呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

上海自由貿易区がスタート

2013年09月30日 | 日記

 2013年9月18日付で《中国(上海)自由貿易試験区全体方案》が公布され、いよいよ注目の的でありました上海自由貿易区がスタートすることになりました。同方案では上海自由貿易試験区のエリアを上海外高橋保税区、上海外高橋保税物流園区、洋山保税港区と上海浦東空港総合保税区等の4つの税関特殊監督管理区域とし、6大分野計18項目でサービス分野の更なる開放を行い、また一部の分野を除き、内外資一致の原則に従って、外商投資プロジェクトを認可制から届出制に変更し、また外商投資企業の契約・定款についても審査制から上海市が届出管理を行うものとなり、手続き面でも簡素化されます。ここでは開放されるサービス分野をご紹介いたします。

 

 

Ⅰ.金融サービス分野

1.銀行業務

(1)  条件を満たす外資金融機関が外資銀行を設立することを許可、条件を満たす民間資本と外資金融機関が中外合資銀行を共同設立することを許可。条件を備えた時に、試験区内で適宜有限ライセンス銀行の設立を試行。

(2)  関連管理弁法画家整備され、有効な監督管理が強化されるという前提の下で、試験区内で条件を満たす中資銀行がオフショア業務を行うことを許可。

 

2.専門健康医療保険

(1)外資専門健康医療保健機関の設立を試行。

 

3.ファイナンスリース

(1)ファイナンスリース会社が試験区内で航空機一機、船舶一艘の子会社の設立に当たり最低登録資本制限を設けず。

 

(2)ファイナンスリース会社が主営業務と関連する商業ファクタリング業務を兼営しることを許可。

 

 

Ⅱ.船舶輸送サービス分野

4.遠洋貨物運輸

(1)中外合資、中外合作国際船舶運輸企業の外資出資利率制限を緩和し、国務院交通運輸主管部門が関連管理試行弁法を制定。

 

(2)中資会社が保有またはマジョリティ保有する非中国籍船舶が、対外貿易輸出入コンテナが国内沿海港湾及び上海港との間の沿海国内業務を先行して試行することを許可。

 

5.国際船舶管理

(1)外商独資国際船舶管理企業の設立を許可

 

Ⅲ.商貿サービス分野

6.付加価値電信

(1)ネットワーク情報が安全であると保障される前提のもとで、外資企業が特定形式の一部付加価値電信業務を経営することを許可し、行政法規を超えるようなものの場合、国務品の批准同意を必要とする。

 

7.ゲーム機、アミューズメント機器の販売及びサービス

(1)外資企業がゲーム・アミューズメント機器設備の生産と販売に従事することを許可し、文化主管部門のコンテンツ審査を通過したゲーム・アミューズメント機器設備を国内市場に向けて販売することができる。

 

Ⅳ.専門サービス分野

8.弁護士サービス

(1)中国弁護士事務所と外国(香港・マカオ・台湾地区)の弁護士事務所が業務合作の方式と構造を密接に探索すること。

 

9.信用調査

(1)外商投資信用調査会社の設立を許可。

 

10.旅行社

(1)試験区内に登録する条件を満たす中外合資旅行社が、台湾地区以外の出境旅行業務に従事することを許可。

 

11.人材仲介サービス

(1)中外合資人材仲介機構の設立を許可し、外方合資者は70%を超えない出資持分を有することができる。香港・マカオのサービス提供者が独資心材仲介サービス機構を設立することを許可。

(2)外資人材仲介機構の最低登録資本要求を30万米ドルから12.5万米ドルに引き下げ。

 

12.投資管理

(1)株式制外資投資性公司の設立を許可

 

13.工事設計

(1)試験区内の上海市のためにサービスを提供する外資工事設計(工事調査を含まず)企業に対して、初回の資質申請時の投資者に対する工事設計業績要求を取り消し。

 

14.建築サービス

(1)試験区内の外商独資建築企業が上海市の中外聯合建設プロジェクトを請け負うときに、建築プロジェクトとの中外方投資比率制限を受けない。

 

 

Ⅴ.文化サービス分野

15.公演マネジメント

(1)外資公演マネジメント機構の出資比率制限を取消、外商独資公演マネジメント機構を設立し、上海市のためにサービスを提供することを許可。

 

16.娯楽場所

(1)外商独資の娯楽場所を設立し、試験区内でサービスを提供することを許可。

 

 

Ⅵ.社会サービス分野

17.教育研修、職業技能研修

(1)中外合作経営性教育研修機構の開設を許可。

(2)中外合作経営性職業技能研修機構の開設を許可。

 

18.医療サービス

外商独資医療機構の設立を許可。

 

 

 自由貿易区と名うっているにしては港湾や物流と関係のない分野が多く、また自由貿易区は上海市内のビジネスエリアから地理的にも遠く離れていることから、実際に自由貿易区内に登記設立したとしても実際の業務は上海市内のビジネスエリアに事務所を設置して行われるものが多くを占めているといえます。

 

 また、外商独資での設立を認められている分野でも、実際のビジネスに参入するには中方の協力を必要とするような分野も多く、独資での設立が認められるからと言って安易に独資での進出を考えるよりは、合弁形態での進出も視野に入れてビジネススキームを検討すべきものといえるでしょう。


さすがの海底捞もアメリカでは水土不服

2013年09月29日 | 日記

 中国のサービスもついにここまで来たというときの紹介事例として必ず取り上げられる火鍋屋の海底捞、私も何度か言ったことがありますが、過剰サービスと言ってもいいくらいのサービスだと思います。以前書いた記事はこれです。http://blog.goo.ne.jp/gomeiken/s/%B3%A4%C4%EC

 

 さて、この海底捞がアメリカ進出を果たしました。

 

 

 

