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経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

財務部と経理部の垣根

2012-02-01 09:33:07 | 崩壊する上場企業の経理

 中小企業なら、経理といえば事務作業の全てを司る部署のことをいう。だが会社が大きくなると、それが経営企画室、人事部、総務部、広報室、業務部などと、どんどん細分化してゆく。
 さらに経理部の中でも、資金の調達運用を行う部署が、財務部として独立してゆく例が圧倒的に多い。経理部の中でも決算・予算・税務などは密接に絡んでいるが、資金の調達運用については、ちょっと毛色が異なるからである。

 財務部においても、資金繰り表の作成や、金融機関への決算説明などを行うためには、経理情報やデータが必要となるし、マネジメントセンスも必要となる。だがどちらかと言うと、事務処理は女性が担当し、男性陣は金融機関との交渉などに専念することが多い。
 だからどうしても人あたりが良く遊び上手で、時として交渉力を発揮出来る人物が好まれる。そのためか、営業部から財務部に異動する者が多いようである。それで堅物揃いの経理部とは、ますます異質の存在になってゆくのだ。

 また海外子会社への出向も、経理部より財務部から異動したほうが現実的である。つまり経理実務は現地職員が行うため、資金の調達・運用と本社との連絡員に徹していればよいからだ。それに行動派だから海外生活に馴染み易く、照れがないから外国語も身振り手振りで通じてしまう。
 まさに財務部は、金融機関専門の営業部なのである。だから酒好きで、人付き合いのよい営業部から人材を仕入れたほうが巧くゆくのだろう。
 一方根っからの経理マンは、堅実で勉強熱心だが、愛想が悪く頑固者が多い。だから営業部の者は、煙たがって経理的な質問を財務部にしてくることがある。また営業部からみれば、金を扱っているのだから、財務も経理も同じにしか見えないのだろう。

 結局その質問は財務部から経理部へ回されるのだが、財務部もプライドがあるので丸投げはしない。それが返ってアダになり、財務部から中途半端な回答をして、ことが余計複雑になってしまうことがある。そして次回もまた、営業部からの質問を取り次ぐという笑えない循環に陥るのだ。
 それぞれ主要な職務を単純にまとめると、経理部は「決算」、財務部は「資金繰り」ということになる。ところで社員の誰もが一番気になる「金庫番」、つまり入・出金業務はどちらが担当するのだろうか。
 それは会社の大きさと考え方により異なり、財務部が担当する場合もあるし、経理部の中で処理することもある。また不正防止のため、入金は財務で出金は経理という会社もある。
 財務部と経理部は似て異なるものだが、いずれにしてもお金という部分で繋がってくるのだ。もちろん財務と経理だけでなく、会社全体がお金で繋がっていることだけは間違いないのだが。

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売掛金管理は営業か経理か

2012-01-25 09:44:50 | 崩壊する上場企業の経理

 中小企業ならともかく、大企業の中でこんな当たり前の論議をしたくない。ところが以外とこんな簡単な理屈も判らない大企業が存在するから驚きである。
 極論すれば、ただ売るだけなら誰にでも出来るじゃないの。つまり「支払は永遠にしなくていいから買ってくれ」と言えば、タダ同然なので誰でも買うだろう。

 売上がいくらあろうが、金が入らなければ何が商売なのか判らない。売上という数字だけを追いかけると、こんな簡単な理屈さえ忘れてしまうから恐ろしいのである。
 もちろん現金商売は別格である。だがコンシュマービジネスでない限り、そんな美味しい話はあり得ないのだ。会社同士の取引なら、掛売りが常識であり、手形のサイトまで考慮しなくてはならない。

 こんな厳しい世の中で、営業は売りさえすれば良い、というようなカビのはえた理屈は通らないのだ。現金の回収をしてなんぼの世界である。だから当然、売掛金管理は営業がするに決まっているじゃないか。
 つまらない話だが、かなり重要なポイントなのである。ことに営業の人には、徹底的に理解してもらいたいね。

