)を紹介しますが、法学には法学、政治学、社会学、民族学、マルクス主義理論、公安学等が含まれます。

 

 国務院学位弁公室が2010年に発表した統計データによりますと、中国の大学が授与する法学学士は学士総数の4.42%を占め、法学修士は修士総数の7.69%、法学博士は博士総数の5.05%を占めています。また、各大学が発表している博士課程の大学生の指導教授の資料統計によりますと、全国の大学40110名の博士課程の指導教員の内、1639名が法学の指導教授で、指導教授総数の5.65%を占めています。

 

    

    

 


2013中国大学工学ランキング

2013年05月27日 | 日記

 武書連というところが毎年発表している中国の大学ランキングです。ここでは工学ランキング(B級以上。B+級以下は順不同)を紹介しますが、工学には力学、機械、計器、材料、エネルギー動力、電気、電子情報、自動化、コンピューター、土木、水利、測量・製図、化学工業と製薬、地質、鉱業、紡織、軽工業、交通運輸、海洋工程、航空航天、兵器、核工程、農業工程、林業工程、環境科学と工程、生物医学工程、食品科学と工程、建築、安全科学と工程、生物工程、公安技術等が含まれます。

 

 国務院学位弁公室が2010年に発表した統計データによりますと、中国の大学が授与する工学学士は学士総数の31.39%を占め、工学修士は修士総数の36.03%、工学博士は博士総数の36.43%を占めています。また、各大学が発表している博士課程の大学生の指導教授の資料統計によりますと、全国の大学40110名の博士課程の指導教員の内、15945名が工学の指導教授で、指導教授総数の39.75%を占めており、各学科での第1位となっています。

 

    

    

   


2013中国大学理学ランキング

2013年05月27日 | 日記

 武書連というところが毎年発表している中国の大学ランキングです。ここでは理学ランキング(B級以上。B+級以下は順不同)を紹介しますが、理学には数学、物理学、化学、天文学、地理科学、大気科学、海洋科学、地球物理学、地質学、生物科学、心理学、統計学等が含まれます。

 国務院学位弁公室が2010年に発表した統計データによりますと、中国の大学が授与する理学学士は学士総数の10.39%を占め,理学修士は修士総数の20.15%、理学博士は博士総数の20.15%を占めています。また、各大学が発表している博士課程の大学生の指導教授の資料統計によりますと、全国の大学40110名の博士課程の指導教員の内、7340名が理学の指導教授で、指導教授総数の18.30%を占めており、その次に工学が第二位となっています。

 

    

   

 


2013中国大学管理学ランキング

2013年05月27日 | 日記

 武書連というところがが毎年発表している中国大学ランキングです。ここでは管理学ランキング(B級以上。B+級以下は順不同)を紹介しますが、管理学には管理科学と工程、交渉管理、農業経済管理、公共管理、図書情報と档案管理、物流管理と工程等が含まれます。

 

 国務院学位弁公室が2010年に発表した統計データによりますと、中国の大学が授与する管理学学士は学士総数の16.64%を占め、管理学修士は修士総数の9.38%、管理学博士は博士総数の7.81%を占めています。また、各大学が発表している博士課程の大学生の指導教授の資料統計によりますと、全国の大学40110名の博士課程の指導教員の内、2257名が管理学の指導教授で、指導教授総数の5.65%を占めています。

 

    

    

   


2013中国大学経済学ランキング

2013年05月27日 | 日記

 武書連というところがが毎年発表している中国大学ランキングです。ここでは経済学ランキング(B級以上。B+級以下は順不同)を紹介しますが、経済学には経済学、財政学、金融学、経済と貿易が含まれます。

 

 国務院学位弁公室が2010年に発表した統計データによりますと、中国の大学が授与する経済学学士は学士総数の6.1%を占め、経済学修士は修士総数の5.42%、経済学博士は博士総数の4.96%を占めています。また、各大学が発表している博士課程の大学生の指導教授の資料統計によりますと、全国の大学40110名の博士課程の指導教員の内、1401名が経済学の指導教授で、指導教授総数の3.49%を占めています。

 

   

    

 


(6/12東京)TNC中国セミナー「これからの中国ビジネス」

2013年05月24日 | 日記

 久しぶりに東京でセミナーを開催します。ギリギリに手配したのでいつもの午後の時間にセミナールームを押さえることができなかったため、いつもと違って今回は午前に行います。いつもはメールで配信して案内しているのですが、どうもうまく配信できず、まずはブログで案内します。メールでの案内は週末に改めてトライします。時期的に迫ってますが、集客はまあ大丈夫でしょう。では、以下案内文です。

 

 昨年再燃した日中間の政治問題を機に日系企業は少なからずの影響を受けました。最近でこそ持ちなおしてきていますが、その時期においては大きく売り上げを落とした企業もあります。その時期には中国から撤退すべきという論調が見られ、中国事業見直し方針を打ち出す企業も多く表れました。しかし、中には安易に中国事業を放棄すべきでないと考える企業もあり、中国の現場で活動している人たちはよりその気持ちが強かったことは間違いありません。その後は死豚の投棄や鳥インフルエンザの発生等もあり、中国市場に対するネガティブな見方は続いています。日本のメディアでもこれらの問題を含むネガティブな報道を行うことで、日本の中国に対する印象もネガティブになり、日本人の対中国好感度も低下し、そして中国に在住する駐在員も減少しつつあります。

 

 現象面としては以上のようなマイナス面の動きが見られますが、中国在住の駐在員はそこまで否定的な考え方を持っておらず、日本の報道を中心に目にしている人たちとの間で温度差があることは否定できません。実際に現場では違う動きも見られます。積極的に日系企業を誘致する工業開発区も少なくないですし、中国事業に対して積極姿勢を見せる日本企業も多くあります。

 

 そこで今回のセミナーでは日中間の政治問題が発生して以降から今までの間の状況を振り返り、そして現在中国ではどのような動きが起こっているかについて紹介することを通じて、今後の中国事業運営にご参考いただくことを考えています。

 

ご多用とは存じますが、多数ご参加賜りますようご案内申し上げます。 

 

【講演内容】これからの中国ビジネス

■ 反日を振り返る

 ・政治問題再燃時のビジネスの現場の状況

 ・日中政治問題再燃以降の日本関連報道の変遷

 ・日系企業が受けた影響

 ■ 現在の日系企業の現場の状況

■ 一連の騒動から見る中国の本質

■ いま日本企業が行うべきこと

 

【講   師】呉 明憲

株式会社TNC ソリューションズ 代表取締役

拓知管理諮詢(上海)有限公司 総経理  

 

【日   時】2013年6月12日(水曜日)

      受付 9:00~9:20

      講義 9:20~11:30

 

【主  催】株式会社TNC ソリューションズ/拓知管理諮詢(上海)有限公司 

【後  援】日中経済貿易センター

【会   場】新宿アイランドタワー20階セミナールーム

http://www.shinjuku-i-land.com/access.html

 

【参加費】 事前入金6,000円/当日支払7,000円 (顧問契約先は半額)

お申込みいただいたのちに口座番号をご連絡申し上げます

 

【定  員】 25名

 

【お申込み】下記参加申込書にご記入の上、開催2日前までにEメールにてお申込み下さい。定員に到達次第締め切りとさせていただきます。

 

【お問合せ】拓知管理諮詢(上海)有限公司 Ms陳(イライザ)

eliza@tnc-cn.com TEL :(日本)050-5806-2111 (中国)021-6270-0022 

 

 セミナー申込書(ここをクリック!)


