呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

旅行シーズンの値上げ

2009年09月30日 | 未分類
  8月27日に国慶節前に集中的に観光地の入場料を値上げしてはならないとお触れが出た。上海、山西、湖南、内蒙古、寧夏等の景勝地では、今年の国慶節休暇期間は値上げせず、むしろ値下げや割引を行いより多くの観光客に来てもらおうとしている。

 しかしながら某メディアの取材によると、5A級風景名勝区の峨眉山の二つのロープウェーの値段がそれぞれ71%、83%値上げされていることがわかった。このほかにも広東省や浙江省でかなりの値上げが行われた観光地が確認されており、倍以上に値上げされている例もある。
 
  こんな中、四川省物価局及び成都市物価局が合同で「国慶、中秋節の価格の訓戒注意会」なるものを召集し、成都の一部の業界協会、大型マーケット、スーパー、レストラン、旅行社、駅及び空港等の経営者に対して価格に対する節度をわきまえ、法律法規を遵守し、連休の消費の多いときにみやみに費用を徴収するようなことをしてはならないと発表した。見つけた場合、最高で100万元の罰金を課すとのことだ。

  そもそも中国の観光地は中国の所得水準と比べてもその入場料は非常に高いと以前から思っていた。これが連休に入ると更に値上げされているケースが散見されていたというのだ。入場料のみならずそれ以外のホテルなどの便乗値上げの幅もかなりのものだ。100万元の罰金?これくらいやってもらわないといつまでたっても便乗値上げはなかなか収まらないだろう。国慶節休暇で旅行に行かれる方も多いと思うが、ついでに今年の価格状況を確かめてみよう。

中国における狂犬病の現状

2009年09月29日 | 未分類
  9月27日に衛生部が発表した《中国狂犬病予防治療現状》によると、2008年に中国では狂犬病の発症件数が2466例あり、これはインドについて世界で2番目に多い数値となっている。

  狂犬病は主に人口が密集している華南、西南、華東地区に分布しており、そのうち最近5年間の狂犬病による死亡累計人数のトップ5は広西、貴州、広東、湖南及び四川となっている。そして、この5省の合計が全国の60.85%を占めている。また、農村地区、男性、15歳以下の児童及び50歳以上の成人の発症例が多い。

 狂犬病の予防注射を打っている人の話は余り聞いたことがない。多くの方が未接種ではないかと思う。国慶節休暇に中国国内旅行をする人も少なくないと思う。特に農村地区では犬の放し飼いしている比率が90-95%と言われており、こういった地区へ旅行する人は特に気を付けたほうがいいだろう。

それほど行われていない来料加工廠の現地法人化

2009年09月28日 | 未分類
  来料加工廠の現地法人化が話題になってから久しいが、実際にはどれくらいの数で行われているだろうかと思う人も少なくないだろう。香港系が結構現地法人化している、台湾系も結構現地法人化している、確かにこういった声は耳に届く。来料加工廠の現地化を促すような通達も公布された。しかしながら、日系企業に聞いてみると現地法人化もいいのだが、いざ動いてみようとすると手続きも面倒だし、来料加工廠のスキームも決して悪くないと思い、やっぱり今のままでいいという判断を下すところも多いという声が多く聞こえる。しかしながら、東莞政府としては現地法人化を進めて行きたいようだ。簡単な話で東莞としてもいつまでも輸出だけでやっていくのはしんどいと思っており、今後中国国内市場をターゲットにしていく流れにもあり、国内販売を行うには現地法人のほうが全然便利で、今のまま来料加工に頼っていては東莞としてもジリ貧になりかねないと考えているからだ。2008年に東莞の来料加工廠で現地法人化した会社は158社に過ぎず、政府の思惑とミスマッチが生じている。企業側としては国内販売する体制を整えるには相応の労力を要することもあり、いましばらく様子を見ようという企業が多いようだ。

「90後」世代の考え方

2009年09月24日 | 未分類
  最終消費者向け国内販売を手がけている企業にとって「90後」の行動様式や考え方を知りたい人は少なくないだろう。上海社科院青少所と市婦聨が合同で「90後」の上海青少年発展状況観察報告とやらを発表したのでここで紹介してみよう。