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会計士はもっと勉強しなさい

2012-01-23 10:24:39 | 崩壊する上場企業の経理

 某大手監査法人は、エンロンの件があってからは必要以上に細かく臆病になっている。どうでもいいことに神経質になりすぎていて、肝心なことを相談しても勉強不足で、当たり前の一般論的な回答しかくれない。
 それにサラリーマン化してしまい、上席の会計士にお伺いばかり立てている気がする。そのくせ、後で相談した事を思いつきで覆す上司に対しても何も言えないのである。会計制度が変わってから、中年以上の会計士の大半が、その複雑な会計制度についていけなくなってしまった。そして彼等は、自已保身にばかりに血道をあげている始末。この情けない状況が現実なのだ。一方で多少知識のある現場の会計士のほうも、サラリーマン病に罹っている。

 また若手は社会経験もなく、経理実務も全く知らず、会社に勉強に来ているだけのインターンばかりが目立つ。公認会計士の『士』とは武士の『士』なのである。こんな会計サラリーマンたちは『会計士』改め、『会計師』という名称で充分である。それで高い報酬をとっているのだからあきれてものが言えない。大手監査法人は厳しいのではなく、単にサラリーマン化して『自己保身しか出来ない』 監査法人に成り果てたのである。

 会計士に問題があることは間違いないが、いずれにせよ日本の実情や歴史的背景を考慮しないで、アメリカさんの言う通りの『判り難い新会計制度』を受け入れた事実こそ、日本丸不況の元凶だと言っても過言ではない。といって完全にアメリカ同様の会計制度に変身したわけではなく、意味もなく従来方式を残した多重構造の会計制度でもあり、これがかなり経理マン泣かせなのである。

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連結納税制度の評判

2011-12-22 12:43:52 | 崩壊する上場企業の経理

 欧米ではかなり昔から連結納税が制度化されていたが、やっと我国でも、平成14年度になって連結納税制度が導入された。
 この制度、導入前はかなり期待されていたのだが、実際に制度化されてからは、かなり評判がよろしくない。
 とにかく使い勝手が悪過ぎるのである。せめて連結会計とリンクしていれば良いのだが、会計とは全く別ものなのである。それにその仕組みが複雑怪奇で、時間的にもかなりスピードアップ化が要求される。だから多くの企業では、メリットよりデメリットのほうが目立ってしまうのだ。

 そもそもこの制度が出来た背景が、バブル崩壊後の不況時代で、赤字の会社が多かったことが起因している。つまり親子会社間が損益通算出来るので、赤字子会社を沢山抱えている企業ほど、この制度に積極的であった。
 おそらくその筆頭が日立製作所であろう。当時の日立は、星の数ほどある子会社の多くが赤字だった。それで自前の連結納税ソフトを創り、それを他の会社に販売したのである。まさに一石二鳥とはこのことである。
 この制度のメリットを十分に享受したのは、そうした一部の会社だけではないだろうか。だがその後景気が回復し、ほとんどの企業にとって無意味な制度になってしまった。近年の米国発サブプライムローンによる国際大不況の折には、親も子も全てが大赤字だったので、これまた親子間の損益通算が出来ず、ますますこの制度は、無用の長物化してしまったようである。

 一方本社機能の集中する東京国税局にとっても、この制度は苦々しいらしい。ほんの一部の企業の節税のために、膨大な事務量をこなさなければならないからである。事実連結納税専門部門を新設するなど、平成19年度の東京国税局の組織再編成は、最近にないほど大々的なものであった。
 この制度も欧米にねだられて作ってしまったのだが、これほど使い勝手が悪くては、言い出しっぺの欧米もあきれているに違いない。もういい加減、無駄な制度を創るのは、やめにして欲しいものである。

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犯人は新会計制度

2011-12-17 10:45:56 | 崩壊する上場企業の経理

 なにしろ平成12年ごろから始まった新会計制度は、ただ単に米国のアナリストに迎合しただけで、日本の風土には全くなじまなかった。特に有価証券の時価法が最悪の制度だ。日本にしか存在しない「株式の持合い制度」により保有している有価証券は実質自己株式と同じだったのだから、無理矢理期未時価に評価替えをする必要はなかったと思う。
 この影響で銀行の自己資本比率が下がり、貸渋りや貸はがしが起こり、企業が倒産し、経済が停滞し、株価が下がるという不況のうずまきに巻き込まれてしまったことが過去にあったことは記憶に新しいはずだ。

 そして投売りされて必要以上に安くなった日本の株式を、外人が買付けて上手に運用するという『ハゲタカファンド』のパターンが完成したわけである。一番の被害者は、日本人株主と、経営者と、バカみたいに忙しくなった経理部だろうな。諸悪の根源は、当の小泉総理だけじゃなく、こんな馬鹿な制度を丸呑みしたアメリカの茶坊主議員達全員だな!

