呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国では粉ミルクの販促はいけないこと

2010年12月31日 | 日記

 カルフールが粉ミルクの販促を行ったことが規定違反だとして指摘されています。なんと粉ミルクの販促行為を禁止するという内容の通達が15年前に公布されているのです。1995年に衛生部、国内貿易部等の関連部門が発表した《母乳代用品販売管理弁法》という通達の中で次のように規定されています。

 

 生産者、販売者は医療衛生保険機構、妊婦、嬰児家庭に以下の行為を実施してはならない。 

()製品、サンプルを贈呈すること。 

()製品を値引き販売すること。

()セールスのために、医療衛生保険機構に条件を付けて設備、資金、資料を提供すること。

 

 粉ミルク以外にもベビーフード類等も対象となっています。目的は母乳で育てることを促すためのようです。15年も前の通達なのでひょっとして知らなかったのかもしれません。そもそも妊婦にサンプルを提供するなんて日常茶飯事的に行われているようですしね。また、値引き販売がいけないというのは競争原理を働かせないことになるので消費者にとってはデメリットでしょう。まあ、中国産の粉ミルクは問題が頻繁に起きているため、海外産のものがどんどん値上げして行っても売れている状況です。そのため粉ミルクを製造する中国メーカーの在庫負担が大きくなり、こんな通達があることがわかっていながらもそれを振り切って小売店側に値引き販売するように申し入れたということも十分考えられます。業界の人ならこういう通達を始めから知っている可能性も高いですしね。

 

 しかしこんな決まりがあるんですねえ。

 


VANCLが京東商城、当当網、百度楽酷天と提携

2010年12月30日 | 日記

 VANCLというアパレル品のネットショッピングサイトがある。アパレルを中心とするサイトだ。

 

 

 

 

 ここがもう一つのネットショッピングサイト“V+”を開設した。

 

 

 

 

 V+は今年5月18日からスタートしたが、現在のところ月刊販売額は3000万を超えており、半年あまりのオペレーションを経過して、既に200あまりのブランド、デザイナーズブランドがV+のモールに入っている。一方で元々あるVANCLはプラットフォーム共存共栄を打ち上げ、京東商城、当当網、百度楽酷天(楽天)等のEコマースプラットフォームと戦略的提携を展開し、来年からこれらのネットショッピングプラットフォームとリンクすると発表した。VANCLは、これは自社の発展のみならず、提携先の発展にもつながると考えているという。VANCLは他のEコマースと提携、今のアパレル路線を推し進め、アリリエイトも進めていく(来年は1億元の予算を設定して還元することを計画している)。

 

 なかなか面白い試みである。アパレルに強いVANCLが、今までの路線をV+で展開し、この他に家電製品に強い京東商城と、書籍に強い当当網と、日系の百度楽酷天と提携することで総合プラットフォームかさせ、互いにメリットを享受しようというわけだ。今まであまりなかった動きといえる。

 

 ネットビジネスはなんだかんだいいながらやはり夢は感じられる分野だ。今回紹介する記事のように各社も色々考えている。難しい分野だがやりようによってはうまくいくだろうし、そういう実例もこれから増えてくるかもしれない。ネットショッピング以外のネットビジネスに関する相談を受ける頻度も増えてきている。何だかんだ言って楽しみな分野ではあります。


廃棄電器電子製品回収処理管理条例

2010年12月29日 | 日記

 

 家電製品関係の方であれば既にご存知かと思うが、201111日より《廃棄電器電子製品回収処理管理条例》が実施されることになった。この中で、棄電器電子製品処理目録、処理発展計画、基金、処理資格許可、集中処理、情報報告等の一連の制度が規定されている。同条例の実施にあわせて、《廃棄電器電子製品処理資格許可管理弁法》、《廃棄電器電子製品処理企業資格審査及び許可指南》、《廃棄電器電子製品処理発展計画編制指南》、《廃棄電器電子製品処理企業のデータ情報管理システム構築及び情報報告指南》、《廃棄電器電子製品処理企業補助金審査指南》等の一連の関連文書が公布された。本条例で言うところの廃棄電器電子製品の処理活動とは、廃棄電器電子製品を分解し、その中から物質を抽出して原材料または燃料とし、廃棄電器電子製品の物理、化学的特性を変化させる方法により、発生した廃棄電器電子製品の数量を減少させ、その危害成分を減少させるか、または除去すること及びそれを環境保護要求に合致する埋め立て場に移す活動を言う。