1.楽しさ
  楽しいですかと言う質問に対して46.8%が「非常に楽しい」と回答している。「わりと楽しい」も含めると約80%が楽しいと感じているという結果だ。


     (出典:東方日報)

2.中国人としての誇り
  90%近くが中国人としての誇りを持っているという結果が出ている。愛国心が強いということがいえる。ちなみにとあるサイトによると2003年に日本の青少年に対して行った同様の質問に対して72.6%が日本人としての誇りを持っているという結果が出ている。中国と比べて20ポイント近くも少ない。日本では残念ながら愛国心と言う言葉にネガティブなイメージを持つ人が多いからかもしれない。


     (出典:東方日報)     

3.事業を成し遂げる自信
  自らが主赤いで事業を成し遂げる自身があるかと言う質問に対しては「全くその通り」が33.8%、「割りとその通り」が33.4%、この二つあわせると約7割だ。「90後」は結構自信家のようだ。


     (出典:東方日報)

4.将来の発展目標
  将来どうありたいかと言う質問に対して「毎日を楽しく暮らしたい」が37.5%、「個人発展と事業成功」が28.7%、「お金を稼いで親孝行」が25.4%となっている。3つ目の回答は結構泣かせてくれる。


     (出典:東方日報)

5.幸せ
  幸せ度合いについても結果が発表されている。「とても幸せ」が48.0%、「わりと幸せ」が34.5%、あわせて82.5%だ。冒頭で約80%が楽しいと思っているのとほぼ同じだ。


 (時代報の記事に基づいて作成)

  専門家によると、「90後」の世代は家庭環境の良い人が多くなってきており、また家庭内での地位も高く、結構わがままがきき、家庭の全体消費に対する影響も大きいことから幸せ度合いや楽しさ度合いが高いのだろうと分析している。しかしながら一方で、頻繁に気分が落ち込んでしまうというのが21.7%の割合でおり、大きく挫折したときに死んでしまいたいと思うのが4%いるという結果も出ている。弱っちいのも少なくないようだ。

  また、他人に対する理解が欠けていたり、コミュニケーションがうまくないということも指摘されている。「80後」も似たようなことが言われていたが、そのように言われる世代は「90後」に移りつつあるようだ。

総工会がやってきた

2009年09月23日 | 未分類
  工会(労働組合)を設立するように促すことを目的として工会組織の人がやってくるという話を聞いたことがあるが、こういう人たちが我が社にもやってきた。上海浦東新区総工会の陸家嘴金融貿易区工会聨合会というところからやって来た。現在我が社には工会は設立されていないが、現状を説明したところ特に無理やり工会を設立するようなプレッシャーをかけられることはなかった。せっかくの機会なので二点ほど聞いてみた。

Q1.総経理のような管理層の人間が工会の主席になれるか?
  管理層の人間が主席になるのはかまわない。ただし、出資者が主席になってはいけない。

Q2.工会の主席は外国人でもいいのか?
  外国人の工会主席は認められない。その理由としては外国人は当たり前の話だが中国人ほど中国の文化背景や風習をわかっていないため、工会主席としてふさわしくないから。香港・マカオ・台湾人に関しては工会主席になるというような話が出たことがそもそもないので即答はできない。

芸能人名を商標登録???そりゃあないでしょう!

2009年09月22日 | 未分類
  安室奈美恵という個人名が中国で商標登録されているということを教えてもらった。そんなアホなと思いながら調べてみたところ7月に上海2daysコンサートを開催したときに既に話題になっていたようだ。本人は自分のファッションスタイルが認められてうれしく思うが法の限界を超えてはいけない、という大人のコメントを残している。本当に大人のコメントだ。中国商標網で安室奈美恵という名前の登録状況を調べてみた。

  

  湖北省に在住している個人により衣料品関係で多く登録されていることがわかる。

  ついでに中国で知名度のある他の芸能人についても調べてみよう。

  まず手初めに今話題の
酒井法子だ。3つ見つかった。

  

  

  