 中国ではなかなか難しい行き届いたサービスの提供ができただけあって、アメリカでもいけるのではないか、そう期待してしまうのが自然でしょう。 出店場所はロスアンゼルス近郊のアルカディアと言う住宅地エリア、お金持ちが多くいるエリアだそうです。アジア系が半分近くおり、鼎泰豊、盧記火鍋、北京烤鴨店といったお店もあります。アメリカ華僑も海底捞がやってくるということが結構期待していたそうですが、アメリカ市場はそう甘くはなかったのです。口コミサイトでの評価が5つ星満点でわずか2.5星しかついておりません。

 

 

 

 アメリカ市場が甘くはなかったというよりも、これから取り上げることを見ていくとうまくいかないのもわかるのではないかと思いますの見ていきましょう。

 

 

1.ネイルサービス

 中国の海底捞で見られるネイルサービス、待ち時間にネイルサービスを受けている人を良く見かけますね。さて、これがアメリカではそもそも店舗としての検査が通らないそうです。韻書t区と何ら関係ないサービスであり、そもそもネイルをいじること自体が飲食と言う観点からすると不衛生と言う考え方をするようです。なのでバツ。

 

 

2.味覚

 火鍋のスープの中には漢方薬風のものがあり、この味覚は全く受け入れられないとのことです。

 

 

3.飲み物

 中国だと一般的には大きな火鍋が一つあり、それをみんなでつつくスタイル、最近では一人一人に小さな鍋を要するお店もよく見られます。アメリカでは後者を採用し、アメリカだと一緒につつくのはあまり好まれないようで、この部分は正解だったといえるでしょう。

 

 

 

 ところが飲み物は違っていました。、アメリカで注文されるのものは冷たい水、冷たいコーラ、冷たいビールが中心なのですが、海底捞で出される「二鍋頭」というアルコール度数の高い白酒は全くと言っていいほど受け入れられずです。まあこれは別の飲み物を提供すればいいだけの話かとは思います。

 

 

 

 

4.メニュー

 これについてはなぜこんなことをしているのか全く理解できないのですが、英語のメニューがないのです。Ipad画面ででビジュアルでどんなものかはあわかるのですが、それでも英語で表示しないことには話にならないでしょう。中国語を話す人だけをターゲットにしようとしていたのでしょうか。また予約するにも電話予約サービスも中国語のみです。普通のアメリカ人はこれだと予約することができません。海底捞以外にも火鍋屋はあるわけで、こんなややこしいところで食べようと思うことはないでしょう。アメリカ人からするとこのお店やる気あるのかと思いますよね。

 

 

 

 

5.価格

 一人当たり単価が約40ドル、日本円で言うと4000円くらいですね。そう聞くと特になんとも思わないかと思いますが、この値段を出せばアメリカだとステーキ、ロブスター当たりのものも食べることができ、お昼であればセットメニューもあることから、海底捞の価格帯には割高感が感じられとのこと。一般のレストランでは一人単価20ドルくらいでまずまずの食事ができ、小肥羊や盧記火鍋もこのくらいの価格帯です。これらと比較するとコストパフォーマンスのバランスが取れていないですよね。また、そもそも火鍋と言う料理は技術的には大したことがなく、そんなお金を出すくらいなら自分で材料買って家で食べるわと言う人も少なくないようです。かくいう私も自炊する時は鍋料理にすることが多いのですが、理由はまさしくこれで、調理をする必要がなく簡単だからです。

 

 

6.景品サービス

 ヘアピンを配るということをしていますが、アメリカ人には全然うけないようです。また、雨の日にサンダルを貸し出すサービスも、そもそもこのエリアには雨が少なく、そんなものを用意する必要はほとんどないですし、靴を預けるのを嫌がる人も多いようです。

 

 

7.声掛け

 中国の海底捞ではお客さんが話をしているときに店員から「我們可以提供什麽」(何か承りましょうか)と声をかけることがありますが、これがアメリカでは「人の話を盗み聞きするな」と思われるそうで、「なんじゃこいつ」となるそうです。文化の嵯とは難しいものです。

 

 以上のように、中国のサービス業を語る際にあれほど話題になった海底捞もいざ外国に行けば「本国の成功体験に基づいて、本国とほとんど同じビジネスモデルでやろうとしてうまくいかない」という典型事例になってしまってます。これを日本企業の中国を含む海外ビジネスに置き換えれば同じ構図となっている企業も少なくないのではないでしょうか。まさに中国語でいうところの水土不服((他郷で)水が合わない、土地になじめない⇒現地化できていない)といえます。海底捞のこの事例はは反面教師として大いに参考になるといえますね。


【最終案内】(10/8:東京)TNCセミナー「中国ビジネスのキーワード~中国内販~」

2013年09月26日 | 日記

 開催日が近づいてきましたので最終案内としてもう一度アップします。どうぞよろしくお願いします。


 TNCソリューションズが設立1周年を迎えた今年、2020年の東京オリンピック開催が決まり、日本では祝賀ムードとともにその経済効果を期待する声が大きくなっています。もちろん、その期待は当然で、多くの企業がその流れに乗りたいところですが、それも7年先のこと。この7年のうちにやるべきことはたくさんあるはずです。中国ビジネスはそのうちの一つといえる企業は多いのではないでしょうか。

 人民元高、人件費高、光熱費高、原材料費高、日本を中心として海外向け輸出主体で中国ビジネスを組み立てていた企業にとっては悪材料ばかりです。輸出が難しければ内販すればいい、近年中国内販が中国ビジネスにキーワードとなっていますが、冒頭の悪材料が更にその動きに拍車をかけるようになったと言えるでしょう。

 しかし、ユニクロやヤクルトのように飛躍的に内販を拡大した企業もある一方で、決して手を抜いているわけではないにもかかわらず結果を出し切れていない企業も少なくありません。

