呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

北京CBDのオフィス空室率が高い!

2010年01月29日 | 未分類
  第一太平戴維斯(savills) の発表によると、2009年に北京Aクラスオフィスの供給量が高まったこともあり、2009年の北京市のAクラスオフィスの平均空室率は19.6%と、前年比4.2ポイントも上昇している。CBD(central buisiness district)の空室率は28.6%、CBD周辺では25.1%に達している。これに対して西部の金融街の空室率は6.0%、中関村は8.9%にとどまっている。

  賃料も大幅に下げてきており、2009年の北京のAクラスオフィス賃料は13.1%下落、そしてCBDでは20.6%下落と、下げ幅が最も大きいエリアとなっている。

 2010年についてだが、同じくsavillsによると、北京市全体の空室率は20%を維持することを予想しており、CBD及びその周辺区についてはは30%にまで達すると予想している。

  結局はビルを建て過ぎなんですよねえ。これだけ賃料相場が下落しているにもかかわらず、ビルだけはどんどこどんどこ建っている(のだろう)。そりゃあ空室率も下がらないわけだ。 

 世界的に景気が低迷している中、中国だけが堅調に成長しているが、なぜか空室率だけは高止まりしているし、上に紹介したようにもっと高くなると予想している人もいる。経済が循環している間はいいが、少しでも歯車が狂うとさらにおかしな動きが出てくるかもしれない。先日中国の一部銀行が新規融資を停止したとかしないとかの記事を紹介したばかりだが、中国としても不動産関連融資には慎重になりつつあるようだ。不動産関連だけであればいいのだが、それ以外の事業にまで締め付けが及ばないように願いたいものだ。

《反虐待動物法(専門家意見稿》

2010年01月28日 | 未分類
  《反虐待動物法(専門家意見稿》という通達がネット上で話題になっている。この中で犬・猫の肉を食することを禁じる内容が含まれており、これに対して少なからざる人が肉を食する権利を害すると主張している。

 具体的な表現としては、「違法に犬・猫を食するまたは犬・猫の肉を販売する場合、個人に対して5000元以下の罰金と15日以下の拘留、単位及び組織に対しては1万元以上50万間以下の罰金に処する」というものだ。ネット上では、「違法に食する」という曖昧な表現についてなんとでも解釈できるので、濫用するリスクについて心配している人もいる。

  そもそも「違法に食する」とは何か。地方通達でなんとでもできるのだろうか。例えば北京で食用を禁止するとすれば、北京エリアでは禁止されることになる。しかしながら、例えば東北地域の場合、多くの朝鮮族が犬肉を食していることから禁止しないことにすると、このエリアでは違法性なく食するということになる。広東省の市場でも食用の猫が売られたりしている。地方通達でOK[とすればこれも違法性なく食するに該当することになるのだろう。

 犬も猫もどちらもペットの対象となる動物ではあるので、そもそもこれらを食すること事態に抵抗官を感じる人が多いのはわかるが、食文化として長らく親しまれていたものを急にダメと言われるとそりゃあ困る。いちおうドラフトができているのでそのうち公布されることになるのだろうが、どうなるだろう。特に朝鮮族はいちおう少数民族の範疇に入るだろうから、朝鮮族の多い地域には配慮するのだろうか。

一部の銀行で新規融資がストップ

2010年01月27日 | 未分類
  一部で既に報道されているので既にご存知の肩もいるかと思うが、金融引き締めの動きがある。新聞報道によると現在のところ既にすくなくとも3つの銀行で新規融資をストップしているそうだ。

  ます、中国工商銀行は先週金曜日に北京支店に1月の残り期間内において一切の新規貸出をストップするように指示を出した。これが北京だけなのか全国なのかわからないが、いずれにしても工商銀行内部で口頭で出された指示のようだ。

  中信銀行は先週から上海で新規貸出をストップしているという。上海において既に月次の新規追加貸出限度額を使い果たしたからと言うのが理由のようだ。いまのところ国内の前支店に対して新規融資のストップを指示していないようで、またどうしても資金が必要な場合、本部申請を行って対応しているようだだ。

  中国銀行もまた既に新規融資のストップを指示しているという。

  新規融資をストップしたのはこれら3つの銀行だけではなく、他にも1月19日からストップしている銀行があるという。そういえば何年が前に同じようなことがあった。こういう形での指導が入ると、大企業だろうが中小企業だろうが資金調達が難しくなってくる。もちろんその会社の業績、信用状況、資金の必要度合いによって、資金調達の列の前に並ぶか後ろに並ぶかが違ってくるのだろう。しかし、本質的にはマクロコントロールの一環で行われているものであり、突然ダメよといわれてもなかなか対応が難しい。これもいわゆるチャイナリスクのひとつといえるだろう。

