呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

【日本総研セミナー案内】 『中国の市場成熟を見据えた販売力強化』(2/26開催)

2009年01月21日 | 未分類
  販売力強化に関するセミナーをご案内いたします。このセミナーに私の出番はございませんが、ご興味のある方はどしどしお申し込みください!

■□■□■□■ ≪セミナーのご案内≫ ■□■□■□■□

 日系企業様向け マネジメント・セミナー (in 上海)(2009年2月26日 開催)

   『中国の市場成熟を見据えた"販売力強化"』 
   ~不況の今こそ変革のチャンス!
    中国における顧客起点の営業・マーケティングと代理店マネジメント~

(中国企業・アジア系企業・欧米系企業の戦略分析/INAX(中国)庵原総経理による特別講演含む)

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  【主催】 日本総合研究所/ソフトブレーン上海
  【後援】 三井住友銀行 上海支店/日綜(上海)投資コンサルティング
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 【詳細・お申し込みはここをクリック】
  世界的な金融危機の影響で、中国においても、多くの日系企業が苦境に立たされています。

  一方で、内販拡大を図っていく過程で、遅かれ早かれ、拡大一辺倒の中国市場は成熟期を迎えることも分かっており、金融危機以前から都市部では既にその兆しが見えているマーケットもありました。

  今回は、消費が伸び悩む不況期や成熟期において、本当に消費者や購買者が欲する商品・サービスを提供することこそが、販売力強化の本質であり、そのための営業・マーケティングのあり方、そしてどの日系企業も試行錯誤している代理店マネジメントのあり方について、皆様にヒントとなる有益な情報をお伝えさせて頂きたく存じます。

  また、当セミナーにおいては、日系企業の競合先であり、ベンチマークでもある中国企業やアジア系企業・欧米系企業が、中国でどのように競争に勝ち残っているのかについても弊社が分析した情報をお伝えできればと思います。

  更に、中国の日系企業は成功している企業ばかりではありません。重要なのは、失敗や逆境から何を学び、次の成功に繋げていくかです。
こういった紆余曲折の事業展開については、INAX(中国)庵原総経理の講演が皆様にとって、本当にリアリティをもって聞いて頂けるのではないかと思っております。

  時間の許す限り、是非とも当セミナーにご参加下さい。

【日時】 2月26日(木) 14:00~17:00 (13:30受付開始)

【場所】 銀河賓館(Galaxy Hotel) <中国・上海>
 上海中山西路 888 号(延安西路×中山西路)

【参加費】 無料(定員120名先着順)

【主催】 株式会社 日本総合研究所/軟脳軟件(北京)有限公司 上海分公司 (ソフトブレーン上海)

【後援】 株式会社 三井住友銀行 上海支店/日綜(上海)投資諮詢有限公司

(※対象: 総経理・董事/営業責任者/中国担当者)


14:00-14:15 ご挨拶&イントロダクション

  (株)日本総合研究所   ディレクタ 木下輝彦
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14:15-15:00 講演① 『中国における販売力強化のあり方
               ~中国・アジア系・欧米系企業の戦略に学ぶ~』

  (株)日本総合研究所   主任研究員 金海裕市
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15:00-15:15 コーヒーブレーク
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15:15-16:00 講演② 『INAXの中国における事業展開』 (特別講演)

  伊奈(中国)投資有限公司(INAX(中国))
                総経理 庵原岳史氏
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16:00-16:35 講演③ 『中国における店舗・代理店データを基にした営業改革』

  軟脳軟件(北京)有限公司 上海分公司
  (ソフトブレーン上海)    総経理 宮原武史
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16:35-17:00 セミナー総括&質疑応答

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各種お問い合わせ先:

<中国> 軟脳軟件(北京)有限公司 上海分公司
    (ソフトブレーン上海) セミナー事務局: 黄
    Tel: 021-62491589
    E-mail: huangyan@softbrain.com.cn