  湖南省、大連、浙江省に在住している個人によりそれぞれ衣料品関係、酒類関係、化粧品関係で登録されていることがわかる。衣料品と化粧品はわかるがお酒ですか。あまり酒豪のイメージがわかない芸能人(元芸能人?)なのでしっくりこない。

  よし、次は男性タレントで
木村拓哉だ。

  

  広東省のとある会社により靴下関係で登録されている。靴下ですか。イメージが。。。

  以上のほかにも
福原愛という商標もたくさん登録されてしまっている。日本の都道府県が中国で数多く商標登録されているというのは聞いたことがあるが、有名人の個人名の商標登録がここまで行われているとは。本人達は知っているのだろうか。こういうやり方はあまりにも狙いが露骨過ぎてお行儀がよろしくないですなあ。、今年の新規商標登録件数が今月15 日までに100万件を突破したとのことだが、こんな登録をしていればそりゃあ登録件数も多くなるだろう。決して自慢できる話ではない。

  中国の商標登録は早い者勝ちである。もちろんあまりにひどいケースではあとから申し立てすることができるが、その労力はかなりのものになる。商標申請から認可までの平均期間は19 カ月となっているとのことだが、中国でビジネスする意向があるのなら思いついた段階で自らの権益保護のためにも面倒くさがらずに商標登録を励行しよう!(個人の名前まではさすがに思いつかなかったが)

上海市民の平均幸福指数は69.16点

2009年09月21日 | 未分類
   今年3月から「上海市民生活観幸福感調査」というものが行われたが、その結果によると、上海市民の平均幸福指数は100点満点で69.16点だった。全体の比率は次の通りである。  
とても幸福
6.8%
わりと幸福
41.7%
普通
43.2%
あまり幸福でない
6.8%
ぜんぜん幸福でない
1.6%

   幸福感と教育レベルが比例しており、大専の48.1%、本科の54.9%が幸福感について満足している。また、女性の満足度は男性よりも高い。勤務先別では私営企業オーナーの80%が幸福感に対して満足しており、その次が国有企業・外商投資企業及び私営企業の中高層管理人員の59.5%、第三に党政・事業社会団体の責任者で58.3%を占めている。幸福指数が最低なのは失業者、個体工商戸とワーカーだ。当然といえば当然か。

    このほかの結果としては、上海市民が解決すべき社会問題として、医療費が高い、収入の差・貧富の差が激しい、失業問題、住宅価格が高すぎる、といったものがある。逆にいえばこれらが解決すればするほど幸福感も上がっていくということだろう。いや、人間というのは欲望にきりがなく、欲望が満たされたとしても更なる欲望を求めるために思ったほど幸福感も上がっていかないかもしれない。この幸福度がどれだけ物質的なものが基準となっているかわからないが、上海くらいのレベルの都市になると物質的な欲望を達成しやすいだろうから、物質的な基準で言えばこの69.16点という点数の伸びしろはひょっとするとそれほどないかもしれないだろう。

上海小売事情 ~2009年上半期~

2009年09月18日 | 未分類
  今日から「呉明憲コンサルタントの中国日記」あらため「呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記」に名称を変えることにした。その理由はこの方がイカしていると思うから(多分)。さて、本日のテーマは上海の小売業の今年上半期の状況についてだ。

  上海市商業信息中心が上海市の70余りの百貨業に対してモニタリングしたデータによると、金融危機の百貨業に対する影響が最も大きかったのは2008年10月だ。売上げが急激に下落してしまった。そのため異常に激烈な販促活動を行い続けてようやく状況が落ち着いてきた。2009年に入って以降は0成長と読んでいた上海の企業も、現在の売上げは全体的に安定的に増えてきているということだが、往年と比べると粗利率と売上げの伸び幅が弱くなってきている。販促活動という単語が何回か出てきたが、ショッピングを楽しんだ人だったらおそらく気づいていたのではないかと思うが、300元買い物すれば300元の金券をバックするといった極端な販促が行われてきた。百聨股份の商業部門の2009年上半期の売上げは49.09億元と前年比7.26%増加しているものの、粗利率は20.43%で、これは前年比2.68%のマイナスとなっている。販促期間の拡大、販促の頻度の増加、そして金券の発行、これが大きく影響している。販促すれば売上げは伸びるが利益が伸びにくいという環境になってしまっている。