 

 同条令を公布した環境保護部は、廃棄電器電子製品の回収処理工作をスムーズに実施するため、次のような要求をしている。

 

(1)処理企業の数量、構造及び規模を統一的に計画し、合理的に配置し、処理企業がいっせいに行動し、処理能力総量の過剰と構造性過剰をもたらすことを避ける。

 

(2)十分に計画したマクロコントロールと指導作用を発揮し、処理産業を規範化、規模化、産業化の方向の発展へ導き促進する。

 

(3)厳格に法に依って処理企業資格を審査批准する。健全な監督管理手段、完備された監督管理措置、法律執行監督強化、虚偽を弄して、環境を汚染し、法律法規に違反する処理企業に対して、法に依って処罰する。基金の補助金を詐取した場合、補助金資金を追加納付し、補助金資格を取り消す。

 

(4)健全な情報公開制度を構築し、速やかに廃棄電器電子製品処理情報を発表し、社会世論の監督を強化する。

  

 同条令が公布される前に、家電企業はこれが公布されることにより新たに企業が負担するコストは最終的には消費者に転嫁されることになり、実質的に商品の値上げにつながってしまうので、公布を回避するように申し入れをしていたが、結局は実施されることになった。これにより電気製品生産者は電子製品処理基金を納付しなければならなくなり、製品を一つ生産するごとに数十元を納付する必要がでてくるという。この基金は回収処理費用の補助金に利用されるが、生産者としてはこれを価格に転嫁せざるを得ないというわけだ。まあ、環境保護の流れとしてはこうなるだろう。めちゃくちゃな方法で処理されているケースも散見されるようなので、これをきっかけに正しい処理を行うようになり、環境汚染の拡大を防ぐことを目的としていることがわかる。地方に行けば治外法権的なオペレーションが行われ続ける可能性は十分にあるので、本当の本当に全国レベルにまで完全に浸透できるかどうか、しばらくするとそんな観点の報告記事を見ることもありそうですね。


康師傳に対する意外な反応

2010年12月28日 | 日記

 

 インスタントラーメンでおなじみの康師傳が中国全土のカルフールに対して商品の供給をストップした。康師傳の値上げをきっかけにカルフール側との来年の契約交渉が頓挫したのがことの始まりだ。原材料の値上げに伴っての値上げなのでしょうがないと思うのだが、ネット上に寄せられているコメントを見るとほぼ100%が康師傳に対する批判めいたコメントだった。これはちょっと意外でした。カルフールのビジネスモデルを批判するような記事も見られていた中で、ここまで一方的に康師傳を批判するというのは本当に意外だ。康師傳の味方となるようなコメントはカルフールはサプライヤーを搾取しすぎ、康師傳を支持する」というものを一つ見つけたくらいで、その他は「もう康師傳は絶対買わない」「もう康師傳は絶対食べない」、「康師傳はごみブランド」を始めとして、なんと「日本の康師傳出て行け」というとんちんかんなコメントもあった。康師傳は台湾のブランドやっちゅうねん!

 

 原材料の値上げに対する理解がもう少しあるかと思っていたのでここまでコメント内容が偏っているのが本当に意外で、カルフール側の組織票なのではないかと思ってしまいました。値上げという消費者にとってはネガティブな事柄なのでとりあえず文句を言っておけというノリでコメントしている人も多いのでしょうね。