<日本> (株)日本総合研究所 セミナー事務局: 吉川
    Tel: 06-6243-4650(代)
    E-mail: yoshikawa.kanako@jri.co.jp

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悲しき来料加工~来料加工の悲哀~

2009年01月19日 | 未分類
  ご存知のように今年より増値税政策が大幅に変更されている。大きな変更点としては固定資産購入に伴う仕入増値税控除が認められる点だ。一般的にはよい話だといえるが、輸入設備や国産設備で免税を受けることができていた企業にとっては関税負担は免除、増値税は負担、でも控除はできるということで、結果としてはそれほど代わらないだろう。ただし、キャッシュフロー的には負担が生じる。いったん納付して控除を受けるよりも最初から免除を受けたほうがキャッシュフローとして負担が小さいに決まっているからだ。しかしもっとも大変なのは来料加工企業だろう。

 そもそも来料加工は私が上海に駐在した2002年終わりごろの時点で既に低付加価値の産業は必要ないのに来料加工はその比重が高い、来料加工は中国の労働力と場所を利用するだけで技術が移転されない、といった来料加工不要論のような言い方が既に存在していたが、ついに来料加工にとって大ダメージとなる増値税改革が行われた。「加工貿易における外商が提供する無償貸与の輸入設備」が増値税免税の対象となくなるという点だ。来料加工の場合は控除できる増値税売上げがないので、設備導入に伴う増値税はまるまるそのままコスト負担になってしまう。そもそも低付加価値の産業が集まっている来料加工がこれではコストわれになってしまいかねない。来料加工廠の独資企業化があるころから流行り始めたが、そのような状況でもなお来料加工のほうが便利だということであえて独資企業化せずに今日まで来た企業も少なくない。とはいうものの、設備免税の受けられない来料加工は現実的には採算面からもその存続は難しいと思われ、今後はいままで来料加工のままいつずけた来料加工廠の独資企業化が加速していくことが予想される。

大学生の就職活動状況がここまで厳しいとは

2009年01月18日 | 未分類
  知人と会食をしていたところ、ここ最近ではおなじみの話題となる不景気、そして大学生の就職難の話になった。上海の某大学の日本語学科の話だが、一クラス30人いる中で就職先が決まっているのがなんとたったの5人しかいないという話だ。ちなみにこれは先週の話。

  就職活動をしている大学生にとって現在のこのような状況は災難といわざるを得ないが、逆に企業にとってはよい人材を採用する機会であるといえる。不景気とはいえここの点についてはメリットといえるだろう。このような時代に採用した社員は将来的には会社にとって大きく貢献してくれる可能性が高いことは間違いなく、買い手市場とはいえ改めて気を引き締めて採用活動を行い、将来に備える絶好の機会といえるだろう。

販売機能を持つ管理性公司

2009年01月16日 | 未分類
  今日のNNAを読んでいたところ、三菱レイヨン社が上海に販売機能を伴う管理性公司を設立したという記事を見つけました。従来の管理性公司はいわゆる管理機能に特化した会社に過ぎなかったのが、同社の発表によると「管理性公司には販売行為が認められていませんでしたが、2008年7月の(上海市の)《外国多国籍企業の地域本部設立を奨励する暫定規定》 (⇒原文ここ)の改訂により、販売機能の設置が可能となりました」ということでした。同規定をあらためて見直してみました。

第八条 (経営、管理及びサービス活動)
  地域本部は国家及び本市の関連規程に従って、以下の経営、管理及びサービス活動に従事することができる。
 (一)投資経営政策決定
 (二)資金運営及び財務管理
 (三)研究開発及び技術サポート
 (四)国内仕入販売及び輸出入
 (五)貨物还配送等の物流運営
 (六)自社集団内部で共に享受するサービス及び国外会社のアウトソーシングサービスの引き受け
 (七)従業員研修と管理
  地域本部は経営のため本市に分支機構を設立するにあたり、政府関連部門は審査批准及び登記の便宜を提供しなければならない。