 さて、上半期の業態別の売上げ伸び幅についてみてみよう。下のグラフ(出典:東方早報)をご覧頂きたい。




 ショッピングセンター、服飾家紡類、医薬類が伸びている一方で、大型スーパー、貴金属類、家屋建材類、ホテル飲食あたりがマイナスとなっている。そして最も目立つのがネット販売とテレビショッピングだ。いずれも70%以上の伸びを示しており、他と比べようがない伸びだ。これだけ伸びていればやりたくなる人も増えてくるはずだ。昨年あたりからネット販売に関する問い合わせが増えてきている。ただし、BtoCで言えばネット販売のユーザー層は年代が若く、そのため収入も相対的に低い層の人が多い。そういった人たちに対する販売なので、どうしても単価が低くなりがちだ。

 中国はマーケットはあるのだが、その分競争も激しい。このようなステージでより大きな成功を収めるためには、ブランド力のある会社はいいのだが、そうでない会社はいかにうまくいく仕組みを作っていくかが大事だ。

税務調査の嵐 ~ その3

2009年09月17日 | 未分類
4月
  国家税務総局が第一陣の税務調査リストを発表。4月から6月の間の自己調査を行うことを要求。リストの中には銀行、保険、通信、発電及び石油石化の五業種の24社の大型企業が含まれる。
企業は要求に従って2005年から2007年の税収状況を自己調査し、そして規定の時間内に自己調査報告を完成し追加納税及び滞納金の納付を行う。その後自己調査対象期間を2008年にまで拡大。

6月
 第二陣の税務調査企業リストを発表。自己調査期限を7月20日に設定。
万科、国家電網、中糧、デル等の36社の大型企業をリストアップ。

7月
 国家税務総局が自己調査を行った第一陣の企業の抜き取り調査を開始。その内12社に税務申告の不備を発見。
 7月27日、国家税務総局が各省市税務部門に「国家税務総局:《一段と税収徴収強化することの若干具体措置》の印刷公布に関する通知」を下達し、「一段と徴収管理強化、増収の漏れのないように業務をしっかりと行うこと、今年の税収収入増加予想目標達成の確保」を明確化。
 同時期、国家税務総局が税収任務を各省市に細かく委譲。各省級税務機関は管轄内の各タイプの企業の税務調査通知を次々に発し、これより税務調査の嵐が中小企業にまで拡大。

9月
  国税総局が60社の企業の税務調査行動に対して重点検査段階に入り、自己調査と抜き取り調査の差が比較的大きい企業に対して、国税総局が入り込んで全面検査。
 これと同時に、国税総局は省級以下の税務部門に「自己調査-抜き取り調査-重点検査」のモデルで管轄区内の大企業に査察を展開。

 状況はどんどん厳しくなる一方だ。いかに税務局のノルマが厳しいのかを表しているといえる。日系企業もこの嵐の中に巻き込まれているところもあるのではないだろうか。

税務調査の嵐 ~ その2

2009年09月16日 | 未分類
  広東省のある税務局員が《中国経営報》の記者に次のように語った。
 
9月以降のプレッシャーは引き続きかなり大きい。計画によると、今年の財政収入予算はプラス8%だったのが、実際は今年上半期全国では前年比6ポイントマイナスとなった。言い換えると、9月以降は、税制の増加率が20%に達して初めて任務を完了することができる。我々の任務は今後の数ヶ月において少なくとも前年比15%増を維持しなければならない。上級税務部門のプレッシャーが大きく、また一部の査察権限を基層税務部門にまで下ろしたこともあり、このプレッシャーの下で一部の中小企業にも目を向けざるを得なくなっている。
 
  次に追徴を食らった企業について紹介しよう。とある華南に所在する企業だ。この会社は2004年から2008年の税収状況について自己調査をし終えたところ、わずか2週間足らずで全ての帳簿を提出するように要求された。そして最終的にその後400万元の追徴と滞納金を支払うよう通知が届けられたというのだ。この会社は金額が余りにも大きいために分割納付、あるいは期限延長を希望している。
 