中国のM&A保険

2010年01月25日 | 未分類
  保険会社のAIUと保険ブローカーのマーシュが昨年より中国「M&A賠償保証保険」という保険商品の取り扱いを開始しているという。海外のM&Aの能力や経験が不足している企業に対して取引コストを固めること、そして成約の機会を高めることを目的とした商品である。

  マーシュの魏鋼則高級副総裁によると、「M&A賠償保証保険を通じて、買い手はリスクヘッジがなされることから安心してM&A資金を投入することができ、売り手は売り抜けた後に発生しうる責任を免除されるというように、売買双方にとってメリットのある商品といえる。

  中国が関係するM&Aは増加中ながら、多くの中国国内企業はM&Aの能力や経験が備わっていないのが現状だ。M&A賠償保証保険は売り方が会社情報を隠匿して値段を引き上げたり、売り方がM&A協議を締結した後にも隠匿、詐欺または違約を行ったり、第三者がM&Aターゲット会社に対して提出する賠償によりもたらされる買い手の損失等のリスクを防ぐことができるものである。

 個人的には保険と言う手法でのリスクヘッジは私の好むところだ。また、この種の保険を通じてM&Aのリスク度合いを図ることもできる。なぜならば、その保険費用の高い安いによりその取引がどれだけ危険性が高いのかがわかるからだ。危険性が高ければその取引をやめるか保険をかけるかすればいい。この保険の費用がどれだけのものかわからないが、通常M&Aを行おうとすれば法務面や税務面等のデューデリジェンス、場合によってはビジネスデューデリジェンスまで行うが、これらの費用は決して安くない。そのため、この保険の費用も結構な金額になるかと思うが、結局保険というのはあくまで何かが起こったときに備えるものである。それを惜しむのであれば自己判断の精度を高める必要がある。中国企業のディスクロージャーに不安を持つ人も多いかと思うが、そういう人たちにとってうってつけの保険といえるだろう。

新卒の22%が「月光族」

2010年01月23日 | 未分類
  2009年大学新卒就職者についての最新調査によると、平均月収は1902元、平均月間支出が1275元で、その差額はたったの627元だ。差額が1000元を超えるものは20%しかおらず、22%が-250元から250元の間にあり、いわゆる月光族(毎月の給料を全部使い果たす若者)といえる。

 2009年新卒(本・専科)就職者の平均給与が最も高い都市は北京で2536元、上海がその次で2347元と続く。業種では採鉱業の2385元が最も高く、建築業、電信及び電子情報サービス業等がその後に続く。職業別では「鉱山/石油」類が2771元、そして「経営管理」、「ホテル/旅行/コンベンション」等がその後の続く。

  この他、毎週の残業が平均で13時間、最も長いのが黒龍江省で16時間に達しており、業種では採鉱業がやはり16時間でトップ、職種では「電気/電子(コンピュータを含まず)」類で、19時間に達している。

  都市別で北京・上海はわかるとして、業種別で採鉱業、職業別で鉱山/石油類が台頭しているのが意外に感じた。日本だとマスコミ、金融、商社といったところが続くのだろうが、中国のこの結果は資源関連を重視しているからなのだろうか。ご参考ください。

中国人のお金持ち

2010年01月21日 | 未分類
  中国人のお金持ちが増えてきた。香港では中国からやってくるお金持ち達を「豪客」と呼び、このような人たちはディズニーランドのような娯楽地ではなく、ショッピングエリアで見かけられる。そして有名どころのブランド品を買い漁っていくという。一時の日本人のような行動だ。現在では日本でも多くの中国人観光客を見返るようになってきたが、彼らの消費するお金は普通じゃないレベルの人もおり、なんと一回の来日で1000万円くらい買い物して帰る人もいるそうだ。こんな状況から、中国のお金持ちをターゲットとしたビジネス展開を考えている会社も多くなってきた。小売業や旅行業が代表的な相談例だが、その他の業態からも相談を受けるケースが増えてきている。

  香港、中国を拠点とする非営利組織、世界贅沢品協会という協会がありそこの発表によると、中国消費者が高級カバン、自動車、服装、装飾品及び化粧品等の贅沢品に対する消費は60億米ドル以上だそうだ。他にも中国の贅沢品市場は5年後には146億米ドルに達し、世界最大の贅沢品取引地となるとの予想もある。
 