日中広告宣伝費比較 ~乳業企業~

2013年05月21日 | 日記

 国によってビジネスのスタイルというのは異なります。わかりやすい例で言えば中国の小売業は粗利率は日本のそれと比べると極めて低いのですが、それを入場料等のその他のサプライヤーから徴収する費用で埋め合わせているというのが一つの例です。このほかだと、家賃比率が高いということも上げられるかと思います。特に中国の飲食業は家賃負担が大きすぎて利益を上げることのできているのは1割くらいしかないとも言われています。そして新聞で見て面白いと思い、また以前も気づいたことがあったのですが、広告宣伝費についてみていこうと思います。

 

 たまたま現地の新聞を見ていますと、「純利益よりも広告宣伝費の方が高くついている」という見出しで、乳業の企業について取り上げられていました。こういうのは日本の場合と比較するとわかりやすいです。そこで、中国でよく見かける牛乳ブランドの伊犁、光明、蒙牛の三大ブランドと、日本の森永乳業、雪印メグミルクの数値を各社の有価証券報告書(連結ベース)の数値を以って比較してみました。表の金額の単位は中国系は左側が100万元、右側が100万円です。

 

 

 

 新聞報道の通り、確かに中国系は純利益よりも広告宣伝費の方が大きいですが、日本の森永乳業も純利益よりも広告宣伝費の方が大きいです。しかし、このような絶対額よりも注目すべきは広告宣伝費の売上高に対する比率である。上表の黄色い部分ですが、明らかに中国系の方が比率が高いのがお分かりいただけるかと思います。それにしても伊犁の比率が非常に高いです。森永乳業の約10倍です。

 

 新聞報道ではいたずらに広告宣伝費を使えばいいわけではないという論調でしたが、今のところ業界構造としてこれだけの広告宣伝費が必要になっているというのも事実です。他の業界でも広告宣伝費はかなり使われており、いい悪いはともかくこういう企業を相手に日系企業は戦っているのが現状です。日系の場合はなかなか広告宣伝費の予算を多く取れないと聞きますが、他社はバカバカ使っているわけで、そういう意味ではかなりハンディキャップを負ったまま競争せざるを得ない状況にあるといえるでしょう。こういうのを見て「こんなに広告宣伝費を使えるのか」とうらやましがる人も多いでしょうね。


処方薬が買えてしまう中国の医薬品ネットショップ

2013年05月16日 | 日記

 中国の規定でネット販売で処方薬を販売することは禁止されています。ところが実態はというとバイアグラのような薬はもちろんのこと抗がん剤のイレッサあたりも買えてしまう状況にあります。薬品のネット販売の認可を受けているサイトは50余りあるといわれていますが、新聞報道によりますとその中の代表的なサイトといえる金象網、京東好薬師、開心人網上薬店、百済新特薬網といったサイトではこれらが売られており、要するに処方箋なしでも入手することができる状況だそうです。適当に調べてみたのですが、サイトによってはバイアグラやイレッサそのものが売られているとは限らないようですが、処方薬も確かにあります。

 

 ところがこれは業界内では公然の秘密で、薬品監督管理局の取り締まりもゆるゆるです。サイト上に処方薬があったとして、そこに買い物カゴがなければよし、ネットショップの仕入れ販売記録になければよし、ただそれだけです。ネット上に買い物カゴがないものはちゃんと「処方薬なので直接注文できません」という表記があり、別途チャットや電話でやり取りして、ネット上で決済を済ませてから配送するような仕組みになっています。

 

 消費者がネット販売で購入する動機の一つとして価格が安いというのがあります。百済健康商城というサイトを見たところアストラゼネカの売れ筋抗がん剤イレッサがありました。レッサは0.25g×10錠/箱の会員価格が5000元ですが、これは普通に購入するよりも500元も安くなります。

 

 

 このページでは思いきり買い物カゴがありますね。

 

 こうした薬は医療保険がきかないものが多いこともあり、節約するためにネットで購入するという行動につながっています。ちゃんとしたものを安く提供しているうちはいいのですが、こんな報道がありました。ひと箱2万元余りもするグリベックという抗がん剤が9割引きの価格で売られていたのですが、白血病を患った人がそれを購入して飲み続けること半年、まったく効果が表れないと思っていたらなんとただのでんぷんだったという事件がありました。さすがに9割引きだったら買ってしまいそうになりますが、体に入るものだけにリスクは高いですね。これはまだでんぷんでよかったですが、体に害のあるものだったら大変なことになっていた可能性がありますね。

 

