ここのところタカタ、三菱自動車、東芝等に続いて、神戸製鋼、日産自動車、商工中金、スバルと名だたる日本企業の不正が相次いでいる。さらにこれらは氷山の一角に過ぎない、と指摘する評論家さえ現れる始末だ。
経済力では中国に追い抜かれ、技術力では欧米に追い付かず、軍事力でも米国頼みで怯え続けている日本。こんなひ弱になってしまった日本にも、唯一誇ることが出来たのが、製品の安全性と品質の高さだった。ところが最近になって、そのたったひとつ世界に誇れる長所にも、様々な綻びが見え始めたということである。
これは一体どうしたことであろうか。先人たちが長年かけて血と汗を流して築いてきた『信頼』を、たった一夜でドブに投げ捨ててしまったようなものではないか。
これらの不正雪崩現象は、団塊の世代が大量に退職したことにより、現場での経験豊富な人材が不足してしまったこと。また国際的な会計システムやコスト削減の要求が年々厳しくなる中で、会計水準や製品の品質を一定水準に保つことが難しくなってしまったからではないだろうか。
つまり諸悪の根幹は、業績の向上だけに血眼になり、現場の悲惨な状況を無視し続けた経営者たちの経営能力の低下と言えよう。取締役たちが2年間という短期間の任期中に、画期的な業績向上など果たせる訳もなく、ただ目先の経費削減と非正規社員化だけに飛びついた結果なのである。
今後これらの状況を打破するには、価格競争ばかりに血眼になるのではなく、多少値上げしても良いから『完璧な品質向上体制』を維持できるシステムづくりを行うと同時に、経営者たちの『経営発想の転換』を促し、長期的ビジョンによる経営手法を確立するしか道はないだろう。
それにはまずドイツ製品を見習うことが肝要だ。ドイツ製品は決して安くはないし、製品の種類も多くはないが、こと品質に関しては文句なく世界一である。
もちろん価格設定と目先の派手さや流行も必要ではあるが、何と言ってもそれらは『品質』の裏付けがあってこそなのだ。いずれにせよ今回の一連の不正事件は、ものごとの本質を忘れてしまい、目先の利益ばかりに拘り過ぎた経営者たちの失態であることは間違いのない事実である。
これからの日本を支えてゆくために、経営者たちはもう一度企業原点に戻ってもらいたい。そして先人たちが残した財産を守りながら、地道にじっくりと世界に自慢できる良品づくりに邁進して欲しいものである。
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