  中国の新興富裕階層の特徴として、富裕消費者の平均年齢が世界平均と比べて低いところにある。アメリカと比べて20歳も若いそうだ。中国では45歳以下の富裕群が全体の80%を占めるが、アメリカではこれが30%、日本では19%に過ぎない。単なるお金持ちであるだけでなく、年齢が若いことから、年配のお金持ちよりも行動力もあり、これが消費能力の大きさにつながっているといえるだろう。

  日本のマーケットで今までどおりで勝負することに限界を感じているようであれば、こういった中国富裕層の取り込みについて、会社のブランド力、商品性や人材、資金力、ネットワーク等に応じた個別コンサルティングを是非お手伝いさせていただきたいと思います!

2009年中国オンラインゲーム市場

2010年01月20日 | 未分類
 《2009年中国オンラインゲーム市場白書》によると、2009年の中国オンラインゲーム市場規模(ここではユーザーからのゲーム運営収入のみ)は258億元(約3500億円)、前年比39.5%となった。そのうち、中国国産のオンラインゲーム市場規模は157.8億元と前年比41.9%増加、これは全体市場規模の61.2%を占める。2008年の日本のオンラインゲーム市場が826億円と比べるかなり規模に違いがあることがわかる。しかも日本のこの規模は2007年対比微減とはいえ減少しているのだ。

 MMORPG(多人数同時参加型オンライン・ロール・プレイング・ゲーム) が市場を引っ張っており、2009年のMMORPGが全体のオンラインゲーム市場に占める比率は約79%、市場規模は203.8億元に達しており、2008年と比べて35.2%成長している。ACG(Animation、Comic、Game)もどんどん増えており、2009年のACGが全体のオンラインゲーム市場規模の比率は約13.8%、市場規模は35.5億元に達し、2008年比49.7%の増加となっている。

 海外輸出についてみていくと、2009年の中国オンラインゲーム海外輸出収入は1.06億米ドルと前年比47.2%増加しており、増加スピードも加速している。現在のところ中国が自主開発しているオンラインゲームの輸出はMMORPGが主体であり、ACGは少ない。2009年末までにおいて、既に51の国産大型オンラインゲーム製品が既にアジア、ヨーロッパ、アルリカ、北アメリカ、南アメリカの五大洲に輸出されており、アメリカ、イギリス、フランス、ドイル、イタリア、サウジアラビア、ブラジル、韓国、日本、タイ、シンガポール、ベトナム、フィリピン、ロシア、台湾、香港等に行き渡っている。オンラインゲームについては中国は先進国といえるだろう。

  また、市場構造から見ると、2009年末全国で合計499のオンラインゲーム運営企業があるが、シェア一位は騰訊、そして盛大が二位、網易が三位、これらだけで52.9%の市場シェアを占めている。

 こうしてみていくと、中国オンラインゲーム市場に参入していきたいところだが、昨年10月に公布された通達により外商投資企業に対して、中国国内におけるオンラインコンテンツのサービスを禁止すると発表されている。また、技術的なサポートなどを通じて、間接的にサービスに参加する事も禁止するとのことである。ただし、オンラインゲームの開発に対しては言及しておらず、サービスを除く他の分野に対しては規制を強化しない方針のようだ。最近日本のアニメ産業の中国進出に関する調査を行ったが、その中でオンラインゲームをツールとして利用することが考えられると感じた。そもそもの審査権限もごちゃごちゃしているようであり(過去記事参照)、外資向けの規制もややこしい分野であることから、参入に当たってはちょっと頭をひねる必要があるだろうが、検討するに十分値するといえる。

中国不動産バブルの行方はいかに

2010年01月17日 | 未分類
  日本のバブル全盛時において不動産や株式市場が下落するわけがないという雰囲気が蔓延していた一方で、少数派ではあったが一部で警鐘を鳴らしていた人もいた。株式はさておき、中国の不動産市場もバブル状態にあると思うのだが、周りに聞く限りでは少し不安を感じつつもまだまだいけるような見方をしている人が多いように思う。