 以上はネット上で処方薬が売られているという話ですが、実はその辺の薬局でも処方箋なしに処方薬が買えてしまいます。バイアグラなんてその辺の薬局で売ってますし、その他の処方薬だって普通に買えます。いちおう購入時に名前と連絡先を書かされますが、別に身分証明書をチェックされるわけでもありません。処方薬をその辺の薬局で買えると日本の医師に話したところ、「国によって違うんですねえ」とちょっと驚いていました。中国でも本当は処方箋なしで処方薬を販売するのはだめなはずなんですけど現実はそうじゃないんですよね。長期にわたって服用する処方薬であれば薬局で普通に購入できるというのは便利でいいでのですが。でもコンプライアンスを順守する薬局であればやれないことなので、薬局を真面目に運営しようとする企業からすると厄介な問題ですね。皆が同じルールの下で公平に競争してもらいたいものです。


北京のマニア向け模型店

2013年05月14日 | 日記

 模型というと私はプラモデルを連想します。子供のころは時々作ってました。お城のプラモデルを作ったのはよく覚えてます。ガンダムのプラモデルには全然はまりませんでした。色を塗るのが面倒くさかったんですよね。さて、今日は中国にある翔科模型店というお店について紹介しましょう。

 

 

 中国国内模型市場には動態と静態の二種類があり、静態模型と言えば自動車模型、飛行機模型、汽船模型等の観賞用のものが主体、動態模型は操作性を主としており、一般の玩具と異なるのは非常に本物をまねて非常に丁寧に作られており、一般消費者が購入するのはパーツのみで、専門的な知識を持ち、専門的な人の指導があって初めて完成するようなものを言います。同社は事前に調べたところ作るのがあんまり難しい模型よりも簡単な模型の方が受け入れられやすいという結果から、店舗内には組み立て済み部分が90%以上で、残り10%の簡単な工程だけで完成するような模型を中心に置いています。今のところ店舗は北京にある一店舗だけですが、店舗面積は模型の操作性を確認できるようにするために比較的大きく300㎡以上取っています。またこのスペースを使ってレース等のイベントも開催しており、こういった活動を通じて潜在顧客をゲットしようとしています。また、店舗内にはメンテナンス交流エリアというのを設け、お客さんが自分でメンテナンスをするだけでなく、他のお客さんとも交流できるようにしています。マニアの交流の場ですよね。また、メンテナンスエリアを設けることでアフターサービスの提供も合わせて行っており、模型を売りっぱなしでなく、サービス費用もちゃっかりいただいているということです。ちなみに売り上げの内10%がアフターサービスやメンテナンスによるものだそうです。中国でアフターサービスやメンテナンスでフィーを取ることはなかなか難しいので、この辺りはうまくやっていると思います。マニア相手だからこそできているのかもしれません。

 

 さて、マニア向けの模型ですが果たして値段はどれくらいするのでしょうか。ちょっとウェブサイトから引っ張ってきました。

 

 

 写真で見ればわかるようにめちゃめちゃ高いです!私はとても買う気になりません。でもマニアなら買うかもしれないという価格なのでしょう。ちなみにこれらの商品はネットでも売られておりまして、ネット販売による売り上げは30%を占めるそうです。タオパオのサイトも見てみましょう。

 

 

 

 これはC2Cのサイトですね。

 

 

 

 しかしこんな高いものがネットで少ないながらも買う人がるんですねえ。

 

 マニア向けのビジネスなのであまり大きなビジネスにはできないとは思うのですが、それでも海外の有名な模型メーカーがこの市場への参入を狙っており、大規模な直営店舗の出店を検討しているようです。外資が入ってきたとしても一定に地位を築くには相応の時間が必要でしょうし、同店としては色んなブランドの模型を扱っていることには優位性がありますので、売り場としてのブランド力をつけて待ち構えておくというところでしょうね。


中国で高級車の売れ行きが鈍ってきたぞ

2013年05月13日 | 日記

 世界で最も多くの新車が売れているのは中国で、昨年の新車販売台数は1930万6400台で4年連続の世界一。

 

 

 (時事通信ウェブサイトより)

 

 毎日のように渋滞を見ている側からするともうこれ以上売らなくてもいいよと思いますが、さすがにそういうわけにもいかないのでしょう。

 