 そこで今回のセミナーでは今後の中国ビジネスのキーワードである中国内販に焦点を絞り、特に非日系企業の取り組みについて紹介することで、今後の中国事業戦略にご参考いただくことを考えています。なお、ここでいう内販には外食産業も含まれております。

 ご多用とは存じますが、多数ご参加賜りますようご案内申し上げます。 

【講演内容】中国内販
1.経済指標から見る中国小売市場の現状
2.中国内販の近年のトレンド
3.内販のためにおさえるべきポイント
4.具体事例(特に非日系企業)から見る成功のポイント(B2Bビジネス・B2Cビジネス)

【講   師】呉 明憲
株式会社TNC ソリューションズ 代表取締役
拓知管理諮詢(上海)有限公司 総経理  

【日  時】2013年10月8日(火曜日)
      受付 13:10~13:30
      講義 13:30~16:30

【主  催】株式会社TNC ソリューションズ/拓知管理諮詢(上海)有限公司  
 
【後  援】日中経済貿易センター
      深?市和商瞭望広告有限公司/華南(香港)日商企業信息資訊有限公司

【会  場】新宿アイランドタワー20階セミナールーム
http://www.shinjuku-i-land.com/access.html

【参加費】 事前入金7,000円/当日支払8,000円 
お申込みいただいたのちに口座番号をご連絡申し上げます

【定  員】 100名

【お申込み】下記参加申込書にご記入の上、開催2日前までにEメールにてお申込み下さい。定員に到達次第締め切りとさせていただきます。なお、弊社と同業を営む企業からのご出席はご遠慮願います。

 TNCセミナー参加申込書(2013年10月).doc



【お問合せ】拓知管理諮詢(上海)有限公司 呉
gomeiken@tnc-cn.com TEL :(日本)050-5806-2111 (中国)021-6270-0022


展示会への出展をより大きなビジネスチャンスにするために

2013年09月26日 | 日記

 日本企業が中国市場開拓のために展示会に出展することがよくありますが、実際にその展示会にバイヤーとして見に行った中国企業の人と話す機会がありました。展示されている商品を見て、興味を持てば出展者と話し、名刺交換もするのですが、その後出展社からは何の連絡も来ないのが一般的だそうです。どうも展示会が終わるとするに帰ってしまう人が多く、日本に帰った後もあまり動いている様子でもなく、あとに続くような動きをする企業は多くないようです。せっかくのチャンスなのに残念だと思いませんか。実際にはコンタクトがあったとしても言語の問題もあってスムーズにいかないかもしれませんが、それでも全く連絡がないのもどうかなあと言うお話で、何とかならんものかねと相談されちゃいました。私も最近は調達先探しのお手伝いなんかもしたりしていますが、このような展示会後のフォローに関してもお手伝いしてみたいなあと思ってます。ただし、それにあたっては出展者側が単なるお付き合い出展ではなく本気で出展しているというのが条件になります。

 

 次に、これは台湾人の知り合いから聞いたのですが、「展示会に当たって事前に参加を呼び掛ける案内状を出す日本企業って少ないのでは」と言われたことがあります。感覚的には確かに少なそうな気がします。台湾系も含めてですが、多くの出展企業は展示会に自分たちのブースを見に来てもらうために案内状を出しまくるそうです。知っている企業に出すのはもちろんのこと、どこかから企業名簿を手に入れてその名簿にある企業にガンガン案内を出しているのはごく一般的なようで、それを話してくれた台湾人は実際にそうしてると話していました。どうして日本企業はそれをしないのかなあ(もちろん全部ではなくそういうところが多いということですよ)と不思議そうに話していました。

 

 展示会後のフォローと展示会前の集客の2点に共通すると思うのですが、せっかくのチャンスなのでもっと積極的に動いてもいいのではないか、積極的に動けばもっと前向きな展開になる可能性があるのではと思った次第です。なんとなく恒例行事のように同じ時期の同じ展示会に出展するだけで満足しているようなところもあるかもしれませんが、せっかくお金をかけて展示会に参加しているわけですから、もっと前向きな動きをすることでビジネスにつなげてほしいなあと思いました。


日本のスイーツ店または焼肉店の中国進出サポート

2013年09月25日 | 日記

 昨日とある台湾系の大手外食企業とお食事をする機会がありました。なんでも、日本のスイーツ店や焼肉店を中国で展開したいと考えており、どこか組めそうないいところがないかなあと相談されました。まずはひとつ洋風レストランのネタがあったのでそ話を一つしておきましたが、これはスイーツや焼肉そのものではないので、それはそれで探さないといけないなあと思っています。その台湾系企業は既に別業態で中国で200以上の店舗を運営しており、中国外食産業のプロフェッショナルと言えます。いまでも中国企業との合弁に不安を感じる人もいますが、これは台湾系企業と組む話ですし、また日本のスイーツ、焼肉という商品に目をつけての話なので、商品については尊重してくれますので、日本側としてもやりやすいのではないかと思います。

 

 ただし、個人的に思ったこととしては、日本で提供しているものと同じレベルものが果たして提供できるのかと言うことです。中国国内で原材料を調達しようとすると、どうしても日本で用意できるものと違いますし、水も違う、なので100%日本と同じレベルのものにしようとするとかなりのコストをかけないとできないということになってしまいます。もちろんある程度のコストをかけてできるだけ日本で提供しているのと同じレベルに仕上げるという目標は当然必要ですが、100%同じレベルに固執すると難しいのではないかと。モノによっては中国の方がいいモノもあるとは思いますが、そのあたりの割り切りは必要なのではないかと思いました。そういう柔軟性を持てるようなところであればお手伝いしたいと思いますので、是非ご連絡ください。


