最近ちょっと残念な出来事がありました。人手が欲しくなって人材を募集し、まさにこういう人が欲しかったというぴったりの人材を見つけ、採用したい旨をオファーしました。面接の時点からコンサル会社を熱望しており、「どうぞよろしくお願いします!」という声も少し興奮気味だったのをよく覚えてます。そして、今月頭から出社してもらおうと思い、私の頭の中では今週はあれをやってもらおう、これをやってもらおう、来月のいつごろはあれをやってもらおうと、いろいろとやってもらおうと思うことを思い浮かべながら、出社を楽しみにしていました。ところが、出社の前日になって、「いろいろ考えてやはりやめることにしました」という連絡。一日も出社していないのに。何も言わずに初日からやってこない人もいるらしいですが、やはりいきなり前日になってやっぱりやめましたというのはちょっといかがなものでしょうか。一日も出社していないうちに連絡してくれるだけましと慰めるようなコメントをしてくれた方もいましたが。
さて、「やっぱりやめました」の裏側にどんな真実があるかは本人から本音を聞き出さなければわからないのですが、いちおう言われた理由としては、「行政手続きで上海の公務員とやり取りするのが嫌だ」というのがありました。弊社はコンサル会社ですが、経営コンサルやマーケットリサーチだけでなく、投資コンサルティング(会社運営に必要な法律、税務、税関、外貨管理等の分野・・・・もともと私はこれからスタート)の一環で、例えば新会社設立の代行手続きのようなサービスも行っており、そのような手続きもやってもらおうと思っていたのですが、それが敬遠されたようです。これは単に人と接するのだ嫌なのか、上海人と接するのが嫌なのか、それとも上海の公務員と接するのが嫌なのか。単に人と接するのが嫌なのであれば、そもそも我が社のような会社に来るのはちょっと合わないですし、でもコンサルは興味があると言っていたので、人と接することは問題ないはず、でも上海人と接するのに気おくれしているのだろうか。いやいや、そもそも上海に住んでいるのにそんなんで気おくれしていたら上海に入れらないですよね。となると、上海の公務員と接するのが嫌と言うことが入社を嫌がった主な理由なのかもしれません。
以前にも書いたことがあるのですが、そもそも中国で公務員あるいは役人に対して気おくれしている人があまりにも多いような気がします。政府という言葉がまさにそうですが、上海市政府⇒上海市役所、静安区政府⇒静安区役所、と読み替えればいいわけで、日本の都市との規模感はともかく、それほど気後れするほどの者でもないと思います。それと、公務員に対する考え方ですね。中国で役所勤めの人を「官員」といいいますが、翻訳すると役人とか公務員になります。この辺りちょっと微妙なのですが、私の中では役人と言うとかなり位が上の公務員と言うイメージで、例えば国家公務員とかがそうで、いわゆる公務員は市役所とか区役所にいるような人をイメージします。ところが、中国だと全部ひとまとめで私も含めてですが役人と訳してしまいますよね。でもよく考えればただの公務員なわけで、それほど気後れすべき存在とは言えないはずでしょう。日本と中国の役所の対応の仕方が違うと言えば確かにそうで、一般的には日本の役所の対応は非常に丁寧で、中国、私の場合は上海で接することが多いですが、まあそれほど丁寧とは言えない、あるいは偉そうにしていると言っても、以前と比べればだいぶんよくなってきているなあと思います。でも、入社するのをやめたと言ってきた若者はひょっとすると役人と接することに気おくれ感を感じているのかもしれません。
役所の手続きで何か問題を指摘された場合、指摘事項によってはこちらの理屈を押し込むことができたり(これができると気持ちがいい)、その場で解決できそうなこともあったり(これもなかなか気持ちがいい)、あるいはその理由を問いただすともっと違う方法で訂正できたりすることもあるのですが、気おくれしている人だとそれを聞き出すことができません。「このように言われてダメでした」だけで終わってしまう人が結構います。ここはやはり日本と中国の公務員に対する意識の違いなんでしょう。役所の対応もだいぶん変わってきていると思うのですが、こちら側が気おくれするマインドの方が進歩していないんでしょうね、たぶん。
ということで、引き続き人材探しです。時間をかけて探すといい人が見つかるでしょう。
ただ、あんまり深く考えないほうが良いです。
考えれば考えるほど、自分のレベルが下がるから。
新卒ならイチから教える。
中途ならスキルやキャリアが売り物。
ヤル気はあって当たり前・・・
こういう「常識」が通用しなくなりつつあります。
(最近の日本もそうらしい)
「駐在」「現採」「ワーカー」「スタッフ」「社員」等々、
様々な呼称が混在しているくせに狭~い社会。
「どうせ半端者しかいない」という採用後の業務管理がシステム化すればするほど、人材の地盤沈下はすすむ。
そういった状況を「最大公約数での戦略」と称する経営者も少なくないことこそを、深く考えてしまう。