  販売についてはこれが根拠になっているといえます。今回の三菱レイヨン社が設立した管理性公司は、管理性公司は管理に特化するという既成概念を大きく超越したものであるといえます。昨年11月には「《外国多国籍企業の地域本部設立を奨励する暫定規定》に関する若干の実施意見」(⇒原文ここ)なるものも公布されており、この中でかなり太っ腹な財政補助が謳われております。これもあって、今後は3000万米ドルを必要とする投資性公司に代わって上海においては200万米ドルで設立できる販売機能を持つ管理性公司が増えていくことが予想されます。

北京CBD(central buisiness district)のオフィス空室率が3分の1超

2009年01月15日 | 未分類
  上海のオフィス空室率が大きくなっていることは既に紹介しております(⇒上海のA級オフィスの空室率は15.4%)が、今日は北京の状況について紹介します。

  まずCBDという言葉について説明します。CBDとは、北京市朝陽区のウェブサイトの説明をそのまま引用しますと、「ビジネスセンター(Central Business District 略称CBD)、その由来は二十世紀20年代のアメリカにあります。もともとはビジネス集合の地という意味ですが、近代のビジネスセンターは金融、商業、貿易、情報や仲介サービス機関の集中を指しています。そしてたくさんのオフィスビル、ホテル、マンションなどの設備や発達した市内交通、通信機関を伴い、現代のビジネス活動にたいへん便利な場所となっています。ビジネスセンターは国家、地域が対外的にどれだけ開放されているかの度合いと経済的実力の象徴であるばかりでなく、近代的国際都市の重要な指標でもあります。ニューヨークのマンハッタン、パリのラ・デファンス、東京の新宿、香港の中環などは国際的に有名なCBDです。」とう区域です。

  そして、CBリチャードエリス社が調査したところによると、北京CBD区域の2008年第四四半期の空室率は35% にまで達しているとのことです。これまたすごい水準です。

  2008年第三四半期からオフィス供給量が大幅に増えたこと、加えて金融危機による外資金融機関のテナントが減少したことから、空室率水準はここ5年来で最高水準に達しています。確かにオフィス供給量は大幅に増加しており、過去の傾向を見ましても同じような場所に集中的にオフィスが出来上がるということが見られ、このような動きが一層拍車をかけてしまっています。そして、今後も空室率が少々していく傾向にあるようです。SAVILLS社によると2009年の賃料は引き続き下落し、2007年の水準にまで下落する可能性があると見ているようです。上海同様賃料水準の高いオフィスほど影響が大きいということが見て取れます。

  個人的には賃料がそもそもが高すぎたのでこのようなご時勢に調整が入るというのは悪いことではないと思うのですが、空室が余りに目立ちすぎますと活気も感じられず、心理的なマイナスイメージに影響してしまいかねないようにも思います。賃料がある程度調整できた段階、要するにあるべき水準に戻った段階でオフィスの活気が戻ってくればいい金と思います。あくまで理想論なので現実は難しいのでしょうが。

(2月20日蘇州)JETRO主催外貨管理セミナー:輸出入外貨管理規制の総まとめと企業レベルでの留意点

2009年01月14日 | 未分類
  2月20日蘇州におきましてJETRO主催の外貨管理セミナーの講師を勤めさせていただくことになりましたので、ここにご案内申し上げます。ご都合のよい方はぜひお越しくださいね。以下は案内文です。

  中国政府は海外からのホットマネーの流入阻止を目的に、輸出入に伴う外貨管理に関する通達を2008年7月から立て続けに発表しました。これにより、中国に進出している日系企業の輸出入にかかわる前受金と延払いに対する規制が強化されたため、外債登記手続きのみならず、日系企業の資金繰りにも影響が出ています。

  この機会に外貨管理規制を正しく理解し、対応策を講じる際の参考としていただきたく、皆様のご出席をお待ちしています。

日時:2009年2月20日(金曜)14時00分~16時00分

場所:
蘇州会議中心⇒(江蘇省蘇州市道前街100号)