  このほか一部の地方の税務部門では、自己調査を行った企業は必ず一律で前年度に納付した税額の1.5%を追加納税を要求されたり、またある地方政府では税金の事前徴収、還付遅延を行っているようなところもある。
 
  こんな話もある。8月下旬に広東省のとある税務部門が現地の大中型企業を呼んで会議を開催した。そして、この場で次のような方針を伝えられた。
  ①  既に自己調査を行った企業は引き続き更なる自己調査を継続すること。
  ②  自己調査を終えていない企業が追加納税することを奨励する。
  ③  利益を計上している業種については税収優遇を1年間暫定的に停止し、来年環境が好転してから当初の優遇政策を順延する。
 
  1.5%の追加納税の強要といい、税収優遇の1年間暫定停止といい、もう目茶苦茶だ。自社でこんなことがあったらたまらない。
 
  次回は税務調査が厳しくなったプロローグである4月以降の流れについて紹介する。
 
続く

税務調査の嵐 ~ その1

2009年09月15日 | 未分類
  税務調査自体は毎年行われているが、今年は特に厳しいという声が上がっている。その理由としては財政収支が厳しいというところに帰結する。

  統計によると、1-7月累計の全国財政収入は4兆672億元(前年比▲0.5%)、全国財政支出3兆3888億元(+23.5%)と、収入が微減ながら支出が大幅に増加してしまっている。収入は微減となっているが、実のところ6月と7月で大幅に改善してきている。税務調査による追徴が貢献しているのだ。追徴税額は1-7月の財政収入の1%も占めている。1-7月の税務機関による追徴は413億元、そのうち6月と7月だけで212億元も追徴している。国家税務総局の当初の追徴目標は200億元だったが、わずか2ヶ月だけでクリアしてしまっているのだ。

  4月と6月に企業による自主調査に関する通達が公布され、企業はそれに基づいて自主調査を行ったが、その多くの企業で今度は抜き取り調査を行うという通知を受けた。8月末の報道によると、24社の最初に自主調査を行った企業のうち、12社が抜き取り調査の中で問題が起こったとのことだ。上場会社の広済薬業は6月の自主調査の段階で1300元を追加納税したものの、湖北税務部門が7月の抜き取り検査でさらに1700万元の追徴を要求してきた。合計でなんと3000万元だ。いかに今年の税務機関による追徴させるための調査が厳しいかというのがうかがえる。

続く。

人民元貿易決済における輸出税額還付の状況

2009年09月14日 | 未分類
  人民元貿易決済の利用がいまひとつ進んでいない理由のひとつとして輸出税額還付がちゃんと受けられるのだろうかと言う不安がある。これをクリアすべく《国家税務総局 :クロスボーダー貿易での輸出貨物人民元決算における税額還付(免除)の関係事項に関する通知》が公布された。さて、今度はどれだけ通達どおりに運用してもらえるか、つまり実例がどれだけ出てくるかだ。この通達に基づいて、9月はじめに上海、東莞、深圳の各地で輸出税額還付を受けた企業が出てきた。上海のケースでは具体的な企業名と金額が発表されており、三林万業(上海)企业集団有限公司と言う会社が人民元貿易決済で1.71万元の輸出税額還付を受けた。輸出税額還付はどうやら大丈夫そうだ。ただ、人民元が自由兌換できる通貨でないことから貿易相手が人民元決済を好まないこと、人民元を持っていても運用先が少ないことから、結局は人民元以外の通貨で決済が行われるのが大半だ。結局は人民元の国際通貨としての透明度が確立しないと人民元決済の浸透は簡単ではない。とはいうものの、この人民元決済もあくまで試行なので、ゆっくりと見守っていきましょう。