中国の学者でもそれぞれの見方がある。

悲観派
 天則経済研究所の茅理事長は中国の不動産市場は既にバブル状態にあり、はじける可能性が高いと見ている。不動産バブルをどのように終結させるかが課題であると考えており、これだけの不動産バブルを理想を言えばゆっくり時間をかけて解消できればいいのだが、現実的な可能性としてバブルがはじける可能性が高いと見ている。理事長のバブルの定義として「空室率が非常に高く、建築済みで未売却の空室、特に既に売却していながら空室となっている不動産」としているが、確かにこのような不動産は多い。

 バブルの主な原因は、中国の大量の民間資本と民間貯蓄が経済成長を促す投資とならないことにあると考えており、つまり投資運用先が不足していることから、不動産購入を一種の貯蓄のようなものとしている状況が現れていると考えている。現在のところ民間投資の機会は限られており、利益獲得水準も低く、銀行利息も低い。そのため、多くの人が預金を不動産に変えてしまう結果となっているが、このような流れは全体の経済構造における非常に大きな問題であると見ている。

楽観派
  清華大学の秦教授は不動産バブルの状況は認めつつも、楽観的な見方を示している。株式、不動産市場とも基本的に「政策市」(政策により作られる市場)だからというのがその理由だ。政府の能力は非常に高く、政策要素の部分が大きい市場でもあるので政策次第で解決できる問題だということだ。個人的にはこれはちょっと考え方が甘いような気がする。

  日本のバブルと違って所得格差が大きい中でのバブルなので、低所得層だけではなく中所得層にとっても受け入れがたい市場となってしまっている。現在中国では「蝸居」というドラマが流行っている。「蝸居」とは直訳すると「カタツムリの家」だが、中国ではいわば猫の額ほどの狭い家を意味する。そしてこのドラマは家を買うために高いローンを背負う人たち(房奴)を描いたものである。リアルの世界で同じ境遇にある人が多いことから感情移入しやすく非常に人気のあるドラマである。昨年上海の新聞である東方早報が行ったアンケートによると、上海市民の77.57%が「蝸居」で描写している住宅購入が難しいという問題が普遍的なものであると考えており、72.24%の市民が住宅価格は高すぎて受け入れられないレベルにきていると考えている。しかも日本と違うのは結婚するにあたって住宅を保有していることを条件とするケースが多いことだ。



  このアンケート結果でわかるように、結婚に当たって賃貸住宅は受け入れられないというのが半分を超えてしまっている。家賃を払うくらいだったらローン返済するほうがましだということのようだ。この考えもわからなくもないが、結婚する年齢層の人たちががこの住宅バブルの中で住宅購入するなんてあまりにも非現実的に思えて仕方がない。でもここの部分は文化の問題なので、この考え方を変えていくことはバブル解消よりもずっと難しいだろう。

  不動産市況は今後どうなっていくだろうか。個人的には前々から気持ち悪いといい続けているのだが。

bccワールド

2010年01月15日 | 未分類
  今日のテーマはbccワールド。MR.CHILDRENのイノセントワールドではない(古い!)。

 身分証がシュレッダーされてしまった事件を紹介したことがあるが、要するにこれは会社のルールとして定められていることを社員がばか正直に守ってしまったため起こってしまった「事件」だ。世の中にはこのようにおかしなルールがまかり通っているケースがある。弊社とお付き合いのある会社の例を見てみよう。

 その会社では個人情報保護の名目で社外宛にメール送信する際は全てbccで送信するように定められている。従って、その会社からプロジェクト関係者にメールが送信される場合、私は自分自身にしかメールが送信されていないように見えるので、弊社内での情報共有のため関係者に転送する。しかしながら、転送された相手も同じように自分自身にしかメールが送信されていないように見えるので、情報共有のために私に転送する。つまり、弊社内ではどこまでが情報共有されているかわからないので、転送の嵐になってしまうのだ。

  個人情報保護はわかったが、これでは不便不合理きわまりない。そこで弊社についてはBccルールの適用を除外しCcで送付欲しいと申し入れしたのだが、やはり社内ルールとしてそれはできないとの回答だった。こっちとしてはやりにくくてしょうがない。相手が社内ルールを守らなければならない立場にあるということはこちらとしても理解しているので、これ以上無理強いすることもできない。でもひとつのプロジェクトなので情報共有することは個人情報保護よりも優先すると思うのだが。。。

 このルールは受け手側の立場を考えておらずまったくもって不便だ。関係者みなで情報共有したいというニーズすら満たすことができず、「個人情報保護」に過敏に反応をしめしたルール策定側のマスターベーションとも言えるだろう。「個人情報保護」が目的というよりも「個人情報保護のルールを守る」ことが目的となっているといえる。
 