人民元預貸金基準金利が今年二回目の引き上げ

2010年12月27日 | 日記

2010年12月26日より人民元預貸金基準金利が引き上げられました。10月20日以来で今年二回目の引き上げになります。11月のCPI上昇率が5.1%であるのを鑑みると、今回の利上げ幅はあまり高くないように思います。私が学生のころ、要するにバブル全盛時に預金通帳を見たときに7%以上の金利がついた預金通帳を見たことがあります。それと比べると中国の預金金利は全然低いですよね。中国もバブルではないかといわれていますが、金利水準だけ見ると日本のバブル時よりも全然低いです。当時の日本の状況と似ているという人もいれば、中国と日本は経済構造が違うので単純に比較的できないという人がいます。確かにそうかもしれません。とはいうものの、上海の高級住宅物件の利回りが2~3%しかなく、これは貸出金利より全然低いです。つまり住宅を賃貸にまわすために借入した場合、完全に逆ザヤになります。やっぱりおかしいですよね。上海の不動産がだめになれば中に入ればいい、そこがだめになればさらに中に入ればいい。いわゆる一線都市から二線都市へ、二線都市から三線都市へという流れで、実際にそのような動きも出ています。国土が大きいというのはバブルの動きをも飲み込んでしまうのでしょうかねえ。 


広州モーターショー

2010年12月27日 | 日記

 最近では日本で車が売れないので中国のモーターショーのほうが規模が大きくなっていると聞きます。現在広州でモーターショーが開催されています。27日までということで本日で終了してしまうわけですが、さすがに上海から広州まではちと遠いので残念ながら見に行くのはあきらめました。そんな人も多いでしょうから写真だけ紹介しますね。

         

           

 えっ?車の写真が一枚もないって?車よりもバイク派なものでして!


カルフールVS康師傳~その後

2010年12月26日 | 日記

 どちらにも言い分はあるのだろうが、メディアではいろんな人(といっても匿名なのだが)のコメントが寄せられている。

 

 康師傳に近い筋によると、インスタントラーメンを2元から2.2元に値上げするに当たりカルフールの出した条件というのが、「値上げ幅の半分の0.1元をよこす」ことだったという。結局交渉は越年することになった。

 

 サプライヤー筋からするとカルフールは本当にやりにくい相手のようでだ。とにかく何か名目を付けては費用を徴収しようとし、購買担当の顔色を伺わなければならないとも言う。かつて原材料の値上げにより商品価格に転嫁せざるを得なくなった旨をカルフールに説明したところ、全く受け付けてもらえなかったという。最終的には購買担当にコミッションを渡すという方法で決着したのだが、こんな感じで出て行く費用がカルフールでの販売額の8%程度を占めるという。なかなかきついことしますなあ。表にできないお金も結構あるのでしょう。日本でも以前はスーパーのバイヤーは結構えげつないことをしていたと聞いたことがある。○○の購買担当になれば数年で家が建つなんて言われてたところもあるようですが、そんなところは今ではほとんど淘汰されていると聞きます。

 

 わけのわからない費用は論外ですが、小売業はやっぱり小売行為そのもので稼いで欲しいですねえ。そんなこんなで、今回は康師傳に頑張って欲しいと思うのです。 

 


外資による不動産プロジェクトに締め付けが入ります

2010年12月25日 | 日記

 今年11月には外貨管理局より外国人は自己居住用の物件を一つだけしか買えない、国内機構は登録都市で自己使用する非住宅建物を一つだけしか買えないという通達が出されていますが、今度は商務部からまた外資の不動産売買を規制する通達が出されております。全文が見つからないのですが、新聞記事によると《外商投資不動産企業の審査批准備案管理の強化に関する通知》というものが11月22日付で公布されており、外資による不動産購入にかなりの制限が加えられているという。買収、出資引受等の方式で新たに設立または増資する不動産プロジェクトの審査批准の監督管理とデータの審査を一段と強化するとしています。また国外資本が国内で不動産企業を設立することに対して、国内で既に立てられているor建築中の物件の購入、売却を通じて鞘取りするようなことをしてはならないと要求しています。

 

 国家統計局の統計によりますと、今年の1-11月の不動産開発企業の資金源泉は63220億元で、これが前年比31.2%増。そのうち中国国内での借入が11245億元で、前年比25%増。そして外資利用が656億元で前年比59%増となっています。母数が小さいとはいえ、伸び率はかなりの水準に達しています。

 

 今回の通達で外資は物件を購入してそれを転売するというビジネスに制限が加えられますので、今後は自ら土地から仕込んでのプロジェクトという形態で進めていく必要があります。ものすごく当たり前ですが。出資引受け、買収等のスキームは、今後は短気での鞘取りであるか否かの判断が加えられることから、審査は難しくなっていくものと思われます。