上海自由貿易区が10月よりスタート

2013年09月24日 | 日記

 上海自由貿易区が10月1日よりスタートします。エリアは外高橋保税区、外高橋保税物流園区、浦東空港綜合保税区、洋山保税港区に位置しており、これだけ見ると国際貿易や物流機能に特化したようなエリアに見えますが、多くの分野が開放されることになっております。最も注目されているのは金融分野で、特に3つの点が注目されており、(1)自由貿易区内で金融機関を設立することの条件が引き下げられそう、(2)自由貿易区内の一部のオフショア業務の開放、人民元貿易決済の深化及び多国籍企業の地域センター設立が開始され、徐々に人民元自由だか、クロスボーダー投資等の開放(ただし、オフショア金融業務の手低的な解放の可能性は大きくないだろうと言われている)、そして金利自由化(ただし、自供が期待する預金金利を含む金利の完全開放棚機内に実現することは期待薄)、(3)区内と国外との間の資本取引(規模的には大きく制限されるのではないかという見方)、と言ったことが言われています。

 

 以上の金融面も含めて、伝わっているのは9つの分野の開放が言われており、

 (1)  区内で金融市場金利市場化

 (2)  リスクコントロールが可能と言う前提のもとで、人民元項目自由兌換の先行試行

 (3)  外資銀行及び民間と外資合弁の中外合資銀行の設立

 (4)  有限牌照銀行の設立(主に商業銀行及び資本市場業を行い、一定額以上の預金のみ取扱い可能)

 (5)  外商投資信用調査会社

 (6)  一部の中資銀行のオフショア業務

 (7)  ファイナンスリス業務の奨励(税収サポートを与える)

 (8)  国外企業が商品先物取引に参加、ファイナンスリース会社が主営業務と関連する商業ファクタリング業務の兼営すること、国外先物取引所が商品先物の決済サービス機構を指定はまたは設立

 (9)  国外の持分投資を行うプロジェクト会社が技術先進性サービス業を参照して15%の税率で企業所得税を適用すること

 

 この他にも、中外合資、中外合作の国際船舶運輸企業の外資出資比率制限の緩和、外商独資国際船舶管理企業の設立や、イベント運営、娯楽場所、教育研修機構の業界に対して内外資の参入基準を平等なものにするというものがあります。更には医療機構、一部の付加価値で新業務、建築サービス等の方面についても外商独資を認めるあるいはマジョリティ制限の取り消し、人材仲介、経営性教育研修、芸術品オークション等の分野で中外合資または合作での展開を許可し、一部では外資マジョリティを認めるという話もあります。このあたり、港とは全然関係ありませんね。

 

 自由貿易区とはいえ場所が場所だけに貿易と港に関することだけが開放されるような印象を持つ人も多かったと思いますが、なぜか信用調査会社の設立が認められるというところがちょっとおもちゃ箱のような感じがします。三資企業(外商独資・中外合弁・中外合作)の設立も審査制から届け出制に代わるということもあり、今後は自由貿易区での企業設立も増えていくでしょう。ただし、場所が中心部より離れているので、今でもよく見られるような、登録地にはユーレイ事務所、ちゃんとした事務所は市内に構えるという現象が多く見られるようになるように思います。まあ、企業設立のお手伝いも行っている業務の一つなので、これからそういう相談が増えてくるとうれしいですね。


「以房養老」(不動産を以って老人を養う)はは受け入れられるのか

2013年09月22日 | 日記

 昨日養老老人施設に関することを書きましたが、今日はその続きを。

 養老老人施設、しかも高級物件に入ろうとすれば相応のお金が必要になります。たくさんお金を持っている人であればいいのですが、資産のほとんどが不動産で構成されている場合、キャッシュが手元になりと言うことも考えらえます。そういう人のために考えられたのが、「以房養老」(不動産を以って老人を養う)という手法です。具体的には、老人がすでに住宅ローンの借り入れをすべて返済した不動産を保険会社などの金融機関に抵当に入れ、金融機関は持ち主の年齢、寿命、不動産価値の将来変化等の要素を総合的に検討し、持ち主に一定金額の養老金を定期的に支払い、持ち主が亡くなったのち売却して支給した金額を回収し、余った金額は金融機関のものとするというものです。余った金額は相続人に返せばいいと思うのですが。。。要するに、一度担保に入れてしまうと所有権としてはもう手元に戻ってこなくなります。このような「以房養老」は北京、上海、南京等でテスト的に行われましたが、あまりうまくいったとは言えず、保険会社も今のところそれほど興味を持ってはいないようです。

 

 テスト的に行われた「以房養老」、老人の寿命については生命保険の方がよく知っていますし、不動産担保に関しては財産保険会社の方がよく知っていますし、いったいどっちの保険会社がやるべきなのかという議論が起こっています。個人的にはどっちでもいいとは思いますが。さて、もう一つ難しいところがあり、保険会社は直接貸し出しを行ってはいけないということになっているようです。まあ、これもルール改正すればいいのでしょうが、悪用するケースが出てくるかもしれませんね。そういえば銀行時代に年金を担保にした銀行で借入するお年寄りがいて、これは制度的な融資なのですが、だいたいその老人の後ろにガラの悪いのがひっついてましたね。サラ金かどこかで借りて返せなくなったのを年金担保借入で建て替えさせようとしていたのではないかと思います。さて、話を戻して「以房養老」ですが、台湾では保険会社が貸し出しを行ってもいいことから「以房養老」と同じことができ、既にある程度時間もたっているのですが、それほど流行っているわけではないようです。

 

 さて、保険会社があまり興味を持っていない「以房養老」ですが、貸出と言えば銀行、銀行がどこまで興味を持っているかと言うと、これがまたそれほどでもなく、結局のところ市場においてニーズがないから興味がわかないということのようです。

 

