呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国Eコマース白書 byニールセン

2015年10月30日 | 日記

 『ニールセン中国電子商務業界発展”杭州”指数白書』なるものが杭州のEコマース関連のフォーラムで発表されています。

 

1.ネットショッピングユーザー数は男性が多い

 これは私も意外だったのですが、ネットショッピングユーザー数は男性のほうが多いそうです。そもそも男性のほうが多いということがあるからでしょう。ただし、頻度はやはり女性の方が高いようです。だから女性ユーザー数のほうが思い込んでいたのだと思います。なお、所得水準で見た場合、月収8000元以上の人が81%を占めているとのことです。そこそこの所得水準の人もネット販売で購入しているということがわかります。

 

 

 ユーザー巣についてもう少し掘り下げてみましょう。ネットショッピングユーザー数(3.61億人)と、ネット支払ユーザー数(3.04億人)と、モバイルネットショッピングユーザー数(5.57億人)です。モバイルネットショッピングユーザー数がネットショッピングユーザー数を上回るということは、要するに非モバイルネットショッピング、すなわちパソコンでのネットショッピングかと思うのですが、かなりモバイルの方が上回っています。入力しやすいということもあり私はまだパソコンで買いますし、決済はもっぱらアリペイですね。

 

3.農村ユーザー数の増加2014年の農村のネットショッピングユーザー数は40.6%も増加しており、都市部の16.9%を大きく上回っています。のj損地区のネットユーザーのネットショッピング使用率は43.2%に過ぎず、これは都市部の60.4%を下回っていますが、何しろ伸び率が大きいので今後さらに注目されると思います。農村部といってもどこまでの農村部を指すのかという問題がありますが、物流の問題さえ解決できればかなり伸びるでしょう。

 

4.その他

 購買頻度が最も高いのがベビー商品、旅行商品は市場規模が最も大きく、家電・携帯電話・ITデジタル製品の市場規模は旅行商品に次ぐ規模。そして、68%のネットショッピングユーザーは休日に買い物します。時間帯としては夕食後就寝までの間が多く、55%のネットショッピングユーザーがこの時間帯に買い物をします。26-35歳の年齢層の人がネットショッピングユーザーの51%を占めており、小さな子供がいる家庭が多いからこの時間帯になるという見方がされています。普通に考えれば働いている曜日及び時間帯を避けているだけなのかと思いますが、このような分析がされていました。

 なお、Eコマース企業の1/3以上が杭州に集中しているとのこと。これはアリババが杭州に拠点を設けているからでしょう。また、Eコマース産業を後押しする色んな補助政策も多くあるようですよ。杭州はもっぱら天猫やタオバオがらみで、独自の大手は北京が一番多く、その後をシンセンと上海が離れて続いているかと思います。ということは、杭州にあるのは準準大手以降といえますね。


超日本びいき・台湾びいきの中国人

2015年10月27日 | 日記

 たまたまとある中国人と1対1で食事をする機会がありました。中国人といえば最近だと日本は嫌いだが日本製品は好きという人も増えてきていますが、愛国、反日、台湾は中国の一部だ、と主張するのが定番のイメージを持つ人も多いでしょう。ところが、これとは全く正反対の人だったのです。

 

 同じ内容を一般の中国人に話すとアホ扱いされると本人も話していたのですが、言っていた内容としては、

 ・台湾人の気持ちはとてもよくわかる。台湾は台湾、中国じゃない。

 ・蒋介石はともかく、その息子の蒋経国は素晴らしい。

 ・蒋介石はよくなかったかもしれないが、もし蒋介石が勝利していたら中国も今より良かったのではないか。

 ・中国は分裂すべき。

 ・日本人が靖国神社に参拝するのは何の問題もない。戦没者に慰霊すべきは当然のことで、色んな国に同じような場所がある。自分自身も靖国神社に行ったが、素晴らしい施設と感じた。