テーマ
1.一連の外貨管理に関する通達の説明と、現時点における日系企業への影響
2.規制と影響に対する企業レベルにおける具体的な留意点
3.金融機関の人民元貸出規制が緩和されつつあるといわれる資金繰りについての実態 など

※講演の内容は予告なく変更することがあります。
※終了の時間は変更になる場合があります。ご了承ください。

講師:日綜(上海)投資コンサルティング有限公司 呉 明憲

主催:ジェトロ上海センター

参加費:無料 

定員:300名(先着順)
※定員に達した場合や、1社当たりの人数制限をお願いする場合、個別にご連絡いたします。

お申し込み方法
以下に添付の申込書に必要事項をご記入の上、ジェトロ上海センター(FAX:021-62700499)へご送付ください。

お申し込み締め切り:2009年2月13日(金曜)

お問い合わせ先
日本貿易振興機構(ジェトロ)上海センター(担当:鮑(バオ)(日本語可))
TEL:021-62700489(内線:1405) FAX:021-62700499

申込票 (⇒ここ)

中国移転価格に関する新通達:《特別納税調整実施弁法(試行)》

2009年01月14日 | 未分類
  昨日移転価格に関する記事をアップしましたが、正式文書でありますが《特別納税調整実施弁法(試行)》が公布されましたので本日アップします。

特別納税調整実施弁法(試行)》原文⇒ここ

  昨日お知らせの通りなんと2008年1月1日にさかのぼって施行されることになっております。また、「関連取引2億元超の場合、強制的に移転価格決定報告を提出しなければならず・・・」のくだりですが、通達の中でこのように書かれております。

以下のいずれかの状況に属する企業は、同期資料の準備を免除することができる。    年度に発生する関連の仕入販売金額(来料加工業務は輸出入通関金額で計算)が2億元以下で且つその他関連取引金額(関連融通資金は利息支払回収金額で計算)が4000万元以下、そして上述金額は年度内に執行されたコスト分担協議または事前価格確認取決で関係する関連取引金額を含まず。(後略)


  結構本格的なものが公布された上に、昨年に遡って執行されるので、けっこうバタバタする企業も出てくるでしょう。

中国移転価格税制の新情報?

2009年01月12日 | 未分類
  ある方から本年の直近の話題は「移転価格税制」と「増値税制度改革」かと思いますというメールをいただきました。増値税制度改革はもう言わずもがなでしょう。そして移転価格税制に関してはこんな情報が入りました。

  「関連取引2億元超の場合、強制的に移転価格決定報告を提出しなければならず、これを2008年に遡って実施することを税務局が発表した」という情報が入ってきました。色々と調べてみたのですが、文字になった情報を今のところ見つけることができていません。何か新たしい情報が入ってくればまたアップしようと思います。

Bros1月号で紹介されました

2009年01月09日 | 未分類
  上海で発行されているフリーペーパーのBros1月号のビジネス特集「2008年を振り替えなければ2009年は語れない~苦境を乗り切るヒントがここにある~」で私に取材していただいた記事が掲載されました。Brosさん、ありがとうございました。まだご覧になっていない方はせっかくなのでご覧ください。


(クリックして拡大)

  思っていた以上に派手に取り上げられていましたので少しドキッとしました。周りからは、「本当にこんなことしゃべったの?」、「たまにはいいこと話すんや!」、「普段と全然違うやん!」などなど言われ、思わず「コラコラ、私もいちおうコンサルタントの端くれですよ!ただの格闘技オタクではありません!」と切り替えすような会話が何度もありました。その中で普段から言いお付き合いをさせていただいているTさんという方(キックボクシング仲間です)から、「今朝、ブロスの記事を見ましたが、この一年間ほど飲みながら教えて頂いたことを、総括して読ませてもらったように感じました。これからの活躍を期待しています。」というメールを頂戴しました。Tさんは本帰国されたこともあり、今までと同じようなペースでお付き合いできなくなるわけですが、このようなメールを頂戴してとてもうれしかったです。こういうメールをもらうと身が引き締まります。これからも一日一日を大切にがんばっていこうとあらためて思った次第です。