 「以房養老」、資産だけあって手元にお金がない人にとってはいい考えだと思うのですが、資産を子女に残してあげたいと思う老人、若い人たちにとっては住宅ローンを苦労して支払ってやっと終わったと思ったらまた「以房養老」で担保に入れることになるという、非常に虚しさばかりが残ってしまう感覚になるようです。わからなくもないですね。個人的にはせめて「以房養老」の最後の段階で金融機関が取得した不動産を売却した資金から支給した資金を差し引いた余りの金額は返してあげでもしないと難しいように思いました。


中国養老施設ビジネス ~参入すべきは今か、もう少し待つべきか~

2013年09月21日 | 日記

 中国養老施設ビジネスが熱くなってきています。私は割と最近まで養老施設ビジネスは非常に難しいビジネスで、「全局面的に儲からない」、「とても儲かるとは思えない」というような表現を使って、将来的にはともかく現時点における参入可能性に懐疑的な見方をしていました。また、中国の経済雑誌でも利益計上できるビジネスモデルが今のところまだ明確になっていないということで、やはり懐疑的な見方をしているところもあります。とにかく成功実例があまりみあたらないのです。しかしこんな中で、保険会社がかなり積極的に養老施設ビジネスに参入する動きが見られています。

 

 泰康保険という保険会社が15日区で地方政府と土地取得について交渉しており、3年以内に15の養老社区を作ろうとしています。この他、中国人寿、中国平安、新華保険、合衆人寿等の保険会社が養老不動産事業に参入するために土地を取得しようとしています。

 

 養老プロジェクトは中国としても力を入れていかないといけない分野と言うこともあり、プロジェクトに対して土地を安く提供したり、税制優遇や補助を行うのですが、上述の保険会社がやろうとしているのはほとんどが高級養老施設であり、そうしたプロジェクトに対して果たしてこのような特典を与えるべきなのかという声が上がっています。

 

 泰康保険の子会社広州広泰投資有限公司が広州夢岡区の土地を健康・医療サービス産業および曽於関連施設に使用するということで、払下げ期限40年間で2788元/㎡という金額で取得した一方で、広州凱得文化娯楽有限公司がやはり広州夢岡区の商業用地で5060元/㎡で取得しています。商業地域の方が高いのは当然なのですが、プロジェクトの内容によって土地取得価格が倍近く違っています。本来ならば実際の立地まで検証しないといけないのですが、ちょっとそこは割愛します。

 

 このような土地の廉価での提供は優遇政策の一つであり、この他には政府が直接的に一部出資したり、減免税、財政補助、併せて商業住宅用地を提供するといったことも行われており、どれくらいの優遇が受けられるかはもうその地方政府次第のところがあります。

 

 話を戻しますと、高級養老施設に果たしてそこまで優遇を提供すべきかということです。政府としては養老施設産業に対して優遇策を導入することで養老施設産業の促進を図ったつもりが、それに目を付けた企業が高級プロジェクトでありながらその優遇策を得ようとするという、政府の狙い(一般大衆に要路施設に入ってもらう)とは違った方向に行ってしまっているということです。企業からすると、「もらえるものはもらっておけ」となるのは当然で、倫理的なことばかり言って優遇を受けることをしなかったとしても、結局よその誰かがそれを受けようとするのは明らかです。しかし、こうした優遇財源の源は結局国民からかき集めた税金が源泉となっており、庶民から集めた税金を「高級プロジェクト=究極的にはそこに住む金持ち」に対して提供するというのはどうにも矛盾があると言わざるを得ません。とはいうものの、企業行動としては「もらえるものはもらっておけ」の方向に流れるのはやむを得ず、将来的に高級プロジェクトに対して優遇するのはおかしいという声によって優遇策が押しつぶされるとしてもちょっと時間がかかりそうに思います。ということは、もしこの業界に参入しようと考えている外資企業がいれば、優遇策が受けられそうな今というこの時にに参入するというのも一つの考え方かと思います。いまのところ利益計上できるようなビジネスモデルが見えづらいというのは事実でありますが、将来性はあるのは間違いないでしょう。

 

 今参入すると優遇策は受けられるかもしれないが、すぐに利益が上がりそうもない、一方で時間をかけて様子見しているうちに他社に先行されている遅れを取り戻せない、優遇設けられない、結局やらない方がましだということになってしまうことも考えられるでしょう。どの業種でもそうですが、とうに最初の利益が見込みづらい分野の場合、参入時期の選択と言うのは本当に悩ましい問題と言えますね。しかし、この分野に関してはとにかく多くの企業が参入してきていることもあり、今参入すべきか否かを見極めてもいい時期に来ているのではないかと思います。この分野に関しては昨年あたりからですがかなり研究しました。もし悩んでいる企業がいらっしゃいましたら是非声おかけください。


不愉快な出来事を思い出してしまった

2013年09月14日 | 日記

 ある方のツイートで現地化について書かれていて昔あった不愉快な出来事を思い出してしまいました。そのツイートは現地のトップを中国人にしたからと言ってそもそも権限を与えずして現地化したふりをしてどれだけ意味があるのかというような内容です。これとちょっと違うのですが、現地をあてにしていないという観点で、私が体験した不愉快な出来事をここで紹介しましょう。もうかれこれ4年前くらいの話でしょうか。

 

 前職時代の話です。日本側でとある中国案件があり、どうも割と特殊で面白い案件だったようなのですが、お客さんの予算が少ないという問題がありました。ただし、案件としては面白いので会社から研究開発費なる名目を拠出して、その案件を受注できるようにしようとなったわけです。この流れは別に普通ですし、コンサルティング会社と言うのはノウハウを蓄積させることでご飯を食べる世界ですから、このような短期的な損よりも長期的に得を取れという考えは理解できます。そして、中国案件だったということもあって上海法人と共同で進めることと言うことになったようです。それをきいてこちらとしてはどんな内容の案件かわかりませんが、そんなに面白い案件なのかという期待感でいっぱいで、しかも日本側と協同して進めていけるということでかなり期待していたわけであります。そして、日本本社の担当者から電話が来ました。