 全く訳の判らない制度に、膨大な時間をかけて、素人には難解な制度を次々に作り、アメリカ化したのかと思えば、それをさらに日本流にアレンジし、外人にも判り難くしているのが、わが国の会計制度である。
 そして相変わらず幾つもある法令を統一できず、無駄金を使って、挙句の果ては日本企業を倒産ラッシュに追い込んだ罪は一世紀かけても償いきれないだろう。
 上場企業の経理を長年やっていると、上場コストが高くなり過ぎていることに憂慮するばかりだ。さらにはコンプライアンスの問題や、株主代表訴訟の問題もある。最近は上場なんかしてもメリット薄いよね。

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転勤は本当に必要なのだろうか

2011-12-16 09:46:27 | 崩壊する上場企業の経理

 転勤ほど公私ともに膨大なコストとエネルギーを伴う人事はないだろう。引越しを伴わない転勤であっても、仕事の引継ぎ作業による時間ロスや引継不足により業務支障が生じる。
 ましてや引越しを伴う転勤となると、会社側の転居費用もさることながら、どうしても従業員側にも持出しが発生してしまう。それだけではなく、子供たちの転校にはじまり、転勤者の家族全員に有形無形の負担がのしかかってくるのである。
 場合によっては、単身赴任等で家庭崩壊に結びつくこともあるだろう。偉い人や将来出世する人は別として、ほとんどの総合職に転勤が義務付けられているという国は、余り聞いたことがない。全く従順な人間が多い不思議な国である。

 また転勤回数が多い人は、20回以上というのもある。これでは転勤先の仕事なんて覚えられる訳がない。そもそも転勤が多い人は、超エリートか嫌われ者であり、実際は後者のほうが圧倒的に多いだろう。
 まあ嫌われ者のほうにも問題はあるが、よくも我慢し続けているものだ。だがそういう輩は、以外にも自分が実力者だと、勘違いしていることが多い。それを鼻にかけて、横柄な態度をとるから嫌われるのだ。
 だが会社を辞めるほどの勇気もないし、自信もない、といったところだろうか。そして多少の知識や能力があっても、組織人として失格なら無能力者なのだという理屈が判らないのである。ある意味外国ならクビかもしれないが、それが出来ない日本では転勤という制度を利用して左遷しているのかもしれない。

 いずれにしても一口に転勤といっても、その理由はいろいろあるのだ。

「適切な転勤例」
全社的なローテーションによるもの
 人事部主導の一番ノーマルな異動であるが、ある程度のルールに沿ったものでないと、人事部の横暴に繋がる可能性がある。
プロジェクトチームを編成するため
 そのプロジェクト達成のための適任者が選ばれていれば問題ないが、行き場のない者の溜まり場になる場合もある。
本人の希望や適材適所を実現するため
 この異動を上手に行えば、本人のモラル向上と会社の利益向上の双方が得られるが、人事部が公正で充実していないと実現出来ない。

「不適切な転勤例」
エリート社員に会社の重要な仕事を経験させるため
 若いうちから細かい仕事を覚えようとせず、出世に繋がることだけを身につけようとするエリートが多い。だから周囲の人々にとっては鼻持ちならないし、会社にとってもプラスになるかどうか疑問である。
嫌われ者や無能力な者を他部署に押し付けて、島流しにするため
 好き嫌いで人事を行うこと自体問題であるが、受け入れる部署も歓迎しない。結局本人も生かされず、会社にとっても損失である。どう教育してもダメな者なら、金を払ってクビにした方がいい。
気に入った者や優秀な者を他部署から引き抜くため
 これも前述した人事の裏返しであり、全社的には余り良い結果を生まないはずである。
親会社で出世出来ない高齢者を関係会社等へ役職を付けて出向させる
 このことの正否を論ずるのは簡単ではないが、少なくとも関係会社は「養老院」ではないはずである。