上海のA級オフィスの空室率は15.4%

2009年01月09日 | 未分類
  SAVILLSという不動産サービス会社によると、2008年の初め頃、上海のA級オフィスの空室率はわずか5%に過ぎなかったのが、2008年末には15.4%にまで跳ね上がっている。そのうち浦西地区は8%、浦東地区はなんと25.6%に至っているとのことだ。自ずと賃料も下落してきており、別の不動産サービス会社の調査によると、2008年11月の浦東地区のA級オフィスの平均賃料は9.2元/㎡/日で、前年比7.7%の下落となっている。浦東の場合特に陸家嘴地区と竹園地区の影響が大きいようだ。2009年もオフィススペースは増加していくことが見込まれている。1997年~1998年のアジア金融危機の時には一時50%を超えたことがあり、そのときと比べると全然いいのだが、この空室率は決して普通じゃない。東京・都心5区エリア(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の2008年11月の空室率は4.56%(前年比2.07ポイント悪化)に過ぎない。日本の経済も決してよいとはいえない状況なのだが、これと比べると上海の空室率はA級オフィスだけを抜き出しているとはいえちょっと大きすぎると言えるだろう。

中国独占禁止法における「関連市場」とは?

2009年01月08日 | 未分類
  中国の独占禁止法が2008年8月1日から施行されているが、一部の企業からその運用が注目されている。また、そのような中で独占禁止法の条文自体にまだまだ曖昧な部分があるとも指摘されている。例えば「関連市場」という表現がそうだ。ここでいう「関連市場」とは具体的に何をさすのか?独占禁止法では「経営者が一定時期内に特定商品またはサービスについて競争を行う商品範囲及び地域範囲」と定義されている。これについて商務部は《関連市場の区分に関する指針(草案)》を発表した。あくまで草案だが、この中で「関連市場」についてより明確化しているので紹介しよう。

関連商品市場 商品特性、要と及び価格等の要素に基づいて、相互に代替可能な一組または一類の商品が構成する市場で、主として被需要者が緊密な代替関係を有するとみなす全ての商品。
関連地域市場 緊密な代替関係を有する商品相互が競争する地理区域。関連地域市場範囲内の競争条件は基本的に一致し、そしてはっきりとその他地域市場の競争条件と区別し、独占禁止法執行において経営者が競争を行うことができる地域範囲。


 今回は「関連市場」を明確にしようとしたものだが、そのほかにも「緊密な代替関係」や「消費者」の細分化も期待されているようだ。

金融危機による景気低迷下の労働契約法

2009年01月07日 | 未分類
  労働契約法が施行されて1年が経過した。あれやこれや言われた労働契約法だが、この景気状況の中でいろんな問題が出てきているようだ。具体的には、①労働仲裁、②労働コスト上昇に伴う雇用抑制、③労働契約長期化による求職難、④労働契約法の拡大解釈、の4つのテーマで見ていく。

(1)労働仲裁
  とある服装会社の話だ。26人の従業員を解雇したことにより労働仲裁が発生した。当然従業員からすると遅配となっている給料や定められた経済補償金を要求するわけだが、この服装会社は余りにも経営状態が悪く、結局定められた金額を払うことができず、労働契約法で定められた金額以下で話がまとまってしまった。この会社は100-200人程度リストラしており、その中に妊婦も含まれていた。労働契約法は妊婦を解雇することは認めていないが、このような経済状況の中労働契約法といえども現実に対して譲歩せざるを得なかったケースだ。

(2)労働コスト上昇に伴う雇用抑制
  労働契約法の実施により企業の労働コストが上昇したと言われている。企業が労働コストをおさえるための行動として雇用を抑制するという行動が出てきているようだ。今回の金融危機で2500万の就業ポストが失われた一方で、4兆元の経済対策により1600万の就業ポストが創出されたというが、その差の900万については解決していない。