 

 また、外商が不動産開発経営業務の投資性公司を設立することについては批准しないということも明確にされているようです。還流投資(国内投資者が自ら持つ貨幣資本または出資持分を国外に移転し、それを利用して直接投資として国内に投入する行為)方式で国内不動産企業設立、及び買収、出資引受け等の方式で新設・増資する不動産プロジェクトの行為は、「一段と審査監督を強化」、「厳格にコントロール」すると明確にしています。中国系のシンクタンクによりますと、住宅の場合は利回りが低い(上海では2-3%程度)ということもあり、影響は大きくなく、また国外から不動産投資として入ってくる資金はオフィスビルや商業ビルを対象としているものが多いので、後者に対する管理が強まっていくと見ています。

 

 日系はあまり転売という短期の利鞘狙いの商売をしていないイメージがあります。どちらかというと香港・台湾系や欧米系がそんな商売をしているイメージがあります。ということは、日系にとっては荒れ狂う市場の中で高く釣りあがった土地を仕込むのではなく、落ち着いた普通の状態になった市場から土地を仕込むことができるということで、ありがたい話なのかなあと思います。だからといってバカみたいに値崩れしてしまうというのも問題でしょうが。

 

 外貨管理局の通達も公布された当初はそれなりにインパクトを感じましたが、今となってはそんなこともあったなあという感じです。今回の通達はどこまで効き目があるでしょうかねえ。

 

 

(12月27日追記)

 

ニュースレター

 

通達原文

 

通達日文


コスプレ衣装制作販売

2010年12月24日 | 日記

 

 あるコスプレ製作販売業者が紹介されていた。人数はわずか10人足らずの個人企業だ。この程度の所帯ながら、毎月何百ものオーダーがあり、月商が10万元近くまで行くという。オーダーはネットで受けており、サイトはこちらだ。

 

 

  

 この会社のオーナーはいわゆるアニオタだ。やはり日本のアニメが好きで、アニメが好きで好きで、また中国国内でのアニメ人気が出てきたこともあってこの商売を始めたという。メンバーの平均年齢は20歳。やはりオタクの集まりなのだろう、出来上がりを非常に気にするらしく、依頼人との間で何度もやり取りが行われる。オーナーの毎日の勤務時間は15時間を越える。いくら好きでもさすがにちょっとしんどいらしい。さて、月商10万元とのことだが、どれくらい儲かるのだろうか。

 

初期投入:2万元(主として設備の仕入れ)

毎月の支出:約3万元(原材料仕入れ、賃料、水道電気代、従業員給与)

毎月の収入:約10万元

 

 初期投入を別にして毎月の収支だけ考えると7万元の利益が出る。個人企業にしてはなかなかの水準だ。

 

 趣味を仕事にしてしかもこれだけ稼げるというのはうらやましいですねえ。


これはあかん

2010年12月23日 | 日記

 ガンダムのパクリ疑惑で話題となった四川省のテーマパーク国色天郷楽園というのがある。私はガンダムマニアではないのであまり注目していなかったが、同僚のZ社員から面白いネタがあるといわれちょっとのぞいてみた。ウェブサイト自体は普通かな。

 テーマパーク内には中国館を始めとしてフランス館、ドイツ館、日本館、アメリカ館、イタリア館、スペイン館、ベルギー館といったスペースがあり、サイト内には各国が紹介されている。例えばフランス館はこんな感じ。

 フランスのロマン主義と題して、フランスがロマンチックであることを紹介している。

 

 よーし、じゃあ今度は日本を見てみよう。

 ・・・・・・・・・。これって英語で言うところの"sun of a bitch"ですよね!掲示板や個人のブログならいざ知らず、いちおうこれってこのテーマパークの公式サイト内のものなのですが。。。ハッキングされてこうなっているのなら仕方ないかもしれませんが、気付いてから少なくとも10日くらいは経過しているので。でも他の国の紹介は全部フランスの紹介みたいにちゃんとしているのに日本だけがこれです。公式サイトですよ!よろしくないし、穏やかじゃないですなあ。人生幸朗であれば「責任者出て来ーい!」と叫ぶことは間違いないだろう(ちょっと古いかも)。