 以上いろいろな人事例を挙げてみたが、どちらかと言うと、本来の目的から逸脱した人事のほうが多いような気がする。そのうえ膨大な費用がかかり、家庭崩壊まで招く人事異動とは、一体何者なのであろう。
 人間は将棋の駒じゃない。考えたり悩んだりするし、守るべき家族もいるのである。ましてや名人の手による人事ならともかく、へボの思い付きや一時の感情で動かされては堪らない。

 だが手間と金はかかるものの、転勤によって慣れあいや問題点があぶり出され、抜本的な改善が行われる場合もある。それが人事異動の最大効果かもしれない。しかし実際には、良くなる例よりも悪くなる例のほうが多いだろう。
 それでも毎年人事異動が繰り返され、多くの人々の喜怒哀楽が日本中に蔓延する。これはもうりっぱな国民的な行事であり、この制度のお陰で飯を食っている企業もある。だから全く転勤のない世の中なんぞは、絶対にやって来ないだろうな。

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日本中が責任逃れ漬けになる日

2011-12-12 11:05:16 | 崩壊する上場企業の経理

 先日総務部が主催する「コンプライアンステスト」を受けた。テストといっても、イントラ上にあるソフトウエアを通じて、「イエス」、「ノー」、「不明」にチェックマークを付けるだけの簡単なものである。
 問題は約120問。簡単なものから難解なものまで多様であるが、ほとんどが確認に近い形式なので、「イエス」にチェックマークを付けておけばほぼ正解だ。

 あとで皆に聞いたら、ほとんどの人が私と同様に、「イエス」にチェックマークを付けたという。こうして機械的に処理するだけでも、約30分もかかるので、真剣に回答している人は少ないようだ。
 また質問の中には、どうでもいい事や、とても守れるはずのない項目もある。バカバカしい、時間の無駄だな。こんなテストをして何の役に立つのか。
 つまりこのテストは、教育のためのテストではなく、「コンプライアンス遵守の教育をしていますよ」という会社側の責任逃れシステムに過ぎない。

 近年巷では、白い恋人、赤福、吉兆などの製造年月日の虚偽記載や、建築業界やミートホープ社のデタラメ経営が横行している。
 しかしこれらの不祥事は、今に始まったわけではなく、昔から公然と行われていたのだろう。それが情報過多とタレ込み社会により表出してしまっただけなのだ。
 いずれにしても、不正がマスコミに晒されてしまってから言い訳をしても遅い。だからといって全従業員に、完璧な法律教育なんて出来る訳がない。
 それで苦肉の策として、従業員が理解しようとしまいと、「会社としてはキチッと教育しましたよ」という証拠を残すシステムを作ったのだろうか。

 また2008年度から施行されたJーSOX法も同じ穴のムジナである。このJーSOX法とは、エンロン事件等が引き金になり米国で作られたSOX法の日本版で、「金融商品取引法」で定めた、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準ということになる。
 日本ではまだ施行されて間もないので、批判すべき対象ではないかもしれない。しかし余りにも金がかかるため、すでに米国では見直しの動きがあるという。

 日本での適用は2008年度からであり、各社その対応に大わらわであった。ただその進捗状況を眺めていると、膨大な人員と費用をかけて、フローチャートとマニュアルを作成しているだけにしか見えない。
 コンサルを使って作るまでは良いとして、その後メンテ出来るのかが一番心配である。たぶん実務では余り役に立たないような気配を感じるな。結局これも単なる「責任逃れシステム」になってしまうだろう。

 もっといえば、ISOという世界的な品質管理の認証制度さえも、実務的は余り役立っていないという意見が多い。これも監査のための書類づくりにばかり血道をあげている状況で、本質的なクオリティー向上にはなかなか結びついて行かないようである。 
 とにかくこれらの「責任逃れシステム」を、いち早く考案してビジネスに繋げている企業ばかりがウハウハ状態なのではないか。