 

 日本 「今度これこれこういう案件をやることになって、是非上海法人のお力を借りたいのです。」

 

 私 「もちろん、喜んで」

 

 日本 「ありがとうございます!お願いしたいことと言うのは、この案件は○○という場所まで行かないといけないのですが、そこに行くまでの車の手配と、言葉がわからないので通訳の手配もお願いしたいのです。」

 

 私 「???(これが案件を協同で進めるっていうこと?)」

 

 そりゃあオリンピックくと同じく4年に一回しか怒らないと言われている普段は温厚な私も怒りますわ。

 

 私 「そんなことだったらJTBとか旅行社を適当に照会するのでそっちで勝手にやってください。」

 

 それ以降なしのつぶてです。不愉快なのでそのあとのことは追いかけませんでしたが、案件自体がなくなったという話は伝わってこなかったので、多分日本の担当者は「せっかく上海法人に一緒にやりましょうって声をかけたのに断られてしまいました。」とでも言ったのではないかと思います。しかし、よくこんなこと平気で言うなあと思いませんか?何様じゃこいつ。普通なら現地法人の誰かを案件のチームの一員として組み入れて、現地に一緒に行って、最終的に一緒に仕上げるというのが筋かと思うのですが、案件自体に現地法人のスタッフを加えようという意思が全くなかったですな。その彼はもう辞めてしまっていて、今は何をしているか知りませんが、こんな不愉快な思いをさせられたので今後一生かかわることはないでしょう。こういう形でしか協同できないなんて、現地法人なんてそもそも必要なのかね?


(9/13:上海)無料日本語パネルディスカッション「中国経済の行方」開催

2013年09月09日 | 日記

 一件イベントをご案内させていただきます。直前の案内になるのですが、ご都合のつく方は是非いらしてください。

 

 9月13日、17:00より、銀河賓館にて無料パネルディスカッション「中国経済の行方」を開催いたします。パネラーは。パネラーは習氏が総書記就任後初めて意見交換した外国人20人の中で、日本人として唯一参加した金融経済専門家、中信証券マネージングディレクターの徳地立人氏と株式会社TNCソリューションズ代表取締役の呉明憲氏、モディレーターはMANBU[ メディア漫歩]上海漫歩創媒広告有限公司総経理の安永博信氏。1時間の白熱のディスカッションと1時間の質疑応答が終了したら、そのまま同じ会場で有志による情報交換会を予定いたしております。(情報交換会のみ有料です。参加費250元、領収証あり)

 

講演タイトル: 「中国経済の行方」

 

講演内容概要

前半 20分: 徳地氏による中国経済、外交、金融などの総合的分析発表

    40分:モディレーターの判断に従い、2人のパネリストが白熱のトークを繰り広げる

質疑応答60分: 皆様のご要望に基づき通常30分のところをもう30分延長

 

開催日:2013年9月13日(金)17:00-19:10 (続けて19:20-21:00 有料情報交換会)

会場:銀河賓館 宴会場(上海 長寧区 中山西路888号銀河賓館)TEL:021-62755888

会議室名名:宴会庁(1/3庁)

費用:無料

講師:徳地立人氏、呉明憲氏

モディレーター:安永博信氏                                       

日程:16:30-17:00 受付

   17:00-17:10 開会の言葉、ショートプレゼンテーション

   17:10-18:10 パネルディスカッション

   18:10-19:10 質疑応答

   19:20-21;00 情報交換会 (有志のみで開催、会費250元)

使用言語:日本語

対象:日本語を解する方

定員:200名

締め切り: できるだけ事前メールでお知らせください。難しいようであればお名刺をお持ちになって直接会場へお越しください。

申し込み先:大上智子 tomokooue@ckgsb.edu.cn 

(ご不安な場合はお電話ください  MP:18600158594)

必要記入事項:お名前・会社名・役職名・メールアドレス・携帯電話番号

 

(講演者各位紹介) 

 

徳地立人氏

中信証券 マネージングディレクター

1976年北京大学中国文学学部卒業、1985年スタンフォード大学東アジア研究センター修士取得。1980年より日本大和証券にて国際金融部中国担当、大和証券アメリカ投資銀行部副総裁、大和証券香港執行副総裁、北京代表処首席代表、大和証券シンガポール社長、シンガポール投資銀行協会副会長等を歴任後、2002年6月より中信証券股份有限公司副社長兼投資銀行委員会主任(インベストメントバンキング・M&A業務、債券業務を統括)、2005年よりマネージングディレクター兼投資銀行委員会主任(担当同上)、中信証券国際有限公司会長に就任。その他の役職、北京大学国際OB会理事、清華大学公共管理学院産業発展及び環境ガバナンスセンター理事。

2009年9月、中華人和共和国国家外国専門家局から「友誼賞」を受賞。

 

呉明憲氏

株式会社TNCソリューションズ 代表取締役

(省略)

 

(モディレーター紹介)

安永博信氏

MANBU[ メディア漫歩]上海漫歩創媒広告有限公司総経理

1959年生まれ。東京大学教養学科卒業、米国コロンビア大学MBA課程修了。日本郵船、リーマン・ブラザーズ投資銀行、ヤオハン中国での勤務を経て、1999年上海漫歩創媒広告有限公司を設立。中国でメディア事業を幅広く展開し、現地の日本人ビジネスマンや中国政府・経済界に豊富なネットワークをもつ。