外資ディベロッパー、二三線都市へ

2009年09月13日 | 未分類
  外資の不動産市場参入にあたり2006年あたりから制限が加えられ、例えば不動産投資にあたっては中国に会社を設立することが要求されたりした。中国での不動産投資と言うと上海をターゲットにするという印象を持つ人も多いだろう。しかしながら上海は単純に場所が狭いこと、またターゲットを地方に向け始めたディベロッパーも多く、実のところ2007年から2009年上半期にかけて批准を取得した外商投資ディベロッパーのエリアは下の円グラフのようになっている。

         
(出典:東方早報)

  上海は都市別では第1位ながら、省市別では第4位で、上から言うと江蘇省、広東省、遼寧省の順となっている。江蘇省と広東省は投資先の都市にばらつきがあるが、遼寧省は瀋陽、そして第6位の山東省では青島市が人気だ。これからも北京や上海といった一線都市は引き続き不動産投資が行われていくものの、香港やシンガポール系のディベロッパーは江蘇、遼寧、山東、四川、広東、天津及び重慶といった地区に注目している。下の図は主な香港系及びシンガポール系ディベロッパーの進出先だ。

         
  (出典:東方早報)

  四川や重慶といった主要エリアはともかく、それ以外の内陸地域にも投資が行われていることがわかる。沿岸部はもちろんのこと内陸地域を攻めていくというようなレポートを読むことがあるが、こうしてディベロッパーが内陸地域を開発していけばそれに伴って新たな産業が進出し、そしてマーケットがどんどん広がっていく。上海を中心とした沿岸地域はもちろん大事だが、ちょっと視点を変えて内陸から攻めている会社もある。このようなディベロッパーの動きもメーケティングする上で参考になるのではないかと思う。

上海ホテル業界は来年の上海万博に期待

2009年09月12日 | 未分類
  最近仲量聯行(Jones Lang LaSalle)が発表したホテル業界報告によると、2009年1-5月に関して下表のようにかなりの落ち込みを見せている。
 
入室率
前年比
平均単価
前年比
一室あたり収入
前年比
5ツ星
44.9%
14.2p
1,225
23.7p
551
42%
4ツ星
49.7%
12.0p
558
16.8p
292
33.1%

  金融危機の影響、豚インフルエンザ等の影響もあり、今年1-5月まで出国外から上海へ来た人が203.8万人と前年比6.2%減となっている。

  このような状況の中で、2008年の高級ホテル客室数は3229室増加しており、今年に入ってからも6444室も増加している。今年一年で4ツ星と5ツ星ホテルの客室数は15000室余り増加することが予想されている。これにより、2010年には上海のホテル客室数は約33000質増加することが見込まれている。もちろん上海万博をアテにしたものだ。

  下のグラフは200年から2008年までの四ツ星及び五ツ星ホテルの業績推移だ。昨年の落ち込み具合がよくわかる。

                 
       四ツ星ホテル業績        五ツ星ホテル業績       (出典:第一財経新聞)
 
  現在のところ上海のホテル業界は現在非常に厳しい状況にあるが、来年になるとなにせ7000万人がやってくるという上海万博があり、これで息を完全に吹き返すことができるだろう。それにしても7000万人って、6ヶ月で割っても毎日約40万人の計算だ。ただでさえ混雑している上海の街、万博期間はますますの人ごみになることだろう。


万博に向けての上海タクシー事情

2009年09月11日 | 未分類
  上海市の土地交通行執法総隊がタクシー業界の各種違法案件879件を調査の上処分した。そのうちに2社のタクシー会社では違法率が4%を超えている。上海新泉出租汽車有限公司(6.67%)、上海鉄城汽車出租有限責任公司(4.71%)の2社だ。それにしてもトップの6.67%の違法率は高すぎる。来れたタクシー会社の車両は要注意だ。

  上海万博が迫っていることもあり、乗車拒否、遠回り、メータの不正調整等の行為を厳しく取り締まろうとしており、また車両の清潔さや広告の設置等の状況に対する監督にも力を入れるようになってきているとのことだ。

  ちなみに、タクシークレーム受付員が7年に亘って集めたデータを基に浦東空港及び上海駅からスタートした場合のタクシー料金が掲載されていたので紹介しよう。参考になるかと思う。

    
    浦東空港から        上海駅から