呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

ナイキ、ボリュームゾーンに参入か

2010年07月21日 | 日記

 ナイキが内陸部へ進出することを検討中との報道が流れている。現在一線都市を中心に展開しているのを二線、三線、四線都市にまで拡大し、NIKEシリーズの異なる価格帯のミドル・ローエンド製品に打って出ると同時に、他ブランドの買収等も検討しているそうだ。そして、その打って出る価格帯というのがシューズで一足300元で、現在の販売価格よりも25%低い。利益率や利幅の減少に繫がることから、NIKEは多くの工場を内陸部に移し、製品デザインや仕入れフローでのコスト削減を図ろうとしている。それでもカバーしきれない減益はボリュームでカバーする。調査によると、二三線都市の消費者が受け入れるシューズの価格帯は170-250元という結果が出ているが、これに50元追加することでNIKEブランドのシューズを購入することができるようになると国内ブランドに対する影響は少なくないだろう。これにより影響を受けるのが中国企業の李寧、この他にはコンバースアンブロといった現在のNIKEよりも低い価格帯での販売を行っている同業者だ。李寧あたりは既に300元レベルの商品もそろえてきており、KAPPAの平均単価も370元くらいなので、これらブランドに対してはほぼどんぴしゃだ。

 

 しかし、NIKEのこの戦略は同じブランドなのにハイエンドからローエンドまでそろえることになり、ブランド戦略での影響が懸念される。アナリストによると、NIKEのこの価格戦略には3つの障害があるという。一つ目は、サプライヤーが低価格のシューズを清算するとともに利益水準も維持しなければならないという点、二つ目はNIKEの販売店が二三線都市に販売店の開設をどのようにして促すのかという点、そして低価格製品を展開するのと同時にどのようにして中国での高級イメージに影響させないかという点だ。もちろん、影響しないという考え方もある。例えば、携帯電話なんかがそうで、同じNOKIAでも数百元から数千元までかなり幅広い価格帯で展開しているが、だからといってNOKIAブランドに疑いを持つことはないという考え方だ。携帯電話のように機能で明確に差をつけることができる場合はこのようにできるだろう。ただし、私が思うところとしては、シューズの場合も確かに機能に差をつけることはできるだろうが、ファッションとして購入している人の場合、同じブランドで大きく価格が番うとやはり嫌な感じがする人は少なくないのではないだろうか。

 

 NIKEのこの戦略はブランド戦略であることはもちろんだが、現在の販売店が内陸に打って出るだけの経験と実力を持ちあわせていないという見方もあり、価格帯を調整した製品を発売するだけで二三級市場に入りこめるという単純な管が肩にはならないという見方がある。しかし、NIKEもこれだけのブランドだ、かなり研究した上で戦略を実行してくるだろう。


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