 でも、本当に公式サイトでこれはけしからんです。ハッキングされたものであればあきらめもつくのですが、いつになればちゃんとした紹介に差し替えられるのでしょうかねえ。


人気ダントツの中国祝祭日カレンダー

2010年12月22日 | 日記

 今年ももうすぐ終わるが、先日2011年の中国のカレンダーが発表された。私の勤務先のサイトには色んなニュースレター等をアップしているが、今年最も人気が高かったのは「2010年中国の祝日休暇カレンダー」であった。どれくらい人気があったかというと、他のニュースレターなんかよりもぜんぜん多く、そもそもケタが一つ多いのである。ということで、部下Zが今年もまた「2011年中国の祝日休暇カレンダー」を作成したので、是非ご活用ください!

 「2011年中国の祝日休暇カレンダー」はこちら!


ウォルマートによる好又多の買収が躓いている

2010年12月21日 | 日記

 

 ウォルマートが台湾系スーパーの好又多の持分を買収すると発表したのが2007年2月。買収は分割で行われ、今年2月にそれが完了するはずだった。しかしそれが一旦11月に延期になり、今度は来年5月まで延期すると発表された。延期になった原因は、ウォルマートによると、「契約中のある取引条件を満たすため」ということだ。この取引条件は好又多の数十の店舗が内資であったのをウォルマート標準の外商独資の店舗に転換させることであった。好又多は国内で104店舗開設し、そのうち30店舗のみが商務部の批准を経た外資の店舗で、その後5店舗が外資に転換し、残りの69店舗が内資の店舗であった。2004年に外資に対して小売業が開放されたにもかかわらず、好又多の店舗の多くの出資者は国内の自然人であった。これが店舗を外資に転換させるのに大きな障害となった。その後ウォルマートは3年の時間を要して、店舗の外資への転換を完了させることができた。

 

 店舗性質の転換こそできたものの、やはり問題はあった。100余りある店舗のうちの30あまりの店舗が工業用地にあったり、国有土地使用証がない、不動産賃貸登記証がない、権利証がない、消防合格証がな い等の事実が発覚し、このようなことは、ウォルマートとしてコンプライアンスの観点から認められないのである。アメリカ人からすると、営業許可証があるということは、法律的に問題がないという考えで、当初100枚以上の営業許可証を確認した時点で問題無しという認識だったという。ところが結局この30あまりの店舗の問題で躓いている。工業用地の商業用地への転換は簡単でなく、また店舗オーナーも面倒くさがってやりたがらない。店舗側からすると通常通り営業できているので、問題を問題と感じていないのだ。

 

 そんなこんなで、計画を来年5月に延期したが、それが又延期される可能性もあるし、コンプライアンス違反に該当する店舗を放棄する可能性も残されている。

 

 相手が外資に該当する台湾系に対する買収でもこんな問題が生じてしまった。ましてや中国系企業に対する買収となると言わずもがなだろう。私も以前一度内資の外資への転換をお手伝いしたことがあるが、相手となる内資企業の工場は農業用地に立てられており、これを工業用地へ転換するのに苦労したことが思い出される。

 

 今回の買収で躓いた問題は財務的な問題が発覚したというようなものではなく、当たり前のように行われていたことがコンプライアンス的に問題があったというものだ。これもまた「いかにも中国」らしいですね。


制服フェチと思われてしまった

2010年12月19日 | 日記

 とある会合に出席して名刺交換したときのことだ。その方は女性なのだが、上海万博期間中日本館で勤務していたという。日本館は人気のパビリオンで、私が行ったときも5時間半待ちだった。並ぶのは嫌いなほうなので結局一度も見ることなく万博は閉幕した。もっと早く知り合っていれば並ばずに中に入ることができたかもしれないなあと思いつつ、「もっと早く知り合っておけば・・・」と言ったところ、返ってきた言葉が「制服はまだとってありますよ」と言われた。どうも並ばずに中に入りたかったという意思が伝わらず、制服に興味を持つ制服フェチと思われたようだ。

  

      入ったことがないので知らないが、多分これが日本館の制服

 

 まったく予想していなかった言葉にちょっとたじろいでしまったが、「じゃあ、今度その制服を着て人民広場の人ごみで待ち合わせでもしましょう」と切り替えしてたじろがせることができた。

 いやあ、しかし制服フェチと間違えられましたか。でも制服を見たいという人が多いようです。こんな風に思われるなんて、上海には結構制服フェチの人が多いのかもしれません。


中国のオークションが熱すぎ!