(3)労働契約の長期化による求職難
  労働契約法の実施に伴い契約期間を1年でまわしていたようなところも2年や3年契約するところが出てきている。労働者が長期に亘り働くことができるということで一見労働者保護のように見え、またこれが労働契約法の狙いでもあったはずだ。しかしながら、これにより一部の労働者は安定的に働くことができるようになったものの、底辺の労働者は逆に仕事にありつきにくいという現象が出てきているようだ。

(4)労働契約法の拡大解釈
  既に一部の地方で労働契約法をその内容どおりに執行しない現象が出てきている。北方の某省では、企業が確かに生産経営に困難が発生した場合、企業組合または従業員代表と協議一致すれば、給与支払い標準を引き下げることができるという通知を発表している。しかしながら、労働契約法では給与引き下げのような労働契約の変化は企業と労働者が協議一致して初めて行うことができるとされており、従業員代表との協議で決めてしまうのは労働契約法に符合しないはずである。

  このように、景気が低迷していることもあって問題があらわになってきているといえる。労働契約法実施条例は労働契約法だけでは不明確であった部分を明確にするものと思われていたが、なおも曖昧な部分が残っている。曖昧であるがゆえに今後は地方レベルで曖昧な部分を拡大解釈してよりソフトな運用が行われるのではないかと見られている。労働者保護を追求した労働契約法も景気低迷の下では軌道修正が必要ということなのだろう。景気低迷が一番の原因なのだろうが、中国の現状において労働契約法はまだちょっと早かったということか。

(2月20日蘇州)中国環境セミナー -水関連規制が企業経営に及ぼす影響-

2009年01月06日 | 未分類
 中国の環境、特に水に焦点をあてたセミナーが蘇州で開催されます。ご興味のある方は申し込み要領をごらんいただいた上ぜひお申し込みください。

 この度、株式会社日本総合研究所は、中国蘇州市におきまして「中国環境セミナー -水関連規制が企業経営に及ぼす影響-」を開催致します。
中国では、2006年より始動した第11次5ヵ年規画を契機に「中華人民共和国循環経済促進法(以下「循環経済促進法」の施行、「水質汚染防止法」の改正を始めとして、水関連の規制強化の動きが活発になっています。特に、工場廃水の処理、節水については、循環経済促進法や現在制定作業中の「汚染物排出許可証管理条例」において、総量規制、節水強化、水リサイクル率の向上などが義務化される見通しであり、日系企業の経営・生産活動に対しても少なからず影響が及ぶ可能性があります。

 このため、本セミナーでは、中国の水関連規制をテーマとして取り上げ、規制強化の動向と日系企業への影響、日系企業が求められる環境戦略、対応策などについて皆様にご紹介いたします。
関係者の皆様に、中国における水関連規制の動向を把握し、今後の環境戦略をお考えいただく場としてご活用いただきたくご案内申し上げます。

申し込み要領はここをクリック

日時:2009年2月20日(金)14:00~17:00(受付開始 13:00~)
会場:蘇州シャングリラホテル
住所:中国江蘇省蘇州市高新技術産業開発区塔園路168号
TEL :(0512) 6808 0168
主催:株式会社 日本総合研究所
対象:蘇州市周辺に進出している日系企業

内容:
1400-1410 主催者挨拶 株式会社日本総合研究所 執行役員 創発戦略センター所長  井熊 均

1410-1440 第1部 「中国のビジネス環境と求められる環境戦略」
株式会社日本総合研究所 執行役員 創発戦略センター所長  井熊 均

1440-1550 第2部 「水関連規制の動向」
- 水関連政策の現状と今後の動向 -
中国国家環境保護部
- 循環経済促進法の施行に伴う今後の動向 -
蘇州市経済貿易委員会
- 蘇州市における水関連政策の現状と今後の動向 -
蘇州市環境保護局

1610-1650 第3部 「事例紹介:廃水リサイクルサービス事業」
旭化成ケミカルズ株式会社

(日本語/中国語の同時通訳が入ります)

定員 100名
参加費用 無料(事前登録制)