呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国のことなのに

2010年07月29日 | 日記

 中国に所在する現地法人の悩みで「本社がわかってくれない」というのがよく聞かれる。これと同じような悩みとして多いと思うのが、「中国のことなのに・・・」というのがある。「中国のことなのに・・・」の後に続く言葉は、「・・・現地法人の意見を聞かない」、「・・・全部日本で決める」、「・・・現地法人にフィードバックしない」、といった内容だ。要するに現地法人が相手にされないのだ。非常に不思議な現象である。せっかく現地法人を設けているのに、そこからの意見を吸い上げず、なんでも本社で決めてしまい、挙句の果てにはフィードバックすらしてもらえないケースがあるなんて。ここまでくると、なぜ中国に現地法人を設立したのかという本質的な問題をあらためて考える必要が出てくる。このような状態で働いている駐在員も含めた従業員はモチベーションの問題にも影響してくるし、本社になめられていると感じてしまう。このほかにも現地法人の意見を聞かないというのは、現地で仕入れたいわば一次情報を当てにせず、本社が自分たちで集めた二次情報をもとに方針を策定していくことにつながる。二次情報よりも一次情報のほうが普通に考えて鮮度、精度が高いのにもかかわらず、どうして使わないのか不思議だ。社内で上がってくるレポートよりも第三者から上がってくるものの方が客観的で信頼に足るという考え方もあり、確かにそれもわかるのだが、どうもこれが主な理由というわけでもなさそうだ。上がってきた情報の正確性の裏を取れば済む話だから。やっぱり現地法人が本社からなめられているのだろうか。現地にいるだけでわかってしまうようなことを含めて、現地にいるがゆえにいい情報を集められると思うのだが。

 

 何年も前から「現地化」ということが議論となってきており、特に最近では中国国内市場をターゲットにしていかないといけないという風向きもあり、より一層「現地化」がキーワードとなりつつある。ところが、上記のような現地法人がなめられている状況にあるというのはおよそ「現地化」とは縁遠い世界であり、このような状況にあるというのは「現地化」云々というよりもむしろ会社としての運営の問題ではないかと思う。悲しいかな、このような会社がまだまだ存在しているようだ。そんなに当てにできないのだったら当てにできそうなそれなりの人を最初から派遣したらいいのにね。