 韓国のこともいろいろ言ってましたがここではノーコメントとします。とにかく、一般の中国人の口から出る言葉としては異例としか言いようのない内容化と思うのですが、なるほどそうなのかという背景を教えてもらいました。なんでも、その方の父かおじいさんか忘れましたが、国民党の残党だったのだそうです。国民党の残党であったが故に、その後の共産党中国では文化大革命の時代も含めてそれはそれは辛い時代を過ごしたそうです。そしてそれを聞かされて育ってきたとのこと。なるほど、共産党に対するイメージが悪くなるわな。そもそも国民党って全部が全部台湾に逃れることができたわけはなかったのか。そりゃあ100%全員が逃げ切れるわけがないといえばそうなのだが、あまりそのように考えたことがなかったです。

 

 今年2015年はバックトゥザフューチャー2の年ということで、先日DVDを見たばかりです。ほんの少しのきっかけで歴史というのものは大きく変わっていくのですが、現実社会も確かにそうだと思います。彼が言うように、本当に国民党が共産党を蹴散らしていたらどうなっていたでしょうか。そういう小説があっても面白いと思うのですが、中国だと発禁になってしまうでしょうね。


委託貸付の返済遅延が増加

2015年10月25日 | 日記

 中国では委託貸付という制度があります。貸金を行うことができるのは金融業者だけであり、非金融業者が単独で資金を融通することができないため、間に銀行を挟んで資金を融通する制度です。A社がB社に対して資金を貸し付けたい場合、A社が資金を銀行に預けて、B社は銀行から借り受ける、実質的にはA社からB社に貸し付けるのと同じことになります。私が銀行にいたころは関連企業間で行われるのが大半でしたが、あるころから非関連企業間でも行われるようになってきております。そして、中国企業間だと金利設定も10-18%程度とかなり高く設定されているのが一般的のようです。

 

 こんな高い金利で資金調達するくらいですから、調達企業は銀行から直接融資を受けることが難しい企業が多く、業種としては不動産業が多いです。2014年上半期で、上場企業だけでも国内委託貸付は2.51兆元で前年比100%も伸びています。そして、社会融資総規模(実体経済が金融体型より獲得する全資金総額)の中で、昨年の委託貸付の増加幅は商業銀行の人民元貸付規模の30%程度で、いわゆるシャドーバンキングの26%を占めると言われています。


 そして最近この委託貸付の返済延滞が増えているようです。実質的には企業間貸付ですが、間に銀行が介在してしまっているため、延滞した場合銀行が取り立てのお手伝いをする必要も出てきます。上述したように委託貸付で資金を借り受けるのは不動産業が多く、自ずと資金ボリュームも大きいので、不動産市況がおかしくなるとその影響も相応に大きくなるでしょう。過去にも委託貸付について書いたことがありますが、古いのは2008年に書いてます。不動産バブルもずっと言われてますが、この7年間無事でいられて、なおかつまだ値上がりしている物件があるという現象もすごいですね。


(参考:過去記事)

http://blog.goo.ne.jp/gomeiken/e/6da6f406e0b1be0156d9b6f1e7d29372

http://blog.goo.ne.jp/gomeiken/e/ff6a09a814d0ccfddc10a8865a122a18


中国の就業人気業界はインターネットと金融

2015年10月25日 | 日記

 CIERという指数があります。就職市場の良しあしを測る指標です。その指数の計算式は、

 CIER指数=市場募集ニーズ人数/市場求職申請人数

 つまり、この指数が1より大きいとき、就職市場は求人が多いということであり、1より小さければ就職難ということになります。下の表を見てみましょう。青線が求職申請人数、オレンジ線が募集人数、数値がCIERです。時間軸で右から3つ目がなぜか20111Q1となっていますが、これを無視して見る限り、2011年の時点と比べると大幅に上昇、ここ最近は下落傾向ということがわかります。

 

 

 

 これは2015年のホワイトカラーの一人欠員あたりの履歴書を受け取る平均数量の推移です。どんどん増加してます。相も変わらず転職希望者が多いのでしょう。

 

 

