呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

ちびっ子乞食の真実

2011年02月27日 | 日記

 中国の街中や地下鉄車内で物乞いを見たことがない人はいないでしょう。赤ちゃんを抱っこしている女性や、障害者がいたりします。そんな中で子供の物乞いもたくさんいます。この子供たちは本当に物乞いなのでしょうかということが新聞で記事になっていました。少なからざるケースで親が自分の子供を芸人としてドサ回りするようなところと契約し、毎月500元なり1000元なりの収入を得ます。実際は芸をするわけでもなんでもなく、物乞いをさせられるのです。物乞いといっても本当に物乞いではなく組織的に行われていますので、物乞いとはいえ「ノルマ」が与えられます。これを達成できないとドサ回りの親分に殴られ蹴られということが起こります。子供の体力では大人には勝てませんので、しょうがなくこのような生活を続けていくことになります。何年にもわたってこんな生活を続けますと、肉体的にはもちろんのこと、精神的にかなりやられてしまいます。親は最初は子供が物乞いをさせられることは知らずに送り出しますが、子供たちが帰ってきて始めて本当のことに気づくようです。

 

 悲しい現実です。


カプセルホテルの認可が出ない

2011年02月25日 | 日記

 上海にカプセルホテルができるとある頃話題になりましたが、現在難航しているようです。その理由としては使っている材料が基準をクリアしていない(燃えやすい)こと、火災等が発生した際に避難しにくいこと、そしてもうひとつがカプセルホテルという形態がはじめてであることもあって、中国の法令法規で根拠にできる通達類がないことです。投資者は既に300-400万元を費やしていますので、いまさら降りることもできず、このままあきらめることはないというコメントを残してます。

 

 では、この燃えやすい材料をちゃんとした材料に変えた場合はどうかということですが、それでも次に一人当たりの使用面積が狭いために避難が難しく、消防隊員がやってきても救助しにくく、そういう観点から消防部門が難色を示しているとのことです。これはカプセルホテルの宿命みたいなものですので、材料の変更と違って根本的な解決が難しいでしょう。そして最後に法令面です。カプセルホテルというものに対する技術標準もなく通達もない、そのため今のところ消防部門としては許可を与えようがないということです。仮に通達類が公布されるとしても相応の時間が必要になるでしょうから、当面はこのプロジェクトは「頓挫」せざるをえませんね。

 

 では、仮に以上の点がクリアになって開業できたとしましょう。ビジネス的に成功するのでしょうか。価格設定は一泊88元です。いわゆるエコノミーホテルといわれている錦江之星や如家といったところが一泊200元前後です。でも二人で泊まれば割り勘できるので、価格的にはカプセルホテルと変わらなくなってしまいます。旅行サイトのCtripを見ますと、ロケーションの問題もあるのですが、88元以下の料金で予約できるホテルもあります。こういった諸々を考えると、最初は話題性で宿泊客が増えてもそのうち下火になってしまうような気がします。まあ、始まってみないことにはわかりませんが、

 

 このケースは中国の法整備が遅れているがゆえに新しいビジネスモデルが認められないという事例ですね。事前にある程度の確認を行っていたのでしょうが、確認が甘かったのでしょうね。こういうケースは確かにあります。やりたいと思っていたことが事前の確認不足でそれができない、せっかく会社を作ってしまったしどうしよう、すぐにつぶすわけにも行かないし、しょうがないからこの会社でなんとかやってみようっていうのが。意外とこのあたりを軽視する会社があるんですよね。中国も大分開放されてきたとはいえ、日本から見ると外国であるということを忘れてはいけません。中国での事業を事前に検討する場合、二つ考えることがあります。制度面でクリアできるビジネスか、事業として採算が取れるのかという市場調査の部分の二つです。もちろんこれらがクリアできた上で戦略を考えていくことになります。実際にご相談をいただく場合、まずは制度と市場調査の二つの面から検討していくわけですが、あえて市場調査を行わず、制度だけから入っていくことをやることがあります。なぜならば制度で引っかかってしまってそもそもやりたいことができないという結論が出た場合、市場調査の意味がなくなってしまうからです。商売的には振るパッケージで契約してあれもこれもやってしまいたいということになるのでしょうが、個人的にはビジネスモデルによっては制度面だけを先に調査することをよくやります。それだけで結論が出るケースもありますからね。