中国のショッピングモールが2025年には1万越え

2013年09月09日 | 日記

 データにより数字が少し異なりますが、経済観察報によりますと、中国で開業しているショッピングモールは3100あり、これが2015年には4000に達すると言われています。そして、2025年までにはさらに7000増え、10000を突破すると予想されています。中国には320の地級市がありますが、平均すると10年後にはそれらの年に平均して30のショッピングモールがあるということになります。凄いと言えばすごいのですが、あまりにも急激な増加ぶりが気になるところです。

 

 気になるのが空室率ですが、これが上昇してきています。2011年の二線都市のショッピングモールの平均空室率が10.2%、2012年にはこれが10.5%に上昇しています。中国の不動産バブルを語るときに、入居者が全然いないマンションを幽霊マンションと表現することがあるのですが、幽霊ショッピングモールと呼ばれるようなのも出てくるかもしれません。代表的な二線都市の瀋陽の空室率は17%、成都が16.2%、そして一線都市の広州では10.2%。広州は2011年時点では空室率はわずか4%だったのにあまりにもな急上昇ぶりです。

 

 一線都市の次は二線都市、二線都市の次は三線都市という動きになるのは必然かと思いますが、ショッピングモールに関しては二・三・四線都市に進出していたのがまた一線都市に戻るという動きが見られています。とはいうものの、一線都市は競争が厳しいのは分かりきった話で、例えば上海では開業しているショッピングモールは既に100を超えており、一人当たり面積で言えば2㎡を超えていますが、これは国際水準と言われている1.2㎡を大幅に上回っています。空室率で見ても一線都市では2011年には7.9%だったのが2012年には8.4%に上昇しており、北京・上海・広州といった一線都市では少なくとも2-3割は経営状況がかなり悲惨だと言われています。こういうこともあって、新しく開業するショッピングモールに対してテナント側は慎重になってきているとのことです。立地のいいところだとそういうこともなく、テナント誘致の担当者もかなり横柄だとは聞きますが。。。

 

 ショッピングモールの数が増えれば増えるほど、そのレベルや客層にもばらつきが出てくるでしょうから、これからはとりあえずショッピングモールに入居するというのではなく、テナント側もそのショッピングモールの実力を見極める時代に入ってきていると言えるでしょう。


これは積極的・前向きと言うべきなのだろうか

2013年09月05日 | 日記

 前回はちょっと残念な話と言うことで、採用しようと思っていた若者に振られてしまった話を書きましたが、今日は逆に以上に積極的な人に会ったことがあるという話を紹介しましょう。

 

1.上海の地下鉄駅で

 ある日地下鉄のホームで電車を待っているとスーツを着た男性がいきなり話しかけてきて、

 「今仕事を探しているのですが、貴社で社員を募集していませんか?」

 これってホームで声をかけるような話でしょうか?非常に積極的で前向きな行動かもしれませんが、ちょっと引いてしまいますよね。こんな風に声をかけられて、「ちょうど探しているところだったんだよ、さっそく面接でもしましょう!」と返事をした人は果たしていたのでしょうか。

 

 

2.上海のとあるパン屋の前で

 ちょっと病院に立ち寄った帰りのことです。たまたまパン屋があったので、今日のお昼は珍しくパンでも食べてみようかと思って外からパンを眺めていたところ、いきなり見知らぬ中年女性から、

 女性 「一緒に商売やりませんか?」

 

 私 「???」

 

 女性 「パン屋をじっと見ているので、パン屋の商売でも始めるのかと思ったの。私も興味があるから一緒に初めても面白いかなあと思って。」

 

 パンを買おうと思ってパンを見ているだけでパン屋ビジネスを始めようとしている人だと決めつける当たり、このちょっとズレた嗅覚はいったいなんなんでしょうか。これも積極的かつ前向きと言えばそうなんですが、ズレズレですよね。今までこうやって声をかけて、「そうそう、やってみたいと思っていたんですよ」という返事を一度でももらったことがあるのでしょうか。

 

 これらは果たして積極的・前向きと言ってもいいのでしょうか?貪欲ではあるといってもいいかもしれません。でもこれをズレズレ、ピンボケに感じてしまう私が消極的・後ろ向きと考えるべきなのでしょうか?んー、でもやっぱりこの感性は分からんですなあ。


ちょっと残念な出来事

2013年09月03日 | 日記

 最近ちょっと残念な出来事がありました。人手が欲しくなって人材を募集し、まさにこういう人が欲しかったというぴったりの人材を見つけ、採用したい旨をオファーしました。面接の時点からコンサル会社を熱望しており、「どうぞよろしくお願いします!」という声も少し興奮気味だったのをよく覚えてます。そして、今月頭から出社してもらおうと思い、私の頭の中では今週はあれをやってもらおう、これをやってもらおう、来月のいつごろはあれをやってもらおうと、いろいろとやってもらおうと思うことを思い浮かべながら、出社を楽しみにしていました。ところが、出社の前日になって、「いろいろ考えてやはりやめることにしました」という連絡。一日も出社していないのに。何も言わずに初日からやってこない人もいるらしいですが、やはりいきなり前日になってやっぱりやめましたというのはちょっといかがなものでしょうか。一日も出社していないうちに連絡してくれるだけましと慰めるようなコメントをしてくれた方もいましたが。

 