 それにしてもだ、こんなシステムをいくら作っても、不正や疑惑は絶対になくならないだろう。これらは従業員を牽制するシステムであり、会社のトップが行う不祥事の歯止めにはならないからである。(この文章を書いてから早や3年経過・・・その証が最近のオリンパスや大王製紙である)。それでも、ないよりはマシであることも否めないが、余りにも金がかかり過ぎるのだ。
 またなりよりも 一番怖いのは、本来の職務を忘れて、「責任逃れさえ準備しておけば良い」という感覚が、企業全体に蔓延してしまうことではないだろうか。

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腹が立って泣きたくなった株主総会

2011-12-06 09:36:20 | 崩壊する上場企業の経理

 もう10年以上に亘り、某・老舗映画会社の株主を続けているのだが、今年の5月に始めて都内で行われた総会へ出かけた。映像を使っての分かり易い事業概況説明は、さすがに映画会社だと感心したのだが、株主質問タイムになってイライラが募ってきた。
 議長が一人につき一つの質問だけと、事前に宣言していたにも関わらず、冒頭から一人で2個以上の質問をする株主に対して、それらの質問に応じてしまったのである。そのお陰で、その次からの質問者は、当然のように2~3個の質問をするようになってしまった。
 なかにはどうでもよい自分の身の上話をする株主もおり、時間がどんどん経過してゆく。私は3D映画について是非とも聞いておきたいことがあったのだが、何度挙手しても指名してくれない。

 そして私が手を挙げているのに、「ではこれで質問を終了し、議決に移ります」と、いきなり質問を打ち切ってしまったのである。これには私も驚き激怒した。「さっきからずっと手を挙げているのですから質問させてください!」と大声で怒鳴ってしまった。
 議長はちらりと私のほうを見たのだが、それきり全く知らぬ顔の半兵衛を決めて、急いで議決をとり始めている。余りにも酷いじゃないか。直前に株主を最重視していると言っておきながら、その舌も乾かぬうちに株主無視とは一体どういう了見なのだ。いろいろな会社の総会に行っているが、株主の質間を全く無視して議事進行した株主総会をはじめて体験してしまった。

 事前に一人一つだけの質問にしてくれと断っておきながら、それを許したのは議長の責任である。従ってどんなに長丁場になろうとも、最後の質問まで受け付けるのが筋ではないのか。またもしどうしても、質問を打ち切らねばならない事情があるのなら、せめてその理由を述べ、お詫びして質問を打ち切るのが普通の社会人の態度であろう。それをただ黙殺とは酷いよ、酷すぎるよ議長さん。
 またあとで考えると、受け付けた質問は、会社にとって都合の良いものばかりであり、会社側の回答もまさに事前に十分練り込んで準備したような感があった。もしかすると事前にOB株主などとつるんだサクラ質問だけに終始して、私のような一般株主の質問は無視したのではないか。もしそうでないのなら、午前中に総会を終わらせて早く昼飯を食いたかったとしか考えられない。

 いずれにしても株主重視とうそぶきながら、実は一般株主無視という欺瞞な姿勢は社会的に許しがたい行為である。会社批判は株価の低落に繋がりかねないので、株主としては極力控えたい。だが余りにも酷い議長の傍若無人な態度にも、ニコニコしているほどのお人好しにはなれない。
 それにしても、大昔からこの映画会社のファンであり、亡母が株主だったときから数えれば、約40年間も株主を続けていたことが、悲しくて、とても悔しい一日であった。涙・涙・涙・悔し涙が止まらない。

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税効果会計の功罪とは

2011-12-05 09:36:23 | 崩壊する上場企業の経理

 そもそも税効果会計って何者だろうか。会計を知らない人に、これを短時間に判りやすく説明する自信はない。
 この制度を説明するには、法人税等の仕組みから話さなくてはならないからである。だがあえて無理やり説明しなくては、この話が進まない。面倒な話は聞きたくないと思う人は、ここは読み飛ばして欲しい。

 会社は決算期ごとに、儲けた利益に対して、約40%前後の法人税等を納税しなくてはならない。もし会社が作った損益計算書の利益に、ただ税率を乗じるだけならば、税効果会計などという面倒な仕組みも出来なかっただろう。

 そもそも損益計算書を作る基になっている会計規則と、税法の定める処理規則が一致していないのだ。従って実際に納税する税金の計算をする場合は、損益計算書の利益に、会計と税法の不一致事項を加減算して調整するのである。
 この税務調整後の利益を、税法では課税所得と呼ぶ。会社が大きくなるにつれ、この調整額は膨大になってくる。またこの調整は、永久に不一致なものと、期間のズレだけのものに分けられる。