ベストバイが中国の全店舗を閉鎖へ

2011年02月24日 | 日記

べストバイは2006年に五星電器の最大株主となることを通じて中国に進出し、2008年には100%子会社としました。運営はベストバイと五星電器の二ブランドで行っていたのですが、このたび9店舗あるベストバイの全店舗を閉鎖することが発表されました。

 

報道を見ますと、ベストバイは買取方式で、五星電器は国内家電小売商と同じモデルで運営を行っていたといいます。つまり、内資の家電売り場内ではサプライヤーが場所を借りて、販促員が主導権を持つスタイルですが、外資の家電小売は通常現金買取方式で売り場内の主導権を持とうとします。後者が本来的な形だと思うのですが、中国では二級ブランドレベルになるとこのスキームではやりたからず、最終的には一級ブランドのみの売り場になってしまうようです。二級ブランドは陳列しているだけでは一級ブランドにかなわないので、販促員を配置することでブランド力が劣る部分をカバーするということなのでしょう。そうすると品揃え的には地場小売店に負けてしまうというわけです。今後は五星電器ブランドで中国市場を開拓していくようです。中国には中国のやり方がそぐわしいということでしょうか。報道ではビジネスモデルが中国に会わなかったということが紹介されていますが、価格設定が高かったのではないかというようにも思います。会社のスタッフにも聞いてみたのですが、同じブランドの同じ商品がベストバイで499元で売っていたのが、地元のスーパーでは399元で売っていたそうです。この価格帯で100元も違えばそりゃあ売れないでしょう。これはたまたまなのかもしれませんが。

 

でも、中国スタイルの小売のビジネスモデルはやっぱり納得いかないんですよねえ。まあ、中国は人が多すぎる、そして店も多すぎる、結果過当競争になり粗利率が低下する、小売店としてはこれだと成り立たないので場所代やリベートをとるという方向でそれをカバーしたというのがこのいびつなスキームの由来のようです。が、人が多すぎるという部分は改善しようがないのでやっぱりこのいびつなスキームは変わらないのかなあ。そうなると、日系を含む外資系が本国のスキームにこだわると成功しようがないということにロジック的にはなりますね。カルフールが最近サプライヤーとリベートはその他諸々の費用徴収といった条件面でかなりゴタゴタしているという報道がしばしば紹介されていますが、それでもこのスキームは変わらないのかなあ。


楽酷天セミナーに参加しました

2011年02月23日 | 日記

 楽天の中国ネットショッピングサイトである楽酷天セミナーに参加してきました。いろいろと話は聞いていましたが、やはり直接話を聞きたいので参加してきました。

 現在の中国のネット販売といえばやはりタオパオを抜きにしては語れません。では楽酷天としてどのように差別化するのかというところですが、そこは「本物のみを取り扱う」、「日本商材を取り扱う」、といったところで、やはりそういうことになるのでしょう。店舗数や単純な価格では勝負できませんからね。また、店舗に対するサポート体制も充実させるということです。現在のユーザーの特徴としては日本商材に興味がある人が多いとのことで、日系企業が立ち上げたモールなのでそういうことになるのでしょう。年齢層としては20代前半から30代前半が多いそうです。現在出店している企業は約3000店舗、そのうち日本商材を扱っている店舗が200店舗未満ながら、シェアが25%を占めているということですので、日本商材に興味のある人のアクセスが多いことは間違いないですね。

 もうひとつ気になる点としてはユーザーがどれだけお金を使ってくれるかです。このあたりについても踏み込んだ紹介があり、中国でのネット販売の平均注文単価が110元くらいのところ、楽酷天ではこれは280元ということですので、まずまずの水準といえるでしょう。

 成功事例についての紹介もありました。このあたりになると一般的な成功事例とそれほど変わらないように思いましたが、効果があったと思われる手法として次のものが紹介されていました。