 さて、「やっぱりやめました」の裏側にどんな真実があるかは本人から本音を聞き出さなければわからないのですが、いちおう言われた理由としては、「行政手続きで上海の公務員とやり取りするのが嫌だ」というのがありました。弊社はコンサル会社ですが、経営コンサルやマーケットリサーチだけでなく、投資コンサルティング(会社運営に必要な法律、税務、税関、外貨管理等の分野・・・・もともと私はこれからスタート)の一環で、例えば新会社設立の代行手続きのようなサービスも行っており、そのような手続きもやってもらおうと思っていたのですが、それが敬遠されたようです。これは単に人と接するのだ嫌なのか、上海人と接するのが嫌なのか、それとも上海の公務員と接するのが嫌なのか。単に人と接するのが嫌なのであれば、そもそも我が社のような会社に来るのはちょっと合わないですし、でもコンサルは興味があると言っていたので、人と接することは問題ないはず、でも上海人と接するのに気おくれしているのだろうか。いやいや、そもそも上海に住んでいるのにそんなんで気おくれしていたら上海に入れらないですよね。となると、上海の公務員と接するのが嫌と言うことが入社を嫌がった主な理由なのかもしれません。

 

 以前にも書いたことがあるのですが、そもそも中国で公務員あるいは役人に対して気おくれしている人があまりにも多いような気がします。政府という言葉がまさにそうですが、上海市政府⇒上海市役所、静安区政府⇒静安区役所、と読み替えればいいわけで、日本の都市との規模感はともかく、それほど気後れするほどの者でもないと思います。それと、公務員に対する考え方ですね。中国で役所勤めの人を「官員」といいいますが、翻訳すると役人とか公務員になります。この辺りちょっと微妙なのですが、私の中では役人と言うとかなり位が上の公務員と言うイメージで、例えば国家公務員とかがそうで、いわゆる公務員は市役所とか区役所にいるような人をイメージします。ところが、中国だと全部ひとまとめで私も含めてですが役人と訳してしまいますよね。でもよく考えればただの公務員なわけで、それほど気後れすべき存在とは言えないはずでしょう。日本と中国の役所の対応の仕方が違うと言えば確かにそうで、一般的には日本の役所の対応は非常に丁寧で、中国、私の場合は上海で接することが多いですが、まあそれほど丁寧とは言えない、あるいは偉そうにしていると言っても、以前と比べればだいぶんよくなってきているなあと思います。でも、入社するのをやめたと言ってきた若者はひょっとすると役人と接することに気おくれ感を感じているのかもしれません。

 

 役所の手続きで何か問題を指摘された場合、指摘事項によってはこちらの理屈を押し込むことができたり(これができると気持ちがいい)、その場で解決できそうなこともあったり(これもなかなか気持ちがいい)、あるいはその理由を問いただすともっと違う方法で訂正できたりすることもあるのですが、気おくれしている人だとそれを聞き出すことができません。「このように言われてダメでした」だけで終わってしまう人が結構います。ここはやはり日本と中国の公務員に対する意識の違いなんでしょう。役所の対応もだいぶん変わってきていると思うのですが、こちら側が気おくれするマインドの方が進歩していないんでしょうね、たぶん。

 

 ということで、引き続き人材探しです。時間をかけて探すといい人が見つかるでしょう。


労務派遣、同工同酬に福利と社会保険を含まないの意味は?

2013年09月02日 | 日記

 労務派遣が大きく制限されることになると言われています。中国ビジネスに携わっている人であればご存知かと思いますが、労務派遣は臨時的、補助的、代替的な業務に限られ、条文の中で次のように定められています。

 

臨時的

継続期間が6 ヶ月を超えない職位

補助的

主要業務を行う職位にサービスを提供する非主要業務の職位

代替的

使用単位の労働者が職場を離れて研修したり、休暇を取得する等の理由で勤務できない一定期間において、他の労働者が代替可能な業務を行う職位

 

 この条文から、臨時的、代替的はしょうがないけれども、補助的業務という位置づけであれば労務派遣を続けられるという考えもあります。たとえば、営業助理(営業アシスタント)、財務助理(財務アシスタント)のように、助理というアシスタントに相当する肩書は補助的な業務なのだという考えですが、まあ言葉遊びの世界ですね。

 

 さて、人力資源社会保障部の担当者が示したところによりますと、労務派遣従業員は「同工同酬」(同一労働同一賃金)を受けるべきだが、「同工同酬」は福利と社会保険を含まないとのことです。この辺りもう少し踏み込んでみましょう。

 

 なぜこのような考え方が出てきたのでしょうか。人力資源社会保障部や全国総工会は「同工同酬」に福利と社会保険を含むべきと希望しているのですが、一部の部門や中央企業から猛烈な反対を受けたために福利と社会保険は含まずとトーンダウンしたようです。とある中央企業の年間利益は300億元あり、もしその労務派遣従業員に本来的な意味の「同工同酬」、つまり福利と社会保険も正式従業員と同等な扱いにすれば、福利と社会保険だけで260億元が吹っ飛んでしまうそうです。企業からするとこれが実施されると確かに大きなダメージであるのは間違いありません。反対派の勢いに押されてトーダウンしたのは間違いないでしょう。

 

 ここからがわかりにくいのですが、先ほどの人力資源社会保障部の担当者によりますと、これは使用単位が派遣従業員に対して福利と社会保険を提供しなくてよいという意味ではない、《労働契約法》では使用単位は使用職場に関連する福利待遇等を支払うべきだ、としております。ただし、「同工同酬」は福利と社会保険を含まないというのは、福利待遇において企業は正式従業員と労務派遣従業員の基準を自ら把握することができることを意味しているとのことです。言ってることがよくわからないですね。

 

 また、「同工同酬」には条件があり、同一職場の同一量の労働による同等業績を取得する労働者は同一の労働報酬を獲得すべきで、単純に職位が同じであれば同じ給与をもらえるわけではないともコメントしており、これは確かにわかるのですが、評価するがその裁量でなんとでもできてしまうように思える表現ですね。

 

 労務派遣従業員に関する論争はもうずっと続いていますが、もういい加減に落ち着いてほしいですね。少なくとも便利だからと言うことで形式的に労務派遣の形態を取り、正規従業員と登壇の差をつけていない企業にとっては関係ない話ですからね。