近年中国のMBAの学費がもの凄い金額になっているというのは以前にも書いたことがあります。国内一流どころのビジネススクールのパートタイム(仕事しながら勉強)の学費が40万元近くに達しているものもあります。それなのに申込者は増えていってるのです。いくつかの観点から見ていきましょう。
1. 学費
まず中国EMBAの学費ランキングトップ5を見てみましょう。
1.長江EMBA:65.8万
2.清華EMBA:56万
3.中欧EMBA:53.8万
4.上海交大安泰EMBA:53.8万
5.北大光華EMBA:53.8万
凄い金額ですねえ。この学費は急激に上がってきているのです。下のグラフを見るとよくわかります。10年前と比べてざっくり2-3倍に跳ね上がっています。でもひょっとすると不動産の値上がりほどではないかもしれません。
トップ5は全部50万元以上です。全体的な物価水準等を考えるとこれはもう尋常じゃないでしょう。申し訳ないですが、勉強する場所というよりは人脈を作る場所という位置づけで見ている人が多いですので、いわゆる勉強で学んだことはどこまで生かせるのかというとちょっと疑わしいですね。そもそも勉強している人自体がそこで得られる人脈に期待している人が多いので、まだまだ勉強よりも人脈の方が大事だと思っている人が多いかもしれません。お金持ちの親が自分の子供を有名大学に入れることにあまり意味を感じていない人も多く、それはなぜかというと親は以前大学で勉強してきたけれどもお金持ちになったのは大学で勉強してきたことと関係なく、むしろ別のポイント(人脈かな?)の方がよっぽど貢献しているという考え方から来ているものです。それはわからなくもないですし、人脈もない寄り合った方がいいとは思うのですが、経済的にも依然と比べてスマートになってきている中で人脈を前面にアピールするのもいかがなものかと(もちろん人脈を全否定するつもりは毛頭ありません)思うのであります。そういう意味では中国人よりも外国人の方が勉強熱心なのではないでしょうか(個人的推測)。
2.給料
フルタイムのMBA卒業生の5年後の平均給与は41.6万元に達しており、これは入学前の4.5倍にもなります。卒業後の給与の伸び率は17%にもなります。パートタイムのMBA卒業生に入学した卒業生の5年後の平均給与は34.4万元に達しており、これは入学前の2.8倍にもなります。そして、卒業後の給与の伸び率は12.6%になります。学費はめちゃめちゃ高いですが、それなりのリターンがあるといえるでしょう。これは平均値ですが、学校別でみる戸すさまじい数値があらわされており、中欧の2007年のフルタイムMBAの卒業生は入学前後で比べると給料が156.8%も伸びており、その後もなお14.1%の伸び率を維持しており、卒業後5年でのリターンは97.1万元にもなります。他の学校もすごいのですが、ちょっと数が多いのでここでは割愛します。
3.職位
収入が上がっている以外に、職位にも変化が現れています。MBAの勉強する前はわずか10.7%が高級管理者(総監以上の職位)しかいなかったのが、卒業後1年でこの数値が22.4%、卒業後5年には32.3%にも達しています。
4.就職業界
お金と職位以外だと働く業界にも影響が生じています。ビジネススクールで勉強する前は金融業界で働く人は9.2%しかいなかったのが、卒業後1年でこれが14.7%に増加しています。やっぱり中国でも金融は人気なんですねえ。なお、勉強する女性も増えており、2007年の卒業生は19.1%だったのが、2011年には26.9%と大幅に増えています。
以上、4つのポイントで見てきましたが、2007年と2011年を比較する表を作ってみました。
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2007年 |
2011年 |
||||||
フルタイム |
パートタイム |
フルタイム |
パートタイム |
|||||
入学前平均給与及び卒業後給与伸び幅 |
9.3万元 |
94.2% |
12.2万元 |
51.5% |
14万元 |
57.5% |
16.6万元 |
44.8% |
入学前平均勤務年数 |
6.3年 |
7.3年 |
5.8年 |
7.7年 |
2011年は2007年と比べると給与の伸び幅は大分下がってきているんですね。まあ、2007年よりも2011年の方が給与のベースが上がってきたということなのでしょう。しかしそれにしても学費の高さがすごいですね。日本だとMBAの勉強したくらいでこんなに待遇が変わるんですかねえ?さすがにここまで変わらないですよねえ?