 ①タイムセール(中国では秒殺という)
 ②百度からの無料トラフィック
 ③販促メールサービスでのリピート促進
 ④メーカー保障
 ⑤低価格設定(なんと実店舗よりも安く設定した例)
 ⑥送料無料
 ⑦ポイント10倍キャンペーン
 ⑧イベントへの積極的な参加

 だいたいことんなところでした。

 始まってからそれほど時間が経過していないので、評価をするにはまだ早いかと思いますし、またなにせタオパオというガリバーがでんと構えている状況の中では今後の展開において少し時間がかかるかもしれませんが、サプライヤー向けの手数料等は結構思い切った設定にしており、そのあたりに気合を感じます。日本最大手のネットショッピングサイトとして存在感を見せ付けてほしいと思いました。


やる気なくさせてくれるねえ

2011年02月22日 | 日記

 先週日本に出張していたのだが、なんと一応は現場を管理している私のいない間に社内監査がやってきたのです。しかもそれを知ったのは日本滞在中で、監査に入る二日前です。一応社内監査は事前に知らせてくれるようなのですが、今回は実質的には抜き打ちと同じです。しかも私のいないときに。「抜き打ち×欠席裁判」ですね。もの凄く嫌な気分です。監査という業務の性質上抜き打ちでやってくるのはいいのですが、私の出張という事実を把握しておきながら、あえてその時期を狙ってくるとは、そりゃあないでしょう。監査に来る人はそんなことはないといってましたが、やられるほうとしてはそう思わざるを得ませんな。やったほうにそういう意図があったかどうかわかりませんのでなんともいえませんが。私の考えすぎなのだろうか。

 そういえば、以前にも日本に出張するときに、「現場で管理者がいなくなるのはよろしくない」というようなことを言ってきた人がいたのですが、そんなことを言っていたら一生出張できない。こんなことを言われればそりゃあ気がなえてしまいます。結局そのときは日本から出張者がやってきました。あれほど来るなといったのに。あまりにも不自然な出張なので、受け入れる側も何事かと思ったはずです。ま、出張側もたまたま別件があったのかもしれませんが。私の考えすぎなのだろうか。

 とある既に帰国したメーカー系現地法人の知り合いの人から聞いたのですが、その人が帰国するにあたり後任者がやってきたのですが、その後任者が最初にやったことが、私の知り合いの人が意味もなく経費を使いまくっていないかというチェックだったそうです。全くそういう人でもなく、むしろスマートに遊ぶ人で、公私ははっきりと区別していた人ですので、かなりムカついたそうです。後日談ですが、後任者は経費を使いまくる人になったそうです。

 なんか、こういうのって嫌ですよねえ。昔金八先生が、「この『人』という字を見ると、一本では立っていられなくて2本の線が互いに支え合っているように見えるよね。これは、人は、けっして一人で生きているんじゃなくて、いろいろな人に支えてもらって生きているんだよということを表しています」ってなことを言ってましたよね。支えるという中に信頼というものが含まれているはずです。上記の例は明らかにこの「信頼」というものが欠けている例といえますね。

 すみません、この記事はただの愚痴ですので、読み流してください。


ビールの値上げ

2011年02月21日 | 日記

 普段私はお酒をそんなに飲まないのであまり意識しないのだが、最近燕京ビール、華潤ビール、青島ビールといった大手銘柄が値上げし始めており、値上げ幅は10-20%になるという。値上げする地域は販売量が多く、競争優位にあるエリアまたは優位性のある品種から始まっている。

 

 燕京ビールの北京市場におけるシェアはずっと80%を維持しているが、主な値上げエリアとして北京で行っている。雪花ビールは東北地区の一部で値上げした。青島ビールは全国的なビールであるが、一部の種類に限り値上げしている。大型ビール会社が値上げするため、地方の中小ビール会社もそれに追随していくことができる。

 

 値上げの背景には原材料価格の上昇がある。中国ではこのように原材料が上昇してそれを価格に反映させることができる。もちろん消費者にとってはありがたくない話なので、誰が先陣を切るかという問題はあろう。一方日本だと、原材料が上がったからといってすぐそれを価格に転嫁させることは難しい環境にあることは容易に想像が付くだろう。以前繊維業界にいる先輩と話したことがあるのだが、日本での商売は日本の経済環境がこういう状況なので、原材料値上げ即転嫁というのはやはり難しいらしい。そうなると結局売りやすいほうに売るということになるので、今の日本に物を売るのは難しいということを聞いたことがある。