 これだけの勢いで伸びてきているので、伸び率は減少してきています。母数が大きくなるから当然と言えば当然です。ただし、伸び率の減少の仕方に特徴があります。新聞から引っ張ってきた下の写真をご覧ください。

 

 

 

 ちょっと暗いですが、棒グラフのの黄土色が全体伸び率、赤色が高級車伸び率です。右下の2013年第1四半期ですが、高級車伸び率が8.34%とこの表の中で初めて10%を切ってしまってます。8%も伸びれば御の字だと思う人もいるでしょうが、前年同時期が40%も伸びているのに今年が8%そこそこだとちょっとまずいでしょう。それにしても2010年の80%というのは凄いですね。ちなみに昨年全世界で売れたフェラーリは7318台に対して、中国では500台も売れており、なんでもフェラーリ会長が中国で売れすぎて、「年に500台も売れては独創的な存在たりえない」と、中国での販売を抑制する方針を打ち出したほどです。

 

 次に、銘柄で見ていきます。2013年1~4月のBMWとアウディの数字です。

 

 

販売台数

伸び率

前年伸び率

BMW

11.82万台

17.8%

35%

アウディ

14.14万台

13.9%

41.4%

 

 明らかに落ちていますねえ。なぜこれだけ落ちているのでしょうか。最近お客さんと話していても景気が悪いという話をよく聞きます。一つは景気が悪いというしごく単純な理由があるのでしょう。それともう一つが役人・公務員の贅沢自粛によるものと言われています。2011年に「一般公務用車と職務用車の排気量は1.8リットルまで、価格は18万元までという俗にダブル18と呼ばれる規定が発表され、そのころから公務車については外資ブランドから国産ブランドに移るトレンドとなっていました。そして昨年12月に贅沢禁止令が発表されると、高級車の購入が大幅に減少したそうです。実際に北京のとある高級車販売店ではダブル18が発表されたときに10%売り上げダウン、今年1~4月では少なくとも20%ダウンしているとの話です。ちなみに第1四半期でレクサスは40%ダウン、インフィニティが28%ダウン、アキュラが29.8%ダウンとなっており、日系ブランドについては平均値以上の落ち込みと言えます。日経の場合は反日に問題もあったのでしょうが、その他の要因として新車導入、価格調整、チャネル発展といった方面においてスピードが遅いということが指摘されています。自動車メーカーに勤める知人から聞いたことがあるのですが、新車導入については確かにそうかもしれないという話でした。

 

 さて、いろんなところで日本の企業は判断が遅い、中国企業は速いと聞かされます。中国企業の場合、最近落ち着きつつありますが基本的にはずっと経済が右肩上がりで伸びてきたこともあり、今まではどんな判断を下しても失敗することはない、だからスピーディーに物事を決めることができたという要素もあるのではないかと思うのです。では、日本の高度成長期はどうだったのでしょうか。どんな判断を下してものぼり調子の経済の勢いの中では失敗することはないということはなかったのでしょうか。そのころに働いていなかったのでわかりませんが、少なくとも今よりは速かったのではないでしょうか。当時だとたぶんもたもたしていると周りに先を越されてたでしょうからね。


売掛回収の期間が悪化傾向に

2013年05月13日 | 日記

 民間取引信用会社Cafaceの調査によりますと、最近中国企業と香港企業で売掛回収の状況が悪化しているそうです。下の表をご覧ください。

 

売掛遅延比率

2011年

2012年

6か月以上遅延

香港企業

20%

42%

年商の2%

中国企業

42%

56%

年商の36%

 

 2011年から2012年にかけて売掛回収が期限より遅延している比率が香港企業で22ポイント、中国企業で14ポイントも増加しています。そもそも中国企業の場合2011年の時点で42%も回収遅れの状況にあり、それが2012年には半分以上の56%、遅れない企業の方が少ないという現実に唖然とします。そして6か月以上回収が遅れているのが中国企業の場合36%とこれまた尋常でない数値。中国ビジネスでよく売掛回収が難しいと言いますが、この数値を見る限りたしかのその通りと言えます。

 

