呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

上海の地域本部は281社

2010年07月15日 | 日記
 上海の工業総生産地において外資企業は約6割を占めている。輸出入総額においても外資企業は2/3以上を占めている。外資企業の納税額は上海税収総額の3割に達しており、就業人員も上海全体の3割を占めている。上海にとって外資は切っても切れない関係にあることがよくわかる。そして、上海の外資はサービス業の比率がどんどん増加してきており、サービス業の比率が56.7%、製造業が42.5%と、いまではサービス業が製造業を上回っている。中国投資の入り口として上海から入っていくケース、特に最近では販売拠点の設置なんかがそうだが、今後ますますこの比率は上昇していくと思われる。そしてこの拠点が中国全体を統括していくというケースも増加していくと思われる。

 このような状況の中、ディズニーランド等の24社が上海で多国籍企業地域本部の認定を受けた。これにより、6月末までの上海における多国籍企業の地域本部が累計で281社、外資投資性公司が203社、外資研究開発センターが311社に達した。なお、ディズニーランドの上海地域本部は今後上海はもちろんのこと、北京、広州、そして香港を管轄していくという。建設中とはいえまだディズニーランドのない上海に地域本部を置くということが、いかに中国市場に力点を置いているかがわかる。香港に地域本部を置いているところも今後上海を含む中国国内に移転していくところも出てくるだろうが、香港が金融センターである間はまだ移転しないところも少なくないだろう。逆に言えば、上海が金融センターに呼ぶに足るレベルにまでに達すると、一気にシフトしてしまうかもしれない。しかし、現時点で人民元貿易決済が一部で開始したりする等しているが、通貨の自由化もまだまだできていないし、そのレベルになるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。しかし、中国の発展のスピードからすると意外と早く達成するかもしれない。よくこのあたりを質問されるのだが、なかなか答えづらいのが正直なところだ。通貨を自由化したとたんに日本で起こった昔のプラザ合意をきっかけとした円高、バブル発生、バブル崩壊、景気の長期低迷というシナリオは避けたいだろうから、客観的に見て通貨の自由化ができるようになったとしても、慎重に対応することでやはりまだまだ実現しないような気もする。どちらが正解か今の段階では当然わかるはずもなく、しかしながらどうしても答えを出すように言われると私は後者(まだまだ時間を要する)と選択するが、本当になんともいえないところだ。