 

 これもまた先輩から聞いたのだが、中国リスクに関する質問をよく受けるという。「3年後の中国って大丈夫ですか?」。そのときの切り返しが、「中国の3年後よりも日本の3年後のほうが心配じゃないですか?」 これで黙り込んでしまうという。

 

 日本は基本的には経済の基盤がしっかりしているのだが、どうも歯車がうまく回ていないようだ。技術立国であるし、サービス業のレベルも高い。国内は飽和状況にあってもこれらを武器にしていけばもう少し何とかなるように思うのですが。


平成の風景

2011年02月20日 | 日記

 あらかじめ申し上げておきますが、私はアニメヲタクではありません。プロレス・格闘技ヲタクです。

 さて、昭和の風景の次は平成の風景です。場所は秋葉原、アニメ抜きでは語れないですね。昨年アニメがらみの仕事を請けたこともあり、ここはちょっと視察しておきましょう。視察ですよ。

 なにやら人がたかっているので見に行ったところ無料ステージが催されていた。とりあえず写真でも撮っておきますか。

     

 結構人いましたね。人ごみはあまり好きではないのでさっと離れました。

 歩いていますとやたらと耳かきやマッサージの看板を見かけます。そういえば話題になっていたよなあ。よし、視察してこようということで行ってきました。

 

 耳かき部屋が埋まっていたのでマッサージ部屋での耳かきとなりました。写真は部屋の中です。耳かきをしてくれた女の子の写真はNGということで撮れませんでしたので、ネットでイメージ写真を探してきました。和服のお店だったのでイメージは近いです。

 

 受けてみた感想ですが、耳かき自体あまりやってもらったことがなかったので、なんか不思議な気分ですね。中国でアニメがありならこういう耳かきもありかな。

 以上が、平成の風景ということで。


昭和の風景

2011年02月19日 | 日記

 ちょっと時間ができたので寅さんの舞台になった葛飾柴又に行ってきました。

  

 この車両の少なさ、色合い、いかにもレトロっていう感じです。町の風景もレトロです。

     

 駄菓子屋がたまらなくレトロですね。

 昼食とおやつをここで済まそうと思っていたので、食べたものをここにアップ。

     

 みんなそれなりにおいしかったが、特に揚げ餅がおいしかった。

 柴又という場所なので最後はこれで締めました。

 

 昭和の風景を堪能したので、次は平成の風景を見てきますね。


「健康・美容市場×新チャネル」セミナー終了

2011年02月18日 | 日記

 セミナー終わりました。元々聞いていた人数よりもたくさんこられたので、終盤に申し込まれた方が多かったようです。座席は大体埋まりましたね。

 

 私の出番はトップバッターです。私のパートはどちらかというとは肌感覚の部分を伝えようとしたこともあり、レジメは文字やデータよりも写真が多かったです(データも入れましたよ!)。改めて見返しますと文字数が本当に少ないレジメでした。よくこれで30分も話すことができたものだと我ながら思います。しかも終盤かなり駆け足で。

 最後にゲスト講師の赤井さんとのトークセッションがあったのですが、ユーザーはどんな反応をするのかというような話のときに、「私だったらこうすると思うのですが」と話したところ、赤井さんから「呉さんの行動パターンは普通の日本人と同じじゃないんです」というようなことを言われました。中国に長くいると変わってしまうのでしょう。

 セミナー資料の中で中国女性も化粧をする人が増えてきたことを紹介するために次の二枚の写真を用意しました。

    

 左側が昔風の化粧っ気のない女性の写真で、右側が今風の化粧上手な女性の写真です。なぜかこの二枚の写真にえらく受けてくれる人がいました。良くこんな写真を見つけることができましたねえといわれましたが、確かにこの写真を見つけるために結構時間を使いました。

 セミナー自体は人数的にはほぼ埋まりましたし、アンケート用紙を見たところ満足度もそこそこ高かったので、成功したといえるでしょう。この流れを受けて次の行動に入って行きたいと思います。