 期間のズレの中には、翌年になれば一致するものと、長期間に亘って一致するものがある。だがその大半は、翌年になれば一致する項目ばかりだ。1年後には会計も税法も一致するなら、どうでもいいじゃないの。同じ財務省の中で、何を目クジラ立てて異なる扱いをするのかと不思議に思う人もいるだろう。

 しかし会計も税法も、決算という短期的なサイクルを基準にしているのだから仕方がない。この1年を先取りするか後回しにするかで、いつも凌ぎを削っているのだ。
 また会計と税法ではその目的が全く違う。会計は投資家や債権者のためにある。もっとエゲツなく言えば、最近の会計基準は米国のハゲタカファンドのためにあると、言い切ってしまいたい。
 ところが税法は、日本国の歳入徴収のためにあり、政策にも利用されている。ぶっちゃけ極論を言えば、会計は米国のためにあり、税法は日本政府のためにある。だから両者が一致する訳がないのだ。

 米国嫌いの悪い癖で、話がまた横道にそれてしまいそうなので元に戻そう。
 近年米国流会計のお陰で、両者の不一致項目が目白押しとなってしまった。もしこれを無視したら、会計上の利益が大赤字なのに、多額の法人税等が計上されるという矛盾に突き当たることにもなる。そこでそうした矛盾を生じさせないために、税効果会計という便利で不思議な術が編みだされたのだ。
 つまり会計と税法の期間的不一致金額に実効税率を乗じて、勝手に会計上の税額を調整してしまうのである。これを法人税等調整額と呼び、通常は税金のマイナス項目となることが多い。これで見かけ上は、あたかも会計上の利益金額に、直接課税されたかのように見えるのである。だが納税する税金が変わるわけではない。あくまで会計表記上の話なのだ。

 損益計算書上に、こうして発生してしまったマイナス表示の税金は、貸借対照表上では、繰延税金資産という資産に計上される。この資産は具体的に現金化されることはない。言ってみれば前払税金的な性格を持つだけである。それも税法で認められた前払いではなく、会計上想定した前払いという不安定で影の薄い資産なのである。
 またあくまで期間的な差異だけの調整なので、「交際費」などの永久的な差異は調整しない。こうして税務上繰り越された費用が、翌期以降に税務で認められると、今度は損益計算書上で逆に税金のプラス項目として表示されるのだ。そして貸借対照表上の繰延税金資産は、精算されて消滅するわけである。

 会計と税務の両方を知らない人には、たぶん何を言っているのかチンプンカンプンであろう。だから税効果会計の話をするのは嫌なのだ。しかしここを通らないと、次に進まないから仕方ない。
 こうして日本の決算書にも、お金と結合しない繰延税金資産が、どんどん増殖し始めたのである。この制度が生まれた当初は、広がりつつある会計と税務のギャップを埋める便利な仕組みと感心したものだ。
 ところが一方で、会社によっては何干億円もの膨大な架空資産が、増殖し始めてくる。これが日本中の会社に蔓延し、ROAなどの財務分折が無意味となり、投資家の誤解を呼ぶ厄介者に成り下がってしまったのである。

 そんなことは始めから予想出来たのだが、「米国のいいなり会計」にそんな先見性はなく、公認会計士たちはこぞって右往左往状態である。そしてこの繰延税金資産を、部分的に否定する実務指針を乱発し始めた。
 まず役員定年制のない会社の「役員退職慰労引当金」、当面売却予定のない「投資有価証券評価損」など。それらに関わる繰延税金資産を取り崩さないと、監査報告書に意見を書くぞと脅すのだ。

 さらには5年間の経営計画に基づく課税所得の推移やタックスプランを精査し始めた。つい最近までは、こんなものは形式だけだからと言っていたのに、急に態度が豹変してしまったのである。そもそも1年先のことだって誰も予測出来ないのに、神様じゃあるまいし、正確な5年間の経営計画なんぞ作れる訳がないじゃないか。という思いを隠しながら、それなりの経営計画書を作らざるを得ないのだ。