  経産省のガイドラインにこんなのがあった。
         
【個人情報に該当する事例】
事例4)特定の個人を識別できるメールアドレス情報(keizai_ichiro@meti.go.jp 等のようにメールアドレスだけの情報の場合であっても、日本の政府機関である経済産業省に所属するケイザイイチローのメールアドレスであることがわかるような場合等)
   
  たしかに会社のメールアドレスは所属、名前がわかると個人情報になるのだな。
 
【個人情報に該当しない事例】
事例2)記号や数字等の文字列だけから特定個人の情報であるか否かの区別がつかないメールアドレス情報(例えば、abc012345@xyzisp.jp。ただし、他の情報と容易に照合することによって特定の個人を識別できる場合は、個人情報となる。)

 ふむふむ。あんまり面倒くさいこというなら、この会社のメール受信専用に「個人情報に該当しない」訳わからんメールアカウントを作成すればいいのか。例えば私のメールアドレスをtigermask@jris.com.cnとでもするといいのかな。でも私がタイガーマスクファンであることからやはりこのアドレスだと私個人のアドレスと特定できてしまうのでまずいのかな?

2008年の上海消費者満足度指数

2010年01月12日 | 未分類
  上海財経大学応用統計研究中心が1月8日に発表した2009年度上海市消費者満足度指数によると、総指数は65.85点で、2008年より1.09点下落したものの、中間値の50点を超過している。全体的に上海市民の消費する製品とサービスに対して基本的に満足しているといえるという論調なのだが、中間地を越えているだけで満足していいものなのだろうか。総指数も7割未満に過ぎないので、ちょっとこの論調は甘いような気がする。

 中でもの上海市民の医者に診てもらうことの満足度指数は59.10点で、調査対象の30の消費品およびサービスの中で最下位であった。上海財経大学徐国祥教授と張鳴芳教授がその原因を分析したところ、病院は独占的地位にあるため、費用を安くするというプレッシャーがなく、医療サービスも高めるインセンティブにも欠けており、結果として医者にかかる費用が高くなってしまっているというものだ。

  そもそも上海の町を歩いていると大きな病院こそ見かけるものの、いわゆる診療所レベルの町医者のようなところはほとんど見かけない。診療所レベルの認可は難しいのだろうか。いわゆる小区(団地のようなもの)の中に診療所レベルのものはあるそうだが、レベル的にはパっとしないようである。田舎の話ではあるがテレビでもぐりの医者に診療してもらってひどい目にあったというような報道を見たことがある。もうちょっと気軽に行ける病院が増えてくるともぐり医者もいなくなるだろうし、医療サービスの状況も変わってくると思うのだが。

香港の移転価格調査

2010年01月10日 | 未分類
  このブログをご覧いただいている方には香港からアクセスしていただいたいる方も多い。日本、中国に続いて3番目だ。ということで、今日は香港情報。

  香港税務局が12月に「転譲定価指引」(移転価格ガイド)を発表し、移転価格を通じて課税所得を香港に隠している行為に対する調査について言及している。とある大手会計事務所のパートナーのコメントよると、香港税務局は独立取引原則に明らかに違反しているような取引に対して調査すると見ており、納税者は関連取引に対して慎重になる必要があるという。また、香港税務局は遡及権を有するとの事だ。

  香港以外に隠している課税所得ではなく、香港に隠している課税所得を対象にしているところが注目される。普通は自国にあるべき所得を他国に移転することを疑うのだが、この逆パターンと言うのは低税率である香港ならではといえるだろう。

上海における遊休土地に対する動き

2010年01月08日 | 未分類
  2009年8月の上海市企画・国土資源管理局が公表したデータによると、上海市全体で1,077万㎡の住宅用地が批准を受けておりながら使用されていない状態にあるという。1,077万㎡どころでなくこの4倍くらいあるという説もある。そしてこの多くがディベロッパーのものであるという。上海ではこのような遊休土地を今後整理していこうとしているようだ。