やっぱりこけたね~海南島のタックスリファンド政策~

2011年02月17日 | 日記

18日付で紹介した海南島のタックスリファンド政策の状況について紹介する。

 

今年1月より海南島での買い物に対してタックスリファンドを行う政策が始まったが、利用状況がさっぱりであるという結果が出た。1ヶ月目に海外からの旅行者旅客がタックスリファンドを申請した件数は129件、リファンド額はわずか5万元であった。海外からの旅行者は延べ66万人来たものの、たったのこれだけである。分析としては対象となる商品が少ない、対象となる店舗が少ない、宣伝不足というものがあるが、つまるところは「中国ブランド品がない」ことにつきるだろう。ブランド品といえばやはり欧米が強い。物によっては、家電製品とかは日本も強い。でも中国はそういうものがないのだ。

 

海外からの旅行者はロシア、日本、韓国、香港、シンガポール島の東南アジアからが多いということだが、彼らにとってはこの政策は魅力なしなのである。あえて魅力があるとすればお茶や滋養補給品といった中国が特色を有するものがあるが、これらはタックスリファンドの対象外である。

 

こけるとおもっていたが、やっぱりこの政策こけたね。

 


お米の汚染

2011年02月15日 | 日記

 中国で出回っている米の約10%にカドミウムが含まれているという報道を見ました。以前2002年に農業部が調査したときも同じような数値でした。2007年にもう一度調査したところやはり10%程度が基準値オーバーという結果でした。カドミウムといってもどんなものかわからないかもしれませんが、イタイイタイ病を引き起こした成分といえばイメージが湧くのではないでしょうか。また、カドミウムのみならず、その他の重金属も基準を超過しているようです。中国内陸部でメチル水銀を摂取するのは魚類ではなく米を通じてという結果が出ています。これも2002年に調査したときは3割近くが基準値オーバーだったとのことです。メチル水銀は水俣病を引き起こした成分です。

 

 食品が汚染されるのはかなわないですし、しかもこれは主食である米です。自分の食べている米は大丈夫なのかなあとふと思いました。普通の米も買ったことがありますが、いつもは「日本米もどき」を購入してます。日本と比べてずっと安いですが、一般の米よりはずっと高いものです。高いものは相対的に安全化とは思うのですが、大丈夫かなあ。今のところは特に問題を感じてはいないのですが、こういうのは蓄積されていくものなのでねえ。

 

 以前有機野菜について書いたときには、有機野菜としての管理が甘い、認定基準が甘いといったことを紹介しました。有機野菜ですらこうですし、主食の米でこんな問題が起こるとやっぱり「中国食品は・・・」となってしまいます。まあ、あまりうるさく言っていると食べるものがなくなってしまうかもしれませんが。

 

 中国の消費者ですら中国食品を疑っている人は少なくないように思います。粉ミルクを代表として結構問題を起こしてますからね。そういう意味で日本あるいは日系食品はもっともっとチャンスがあるように思います。「日本」「日系」というブランドがどこまで通用するかという問題はありますが、衣類や家電類と違って人体に摂取するものであることを考えるとまだまだ「日本神話」は通じるように思います。特にベビーに関してはご存知のとおり粉ミルクに対する信頼度はかなり高いです。私も今回の出張で頼まれてしまいました。もちろん、底辺の生活をしている人にとっては関係ない世界ですが、中国食品のネガティブ報道が続く間はまだまだチャンスはあるように思います。ただ、食品はいったん問題を起こしてしまうと、そのマイナスイメージを取り返すのが大変なので、それをおそれて中国市場をもっと攻め込むのためらっているところはあるかもしれませんね。


今年も人手不足

2011年02月14日 | 日記

 

 春節に帰省した農民工が休み明けに帰ってくるかどうかは工場経営者にとってはどきどきするところである。去年もかなり騒がれたが今年も騒がれている。去年よりも状況は厳しいという人もいる。企業によっては駅まで行って募集をかけているところもあるのだ。

 