 さて、この原因について調査対象の中国・香港企業に尋ねたところ、65%が競争激化による利益の低下を要因として挙げています。そして、30%超の香港企業が原材料価格の上昇をもう一つの要因として挙げています。この辺りは容易に想像のつくところかと思います。

 

 この他、資金調達チャネルが乏しいことも要因として挙げられています。中国の銀行は大型企業や国有企業には貸し出しを行いますが、中小企業はそれが難しく、非正規なルートでの調達となってしまい、自ずと高金利での調達となってしまっているという現実があります。

2012年の中国経済はGDP成長率が7.7%でしたが、82%もの中国企業が今年の景気が良くなると思っていないようです。こういうのは気分的なものも大事なので、こういうマインドの企業が多いのはちょっと気になります。

 

 この調査で売掛回収の遅れが目立っている相手企業の業種として挙げられているのが4つあります。順番にあげますと、建築、鉄鋼・金属材料、繊維・アパレル、家電・電子設備の4つです。これらの業種とお付き合いしているところは今まで以上に注意した方がよさそうですね。


上海光一百貨店がわずか半年でクローズ

2013年05月10日 | 日記

 約半年ほど前に中山公園エリアにオープンした光一百貨が地下一階の飲食街を除き、1~4階までがすべて閉店してしまいました。この建物のオーナーは多媒体産業園発展有限公司というところで、ここが光一百貨に賃貸し、それをマグネット社という会社が更に借り受けるという形態、お金の流れとしてはこのマグネット社がテナントから回収した賃料で光一百貨に賃料を支払い、それをもとに光一百貨がオーナーの多媒体産業園発展有限公司に賃料を支払うという形態です。この形態自体は地下一階に出店している知人からも聞いたことがあります。マグネット社があまりにもテナントを呼び込むことができず、しかしながら自分たちも賃借しているので賃料を払い続けなければならないというのが非常に資金的にしんどかったので、クローズすることになるかもしれないとは聞いていましたが、それが現実になったわけです。ちなみにその人自身が出店している地下一階の飲食街もそれほどにぎわっているわけではありません。私はこの近くで毎週キックボクシングの練習をしており、練習後はいつもここで昼食をとっているのですが、飲食街の店舗もどんどん減っていってます。西側の入り口付近にはパン屋とミスタードーナツが並んで入ってますが、もうちょっと中に入っていくとこんな感じです。

 

 

 

 この寒いエリアを通り過ぎるとシュークリーム屋があったりスーパーや飲食店が並んでいたりします。ただ、人の流れはそれほど多くないですね。練習後のひと時をいつもここで過ごしていますが、果たしていつまでそれができるのだろうかと心配しています。実際に飲食店舗の客入りも決して良いとは言えません。

 

 さて、飲食スペースの話はこれくらいにして、クローズする1~4階の話に戻りましょう。1階にはjyujyumallという名前で店舗が集まっており、2~3階は誰も入居しておらず、4回の飲食エリアも内装中という状況です。ここは昨年9月にオープンしたばかり、昨年9月と言えば反日ムードのピーク、確かにこの要因はあったのかもしれません。マグネット社によると、光一百貨は昨年8月に工事を完了させることを約束していたにもかかわらず、ショッピングエリア外の広場、中庭あたりの改造は12月末にようやく完成し、ショッピングエリア内のエレベーター(ひょっとするとエスカレーターかもしれない。中国語ではどちらも「電梯」)は今もなお完成していないというありさまだそうです。マグネット社からすると、こんな状況がそもそもが違約であり、さらには人の流れに影響するということで、マグネット社としては賃料を払わないということで違約金と相殺するという手段を取ったところ、3月下旬に光一百貨側から張り紙されてしまったとのこと。これに対して、光一百貨はマグネットの経営状況がよくないから賃料が払えないのは明らかで、だから水・電気を止めたり張り紙したのだという言い分。ただし、光一百貨も時期的には反日ムードのピーク時点だったので、プロモーションが難しかったというのは認めています。なお、このもめごとは現在仲裁にかけられており、今月中ごろには結果が出る模様です。

 