 そして会計士のほうも、それなりの注文を付けながら、それなりに監査するのだろう。バカバカしいが、これがお互いに身を守るための高等戦術なのである。
 この税効果会計は、実務者としても会計監査人の立場からも、非常に面倒な代物になってしまった。さらに一般の投資家からみれば、全く訳の判らない制度に映るはずだ。

 そもそも法人税等を損益計算書に織り込むからおかしくなるのだ。法人税等は国等に対する利益の分配なのだから、株主配当金と同様に剰余金処分と考えればよいではないか。
 そうしたうえで、税効果会計などという無用の長物は、ドブに捨ててしまえばよいのだ。日本の会計界も、国際会計機構において、そのくらいの発言をしてもよいではないか。
 何度も言うようだが、だから損益計算書の利益なんて当てにならないのだ。信じられるのは、結局キャッシュフローだけなのである。

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外資系税理士法人には要注意

2011-11-21 14:01:11 | 崩壊する上場企業の経理

 日本の大手監査法人は、個人会計事務所の集合体から合併を重ねて巨大化してきた。そして2002年度施行の税理士法大改正を機に、税務部門を切り放して別途税理士法人を設立した。併せて海外の超巨大会計事務所と提携をしている。
 これらの税理士法人の主な仕事は、組織再編成・事業継承税務コンサルティング、M&Aトランザクション、海外税務コンサルティングなど、その組織力と海外ネットワークを利用したサービスとなっている。
 確かにこうして並べてみると、零細会計事務所には手がけ難い業務がほとんどである。またそのサービス内容から、クライアント側も大企業が中心となる。そのせいか、法外な報酬を恥ずかしげもなく請求してくるのだ。

 数年前にトップシークレットで、ある企業を買収するプランが論議された。私は特命事項としてそのメンバーに加わり、その買収プランの収支計算を行った。
 シミュレーションの結果、20億円以下の投資で納まれば採算がとれるという報告を行い、トップもそれに異論がなかった。ところが某大手銀行から天下ってきた役員の1人から文句が出たのである。
 素人の小僧っ子が創ったシミュレーションなど信用出来ないと言うのだ。それに専門家が創ったものであれば、取締役会で賛成しても責任をとらなくとも済むとも言う。
 そんなバカなと、思ったが、大先輩のご意見なので無視するわけにはいかない。だがこれから専門家に依頼している時間はないし、莫大な費用がかかるのも見えている。

 そこで私の上司が機転を計り、大手監査法人のコンサル部門に私の創った資料を全て渡して、シミュレーション部分だけ創ってもらうことにした。データが同一なので結果は変わるはずがない。結局は検算して清書してもらったに過ぎないのだった。
 約2~3時間、ペラ4~5枚の報告書で、手数料は百万円である。だが驚いてはいけない。こんなのはまだバーゲンセールである。
 もしこちらのデータを提供せず、始めから頼んでいたら数千万円はふんだくられていたであろう。私自身が作成したデータ部分は、資料代と社内人件費を加算しても、せいぜい20万円程度だと思う。こうしたコンサル会社が、いかに暴利をむさぼっているか判るだろう。

 またあるとき、欧州の子会社統合のために、大手税理士法人に欧州の税制について調べてもらったことがある。これも私の持っている参考書のレベルを超えていなかった。
 それで5百万円。しかも何か質問するたびに別料金をとると恫喝するのだ。これ以上予算をとれないので、結局は自分で調べるはめになってしまった。

 またあるとき、移転価格税制の事前申請手続きをするのに、約1億円とられてしまった。税理士法人の行った仕事は、移転価格税制の説明とか、当初の導入手続きくらいで、その後の膨大な資料づくりは、全て社内で行っているにもかかわらずだ。
 もちろん事前にある程度の幅を持った見積もりは受けるが、いつもレンジのMAXばかり請求してくる。あるときは、メンバーの偉い人の工数が思ったより増加したという理由で、見積りレンジを超える金額を請求してきた。
 このときは私もブチ切れて、大声をあげて文句を言ってしまったものである。そもそも税理士法人の偉い人といっても、ほとんど何もしないで会議に参加しているだけであった。そんなの関係ねえ、オタクらの勝手だろ!

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