 珠江デルタでは200万人が不足、湖北省では56万人が不足しているという報道がある。なんだかんだで金融危機も落ち着いてきて、欧米企業からの注文も増えてきており、人では必要なのだ。農民工は年々減少しており、ここ三年で2000万人ほど減少したという統計もある。国家統計局が発表した2009年農民工モニタリング調査報告》の中でも、2009年度において東部地区で働く農民工数は8.9%減少している。特に珠江デルタ地区では2008年と比べて22.5%も減少している。

 

 こんな状況だから冒頭に書いたように、休み明けに戻ってくる農民工に対する「リクルート」が帰省先の駅で行われているのである。飛び降り自殺報道で世間を騒がせた富士康の提示する標準給与は1300元/月で、査定を通過すれば2100-2800元/月に引き上げるという。ワーカーとしてはなかなかの水準だといえるだろう。このほか、端午節や中秋節、春節にも紅包(お祝儀)が支払われるという。報道見てると2800元どころか400元とか6000元なんていう金額も見られる。

 

 

 でもまあ今までが安過ぎたのだろう。6000元はともかくだって2800元って4万円弱ですからね。ただし、上昇のスピードが速いというのも事実。そういえば某企業が人材引止めのために給料を実家に送金するという方法をとっているというのを聞いたことがある。本人がやめたくなったとしても実家が今まで安定してもらっていた給与を失うのを恐れ本人に「やめることをやめる」ように説得し、結果として人材を引き止める効果があるという。直接本人に給料を支払わないという点が法律的には問題ありそうなので、ちゃんとした企業ではできない方法ですね。


チベットの秘薬

2011年02月13日 | 日記

 打ち身で腫れ上がったところがなかなか直らないので、試しにチベットの貼り薬を買ってみました。その名も「奇正蔵薬」といい、奇妙なくらいに正しい状態にするチベットの薬という意味でしょうか。こんなパッケージです。

 

 どこの国でもそうだと思いますが、この薬にも生産企業名と薬としての認可番号が表示されています。

 

 チベットの林芝地区で生産されているものですね。

  さて、この秘薬はどんな成分でできているのでしょうか。成分を見て見ましょう。

 

  「本品はチベット族の処方であり、国家秘密である」という表示が。ゲッ、成分表示なしですか、まさに秘薬ですね!たかだか貼り薬なんですから別に成分くらい公表してもよさそうなものですが。神秘性を高めるためなのでしょうか、まさに秘薬ですね!ちなみに5枚入りで50元ちょっとでした。


フランチャイズ関係者が見る今後ホットな業界

2011年02月12日 | 日記

 先月行った「中国におけるフランチャイズ経営セミナー」の中で紹介したのですが、『2008年中国フランチャイズ経営発展報告』という報告の中で、フランチャイズ関連業務に従事しているところに対して行ったアンケートで、①今後35年で有望な業界、業態、②今後35年で投資リスクが最も小さい業界、業態、③今後35年で投資リターン率が最も高い業界、業態、というものがありました。それぞれについて見ていきましょう。

 

(1)   今後35年で有望な業界、業態

1位:児童教育

2位:カーリース、自動車洗浄

3位:自動車メンテナンス、中国式ファーストフード、ジム、家政婦

 

(2)   今後35年で投資リスクが最も小さい業界、業態

1位:児童教育

2位:中国式ファーストフード、自動車補修美容、家政婦

3位:クリーニングサービス

 

(3)   今後35年で投資リターン率が最も高い業界

1位:ギフト、アクセサリー

2位:化粧品、中国式レストラン、火鍋、ソフトドリンク、児童教育、自動車メンテナンス、エステ

3位:農業物資、食品、栄養品、中国式ファーストフード、西洋式カジュアルレストラン、英語研修、自動車メンテナンス、美髪、クリーニングサービス

 

 児童教育が強いですねえ。子供にお金を費やす風潮があるとよく言われていますが、ビジネスをする側もそのように認識しているようです。たしかに、街中でよく塾みたいなところに子供を送り迎えしている光景を見かけます。

 

 

 

 後目立つところといえば自動車関連でしょうか。塾も自動車のメンテナンスを行うところも今住んでいるところの近くにもできましたので、流れ的には確かにそうなのでしょう。しかし車についてはあれだけめちゃくちゃな運転をしてしょっちゅうぶつけている割にはメンテナンスを気にするというのがよくわかりませんが、人のものはともかく自分の車はきれいにしておきたいという心理があるのでしょう。また、社用車をきれにするための場所としても必要なのかもしれませんね。