 さて、光一百貨の今後ですが多媒体産業園発展有限公司によりますと、光一百貨とマグネット社との間の紛争については「コメントを差し控えるが、光一百貨自体も昨年11月より多媒体産業園発展有限公司に対して賃料を支払っておらず、昨年末には契約解除の申し出まで受けており、おそらく地下一階だけを継続することになるだろう」とのことです。こんな状況なので光一百貨という名称はなくなってしまう可能性は大きいのですが、ポジショニングとしては当初のコンセプト通り「時尚百貨」(ファッショナブルな百貨=要するにしゃれたテナントビルですね)の路線で進めていきたいそうです。

 

 さて、このエリアどうしてこんなになってしまったのでしょう。中山公園という商圏としては決して悪くないエリア、地下鉄駅と一応は直結しています。「一応は」というのは別のショッピングモールとは本当に直結しているのに対して、ここは少し距離があるという点です。実際歩いてみるとたいしたことはないのですが、ちょっとうっとうしいと言えばうっとうしいです。しかし、ここまで人の流れに影響するとはと言っている自分自身があまり立ち寄らなかったエリアではあります。実際に自分も地下1階の飲食街以外、jyujyumallには1度しか行ったことがありません。それもどんなところなのか見ていこうというのが目的で行っただけです。エレベーターができていないのは知りませんでしたが、それでもそれ以上見ようという気にならなかったのも事実です。ひょっとするとここは何をやってもダメな場所なのでしょうか。上海人であればだれでも知っていると聞かされた(大げさかと思いますが)上海で有名な何をやってもダメな場所というのがあります。実際にその場所は本当にパッとしないのですが、ここもそのうちの一つなのかもしれないですね。


営業許可証未取得の店舗`があるって? ~上海高島屋~

2013年05月09日 | 日記

 新聞で見て「ええ?」っと思った記事がありました。昨年12月に開業した上海高島屋ですが、出店している多くの店舗で発票(日本の領収書に近い概念)が発行できない状態にあり、消防検査も通っていないということが取り上げられています。発票が発行できないのは会社はできたけど税務局への手続きがまだ終わってないということもあり得る(税務局への手続きが終わらないと発行できない)のでわからなくもない、消防審査も時間がかかるよく聞く話なのでこれもわからなくもありません。しかしそれにしては期間が長すぎるように思います。12月にオープンしてもう約5ヶ月ですからね。そしてさらにはどうも営業許可証の取得ができていないにもかかわらず営業している店舗があるというのです。この新聞記事によると、店舗から得た会社名称を以って工商行政管理局のサイトで調べたところ、営業許可証を取得した記録が見つからない店舗が何件も出てきたそうですが、ここまで来ると本当かどうか疑わしいです。誇張しすぎではないかと。ところが実際に「雅荟坊」というフレンチレストランが12月にオープンしてから2か月後に営業許可証を取得していないという理由で工商行政管理局よりクローズさせられています。こういう事実を聞かされると本当かもしれないように思います。そこで新聞に出ている銘柄で適当に調べてみたのですが、確かに営業許可証を取得できていない店舗がありました。

 

 ではなぜこのようなことが起こるのかの背景について考えてみましょう。上海高島屋は店舗に対して開業日までに開店するためのすべてを整えておくように伝えています。すべてを整えるということは役所関係の全ての手続きを終えておくということです。営業許可証の取得、消防審査、発票発行(税務局の手続き)もしそれができていなければ、つまり上海高島屋のオープンとともにその店舗がオープンできなければ、上海高島屋が店舗から預かった保証金を没収するという約定があったようです。そのため、間に合わなかったとしてももうすぐ大丈夫と言って逃れていた店舗が多かったというのがこの事態の流れのようです。

 

 広がっていなければ人に迷惑がかかるわけでもないという意味で大した話ではないのですが、新聞に出てしまうとちょっと厄介ですね。このままだとひょっとすると営業停止させられる店舗が出てしまうかもしれません。間に合わないというのはよくある話なのですが、もう5ヶ月ですからねえ。ちょっと長すぎますねえ。記事にとある地場系のコンサル会社の名前が出ていましたが、ちょっとお粗末ですねえ。