2010年12月18日 | 日記

 嘉徳というオークション会社が1123日に行ったオークションで総成約金額が41.33億元(約517億円)に達し、今までの記録を塗り替えた。そしてこの二週間後に保利というオークション会社が行ったオークションで総成約金額が52.8億元(約660億円)に達し、あっという間に記録を塗り替えた。スゲー!嘉徳のオークションでは1億元を超えた取引が3件、1000万元を超えた取引が52件。保利のオークションでも1億元を超えたのが2件、1000万元を超えたのが99件にも上った。スゲー!金額が高いのは古代絵画や宮廷器物が多い。要するに芸術品だ。不動産の高騰も凄いが芸術品の高騰も凄すぎる。株式よりもリスクが小さく、値上がりのスピードも速く、格調も高いと思っている投資者は少なくない。日本のバブル期も芸術品がもてはやされ、やたらと高騰してしまった時期があったが、まさにそれと同じなのだろう。

 

  

   嘉徳             保利 

   

 やっぱりバブル崩壊を経験したものとしてはちょっとどうだかなあと思ってしまう現象だ。いまだに覚えているのだが、平成14年にとある会社が倒産し、そのときの不動産の評価書を見たところ2億円という評価だった。色々あさっていると平成7年の評価書が見つかったのだが、そのときの評価はなんと14億円!なんと7年で7分の1にまで下がってしまっていたのだ!不動産の下落も凄いが、たぶん感覚的には芸術品の下落はもっと凄いだろう。中国の不動産の場合、一線都市の次は二線都市、二線都市の次は三線都市、三線都市の次は四線都市と、市場がタケノコのように出てくることもあり、日本と同じような動きでの下落にはならないように思う。でも芸術品はどうだろうか。芸術品もタケノコのようにドンドコ出てくるのだろうか。いやあ、それはないか。個人的にはさすがに芸術品は不動産よりも怖いと感じますね。


労働集約型企業はやっぱり厳しい

2010年12月17日 | 日記

 

 去年、一昨年は金融危機の関係もあり外国からの受注が少なかったクリスマス向け商品だが、今年は受注が大幅に増加している。ところが儲からないそうだ。とある工場ではオーダーが昨年よりも3割も増加したにもかかわらず、最終利益水準は昨年と変わらないという。それもこれも労働コストの上昇、原材料の上昇、人民元の上昇、これがトリプルで効いているのだ。さしずめワン・ツー・左フックを食らうようなものか。メーカーだけでなく、中間商でも同じ現象が生じている。工場からの仕入れ価格が年初に契約したときよりも10%程度上がったため、このしわ寄せが中間商に来てしまい、利益を圧縮してしまっているのだ。

 

 クリスマス商品を受注する企業の多くが中小企業であり、中にはパパママ企業レベルのところもある。そのため、技術レベルは低く、競争力も弱く、低廉な加工賃で経営を維持している状態にある。そのため、コスト、オーダー量、為替レートでちょっと変動があるとその変動を吸収することができず、利益も確保できなくなるという。こういった低付加価値産業のレベルアップを図っていくという精神論的な通達類を何度も見たことがあるが、こんな儲からない商売でもやっていかざるを得ない企業も多い。ここに挙げたのは浙江省の義烏の話だが、あれだけ雑貨が集約するような産業立地になってしまっている以上、いまさら急激に変えていくのも難しい。結局レベルの低い企業同士でレベルの低い競争が起こり、価格だけが差別化要因となって勝負し、体力のないもの同士が消耗していくような形になってしまう。義烏以外でも同じような状況はあるだろう。これでも続けていかなくてはならない労働集約型企業はやっぱり大変だ。