 業種ごとに数値の違いを見ていきましょう。求人が旺盛なのはインターネット、ファンド/証券、保険、教育、不動産、仲介サービス、物流、財務会計/法律、交通、農林牧漁と続きます。インターネットと金融の人気が高いです。中国不動産バブルがやばいと言われてもうかれこれ10年以上になるかと思うのですが、いまでもなお求人は旺盛ですね。一方で、求人が旺盛ではないのが、会計/監査、エネルギー、航空、リースサービス、電気、オフィス用品、検査/認証、学術/科学研究、物業管理、反響保護と続きます。

 

 

 募集ニーズの高いインターネット・Eコマース関連はなんと求人ニーズが65%も伸びており、Eコマースの勢いを感じさせてくれま

 

 企業規模別のCIER指数を見ていくと、零細企業ではその伸びが52%と最も多きく、指数自体は小企業が最も高く、起業規模が大きくなるほど小さくなっています。中小企業の人材不足は中国でも同じようです。

 

 

 以上を見る限り全体的には就職しやすい状況といえますが、個人的には人件費コストとそのパフォーマンスが釣り合っておらず(もちろんちゃんとこなしている人もいることは否定しません)、こちらの改善が望まれます。急成長している時期は人材の取り合いになるので人件費コストとそのパフォーマンスが釣り合わないケースが多いのはわかるのですが、CIER指数が伸びているとはいえ成長スピードも落ち着いてきた最近ではそろそろ人件費コストとそのパフォーマンスが程よくバランスする方向に移っていって欲しいものです。


(資料出所:中国経営報)


2014年中国百貨店・ショッピングモールの売り上げランキング

2015年10月15日 | 日記

 寧波に阪神阪急が百貨店を出店することをふと思い出し、昨年の百貨店・ショッピングモールの店舗売り上げランキングをちょっと探してみました。

 昨年時点で売り上げが下がっているところが意外と多くありますね、というかマイナスになっているところのほうが多いような気が。上海恒隆広場なんて20%以上落ち込んでますが、ここはラグジュアリーブランドが中心なので、贅沢禁止や反腐敗の影響が大きいのでしょう。となると、今年は景気も昨年より良くないようですし、さらに落ち込むことは間違いなさそう。地方都市もしんどそうですねえ。

 

 


銀聯カードによる海外出金制限の影響は?

2015年10月01日 | 日記

 中国人インバウンドで潤っている日本に冷や水を指すようなニュースが出ました。銀聯カードによる出金制限です。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150930-00000087-reut-bus_all

 現在は1日当たりの引き出しのみが制限され、上限は1万元となっているのが、

 ・2016年から年間10万元(1万5734ドル)に制限

 ・ビザ<V.N>とマスターカード<MA.N>の発行したクレジットカードでの引き出しも対象

 ・年内の3カ月間は、5万元を上限

 

 いろんなところでこれは今後のインバウンド消費に影響が出そうだという意見が出ています。そんなに影響するのだろうか、という観点からちょっと考えてみました。このヤフーの記事を見ると制限されるのはあくまで現金での引き出し。原文記事も見ましたが、やはり制限されるのは現金の引き出し。つまり、銀聯カードで買い物する分には影響がないということですよね。銀聯カードで海外で買い物することにまで金額制限が設けられると大変ですが、銀聯カードのデビット機能で買い物することまでは制限されません。多少は不便になるでしょうが、日本に来る前にある程度日本円を用意していれば大丈夫なのではないかと。こういう制限ががあるとわかっていればあらかじめある程度現金を用意していくと思うんですよね。それを知らず日本のATMでおろそうするとえらい目に合うでしょうが、少数派でしょうし、最初だけじゃないかなあ。それに家族で行くとそれぞれの銀聯カードに10万元ずつ下せるように残高を振り分けていれば結構使えると思うですよね。とうことで、真似論対策という見方は理解しますが、インバウンドビジネスに対する影響についてはそんなに心配しなくてもいいのではないかと思われ。