客単価500元のネットショッピングサイト

2011年02月11日 | 日記

 銀泰網という昨年1011日にオープンしたばかりのネットショッピングサイトがある。このショッピングサイトは巷で言われる安物買いのショッピングサイトとは正反対の高級品を主に取り扱うサイトである。

 

 

 

 オープンしたばかりのこのサイトが3ヵ月後には一日の注文数が1万を超えたといい、さらに驚くべきこととしては客単価が500元を超えたのだ。注文数、客単価とも驚くべき数字である。購入金額に応じて金券をバックする方式で販促を行ったという。金券にひょる販促というスキーム自体は小売業ではごくごく一般的なのだが、ネット販売となるとそれほど多くは見られない。あったとしても期間限定である場合が多く、銀泰網のように常態化しているところは見られないのだ。なぜこんなことができるのだろうか。

 

 銀泰網の全ての商品は買い取り形式である。出店形式でなく買取であるが故に、銀泰網と顧客との間は直接決済を行うことになる(決済条件はわかりませんが、資金負担は大きいかもしれないですね)。そのため、たとえばPRADAを購入して得た金券でLVの商品を購入することができるのだ。果てしなき価格線に巻き込まれない高級品の場合は粗利も大きいためこういうことができるのだ。

 

 また、銀泰網の取り扱い商品は全てミドルハイ以上のものであり、これらのものは一般的にはブランドイメージの関係もあり、季節遅れでもない限り値引き販売することができない。銀泰網は季節遅れ品ではなく新商品の販売に努めており、値引きを行う代わりに金券を活用することで、むやみやたらな値引きを行わないようにしている。

 

 銀泰網の取り扱いブランドは現在300ほどあり、2011年末にはこれを1000にまで引き上げようとしている。しかし、できたばかりのショッピングサイトがどうして多くのブランドを取り扱うことができるようになったのだろうか。最初はやはりその交渉は簡単ではなかった。サプライヤー側はネットショッピングサイトで商品が取り扱われることによりブランドイメージが傷つくことを恐れたのだが、粘り強く交渉し、①仕入れに際しての値引きに固執しなかった、②ミドルハイのポジショニングを堅持し、ミドルローには入り込まず、高級ブランドイメージを作り上げる、③郵送費無料・無条件返品交換やアフターサービスの充実、これらを謳うことによりサプライヤー側を納得させ交渉を成立させることができたのだ。

 

 銀泰網の強みはほかにもある。余った商品をサプライヤーに返品することができるのだ。実は銀泰グループには中国全土で百貨店を24店舗有しており、この知名度がモノを言っている。

 

 銀泰グループの戦略としては、百貨店(実体店舗)、都市総合体(都市における商業、オフィス、居住、ホテル、展示、飲食、会議、文化娯楽及び交通都市生活空間の3つ以上を組み合わせ、そしてそれぞれの間の一種の相互依存、相互メリットの能動関係を構築し、それにより多機能、高効率の綜合体を形成すること)、銀泰網の三大戦略を配置し、銀泰網を0号店として実体店舗の前に位置づけ、銀泰百貨の将来の重点育成対象とするという。

 

 銀泰網のように百貨店とネット販売とを両立させているところはほとんどないようである。一般的に百貨店がネット販売を行う場合、「ついで」にやっているケースが多いようで、数名の部隊に任されているケースが多いという。しかし銀泰網では10ヶ月を費やして擁立した500人の部隊で行っているのだ。気合の入り方が違う。ネット販売はウェブサイトさえ立ち上げればいい、出店さえすればいいと思っている人にとっては、ちょっと考えもつかないような話かもしれないが、これくらいの気合を入れてやらないと、ネット販売での成功は難しいと思ってもいいだろう。ネット販売の肝はその存在に気づいてもらうところにある。出店しただけでは埋もれてしまうだけなのである。みんながみんなこれだけのことはできないだろうが、ただ、これくらいのことをやっているところがあるのだということで参考にすることはできるだろう。