北九州市の社会福祉法人「時優会」の障害福祉施設が、給付費の不正受給などで事業の指定取り消し処分を受けることになった。利用者の家族を取材すると、他の事業所に移ることが難しく、施設側に疑問を感じながらも訴えにくい状況が浮かび上がってきた。
市は6日にグループホームや障害児のデイサービスなど9事業所の指定を取り消す処分を決定。不正受給額は約1億6千万円に上る。別の法人が運営を引き継ぐ10月までは時優会が運営を続ける。現在、約80人が利用している。
市は指定取り消しの方針を2月に利用者の家族に説明した。十数年、重いダウン症の長男を預けていた50代の母親は「そんな施設を利用していたのか」とがくぜんとした。
利用していないサービスが記録された文書を見て、施設が不正受給をしているのでは、と感じてはいた。だが、自身が働くため、盆暮れに子どもを預けていたこともあり「何も言わなかった」という。長男が環境の変化を嫌う上、重度の障害者を受け入れる先が限られる事情もあった。
実際、市の説明後に他の施設をあたったが、長男は不安から顔や頭をたたく自傷行為をした。そのため、施設側から「対処できない」と利用を断られた。
市は家族への説明の場で、事業所を閉鎖する前提で「移り先をさがす支援をする」と話したが、「簡単な話ではない」と多くの反発があった。そのため、別法人による事業の継承を調整した経緯がある。
時優会が運営する障害者福祉の複合施設「時の丘学園」
2018年8月10日 朝日新聞
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます