ゴエモンのつぶやき

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車椅子での就職に理解を 水戸養護卒の岡山さん、企業に訴え

2011年12月20日 02時11分50秒 | 障害者の自立
「採用担当者は障害者何級というところだけでなく、人物を見て判断してほしい」。障害者手帳1級の岡山優樹さん(18)は、今年3月まで在籍した県立水戸養護学校の立原雅子校長らとともに、大勢の企業経営者らに訴えた。同校の就職率は統計上は毎年100%だが、障害者が就職する場合は、企業などでの実習を行った上で採用となるケースが多く、「企業実習ができない生徒は就職をあきらめて就職移行支援施設などに進路変更をしなくてはならない。現実は厳しく、数字とは違う」と涙で声を詰まらせた。

■5年間で4人のみ

水戸養護学校高等部卒業生の進路状況を2010年度まで過去10年間で見てみると、就職移行支援施設(旧授産施設や作業所)への入所者や通所者が全体の71%を占める。過去5年間でも全卒業生67人に対し、就職したのは車椅子を使わずに自立歩行ができる生徒4人だけで、そのうち3人がパートなどの非正規雇用だ。それでも、統計上は就職希望者4人が全員就職し、就職率は100%となる。

県内の特別支援学校生にとって、主に高等部2、3年時に行う企業での現場実習が事実上の就職活動の場となっている。実習を重ねながらそのまま採用となるか進路変更をするかを決定していく。進路変更した生徒は就職希望者から外れ、実習を経て就職をした生徒のみを就職希望者として扱うため、数字上は高水準を維持できるという。

■五つのハードル

生徒が企業での現場実習を希望した場合、(1)歩くことができる(移動やトイレ、食事で特別な配慮がいらない)(2)自分でトイレを10分以内にできる(3)自分で通勤できる(4)自分で食事ができる(5)家庭の理解と協力(実習協力・移動送迎)の五つをクリアする必要があり、水戸養護学校は条件を満たした生徒をハローワークに求職者として登録している。

しかし、同校では車椅子を使用している生徒が多く、条件をクリアするのは非常に困難で、企業実習ができない生徒がほとんど。立原校長は「条件に達していなくても企業に就職したい生徒はたくさんいる。本校の生徒は企業での現場実習ができないことで進路変更を余儀なくされることが多い」と話した。

■後輩のために

岡山さんも自立歩行が難しいとの理由で、企業実習の機会を得ることなく、統計上は就労希望者としてカウントされないまま、車椅子でハローワークなどに通い続けた。

現状を知ってもらおうと、水戸市内で今月開かれた水戸ロータリークラブの例会に出席した岡山さんは、スライドを使いながら「車椅子を利用する生徒の就労や実習に協力をお願いします」と生徒の受け入れを依頼した。

例会に出席していた県教委の大久保博之委員長は「県内の特別支援学校は5年に1校ずつ増えている状態。肢体不自由の生徒たちの雇用も増やしていかなくてはならない。将来的にはペナルティーが101人以上の企業にも拡大される」とし、企業主らに積極的な採用を呼び掛けた。

岡山さんは今後も経営者らに現状を訴えていく考えで「後輩に同じ思いはさせたくない。企業経営者に障害者の就労の厳しさを理解してもらい、後輩の就労のチャンスにつながれば」と笑顔で語った。


【写真説明】障害者雇用の現状と問題点などを話す岡山優樹さん(中央)=水戸市内

茨城新聞 2011年12月19日(月)


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