  中国の場合は土地を持つというのは一般的に所有権ではなく使用権のことをいうが、この土地使用権は規定によると1-2年の間放置したままにしていると払下げまたは無償割当土地価格の20%の費用を徴収することとされており、2年を超過してしまうと無償で回収されてしまうと定められている。国土資源部によると、これはあくまで原則としてはこうだというものであり、どのように実施するかについては細かく定められていないという。一方で上海市計画・国土資源管理局ではこのような遊休土地に対してとる処置の法律根拠、例えば遊休土地をどのように定義するか、どのような方法・フローで遊休土地を処理するのかを既に定めている。具体的には、2007年1月より上海では既に《遊休払下げ土地処理試行規定》の中で、遊休土地の認定、処理手順及び方式について定められている。しかしながら、これは原上海市房屋土地資源管理局が公布したものであり、その後の機構調整の中で土地部分の職能が既に原上海市計画局へ移されており、同局が上海市計画・国土資源管理局へ改称している。そして、今回の遊休都市処理の実施弁法については、まさに上海市計画・国土資源管理局により現在制定中であり、まだ正式稿ができあがっていないものの、近々発表されることになるという。

 全体的なアラーム機能的な意味合いでまず有名どころのディベロッパー所有の遊休土地をターゲットに手を付け、その後全体的な動きをしていこうとしていると報道されているが、遊休土地の回収については何年か前にも聞いたことがあり、そのときは話題にこそなったものの結局それっきりだった印象がある。今回どこまで本気で着手するかが注目される。

新疆における通信制限

2010年01月07日 | 未分類
  昨年7月5日に新疆で暴動が発生したことを覚えているだろうか。これは印象に残っているだろうが、この暴動の後に通信の管理・制限が行われたことを知っている人は多くないだろう。実は私は知らなかった(後からだんだん思い出してきたが)。ここでいう通信の管理・制限は俗に「三断一限」と言われており、インターネット、電子メール、SMSの3つをつなげられなくし(三断)、電話はいいのだが国際電話をつなげられなくする(一限)というものである。その目的は言わずもがなだろう。これが5ヶ月余り続いていたのだが、12月28日にようやく新疆エリア内のユーザーがインターネットの利用ができるようになった。といっても人民網新華網のサイトを見ることができるようになっただけで、これは国家の政策や重要な情報を見てもらうために開放したということになっている。SMS利用の制限は解かれ、国際電話もかけられるようになった。それでもまだ電子メールを利用できないという制限が残っている。新疆では《新疆ウイグル自治区社会治安総合治理条例》なるものを改正し2月よりスタートすることとしている。このような政治的なことについてはあまり多く言及するつもりはないが、なんか大変そうですね。

2009年10-12月キーワードランキング

2010年01月06日 | 未分類
  10-12月の当ブログの検索キーワードランキングを見てみよう。見たところ7-9月とほとんど同じようなキーワードでの検索が行われており、要するに来料加工と統括会社(投資性公司・管理性公司・地域本部等)をキーワードにたどり着いてくれた人が多い。12月にはセクハラでたどり着いて来てくれた人もいるが。



  さて、今年は何が話題になるだろうか。

年末年始の盛り上がり

2010年01月05日 | 未分類
 中国では日本と違ってお正月といえば旧正月、いわゆる春節を指すのが一般的だ。祝祭日の設定にそのようになっており、元旦こそ祝祭日となっているものの、休みとしてはこの一日だけである一方で、春節は一週間の休暇が設けられる。そして、この春節期間に日本の帰省に相当するような民族大移動が起こるのである。しかしながら、最近は西暦で言うところの年末を祝うカウントダウンイベントがちらほら見られるようになってきており、歳末商戦も盛り上がってきている。

  2009年12月31日と2010年1月1日の両日において、上海市の100の大中型商業企業の営業収入が15.07億元(約200億円:前年比37.6%増)を達成している。その内訳は12月31日が9.67億元の売上(前年比53.5%増)、元旦が5.40億元の売上(前年比16.1%増)と、特に大晦日の売上増が際立つ。日本全国での11月単月の全国百貨店売上高が5635億円なので、上海という一都市だけで計上したこの数値はもの凄いといえるだろう。

  タイプ別には百貨店(ショッピングセンターを含む)の比率が45.6%を占めており、なんと前年比62.6%増となっている。


(出典:東方日報)

 そして、百貨店別の売上高を見ると中国で一番売上の高い第一ヤオハンがなんと3.82億元、なんと日本円にして約50億円近くをこの二日間で売り上げたことになる。もの凄い売上だ。


(出典:東方日報)

 しかしながら、歳末商戦の競争は非常に厳しい。一定金額購入することによる割引や金券配布等により、粗利率は低くなりがちだ。実質的に半額やそれ以下になっているようなケースもある。日本の場合も似たような状況があるのだろうが、中国の場合は春節商戦の先食いという見方もあり、年末年始に売上が伸びたとしても喜んでばかりいられないようだ。